−2014/3 ボルネオ編 その14 サバ州立鉄道(1) いざテノムから貨客車に乗車っ!−



サバ鉄道テノム区間‥そう、この車両に乗るためにここまで来たんです!(笑)。


さて夜はエアコンをつけたり切ったりしながらまぁ快眠(微妙な温度調整は出来ない機種でしたんで)。目を覚まして外を見てみると、あれまー雨期らしく?低めの雲が垂れ込めています。朝6:30に1Fロビーお隣の朝食会場まで下りていくと、われわれの食事だけがすでにセッティングされていてよしよし。

これについてはこのホテルの融通性の良さがありがたかったというか、7時より前だと朝食の準備云々で提供を渋るホテルも結構あるんですよ(その場合朝食込みの料金でも返金なし)。窓は相変わらずフルオープンでしたが(右上画像)、この天気のこの時間なら虫もいないし(皆無ではないにしろ)問題なしでした。

そして食事終了後すぐに荷物を取りに部屋に戻った上でチェックアウト(スムーズ。まぁ追加料金を取られるようなサービスは一切なかったしね)。そのままドライバーさんが出てきて荷物を積み込み即出発OK。このパンクチュアルなところはマレー系の方々の時の流れとは全然違う気がするぞ(笑)。そんなわけで7:10ころにテノム駅前に到着です。


何と立派なテノム駅!屋根上の飾りは地域の伝統的な意匠に基づくものなのでしょうか?少なくともこの駅舎の立派さは「1日2往復しか運行していない路線」の施設とは思えません!(テノム駅発の列車は7:30発と13:00発の2本しかないのです=2014/3現在)。

さてそうこうしているうちに切符の販売が始まりました(出発時刻の20分前に出札所が開き、切符を買ったらそのまま改札を通り抜けるというパターン)。


そんなわけで無事きっぷを購入完了です。ちなみに2014/3現在、テノム(Tenom)からタンジュンアル(Tanjung Aru=KK)まで通しの切符を買うことは出来ず、買えるのは途中のビューフォート(Beaufort)まで。ビューフォートで列車を乗り換えるときに改めてタンジュンアル行きのチケットを購入する必要がありますので念のため。

で、ただ、あのですね、このチケットが‥(左上画像マウスオン)、



ちなみに同時期のJR東日本の場合(2014/3の旅行だったので消費税が8%になる前での比較です)、同じ距離での運賃は820円。ほぼ10倍を誇っています(いや別に誇っちゃいないと思いますが)。そしてさらに終点タンジュンアル駅までの路線距離は134km、通しで乗った場合のトータル運賃はRM7.55(約230円)。同じくJR東で同距離を乗ると2210円!もちろん消費税が3%上がりましたので今はさらにその差が開いているわけです。

しかし一方で、日本とマレーシアにおける1人あたりのGNIを比較すると、2012年で日本がざっとUS$48,000、マレーシアがUS$9,900というわけで、もちろん「1人あたり」で比較することにどこまで意味があるかという問題はありますが(特にマレーシアの場合民族差の問題は無視できないのですが)、それにしても「運賃差が10倍」というほどのものではないことは確か。この鉄道の運営はサバ州ですが、おそらく州政府により意図的に運賃が抑制されていることが想像されます(そのかわり本数を少なくして民間との競合を避けているのか、それとも州立鉄道ゆえ「昔ながらの発想」なのか?=自分としてはたぶんこっちかと)。

だって右上のシルエット画像を見ても、ディズニーランドなどにもあるような「自動利用者カウント器」をせっかく装備しているのに(中央に人が立っているところ)、実際の改札はすぐ左の「自由に出入り可能な通路」なんですよね。個人的には今の運用で十分だと思うんですが、それならばなぜC/Pを考えずにあの機器を導入したのかというあたりに「お役所仕事」のニオイがプンプンと(笑)。

ちなみにこの先のビューフォートから終点タンジュンアルまでの区間には中国製の車両が導入されています。もしかしてその時に「これを機に各駅の近代化および旅客の利用状況をリアルタイムでつかむことによってより効率的な運営云々」という営業マンの誘い文句にサバ鉄道側(の上層部)が乗っかっちゃったのかなぁ。

左上画像マウスオンで見えていたチケットはペナペナの紙ではなく厚みもそこそこある立派なモノでした。しかもバーコード付きだったんですが、そのバーコードをどこかにかざす機会は全くなかったどころか、改札付近ではそのチケットにパチンと入鋏(にゅうきょう)されて「使用開始後」に。そしてさらには車内検札では、あろうことかバーコードのど真ん中にパチンとね(笑)。

そんなわけでそこそこ最新系であるはずの設備は発券機を除いて全然使われている気配がなかったわけなのですが‥


というかすでにおわかりかと思いますが、このページトップの画像にある列車に乗るのにスイカとかキタカとかイコカとかで乗ること自体が違和感ありありでしょう?やはり全体としての「乗り味」にはある意味での統一感があってほしいものなのです!

そんなわけでそろそろホームに入りましょう。するとそこには‥





そしてわれわれは喜び勇んで?最後尾の貨客車へ。車内は「3部屋構造」?になっているのですが、最後尾のブースに空いている2人席(どう見ても後付け)を見つけて確保。よーしよし!もう一番上までスクロールするのも面倒でしょうからトップ画像をもう一度引っ張ってきますね。


これですよこれ!(笑)。ちなみに最後尾の両サイド座席にはすでにどなたかの荷物が置かれて確保されていますが、この光景を見ればこの列車における治安の良さがよくわかるでしょう。置きっぱなしで持ち主の姿なしでもなくならない!


駅の奥には車両基地があり、何やら楽しげな車両が見えていましたが、この日は時間の関係で見に行かれませんでした。何だかミャンマーの一般客車に似ているなぁ。


さてホームと列車の撮影に移ります。右上画像、なぜこんなにホームが長いの?(先頭機関車あたりから撮影した画像)。ちなみにその昔はここからさらに奥に鉄路が延びていたようで、しかもここテノムまでの鉄路が開通したのは何と‥


その時代にここテノム、そしてさらにここから奥まで鉄路を延ばすというのは、当然「その労苦を補って余りある実り」を計算したからに間違いないはずなのですが、おそらくは鉱山ですかね?ちょっと調べてみたのですがどんな鉱物なのかはよくわかりませんでした(海沿いでは金鉱があったようですが)。ご存じの方がおられましたらご教授下さい。

そんなわけで「ちょっとなめ回す系」の動画をご覧下さいませ。




いや、あまりになめ回し系だったからか、このあと駅員さんに「機関車の中とかはあまり撮らないで」と止められました(笑)。かつて2004年のミャンマーでは鉄道施設は「準軍事施設」とみなされていて撮影禁止でした。たとえば当時のヤンゴン駅でこれと同じような動画を撮っていたらすぐに拘束されたでしょう(実際あの時、駅前を静止画で撮っていたら「それ以上はダメです」と軽く注意されましたし)。

ちなみにディーゼル機関車は日立製作所1968年製ということですから今年で46歳!いやぁ頑張ってる!一般にディーゼル気動車の場合、日本製を海外に輸出しても現地でのメンテナンスが不十分で長く保つことは少ないそうですが、こちらサバ鉄道では(見かけによらずといったら失礼ですが)しっかりメンテの手を入れているということなのでしょう。

さて出発時刻が近づいてくるにつれて貨客車内も少しずつ混んできました。座席はご覧のとおり少ないので子どもたちは床に座り込んで‥ん?ゆで卵を剥いて朝ごはん代わりに食べてるし?この列車は通学の足でもあるということか。






さてそんなわけで出発しました。ところですぐ上で「サバ鉄道、ディーゼル機関車のメンテ良好!」と持ち上げたわけですが、「その一方で保線メンテは相当イケてない」ということがすぐにわかりました。だってさ‥


動画からのキャプチャ画像なので画質はイマイチですが、それでも線路の歪みは一目瞭然です。よって乗り心地はご想像の通り「とってもヨロシクない」わけですが、でもそれについては最初から期待してなかったというか、むしろ「こういう路線だからこそ乗りに来た」という方が大きいので、Takemaとしてはある意味ウレシイ気持ちで一杯だったりします(鉄の血を引く者の複雑心理)。


車内の様子はこんな感じ。上の方でも書きましたがこの車両は内部ドア付きの壁によって一応3つに区分されています(右上画像は開放されていたドア越しに中央車室を撮ったものです=左上画像マウスオン)。この中央車室はまさに「貨物メイン」の利用を想定してかもともと椅子がありません。みなさん床に座っていますがこれが正しい利用方法なのかと。そしてもちろん右上画像のようにバイクも載せられています(荷物代はいくらなんだろう?)。ちなみにこのあと家庭用ガスボンベなども持ち込まれていましたが、日本だったらじぇったい許されないだろうなぁ。

そんなおおらかさはお客に対しても同じらしく、これはこの貨客車だけなのかもしれませんが「完全に車内喫煙OK」となっていました。というか皆さんバシバシ吸ってるんで最初は「黙認なのかな」とも思いましたが、郷に入りては系で自分も吸い始めたら車掌さんが前を通っていったのにもかかわらず注意なし。さらにいえばそのあとくだんの車掌さん自身も吸ってましたから、喫煙に関しては完全にOKなのだろうと。車内でタバコを吸うなんていつ以来だろう?


もうおわかりかと思いますが、走行中も乗降用ドアはフルオープンしたままです。かなり揺れるし体勢確保用の手すりもありませんからなかなかイイ感じです(何のこっちゃ)。ちなみに左上画像で青い帽子をかぶった男性は、戸口から足を出して腰掛けてまして気持ちよさそう。これもまた注意の対象にはならないところがスゴイです(笑)。

というかこの「席」は結構人気がありすぐに埋まるようでした。ただ、おしんこどんがお客さんの入れ替わりの隙をついて確保して座ってみたらサンダルにグリースが付いちゃったようです(笑)。やっぱり「安いサンダルかスポサンで」って話しておくべきだったかなぁ(苦笑)。

ゆで卵を食べていた子どもたちは途中の駅で降りていきました。見れば駅近くに学校があり、やっぱり通学路線でもあったわけですね。1日2往復しかないこの区間ですが、子どもたちは「始発の上り便で登校し、最終の下り便で家に帰る」ということのようです。何だかスゴイ。

日本でいえばその昔々に廃止された福島県の日中線(喜多方−熱塩)を思い出します。たしか「日中走らぬ日中線」と揶揄されていたんでしたっけ(朝1往復、夕方と夜に2往復)。あのダイヤもそういう意味で設定されていたのかな?

さてこの続きは次のページにて。

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