−2014/3 ボルネオ編 その16 サバ州立鉄道(3) ビューフォート−タンジュンアル区間は案外普通な感じ −



うわー貨客車から一気にレベルアップ!(笑)。エアコン付きの快適列車でありました。

ビューフォート駅であらためてタンジュンアル駅までのチケットを購入し、しばらく待合室で待つことに。構内にあるマレー系レストランのTVからは「不明のMH370便、オーストラリアはパースの西方2,300km付近で残骸発見か?」というニュースが流れていました。ちなみに今回TVのある宿に滞在中、マレー系英語系中華系のどのチャンネルでも画面の端っこに「MH370捜索中」というマークが出ていました。そりゃそうだよなぁ‥。

しかしまぁなんとなく「あー、トイレ行っとこうかな」。トイレはもちろん同じ建物内にあるのですが、アジアの公共施設の例に漏れずしっかり有料(10sen=約3円)。古い割にはまぁまぁ綺麗で掃除もなされていましたが、やっぱり一般公共トイレの利用にお金を取っているうちはまだまだなのですよ世界各国各関係者殿!ただし(笑)。


このあと改札が始まったわけですが、乗客の列が扇状に広がっていてなかなか前に進みません(笑)。何だか懐かしい感じを受けたのは、今から30年くらい前までは日本の通勤電車でも「整列乗車」という概念がなかったよなぁと思い出したから。世界から時に賞賛されたりする現代日本のマナー常識のほとんどは、実は古来から連綿と受け継がれてきた伝統などではなかったりするわけです。

たとえばゴミの各種分別という概念だって昔はなかったし、わたしは知りませんがその昔は「列車内で食べ終わった弁当ガラを窓から外に放り投げる」というのも一般的だったとか(あと同じようなことが客車トイレでもね=これは知ってる)。自分が覚えてる(やってた)のは「食べ終わった弁当ガラは椅子の下に放置してそのまま下車」というやつかな。

つまり「今の日本標準を基準にして他国を評価=まだまだだな」と考えてしまうのは浅はかなのです。つまり、すぐ上に書いた「トイレ有料」をあーだこうだという資格など誰にもないということ。「今後有料なのはいかがなものか」という意見が現場から出てくれば変わるだろうし出てこなければ変わらない、それだけのことなのでしょう。ちなみに「 」内にはいろんな言葉を入れられそうですね。「クジラ」とか「グローバルスタンダード」とか(笑)。


話は変わってタンジュンアル行きの列車です。隣のホームに止まっているさっきまでの車両とはだいぶ趣が違う新車両、2009年に導入された中国製の車両なのだそうです。

しばらくしたらドアが開きましたので乗り込みます。


座席配置は車両中央に向かって席が並ぶ集団お見合い式の固定席、当然のごとく進行方向向きの席から埋まっていくのですが、マレーシア人の皆さまは進行方向にこだわる傾向が日本人より強いのか、右上画像を見てもおわかりの通り「順列の席があらかた埋まってから逆列席に(仕方なく)座る」という感じです。

さ、席も確保しましたし発車までにはまだ時間があるので列車編成の観察に向かいましょう(落ち着いて座っていられないのはいつものこと)。


まずは先頭車へ。4両の固定編成なのですが、この車両は機関車となっており乗客が乗ることは出来ません(いわゆる「プッシュプル式」)。タンジュンアルへ向かう場合は「客車を牽引」しますが、ビューフォート行きの場合は反対側にある運転席から最後尾の機関車をリモートコントロールして「後ろから押す」というわけです。機関車の入れ替えが不要という点で効率的なのでしょう(でも何か不具合があったときにはオッカナイ気もします)。


ちなみに2編成8両が導入されたそうですが、うち1編成は運用開始直後に踏切事故のため大破&廃車の憂き目にあったそうで現在運用されているのはこの1編成のみ。しかし運用開始後まだ5年目だというのに外壁塗装は剥げ落ちが目立ちますし、車両同士をつなぐ踏み板はすでに壊れる寸前でした。ある意味チャイナクオリティというか、先ほどの日立製ディーゼル機関車の真逆をいくというか(苦笑)。サバ州立鉄道さん、次回車両を更新する際には、「目の前のお値段」に一喜一憂せず長い目でのご判断により是非日本製をご指定下さいませ(笑)。そしてメンテ契約もお忘れなく。

さて、目をホームの向こう側に移すと「マニア」にはたまらないサバ鉄道のマニアックな車両が!(わたしはどちらかといえば乗り鉄系なので「ほほー」というくらいでしたが)。


左上画像は何とも味のある客車群です。4両が見えていますが、奥から2両目はおそらく貨客車、乗るならアレだな(笑)。そして右上画像はディーゼル車両(何でもイギリス製らしい)。で、足回りをよく見てみると‥(右上画像マウスオン)、


さて、ここビューフォートからKK近郊のタンジュンアル駅までは、2007-2011の数年間運行を休止して路盤を再整備した(一説によるとRM3億=90億円もかけた)そうで、となれば最新の路盤状況が確保されているはずなのです。

なおビューフォートからテノムまでの区間はその再整備の恩恵に与っていませんが、同区間の下流側は洪水による路盤流出等の関係もあり「そこそこ」ましな乗り心地です。要はタンジュンアルから出発する場合、「終点テノムに近づけば近づくほど縦揺れ横揺れが激しくなる」とお考えいただければ間違いないかと(笑)。われわれは逆だったんですねぇ、「どんどん文明的な世界に近づいていく」という感じでした。



つまりは、乗車姿勢がこんな感じで進化したというわけです(大笑)。


前席とのスペースはご覧のとおりで何の問題もありません。せめて飛行機のエコノミークラスもこれくらい(以下略)。それにしても気になったのが右上画像の路線図なんです。この列車のみならずサバ州立鉄道のKK(コタキナバル)側起終点はタンジュンアル駅(右上画像では「TG.ARU」=路線図最上方)なんです。でもさ‥


ググってみたんですがどうやら旅客扱いがなされていない駅なのかな?(駅長ほかの紹介ページが出てくるところが官僚的?)。まぁそんなことはどうでもイイでしょう出発しましょう!


車の通る踏切には必ず保安員がいて車両の通行をブロックしています。ただ、われわれの乗っている前から3両目が通過するころにはすでに遮断機が上がり始めます。「列車が通過中に踏切内に侵入するバカな車両はいない」ということなのでしょうが何だか不思議。

ところでTakema地元の施設である某K成本線の一部の踏切、数ヶ月前に踏切が開くのを意図的に遅らせたとしか思えない設定変更工事をやってくれまして、おかげでますます朝の開かずタイムが長くなったような気がします、ほんの5秒の違いであってもでも朝はねぇ(ちなみにバイク出勤の時は四輪車通行不能踏切を通るので問題なし=この踏切は列車通過後すぐに開く)。

さて肝心の乗り心地なんですが、何だかとりたてていうほどよくはないなぁ。どんな路盤工事をしたというのだろう、結構揺れます。あ、でも蒸気機関車の終着駅であるパパールから先では少しよくなったという感じかな。


ちなみにテノム − ビューフォート区間に比べ、面白味という点では車窓風景その他を含めてがっくし落ちます。途中からは海沿いを走るのですが海が見えるのはほんのちょっとの区間だけ、マングローブの林沿いを走ったりするので(右上画像がそれ)海が近いことはわかるんですけれどね。イベント列車で蒸気機関車も走らせているなどある意味やる気を見せているサバ州立鉄道ですが‥



そんなわけでKK(コタキナバル)国際空港を横目にしながらその向かいのタンジュンアル駅に到着です(確か定刻より10分くらいの遅れなのでまずます)。隣のホームには別列車も入線していましたがこれは区間運行便かな?(右上画像マウスオン)。そんなわけで続きは次ページにて。

[戻る] [次へ]