− 2015/8 キューバ旅行記(3) キューバという国について、旅行事情を中心に −



お国柄ゆえ各所に革命関係のプロパガンダ施設がありますが、ここトリニダの施設の場合「塔に登れる」ことからそこそこ人気でした。

さてこのページではキューバという国についての概略を説明‥したいところですが、この国の歴史や政体などについて語り出せばきりがないというか、そもそも自分などが語り出すのもおこがましいので、そのあたりについてはもっと詳しいページをご覧下さい(とりあえずWikipedia)。とにかく1959年にキューバ革命が起き、それこそフロリダ半島から直線距離で150km足らず、いわば「アメリカの庭先」のような場所にいきなり社会主義国家が出現したわけです。

いわゆる「アメリカおよびアメリカ資本による搾取、そしてそれをよしとするバティスタ政権」を打倒するための革命でしたから、アメリカはそれに対抗してキューバと断交(1961年)、その翌年キューバを経済封鎖するに至ると同時にキューバは親ソビエト色を明確化していきます。そして一触即発の状況に陥っていたとされるキューバ危機(ソビエトがキューバ国内にミサイル基地を建設&ミサイル搬入)までも起こり、まさにここキューバは「世界の火薬庫」的な国となったわけです。

その後経済封鎖(制裁)は今(2015/夏)に至るまで続いているもののキューバ政府も「平和的革命路線」に転換したことからキナ臭さは薄くなります。しかしアメリカのキューバ敵視政策は変わることなく続けられてきました。

キューバが一気に不安定さを増したのは1991年のソビエト崩壊でした。友好国として原油の供給を優先的に受けていたキューバは経済基盤が崩壊状態となり、そこでこれまでの社会主義体制の一部修正(国営企業の民営化や私的所有の容認)などにより、文字通り「何とか持ちこたえ」ます(これはこれですごいことだと思います)。

その後観光にも力を入れるようになり、日本にいるとわかりませんが今やヨーロッパからはエールフランスやKLMなどが直行便を飛ばしてもいるのです。今回の旅行中、英米両国からの旅行者には会いませんでしたが、他のヨーロッパ諸国からの旅行者は多く見かけました。逆に日本人は(首都ハバナ周辺を除いては)かなり少ないようです。

さてそんなキューバを旅行するにあたって、われわれが知り得た現状&抱いた印象はどんなものであったかを綴っておきましょう。


行き方 2015/8現在日本からの直行便はありません。お手軽なのはエアカナダで、2015夏の運行スケジュールだとトロント経由で往復とも同日乗り換えが可能でした(われわれは帰路にトロントで2泊しましたが)。そのほかにはメキシコ経由も考えられますが、上記の理由からこの時点でアメリカ本土からの定期路線は存在していません。今後アメリカ線が就航すれば状況は大きく変わるとは思います。

入国ビザ 日本のパスポート所有者にビザの事前申請&取得の必要はありません。ただし、それに代わるものとして入国カード(ツーリストカード)の入手が前提となります。このツーリストカード、もちろん在日キューバ大使館でも入手できるのですが(詳しくはこちら@2015夏現在)、ハバナ空港等で到着時に入手することは多分出来ません(未確認)。

そのため第三国を経由する場合、在キューバ大使館等で取得しておく必要があるわけなのですが、これがまた不思議なことに、エアカナダのトロント〜ハバナ線だと、機内で本来どこでも有料なはずのツーリストカードが「無料で」配られるのです。

公式には「このサービスはカナダ在住者用のもの」とかの話もありますが、実際にこのカードを使って何らの問題もなく入国した日本人の話も多くみますし、おそらくは大丈夫なのでしょう。そもそも同じ効力のカードなのだし。

しかし今回われわれは自前で用意していたカードを使いましたので真偽のほどはわかりません。でも「万が一配布されなかったりしたら」えらく面倒なことになるはずで、今回あえて機内配布カードでチャレンジしなかったのは、「まだ勝手もわからぬ国でいきなり最初から厄介な状況に巻き込まれるのを避けたかった」からです。でも多分大丈夫だとは思います。自分も次回は配布カードで入国してみようかなと(その時までシステムが変わっていなければの話)。

入国に
際して
持ち込み不可の物品の中にネット接続用のルーターがあるということでしたが、2015/7にインターネット接続に関する規制の緩和が行われたということなので今後もしかしたらOKになる(なった)かも知れません(未確認)。ノートPCやタブレット、スマホなどの端末自体は持ち込みに何らの問題もありません(申告する必要もなし)。ついでに次項目ではインターネット接続に関してです。

インターネット
接続事情
この項目は今後数年以内に大きく変わってしまうかも知れませんが、2015/8現在の状況は「劣悪というか、そもそも無線&有線LAN環境が構築されている場所がほぼなきに等しい」という感じでした。

ごく一部の高級ホテルではロビー等でネット接続が可能という話でしたが、そもそもそんなホテルに泊まる予定もなく、結局キューバ滞在中にネットに接続できたことは一度もありませんでした(ま、地方回りがメインでしたしほとんどトライもしませんでした)。

メキシコとの合弁企業らしき通信会社である「ETECSA」社でプリペイドカードを購入して利用する方法もありますが、個人的には長い列に並んでまでネットに接続したいとは思いませんでしたのでよくわかりません。

というわけで現在のところネット接続に関してキューバはとてつもなく立ち後れているといえるでしょう(政府の方針に基づくものなのでしょうがない)。しかし今後、外国人が多く利用するカサ・パルティクラルでWiFi電波が飛び始める日も遠からずやってくるかも知れません(キューバの人たちは案外「利にさとい」ような気もするので)。

ガイドブック 「地球の歩き方」は、キューバを含むカリブ海諸国を合わせて1冊となっており、当然キューバ情報はかなり限られています。これだけで旅するのにはちょっと荷が重いというか情報が少なすぎます。と、自分がかつて(休刊になるまで)定期購読していた雑誌「旅行人」にキューバ編があったのを思いだし本棚から見つけたときには個人的に狂喜乱舞しました(笑)。

2009年の発刊で情報的には古いようにも思えますが、実際のところここ5-6年で大きく変わるところもなかったのか、十分実用に堪える内容でした。自分の場合、宿も事前に予約した上での旅行だったのでロンプラの宿情報は不要で、この本がもっとも参考になりました。たぶん中古本がネットに出回っていると思うのでここ数年のうちにキューバ旅行を考えている人は必携です。各地の市内地図もほぼ正確です。

旅の言語 はい、キューバの公用語はスペイン語です(だから比較的スペインからの旅行者も多い)。英語は‥通じる人がいれば通じることもあるという感じで、ハバナの宿でも、宿の人はスペイン語オンリーという場合もあり得ます。地方に至ってはさらにその傾向に拍車がかかります。

現地の情報を仕入れるべき宿、その予約においては「English Spoken」であることを重視しました。実際、かなりそれで助かったような気がします。

スペイン語の事前学習は(いつものとおり)ほぼ皆無のまま旅したわけですが(おしんこどんがスペイン語で「1-10」を言えるのを知って「よし、キューバでの通訳はキミに任せる!」と豪語したTakemaです)、スペイン語の辞書というとたいそうなので絵付きの会話集を購入して持参しました。これがかなりお役立ちで、食事に行くときなどもこいつでだいぶ助かったような気がします。

お金とカード
そして両替
まず、カードはよっぽど観光客向けの施設でないと使えないと思った方がいいでしょう。特に、AMEX等アメリカ資本発行のカードは使えません(これも今後変わるのででしょうが)。基本的に「いつもニコニコ現金払い」の国なのですが、そこにまた絡むのが二重通貨制度なんですね。

基本的には兌換紙幣(外貨両替が可能)な「CUC」(クックまたはセーウーセーと発音)と、国内限定の「CUP」(ペソ・クバーノ)とが存在し、同じ額面であっても、そこには1CUC=25CUPというものすごい格差が存在します。

CUCは基本的にUSドルと価値が連動しています。われわれの旅行時には1US$が125円弱だったので、両替時の手数料を考慮して1CUC=130円として計算していました。

いわゆる観光客相手のお店では有無を言わさずCUC払いであり、たとえばツアーでキューバを訪れる旅行者がCUPでモノを買う機会はほとんどないでしょう。またキューバ人も、日用品を買うのはCUPでも、家電製品や上記ネット接続のプリペイドカードを買うときなどはCUC払いであり、その垣根の矛盾は今後のキューバがどう進んでいくのかとともに変化していきそうです。

さて両替ですが、できれば両替ロスを少なくするために日本円からCUCへの1回だけにしたいところ。でも、公式両替所の「CADECA」も、日本円を扱っているところはハバナやサンティアゴ・デ・クーバなどの大都市に限られているようでした。

ということは地方でCUCの持ち合わせがなくなるとアウトになってしまうというわけで、全国どこでも両替可能なカナダドルの現金を予備に持参することをお勧めします。いざというときの安心感につながりますし、自分の場合はキューバのあとにカナダに寄るというわけでロスが少なくて済みました。

なお両替のレートはどこでも公定なので、「あっちよりもこっちの方がレートがいい」ということはないようです。また闇両替屋等のうっとおしい存在もありません(声をかけてくるとすればそれはよからぬ輩です)。なお日曜日などは営業時間がぐぐっと短くなる(または休業)なのでCADECAのご利用は計画的に。

宿の手配 高級ホテルであれば日本からの手配(旅行社を通して or 個人でのネット経由で)も可能ですが、その分宿泊費用も跳ね上がります。一般的にリーズナブルかつ唯一の選択は「Casa Particlar(カサ パルティクラル)」の利用でしょう。「Casa」は「家」、「Particlar」は英語と同様「特別な・特定の」を意味するようで、要は「外国人宿泊施設としてちゃんと政府の認可を受けた民宿」を意味します(それに関連することとして、現在のキューバでは外国人が一般家庭に滞在することを認めていません)。

そのカサパルティクラルですが、基本的に千差万別で当たり外れはあります(それは日本でも同じでしょうが)。地方では一戸建ての家の一部を開放して民宿としているところもありますが、ハバナなどでは集合住宅の一角を使って営業しているところ、さらには結構大々的に民宿を商売としてやっているところなどさまざまです(以前は1戸につき3部屋までという規制もあったようですが、今はその規制も取り払われたのかなし崩しなのか?)。ただ、今回は飛び込みを避けて事前に予約したため「外れ」の宿はありませんでした。

で、その予約ですが、最近カサパルティクラルのネット予約サイトがオープンしているということでのぞいてみたらこれがまたなかなかわかりやすく、また希望日の予約可否問い合わせに対するレスポンスも非常によろしかったので、自分はその予約サイトにおんぶにだっこ系で予約しちゃいましたMy Casa Particlar.com)。

実際現地での予約存非に関するトラブルもなく、また各カサの画像や詳細情報(特に英語が通じるかどうかは重要な情報源となりました)もかなり参考になりました。キューバ滞在初日に出会ったコスタリカ人(&オーストリア人)の方は予約なしで各地を回ったそうなのですが、「飛び込みでCasaを探すといかに疲れるか」をキューバ人の感覚を交えて説明してくれたので、「うっはぁ、それは助かった!」という感じでした。

ただ、気になったのが手数料の高さです。「こんなに取るんだ」というのが正直なところでした。ただ、それを含めても安心料として自分としては我慢できるものでした。でももし次回訪問するとしたら少し考えちゃうかも。また、都市部のCasaについては比較的登録情報が多いのですが、いわゆる「ど田舎」となると情報が皆無です。そんなところにも実際には青イカリマークがあったりするんですが‥。ちなみにこの手数料はカードからの引き落としとなりますが、宿泊代そのものは現地でニコニコ現金払いです。

またレンタカーで到着の場合駐車場を確保しているカサはほとんどなく、近隣の駐車スペースに車を駐めることになるわけですがこれも有料です(宿の場所にもよりますが自分の場合2-5CUC/nightでした。なお車の移動は人任せにせず極力自分でやりましょう。トラブルの元にもなりかねません。

レンタカー1
(借りる)
今回の旅行ではViazul(ビアスール)等の公共長距離バスによる移動をしていません。ほぼすべてをレンタカーで回りましたので、ここではレンタカーによる旅行について説明します。

まずキューバにはAVISやHertz、さらにはBugget等国際的に名の知れた大手レンタカー会社は存在しません。もちろん外国資本は入っているのでしょうがあくまでキューバのレンタカー会社しかないわけです。

自分がふだん海外であえて大手レンタカー会社の車を借りるのは「安心」を買っているわけです。それは第一にレンタカー旅行の場合「車が故障したら旅行そのものがぐしゃぐしゃになる、下手をすれば事故でもないのに旅の終了を余儀なくされる」というわけであり、大手の会社が「高いだけのことがある」メンテナンス、そして信頼性のある車両やそこそこ少なめの走行距離車両を導入しているからにほかなりません。すなわち海外のレンタカーは日本のレンタカー以上に「安かろう=悪かろう」であろうと考えるからなのです。

そんなわけでキューバで少しでも大手、しかも格安ではなくそこそこのランクの車をレンタルしている会社は‥。調べていく中で「Cubacar」「Rex car rental」等が大手だとわかり、自分は「Rex」で借りることにしました。サンティアゴクーバで借り出してバラデロで乗り捨てるというプランで、お値段は‥当然高めですが「自由に回りたい」という希望のためにはこれはしょうがないです。そもそもキューバ国内の要所要所に支店がないようなレンタカーは借りたくもないわけですし。

しかし(繁忙期ということもあるのでしょうが)、自分が借りた欧州車は見かけこそピカピカに洗車されていたものの(でも細かな傷だらけ、誰だよこんなに擦ったの)、肝心なエンジンルーム内の確認は行われていなかったらしく、走り出して2日目にオーバーヒートでへとへと状態になりました。

自戒を含めて申し上げれば、借り出し時には「オイルを何km時に交換したのか」「タイヤの空気圧は正常か」「ラジエーター液が十分か」「ウォッシャー液は入っているか」等の確認をした上で走り出した方がよさそうです。少なくともレンタカー屋にはそれだけの確認&補充を行う設備と義務があるわけですから。

また、パンクのことを考えて予備タイヤにちゃんと圧が入っているかを確認することも大切です。日本に比べてパンクの確率がかなり高そうなキューバですから、できればジャッキアップによるタイヤ交換の経験があるといざというときにも安心です。

ついでにいえば、チューブレスタイヤの穴修復&DC電源を利用したコンプレッサー等が日本ではコンパクト&格安で手に入ります。今回わたしは持参し忘れたのですが、これがあればとりあえず万全かなと。参考ページとして北海道在住の露天風呂マニアさんのこのページを紹介。コンプレッサーと合わせても6000円ちょいかなぁと。ちなみにわたしの車には常備しています(まだ使ったことがありませんが)。

ちなみにオートマ車は数も少なく早めの予約が必要です。なお、安い車はほぼ間違いなく中国・韓国車です。走行距離の多い車がほとんどだと思うので、そのあたりをどう考えるかは各自のご判断で。

レンタカー2
(ナビ等)
しかし問題は車だけではありません。キューバの道路インフラ、それも舗装事情のみならず、詳細地図が手に入らないこと、そして「地図があっても肝心な分岐に標識が存在しないこと」にもあったりするわけです。そして「レンタカーといえどもカーナビは付いていない(オプションですら存在しない)」こと、さらには「そもそもデータ通信電波が飛んでいないことによりグーグルマップ等のスマホナビ機能も一切使えない」というところにあるわけです。

ただしこれについてはアンドロイド&Iphoneともに「GPSナビ」アプリをダウンロードしておくことにより何とかなりました。というかこのナビはかなり正確で、上記の各Casa Particlarには入口のドアに小さく青いイカリのマークとともに宿の名前が書かれているだけのことが多いのですが(マークだけのこともある)、「ナビがDestinationって言ったけれど‥こ、ここか?」と思ったらまさにそうだったということが何度もありました。

GPSのみによるナビはアメリカ様のご意向によって機能や精度がアバウトになることもないわけではないそうですが、今回はそもそもアメリカとキューバの雪融け時期ということもあってかとても精度の高いものと感じました。ちなみに自分がアンドロイドスマホにダウンロードしていったのは「Map Factor GPS Navigation Maps」でした。日本語対応ではないですが、ちゃんと音声ナビ機能もあります。

ただし当然事前に(WiFi環境で)キューバの地図データとダウンロードしておくことと、使い方をマスターするために練習しておくことが必要です。自分は日本地図をダウンロードした上で、実際の設定&ナビの音声説明が自分の車のカーナビとどう違うのかを確認した上で現地に赴きました。

それと、大切なことがもう1つ。それは「自分が宿泊するカサパルティクラルの位置を紙データで印刷して持参すること」です。宿に泊まれば名刺タイプの宿情報カードをもらえるのが通例ですが、それはあくまで宿に到着後の話。宿に着く前に迷ってしまったら‥というか、そもそもGPSナビの場合目的地は地図上のある地点を指定した上で動作をスタートするわけで、住所や電話番号から自動的に場所を検索してくれる機能などないわけです。

そんなとき、宿周辺の中域図と詳細図を印刷して持っていると、地元の人に道を聞くときにも(実際にありました。英語が通じなくても聞くしかない時は何度もあります)身ぶりや雰囲気でわかるものです。そして何より、ナビで最初の設定をするときにこれがないとどうにもなりませんから。

キューバでカーナビが使えるようになるには&国内の主なエリアにネットデータの受信が可能になるにはまだ少し時間がかかることでしょう。上記アプリに限らず、キューバの旅行でGPSナビが必要な時代はまだしばらく続きそうです。

レンタカー3
(諸注意)
道路は日本と逆の右側通行です。運転マナーは悪くはありませんし、そもそも地方に行くと車の数が極端に減りますので、街中以外の運転は楽。

ただし、街中・郊外を問わず路上には馬車(コーチ)、自転車タクシー(ビシタクシー)、トラクター等が頻繁に行き交います。馬車や自転車タクシー、そして自転車も含めて「車両」であるという認識がしっかりしていて、自転車であっても反対車線を逆走するというような無謀運転者はほぼ皆無です。

また、路肩には多くのヒッチハイカーが手を上げています。これは旅行者ではなくまず100%地元の人で、中にはお札を見せながら手を上げている人もいます。いわゆるヒッチハイクも地元の人の移動手段として普通に機能していることがわかります。

そして、これらのいろいろな車両や人が、街中のみならず郊外にもあちこちで見られるというわけです。それはモーターウェイとて例外ではありません(苦笑)。

また、舗装状況ですが劣悪な区間も多く、たとえば「バラコア〜モア」「トリニダ〜サンタクララ」の区間には「過去の舗装の残骸」を避けながらえっちらおっちら進まねばならないこともありますし、そうでなくてもいきなり道路上に大穴が空いていることもあり、漫然と運転していると穴に突っ込みかねません。常に路面を注視して運転することが切に求められるのがキューバの道路だといえるでしょう(とはいえしばらく運転しているうちに「この道は何だかトラップがありそうだな」「この道は大丈夫そうだな」との勘が働くようになってくるのですが)。

なお郊外を走行中に気をつけなければならないのが「踏切」の存在です。鉄道の「幹線」は東西に延びる1本だけですが、それ以外に支線がそれこそ本当に数多く延びており、それだけ踏切の数も多いのです(かつてのサトウキビ搬出用の鉄道でしょうか)。

で、問題はその踏切の存在を知らせる標識(万国共通のあの×マーク)です。標識は踏切脇の1つしかありません。それも案外目立たない場合が多いので、下手をすると踏切そのものを見逃す危険があります。キューバの場合、踏切の鉄路交差部は舗装が荒れていることも多く深い段差になっているところもあります。郊外の場合制限速度は80-90km/hくらいですが(制限速度を知らせる標識はそこそこある)、そのスピードで万が一踏切の凸凹部に突っ込んでしまうと事故にもなりかねません。

GSの数はそう多くはありません。ガソリンの補給は早めにしておいた方がいいと思います。

朝昼晩の
ごはん関係
カサパルティクラルは素泊まりが基本です。朝ごはんは5CUC/人が基本で、質や量に差はありますがまぁ少なくとも食いっぱぐれはありませんから、われわれの朝ごはんはすべて宿にお願いしました。

夕食は、大きな町であれば外に食べに行きました。至近距離にある場合は歩きましたが、そうでもない場合は車で行ったので、上記GPSナビのレストランマークを頼りにしました。ただし食べログのような具体的情報はありませんから、行ってみたら酒メインのところだったり食事に期待が持てないところだったりすることもありましたが、時にはCUP払いの地元民向けのそこそこレストランに当たったりもして面白かったですよ。

そして一番苦労するのがお昼ごはん。もちろんハバナやサンティアゴデクーバ等の都市部に滞在しているときには繁華街に行けば外国人向けのレストランを容易に見つけられると思います。問題は地方を移動している道中のお昼ごはんなのです。

そもそも社会主義における配給制度が今も機能しているお国柄ゆえ、外食という習慣&それに伴う施設整備はそれほど積極的に行われてこなかったのでしょう。実際、レンタカーで地方を走っているときにはレストランはおろか屋台さえも見つけられず、偶然レンタカーを借りた初日に露店で購入したバナナがそのまま昼ごはんになることも多かったです。

GSはガソリンのみならずドライバーのいろいろな補給基地にもなるはずですが、食べ物はあまり期待できません。せいぜい飲み物かな(でも地方ではなぜか水は買えずコーラ=地元オリジナルとかしか売っていないことも)。

長距離バスで移動する場合は当然そういう便宜を図ってくれる場所で停車休憩するのでしょうが、レンタカーの場合は結構きついかもしれません。なおサンティアゴクーバ〜バラコアに至る道中にはフルーツを売る露店が多く出ていたので購入できましたが、グランマ地方やカマグエイ、トリニダ地域に行くとその手の店もほとんど見受けられませんでした。その場合「あったら買い」です(笑)。

治安 基本的に問題ありません。ハバナ市内を暗くなってからも歩きましたが特に不安は感じませんでした。このあたりは中南米の国々と大きく違うところらしく、基本的に危ない国ではありません。ただし過信は禁物です。

現地情報
の入手
日本では宿の入口付近に地域の地図やアトラクションに関するパンフレットが置かれていることも多いですが、今回泊まった宿(ほとんどカサパルティクラル、2泊だけ地方ローカルのホテル)ではそのような観光パンフが置かれているのを目にすることはついぞありませんでした。

また、おそらくは宿の方々が地域のあれこれについて持っている情報もある意味限られたものであることが推測されます。ハバナとかの大都市はともかくとして、地方に行けば行くほどその傾向は強くなるかと。

となれば、ある意味残念なことではありますが「事前の下調べ」を念入りに行うことが重要なのかと。これは日本でも同じことで、「ある地域に行って質問してみたら地元の人も知らなかった場所がネット上で有名になっていた」というケースがよくありますよね。こういうケースがキューバにおいても多くあり得るのではないかということです。

ただしそこまでのレア系のネタを見つけられるかどうかは疑問ですが(苦笑)。

温泉関係 今回訪問したエルゲアの温泉は含硫黄の強食塩泉で温度も十分なものでした。このほかキューバにはいくつかの温泉保養施設があるようで、少なくともシエンフエゴスには保養のための施設があるはずです。

しかし、「もしかしたら?」と思って期待していた野湯は結局のところ見つけられませんでした。というか、エルゲアに近づくにつれて「ああ、あの野湯画像はここじゃないな」と諦められましたし、念のためエルゲア温泉に勤めて25年になるという湯守の方に写真を見てもらっても「こんな場所は見たことがない」ということだったので、たぶん北アメリカのどこかの野湯だったのでしょう。

旅のお酒 キューバといえばかのヘミングウェイゆかりのモヒートだったりダイキリだったりのカクテルが有名です。個人的には「暑いのでもっとぐびぐびいきたい!」という思いもありましたが、まぁ悪くないです。

キューバには多くのスペインワインも入ってきていますが当たり外れはあるかなと。

キューバビールの2巨頭は「CRISTAL」と「BUCANERO」でして、この2つはどこにでもあります。クリスタルはさっぱり系で悪くいえば全然コクがなく、バカネロは多少アルコール度数も高いのですが何だか妙にねっとりした味わいです。ま、自分としてはバカネロを選択していました。気がつけばキューバ出国時に日本から持参した芋焼酎が余っていたということは、そこそこ現地での飲酒事情が充実していたということなのかな?

旅の季節 本来ならこの情報トップに来てもおかしくないような気もしますが思いつきなので(笑)。ええっと、キューバの夏はしっかり暑いです失敗しました(苦笑)。35度の東京からハバナに来てみたらやっぱり35度でしたから。

ただしハバナについていえば朝夕はしっかり涼しくなり、「南国のリゾートだもんねエヘヘ」という感じもありました。ただしハバナ人も「あそこは暑い」というサンティアゴクーバは夜になってもやっぱり暑かったです。でも日本の夏を体感してきた身にとっては「まぁこんなもんかな」というところでした。

一方で日本の年末あたり以降はキューバも随分と涼しく(現地の人たちにとっては「寒く」)なるらしく、それならあえてその時期のキューバを訪問するのもいいかなあと思ったりする次第です(日本人的には快適そうだし)。なお8月下旬から10月にかけては台風がやってくることもあり、そうなるととんでもないことになるようです。カサの造りをみても、窓は密閉が出来ないブラインド方式のところが多く、台風が来たら家の中までぐちゃぐちゃにかき混ぜられてしまいそうな気が‥。

電気関係 電圧は110-220Vで、プラグの形状は基本的に日本と同じ(実際は左右の穴の大きさが少し違う)ので、100-240V対応機器であれば問題なく使えます。少なくとも今回の旅行中は停電も過電流によるトラブルもありませんでした。

あと、これはレンタカーに関することなのですが、今回はDC電源の三又ソケット(ふだん日本で使っているもの)を持参して重宝しました。用途は「1.Ipodで音楽を流す(FMトランスミッター経由)」、「2.AC電源にしてスマホの常時電源に(アンペアの関係でUSB給電は使用せず。もともと車に積んでいたものをそのまま持ち込み)」、「3.常時撮影のドライブレコーダー運用」でありました。これはなかなか便利でしたのでお勧めできるかと思います。

出国時の注意 空港税は25CUC/人で、チェックインカウンターで支払うことになるのでお忘れなく。ツーリストカードの半券があれば、特に問題なく出国できます。第3ターミナル(国際線)では、出国手続き後のホールに比較的お店があってちょっとびっくり。

物価感覚 二重通貨制の国ですが、兌換通貨たるCUCを使っている限り決して安く旅行できる国ではありません。感覚的には「日本と同じくらい」と思っておけば間違いないです(そこまで高くはないんですが)。観光客用の店だと水500mLペットが0.75-1CUC、ビールは1.5CUC(1CUC=約130円@2015/8当時)ですからね。かといってCUP払いの店でそれが買えるかといえば結構難しいんです(というか置いていないことが多い)。

なお、それとあわせて旅行者を不安にさせるのが「いつもニコニコ現金払い」ということ。手持ちの現金が少なくなると焦ります。そりゃハバナとかサンティアゴデクーバとかに滞在しているぶんにはいつでも日本円を両替できますが、地方に行くとカナダドルとかがないといざというとき不安です。

参考までに、Takema&おしんこどんの11日間の滞在中には宿+3食の食事(時々ボトルワインとかも飲んだ)+ガソリン代(車のレンタル料そのものは事前に支払い済み&ガソリン代は日本並み)+観光費用等々で15万円以上かかってます(もうちょっとか?)。ただ、たとえば最終日にハバナ市内から空港に出て出国するだけでも1万円ちょいしたわけですが。事前予約系の支払いを入れればさらに高くつくのは自明の理で、うーん支払いが恐いなぁ(大物はもう引き落とされましたが)。

さてそんなわけで、いよいよ次ページから旅行記スタートです!

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