- 2015/8 キューバ旅行記(17) カマグエイ、二転三転の末たどり着いたカサがよかった!-



カマグエイ市内は道も狭いし人も車両も多くて厄介!しかも何だかいやぁな感じの黒雲も(苦笑)。

そんなわけでカマグエイ市内へ。中心部に近づくにつれて狭い道、トラフィックの多さ、一方通行だらけ、そして曲がりくねった道ゆえ方向感覚の混乱という四重苦に見舞われます。しかも頼みのGPSナビも、どうやら最後の最後のあたりで車両進入ができないルートを指示している気がするし、困ったなぁと思っていたらいきなり事態は急展開!



これは「純粋なる親切」なのか、それとも「チップ目当ての行動」なのかはわかりませんが、まぁ土地勘がないという決定的に不利な状況に置かれたわれわれですから「いずれにせよ助け船だ」と思うことにして案内を請いました(実際のところ、結果的にはナビでも行かれた場所ではありましたが)。そんなわけで有料駐車場に車を止め(この駐車場の存在は彼がいなければ絶対わからなかった)、予約しておいたカサ・パルティクラルにチェックインできれば彼の任務終了というところでしたが(この時点で「親切心ではない」ことの察しは付いていましたがまぁいいやと)いや、でもまだこれでは終わりません。

町の中心部に位置する予約のカサは、確かに夕食や買い物などもすべて徒歩圏内にあるようでしたが「なぜか今日は泊められないんだ」と。しかし予約サイト経由の客を「満室だ、ほかをあたってくれ」と無下に扱うわけにもいかず‥いやこれは違いますね、キューバ人は基本的に親切ですから(時にはお節介なほどに)、というわけで、



という流れになりました。そんなわけで宿の若主人とおぼしき人を乗せて出発進行したにもかかわらず、かの自転車青年が後からついてくることから「あぁ、彼にチップをだな‥」と確信したことは間違いありません。ただしこの時には雨が降り出しており、雨の中必死についてくる彼の姿を見れば「まぁ払ってもいいかな」と思っていたわけですが(笑)。



というわけで、中心部から少し外れたエリアまで移動です。

しかぁーししかし!なんとこちらも満室なのか「今日は駄目」なのかはわかりませんが結局アウト。嗚呼さまよえる日本人中高年夫婦よどこへいく?しかし「結果オーライ」とはこのことか、この時の当事者間で提案&紹介された「第三のカサ・パルティクラル」が存外に良かったのであります。



こちらが宿のカードです。メールでのやりとりがどれだけ頻繁にできるのかは不明ですが。



こちらがそのカサの外観。宿の名前は「Casa Merlys Y Julio」。2015/10現在Tripadviserや「MyCasaParticular.com(予約サイト)」には登録されていない宿ではありますが、ちゃんと「政府公認」のカサです(青イカリのマークが剥がれかかっているのには理由があります=後述)。

何だか連れ回されて到着した関係で「まぁ、もうどこでもいいや」感はあったのですが、わかりやすい英語を話す気さくなご主人と、英語は片言ながらいろいろと世話好きな奥さん。やっぱり「宿は人」ですねぇ。ちなみに15年ほど宿業をやってきたが日本人の宿泊は初めてだとのこと。確かに今回のような経緯でもなければこちらの宿を見つけることはできなかったことでしょう。立地的にはあまりいいとはいえないし(まぁバスターミナルから各種タクシーで来れば済むことですが)。

ちなみに例の自転車青年は予想通りチップを要求してきました(しかも予想よりも高額だった)。ちょっと残念に思いながらも「道中は一生懸命だったよな」と思うことにして払いましたが、やっぱり値切るべきだったかな(苦笑)そうしないと「あとから来る旅行者」が苦労するはずなので。



さて実はこの宿はいろんなところで改装中なんですが、すでに改装の終わった部屋は天井も高く、エアコンもパナソニックの新品で静かそのもの(こちらでよくある窓直付けのうるさいヤツではない!)。また右上画像の奥にある浴室&トイレも広いですし、シャワーのお湯の出もよく実に快適!TVはまだ配線接続が終わっていないようでしたが、冷蔵庫もこれだけの大きさのものが部屋にあれば何も問題なしです!



部屋の外の通路もこんな感じでおしゃれです。なおわれわれの宿泊が決定すると、奥さんが部屋の入口に安楽椅子を据え付けてくれました(こっちの人、ホントに安楽椅子が好きですねぇ)。またTakemaが喫煙者であることを知ったご主人が何と灰皿台まで持ってきてくれたのですが(右上画像マウスオン)、



何だか不思議に思いながらも十二分に活用させていただきました(笑)。そんなわけでビールで乾杯した上で(左上画像マウスオン)、整備の終わった箇所も拝見させていただくことに。ちなみにリフォーム中ということもありこの日の宿泊客はわれわれだけでしたので自由気ままなことこの上なし(笑)。



中庭はまだ壁が塗装工事中のようでしたが、この幾何学的なデザインって何よ(笑)。階段の踊り場下を利用したルービックキューブアートも独特で面白いです。ご夫婦のどちらかが芸術肌なのかな?少なくとも自分には絶対に思いつかない空間表現法です。



左上画像の甕は何?こちらではもちろん庭のオブジェの一つになっていますが、この水甕(ティナオン)はカマグエイでよく見られるものだそうで、この地がかつて渇水に苦しんだということの名残なのでしょうか。確かにカマグエイ周辺は広大な平原地帯で大きな川もありませんから‥。ちなみに「甕」の内部をのぞき込むと、まるでお約束のように「亀」がいました(左上画像マウスオン(笑))。

さてここからは階段を2Fに上がってみましょう。ちなみにこの時は手すりや柵などもありませんでしたが、たぶんこのあと設置されたのかと(さすがにないままだと危ないので)。で、2Fの部屋の内装工事はもう終わっていて、そりゃまぁおしゃれで綺麗な感じでした(部屋は小さめですが)。写真を撮るのを失念しましたがかなりいい感じです。

で、そこからさらに上に登る階段が設置中だったので上がってみると(右上画像マウスオン)、市街地ゆえちょっとごみごみはしていますが周辺が眺められて開放的。この場所でのんびりするのもいいなぁ(たぶん改装後はここが屋上テラスになることは間違いないでしょうから)。

ちなみに宿泊時段階でのこの宿の難点は「近隣に駐車場がなく、数ブロック離れた有料駐車場(5CUC/nightは高い!)に駐めなければならない」こと。(車の移動はご主人にお任せしました=第三者に頼んだため被害にあったというネット情報もありましたが、宿のご主人だったら責任の所在が明確なので大丈夫)。ちなみにこの翌日玄関の脇の工事が始まり、「ここはどんな場所にするんですか?」と伺ったら、



というのがご主人の答えでありました。ただ間口がやや狭めなので、そういうのに慣れた日本人ドライバーはともかく、各国からお越しの方々は大丈夫かなぁ?なお、敷地内であっても駐車料金は別に追加で取られるのかも(取られないかもしれませんが)。

さてレストランの多い中心部からは離れてしまったようなので夕食の提供可否を伺うと「もちろん!キューバの家庭料理を提供できますよ」とのことなのでおまかせしちゃえ!(いわゆる「Win Win」ですね)。そんなわけで日が暮れる前に周辺のお散歩に出かけることに。



雨も上がり道もほぼ乾きました(実は一時期は雷を伴った豪雨でしたが、路面温度も昼間の直射日光でたっぷり熱くなっていたはずですから)。夕方になったこともあって皆さん家の外に出てきます(外のほうが涼しい)。それを狙っての自転車屋台も出てきます(右上画像マウスオン)。

キューバでは家の扉や窓を開け広げにしているのが一般的です。それは風通しをよくして室内の熱気を外に逃がすというのが主目的なのですが、それは同時に「プライバシーよりもコミュニケーション」という精神性にもつながります。あえて意識しては撮りませんでしたが、夕刻になると皆さん家の外に出てくるし、出てきていなくても家の扉は開けたまま中でTVを見ていたりするのが普通です(カマグエイに限らずハバナでも同じです)。

そんな環境がキューバ人の明るい国民性につながっているのだとも思います。でも一方で思うのです。「キューバが今よりも経済的に豊かになり、家庭用エアコンが設置される家も出てきてこの夕方のコミュニケーションが衰えていくとしたら‥」。

その意味での「なれの果て」は今の日本の首都圏住宅密集地に代表されるのではないでしょうか。地域のコミュニケーションはおろか、隣にどんな人が住んでいるかもわからないし興味もない。そしてそんな環境から生み出された「わけのわからない隣人から自分を守りたい」という防衛感覚が養われ(あくまで本能じゃなくて感覚です)、隣人じゃなくても実際に悪意を持った輩からの「攻撃」に対応したいという要求がかの「個人情報保護法」を生みだしているという現実。そして現在導入されつつあるマイナンバー制度についても「他人(それが公的機関であっても)に自分の懐具合を知られたくない」という過剰防衛的反応を生み出している今の日本。

個人的にはアンチ個人情報保護法派でありウェルカムマイナンバー、医師会うだうだ言うんじゃないよ派のTakemaですが、でも自分とは逆の考えをお持ちの方々の意見を読んでいると、日本という国に対する不信感というよりは「身近な隣人を信じ切れない」という発想があるように感じてしまうのです。それが法制化され始め、国民の共通理解になる‥



「自分のうちの夕食が何だったのか知られたら恥ずかしい」のか?「旦那さん毎日帰りが遅いみたいでお仕事大変ね」と言われるだけで「わが家の生活が見られているようで恐い」と怖がるべきなのか?「先日クラス会があったけれど同期女性の旦那さんは年収○○○万だって。うちのこと考えたら恥ずかしくって何も言えなかったわよ」って‥。



ただしそれは、資本主義社会の集約系である都市住民が抱く宿命的防衛反応なのかもしれません。翻ってこれまでのキューバでは、「お隣さんと比べてみたらやっぱりおんなじだった」という構図が成り立っていたわけで、そうであるからこそいわゆる「プライバシー」とやらを特に重視しない社会風土が醸成されたのではないかと。

しかしそんな風土はいま一気に変貌の時を迎えています。「みんな貧しいけれどみんな同じ」から、「大学教授よりもタクシードライバーの収入のほうがはるかに高い」という現実からくる、「社会を構成する普遍的価値のゆらぎ」はここキューバでもかなり顕在化しています。観光業に携われば兌換制のある通貨CUCが手にはいるのであり、現に今回宿泊した各カサ・パルティクラルで「生活の困窮感」を感じることは一切ありませんでした(いわゆる各カサのご家族は「勝ち抜け組」といえるのかもしれません)。しかしその一方で‥。

今後のキューバは「国体の維持」を大前提にしながらの改革をしていくことでしょう。しかし日本のお隣の某経済大国がその政治体制と矛盾する経済体制との「二極両立」を強引に推し進め、その弥縫策に弥縫策を積み重ねていった結果をみるに、キューバには「その後追いをしてほしくない」というのがTakemaの個人的な思いです。要は「名より実を取れ」と願いたいわけです。拝金主義に陥る前に、「タテマエとホンネ」が大手を振ってまかり通る前に、きっとやれることはあるはずです。「10歳の誕生日まで国がケーキをプレゼントする」というような細やかな施策ができる国だとすれば、革命のプライドを捨ててでも是非動いてほしいぞキューバ当局者上層部!



裏通りの細道。派手な色遣いの家々は「古くても綺麗に」という思いから。キューバ国旗を手にする子どもの姿も。

さて「フィジカル&メンタル散歩」を終えた上で宿に戻ってきました。しばし部屋でまったりしたところで「夕ごはんですよー」と声がかかったのでいざ通路上のディナーテーブルへ(たぶんリフォーム後は今のキッチン部分が夕朝食部屋になるのかなと推察)。



ここでまたも赤ワインのフルボトルを頼んだわれわれ、ではでは乾杯です(右上画像マウスオン)。さてそんなわけで夕食なのですが、これがまた美味しかった!



アボカドとキュウリ、茹でインゲンのサラダと2種類のジャガイモ、そして豚肉のロースト!(あ、そういえば最初にマンゴーも出てきたっけ=左上画像マウスオン)。それでですね、





ご主人が手にしているもの、いったい何だと思います?サツマイモ?ナス?いいえ違うのですこれは何と‥



「ええー?そんなアボカド見たことないし?」とおっしゃる方はやや楕円形のあの形状を想像していることでしょう。でもどうやらアボカドにはいろいろな種類があるらしく、たとえば南太平洋のバヌアツ共和国で食べたアボカドは真円形でしたし。でもこの形はさすがに驚愕もの!



「これは隣の敷地の木から取ってきているんですよ」とのことでしたので、翌朝階上に行って探してみることにしましょう。それよりもこのお味。自分はそんなにこだわりがないのですが(というかよくわからない)、味覚嗅覚カナリア系のおしんこどん、



というとてつもない高評価を下したのでありました(確かにクリーミーだった)。そんなわけでおしんこどん、このアボカドの種をゲット(右上画像マウスオン)。ただしこのあとそれをどうしたのかは定かではありません(謎笑)。

なお、上で書いたとおり入口付近はまだ工事中で家具や小物も仮に置かれている状態でしたが、その中に「どうやら結婚式当時のご主人と奥さま」記念写真を発見したので、こっそりとアップさせていただきます(左上画像マウスオン)。お二人ともあまりお変わりないようで(羨)。

さて食後のコーヒーを飲み終えて部屋に戻ったのは21:30。その後チビチビと赤ワインの残りを嗜んだ上で就寝サンダーライガーといたしました。

それでは最後に、この日の車載カメラ動画を冗長に編集したものをご覧いただきオシマイといたします。あ、奇特にもキューバをレンタカーで回ろうとお考えになっている方は必見ですが、それ以外の方々は飛ばし飛ばし見るのが正解です。何たって13分の動画ですし、基本的に「Takema夫婦用の記録動画」となっています(笑)。ただし、マイクが拾っているオーディオ音声は「懐かしのメロディー」を多く含みますので、そちら方面をメインにして閲覧していただくのもアリです(要はおまかせ)。



キューバの内陸地方は景色変化が乏しいです。やっぱりこの国は「人」かな。

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