- 2015/8 キューバ旅行記(19) 案外単調な道をトリニダ方面へ。マナカ・イスナガを見学 -



これでももちろん現役の鉄路です。線路が見えているということは列車が通っている証明ですから。



さてここからは約260kmの移動です。約2/3は東西を結ぶ動脈ルートを進行するわけですから道路整備はされているはず(でも景色は単調だろうな)、そんなわけで行ってみましょう!



カマグエイ市内を抜けると交通量は当然のように激減し、右上画像のような若サトウキビ街道の直進路となりました。ところどころに踏切があるので気は抜けませんが快走路です。ちなみにこの日の日記にTakemaはこう書いていました。

交通量は北海道のローカル国道レベル(夏)なのだが、時折出てくる町では60km/h制限になるだけでなく、国道上を高速車(新しい普通車)、やや高速車(クラシックカー系と速めの大型貨物車)、中速車(トラックバスや一般バス)、低速車(馬車や自転車)、さらにごくたまにだが超低速車(牛二頭立ての農業用軽車両)もいたりするので、対向車の状況によっては渋滞したりすることもあるのがおもしろいところ。



左上画像、直進路ですが踏切のマークがありますよ油断大敵。ちなみに青年がバス待ち中?

ここはどこ?という感じのフロリダ(Florida)という町を通り抜け、さらにシエゴ・デ・アビラ(Ciego de Avila)を通過してどんどんと西進。うーん、予想通りというか特に何も見るべきところもなくてちょっと退屈。



踏切の脇に広場があって、バナナを売るお店もあったのでちょっと停車してみましたが、まだバナナは最初に買ったのが少しだけ残ってるんだよなぁ。そんなわけで一服しただけでさらに先へと進みます。




左上画像、何だか中国チックな装飾が施されてますが、この造りに近いものといえば「雁木(がんぎ)」ですよね、雪国伝統の(大笑)。ちなみに右上画像のような並木道は比較的多く見かけます。並木ってポイント高いよなぁ。



右上画像で右折していくタクシーはハバナ方面へと向かうはず。ここは高速道路への分岐点です(というかハバナから来ればこのエリアで高速が終わりあとは一般道のみという感覚でしょう)。

しかしわれわれはさらに直進し、サンクティ=スピリトゥス(Sancti Spiritus)市街の手前で12号線へと左折、いざトリニダードへ!(Trinidad=実際の発音は「トリニダ(ッ」くらいなのですが便宜上「トリニダ」と記載します。)



交通量は案外に多くてさっきまで走っていた東西を結ぶ明ロードとあまり変わらない気もします。しかし明らかに農耕車の比率が増えたのも事実でありまして、サトウキビやらブタさんやらを運ぶ車を追い越していきます。





と、このあたりからお決まりのスコールくんがあちらこちらで元気印を発揮し始めたようです。このあと目指しているのは「高いところ」なので気になるなぁ。



本日の目的地が射程範囲に入ったところで右折(実はちょっと行ったり来たりしましたが)。踏切を渡ったところにある駐車場に車を止めて駐車券(右上画像)を受けとります。たぶん他の車もレンタカーだと思われます。観光地に来た感あり(笑)。とはいっても駐車場付近の車道にはニワトリがうろうろしている(右上画像マウスオン)というのんびりさは相変わらずです。さて目指すは‥





1835年に建設されたこの塔は高さ44m、19世紀前半のサトウキビプランテーション時代に、「サトウキビ関係の労働者たちが怠けないように監視する」というとんでもない理由で建てられた塔なのだそうです。ん?でも「労働者」なのか「奴隷」なのか?

ひと口に「奴隷」といっても、たとえばローマ帝国の奴隷はある程度の自由が認められた場合もあり、最近では「サラリーマンみたいなものではないか!」と日本の(自分の?)社畜的勤務と重ね合わせたりする場合もあるようです。しかし「人権もなく完全に搾取の対象として」扱われた奴隷のイメージは、もしかしたら大航海時代以降のものなのではないかという気もします。圧倒的な武器で完全に奴隷を押さえつけたその力、それらにより原住民を抹殺に追い込んだその力、そして差別意識の涵養‥。

現在のキューバが成したこととして特筆すべきは「人種差別意識が極めて少ない状態を維持してきたこと」でしょう。実際、白人であろうが黒人であろうがラテン系であろうがムラート(混血)であろうが、「みんな貧しいがみんな平等」だったかつてのキューバでは、それがまがりなりにも成立していたと思います。

しかし、東側諸国の崩壊により「なりふりかまわず国体を維持」してきた現在のキューバでは徐々に格差が生じ始めているようです。大学教授よりもタクシー運転手や観光ガイドのほうが実入りがよく、またそれと同時に「白人系のほうが黒人やムラート系よりも収入が上がりつつある」という現実もあるようです。

「奴隷」の話がとんでもない方向にいってしまいましたが(いつものこと)、「制度的には本来貧困者を生むはずのない共産主義は、同時に「社会が豊かになろうとすることにより破綻の道を歩む」ことになるのかもしれません。いや、どこか特定の国のこととして予言するわけではありませんが(何だか日本政府の公式答弁のようですな)。



木造の階段は当然急で狭いです。数えたわけではないですが上に行けば行くほど急になりけっこう息が上がります(ネット情報では136段とも)。44mの高さということは、NZクイーンズタウンのKawarauバンジーや群馬のみなかみ諏訪峡バンジーと大体同じ高さかぁ‥(バンジーと比較してどうする)。





周辺に高い構造物がないので絶景です(そりゃそうだ監視塔だったんだから)。でも、あの大雨エリアと時折遠くから聞こえる雷鳴が気になるなぁ‥ん?雷って確か「高いところを目指して落ちる」んじゃなかったっけ?

というわけで、急に怖じ気づいたTakemaは後ろ髪引かれまくりのおしんこどんに「もう降りよう」と急かしたのでありました。すまんねおしんこどん(急いで記念写真=両上画像マウスオン)。

幸いなことにあの雨雲はこちらに向かってきたわけではないようでしたし、車に戻ればとりあえず一安心だしというわけでゆっくりと餌食になりましょう‥ん?餌食って?(笑)。



実はこの塔に向かう道沿いに干してある(ように見える)白い布、これは洗濯物ではなくてすべて売り物なのです。実はここトリニダットのエリアでは「ファゴッティング」と呼ばれるレース手芸(縫い糸でレースのような模様を作りあげる)が盛んで、その昔「大学受験に失敗したら洋裁の専門学校に行く」と決めていたらしいおしんこどんが見れば、



とすぐにわかってしまったほど。ちなみに並縫いと返し縫いしか知らないTakemaは「きれいだな」としか感じませんで相変わらずごめんなさい(苦笑)。

そんなわけでおしんこどんに「気に入ったなら買いなさいよ」と言っておいたこともあり「餌食」と表現したわけです。いや、でも気に入ったものを買うんだから餌食っておかしいな、「ごゆっくりお買い物をお楽しみ下さい」という感じか(笑)。



そんなわけで8CUCのお買い物が終了いたしました(笑)。かなり気に入ったらしく鉄道駅のホーム(駐車場のすぐ脇)でも嬉しそうに手にしていましたが‥そういえばこの時を最後にこの布を見ていないことを思いだしたTakemaでもあります(秘蔵しちゃったみたい?)。



観光客は多いですがまだまだのんびりした雰囲気を残すここマナカ・イスナガをあとにして、そろそろ今宵の宿のあるトリニダへと向かいましょう。いやぁ、久々に「観光地に来ちゃった」感満載!(笑)。

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