− その3 一気に南ゴビへと快適移動! −

フラワーホテルは日系資本云々ということもあってか(まぁあるレベルというか料金以上ののホテルならどこもそうだろうとは思いますが)、部屋のTVでNHKの衛星放送が入ります。朝の連ドラを見てから出発というのも、なんともはや不思議な気分です。ま、これはモンゴルに限ったことではないけれどね(ラオスでもそうだったし)。ちなみに今回南ゴビへ飛ぶ飛行機には重量制限があり、預け荷物は1人10kgまでだと聞いていました(機内持ち込み分は別です)。んで、ホテルに荷物を預けてっと。

というわけで空港へと向かいます。これから行く南ゴビへは陸路で行くことも可能といえば可能らしいのですが、長距離バスでは所要30時間以上だとか。もちろん我々は飛行機で一気に移動です。いやぁ有難いぞツアーってもんは!(軟弱者と言われてもいいもんね=開き直り)。



空港と市内を結ぶ道にはこのような門が2つあります。

しかし、9:30には空港に着いてしまいました。国内線に乗るには早すぎかもしれんです。だってフライト時刻は11:00。せめてもう30分くらい遅く出たって十分なのに‥。というのは、どうやら定時運航があたりまえと考える日本人感覚のようでした。

このあと何度か国内線に乗りましたが、フライト当日になって時刻が変更されるのはほぼあたりまえのことらしく、それも「当日の朝聞いた予定時間が現場で勝手に変えられる」ということもよくあることなのだとか(あまつさえ時間が前倒しされることもあるらしい)。となれば、やはり「早起きは三文の得」じゃないけれど、早め早めにスタンバイしておくのはとっても重要なことなんですね。何だかまだ頭も身体もモンゴルに慣れていないもので‥。

チェックインが終わり、渡された航空券とチケット。あれま、予想していたイメージと違うような気が‥。



何だかえらく格好いいデザインのチケットだと思いませんか?

実は出発前、モンゴルの国内線に乗る予定ありということを拙掲示板上で公言?したところ、「モンゴル航空の国内線ではアントノフ24がまだ就航していますよ!」という情報をみいまんさんからいただきました。

「アントノフ24」。旧ソビエト製なのはわたしでもわかりましたが、よくよく調べてみると「1958年開発開始、1963年初就航」とあるじゃないですか!これまた調べてみると、戦後日本の誇る唯一の国産旅客機であるYS-11でさえ運用(就航)開始は1965年だとか。YSよりも古い時代に(ちゃんと?)飛び始めた旧東側諸国のローカル線用機体。いやぁ、乗ってみたいじゃあーりませんか!

しかし、今回渡されたチケットは何だかやたらに瀟洒(しょうしゃ)かつ現代的なデザイン。そしてとどめは航空会社の名前、「AERO MONGOLIA(アエロモンゴリア)」。あれま、MIAT(モンゴル航空)じゃないの?

ガイドのゾルさんに聞いてみると、このアエロモンゴリアは数年前(調べてみると2003年6月らしい)に就航を開始した民間航空会社で、ロシアと中国の近距離国際線をのぞいては基本的に国内線運航らしい。規模は違えどかつてのJASと同じような経営パターンですね。所有機体はアントノフではなくオランダのフォッカー50がメイン(または全て)だとか。ありゃまー(残念)。いや、機体そのものは全然新しいからこっちのほうがいいんだけれどね(複雑)。

ついでにいえば、今日のフライトは南ゴビ県の県都ダランザドガドへ向かうものではなく、その近郊の別の空港へと向かうようです。あとで聞いたところBulagtaiという名の空港らしいんですが、どうやらツーリストキャンプエリアへの観光客用直行便みたいですね。なお空港の正式名称はチケットにも記されてはおらず、代わりに「TOURIST CAMP, GOB」と書かれておりました。しかしこれじゃゴビのどの場所なのか全然わからないなぁ(苦笑)。さらにTakemaの日記には「ウムヌ(南ゴビ)」と書かれているし、一体どれが本当なのでしょ?

まぁそんなこんなで搭乗前にのんびり待っていると‥ん?何やら興味を惹くものがちらりと?



ごくごく普通の売店ですが、その正面に置かれた冷蔵庫の正面には?(マウスオンで拡大します)

なぜに「阪神」なのかはともかくとして、そういえば後日ガイドのゾルさんが話してくれたことを思い出します。いわく、
「以前モンゴルが社会主義を標榜していた時代、輸入物資はもっぱらソビエト製でした。民主化のあとはものすごい勢いで中国製品が流入していますが、その多くはとても品質が悪いんです。蛍光灯だってすぐ付かなくなってしまうし、云々‥。」
この冷蔵庫に描かれたイラストだけで簡単に断定するつもりは毛頭ありませんが、中国はいまだに「見かけコピー」の大帝国でもあります。中身が粗悪なほど見かけに気合いを入れて「いかにも良さそうに見せる」やり方は大好きですからねぇ。今回、数多くの商標コピーまがい製品も見ましたが、今の中国って、「羊頭を掛けて狗肉を売る」ことを諫めたお国とは思えないんだよなぁ。いや待てよ、昔からそういうことが多かったからこそこういうことわざが残ったともいえるのか。

いかん、話が変な方向に(笑)。さっさとヒコーキに乗り込みましょ。



残念、やっぱりフォッカー50だった(笑)。

機内は観光客とおぼしき人々でほぼ満席御礼状態。まぁそれはともかく、機体はいよいよウランバートル国際空港を飛び立つべく滑走路へ‥「え、え゛ぇ?」

メイン滑走路はどの飛行機も待機&着陸態勢にはなかったようなのに何とも不思議です。そりゃ確かに目的地の空港滑走路はダートだけれどさぁ。何だか不思議な気分のまま空の上の人となりました。



UB周辺では曇っていた下界も、ゴビエリアに進むにつれてほぼ快晴に。さすが砂漠エリア!

モンゴル編 動画ライブラリー(3)

「UB離陸&GOBI着陸」

ちょうど座席が車輪の真横でしたので‥何だか見ていて楽しかったのだ。

Wmv形式、853KB、33秒

約1.5時間ののち、無事南ゴビへ到着。いやぁさすがにゴビというべきか、久々に見ましたわ地平線まで続く荒涼とした大地(要はナミビア以来ってことね)。360度の視界の中に唯一見えるのは、「空港ターミナル」というべき2階建ての建物と、それに隣接したツーリストゲルキャンプのみ。あとははるか遠くに低い山並み(実際はかなり高いんですが何十kmも遠くですからねぇ)が見えているだけで、まさに広々。



この建物と飛行機を除いて、あとはなぁんにもないわけですわ。

建物の外に出ると、ここ南ゴビ観光の足となるトランスポートが待っていました。それは予想通りラクダ(そんなわけないっしょ)四輪駆動のジープ、しかも勿論それは現クライスラー社製のそれではなく、通称「ロシアンジープ」と呼ばれる「悪路の番長」でありました。



見かけはもちろん内装や機能もシンプルそのもの、実用性一点張り星一徹も脱帽系です。

ドライバーは現地在住、南ゴビの道ならまかしとけ(別に本人がおっしゃったわけじゃないけれど)のシャガさん。ガイドのゾルさんは全行程同行ですから(ひゃー何とも贅沢!でもツアーだから気兼ねというか金兼ねなし)、今日から3日間はこの4人でぐるぐる回りましょというわけです。

実はこの日の宿についてはあまり知ろうとしていなかったせいか、到着後空港のすぐ脇にツーリスト用のゲルキャンプがあるのを見て「なるほどここに泊まるのか、見る限り他にツーリストキャンプもなさそうだし」と思い込んでおりました。しかし聞いてみると今日のお泊まりはここではなく、ここから7kmほど行ったところにある別のキャンプなのだとか。なるほど、考えてみれば「空港のお隣キャンプのために送迎車が来るはずはない!」。まだモンゴル慣れしていなかったのね。しかし、この日は一気に「強制モンゴル慣れ」を強いられることになります(笑)。

「たかが7km」と思っていた自分は、空港敷地から走り出した車に乗りながら「ちょっと待て、7kmって結構あるぞぉ!」と感じずにはいられませんでした。というのも、当然ながら空港から四方に延びる道は全てダート。しかも、そもそもが砂漠地帯なのですから、その道はいわば「最初の車の通ったわだちがそのまま『道』として活用されている」といったほうがいいでしょう(ちなみにこのパターンは「全国どこでも」といった感じです)。同じような砂漠地帯を走るナミビアの道と比べるならば月とすっぽん、いや「高速道路とジャンピングロード」というべきでしょうかね。

その「道の激しさ」に追い打ちをかけるのが(笑)、かの「ロシアンジープ」。前にも書いたように「実用一点張り」、すなわち壊れない、アクシデントに強くドライバーの腕次第で自己修復可能なほどシンプルな作り。ということは、その一方で犠牲にせざるを得ないものといえば‥そう、居住性です(笑)。いやぁ、サスペンションはガチガチのガチ。日本製四駆の数倍とも思える「大地の起伏に対する感受性の豊かさ」を実体験できます(笑)。

というわけで、いきなり「舗装路あたりまえ」のUBから空路で飛んできてしまった我々にとっては、「これからの旅の厳しさ」を感じずにはおられません。だって、この時点でゾルさんからこんな「本日の予定」も聞いていたのですから(笑)。

ご、55km!しかも片道っ!いやぁどんな我慢と忍耐と修練を必要とする半日ツアーになるのやら。この時の心理を何かにたとえるとすれば、さか上がりが出来ない小学生のTakemaに先生が、

と非情な命令を下すのに似ています(いや、自分はそんなふうな気分だったんですよホント)。

そんなこんなで、激しい揺れの中(数日後同じ道を「いやぁ舗装道路みたい♪」と感じたんですが、この段階ではあくまで初心者ってことで)、とにかくここ2日間の宿となる「Tovshin Tourist Camp(トブシンツーリストキャンプ)」へ。んじゃ、ここから先は次のページにて!

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