− その9 ヨーリンアム峡谷(1)、「ゆ、雪だぁ!」 −



はるか彼方の地平線から昇る朝日。右写真がトップバナーに使った画像であるのは‥見ればわかりますね(苦笑)。

明けてご覧の通り非常にいい天気。そりゃそうだ乾燥地帯なんだから(と思っていたら何と翌日は曇り&一部で雨、だったんです)。日の出は6:45でしたっけ。ちなみにこの旅行中、この日の出時間がどんどん遅くなっていくのを実感し、何となく「秋へと向かうモンゴル」を感じましたわ。

そのあとどんどん明るくなってくると、キャンプの周辺にいくつかのゲルが目に入ってきました。実際は1kmくらい離れているんですが、ここは光学12倍デジカメに頑張ってもらいましょということで目一杯の望遠で撮ってみたのがこちら。



左画像では朝餉の煙が立ちのぼっていてほのぼの。右写真では、家畜たちがゲルの横にずらぁと休んでいるのが見えてます。

さて本日は、午前中に山中の渓谷?ヨーリンアムを訪問し、戻ってきてご飯のあとは恐竜の化石がたくさん出る(出た)というバヤンザクを往復するという行程になっています。それぞれまたもロシアンジープにゆらり揺られて何とやらというわけなんですが、ちなみにヨーリンアムへは40km*往復=80km、バヤンザクへは55km*往復=110km。午前+午後で走行距離は200km弱、もちろん全てダートですからかなりの「心と身体の準備というか覚悟」が必要なのはいうまでもなし。

昨日のモルツォグ砂丘往復でよぉくわかった、「この車のサスペンションに期待してはならない」という真実をもとに、特によく揺れる後部座席にゲルからふかふか枕を(勝手に)持ち込みました。実はこれが結果的に大正解で、「もう、全然違う〜、すごく快適♪」とはおしんこどんの弁(すみませんねTakemaは前の席だったもんで‥)。ただしこの「すごく快適」とはあくまで昨日と比較した上での相対的感想であり、たとえば同じ道を最新式のランドクルーザーなどで移動する場合の「絶対的な快適さ」とは程遠いものであることを念のため申し添えます(笑)。

というわけで、「快適走行その1、ヨーリンアム」へしゅっぱぁつ!



望遠を使わずに撮った、これが実際の風景なんですよね。

さて上の画像を見てもらえばわかるとおり、本当に真っ平らに見えるここ南ゴビ。はるか彼方にちょっとした丘陵があるくらいのように見えますが、実はこれぞ距離感覚の違いからくる魔術。

実は、上の画像ではるか奥の方に見えている「丘」ですが、そのふもとまでは約20km以上あるはずなんです。しかし、確かTakemaが同じような地形のナミビアで実測してみたところ、本当に平坦な地形ではそんなに遠くまでは見えないはずだということがわかりました。経験的には3.5km先で地平線、念のためネット上で検索してみたところ計算上では4.4kmで地平(水平)線だということなんですね(誤差はまぁ気にしないでね)。

このことから何がわかるのかといえば、まったく実に簡単なことです。

そう、手持ちの高度計によると(ただし高度補正はしていませんでしたから、最大100m前後の誤差はお許し下さい)、キャンプの標高は1550mだったのに対し、遙か向こうに見える山の裾部分にあるヨーリンアムの標高は何と2250m!実は向こうに見えていた「丘」のほうまで、少なくとも麓のあたりまででも700mくらいはとにかく緩やかにずずずいっと上り坂的に傾斜していたわけですね。だからこそそんなにも遠くまで見えていたというわけなんですが‥

急峻な地形&小さな山がち島国出身のTakema&おしんこどんからすると、あまりにも途方もない広大さです。確かに、キャンプを出発してすぐわかったのは、「真っ平らに見える場所なのに4速での定速走行はできない(回転数が落ちてしまう)」という現実でした。全部が全部坂道なんだからそりゃ理の当然というわけで、最初の頃は時折3速に落として加速、そのうちに3速でももたずに2速に落として速度を何とか維持するという状況になってきました。

さらに周辺の地形もゆっくりと、されど確実に荒々しくなってきました。



周囲の山が高くなっていくにつけ、徐々に車の周りを走り回る小さな動物の姿が目につくようになってきました。「地球の歩き方」には「このあたりにはナキウサギが生息」云々と書かれていますが、聞いてみるとただのネズミだとのこと。うーむ残念。

さらに車は奥へと進み、最後は谷沿いの峡谷を行くような感じになったところでいきなり終点に到着です。ここがヨーリンアム渓谷、ただし水はまったく流れていませんでしたけれどね。

道路のどん詰まりには、モンゴル人の家族が車の横にシートを張って屋根上にしてキャンプをしておりました(左上画像)。昨夜はさぞかし遅くまでどんちゃん騒ぎだったのか?われわれが着いたときにはまだ皆さん就寝中でした。どうやらこのあたりはこのようなキャンプ地となっているらしく、近くには別のキャンパーもいたようですし、夜の宴会のおつまみとなったのか?こんなものも落ちておりました(下画像)。



他にもいくつかあったところをみると、どうやらこの付近で解体されたとおぼしき羊か山羊の足。

さて、谷間でまだ太陽があたっていないこと、そして標高が700mほど高いこともあって、あたりはかなりひんやりとしています。いよいよ狭まってきた峡谷は、ちょうど人間一人が歩くほどのわずかな幅に狭まってきました。そんな場所を抜けると少し小広い場所に。そしてそこには!



ありゃまー、雪渓が残ってました!

ま、緯度の高さや冬の気象条件を考えれば残っていても不思議ではないんでしょうけれど。他の場所はあまりに真っ平らだから溶けちゃうのかな。さて、それではということでタッチ&雪解け水飲んじゃおうっと。



あたりまえですが雪融け水は冷たいこと限りなし。

ところでこれ、日本の高山に見られるような雪渓だと思って触ってみたら、固さが全然違います。色は白いですが実態はほぼ「氷」という感じでしたね。急峻な谷の底ですから、冬期間に相当の「圧縮」がおこなわれたということでしょうかね。

さて、「ここはこんなものかな、さぁってそろそろ来た道を戻ることになるのかな?」と思いだした頃、なぜだかドライバーのシャガさんが‥「え、どうしたの?何をしようというの?」的行動をおっぱじめました(笑)。まぁ、このページも長くなったのでその詳細は次のページにて。

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