− その10 ヨーリンアム峡谷(2)、なぜだかこんな所で崖登り −
さて、ここヨーリンアムのどん詰まりを見学後、ドライバーのシャガさんが「新たなアドベンチャータスク」を考えついたようです。「うわ、ど、どうしたのシャガさん!?」
シャガさんは壁の中程あたりに張り付いています。下にはゾルさんとおしんこどん。
続いてゾルさんが登り始めますが、われわれには「どうしますかぁ、登りますかぁ?」とおっしゃるだけ。登った先には何があるのかは全くわかりませんでしたが、かえってその方が謎めいていて面白いじゃないのさ!(笑)。というわけで4人それぞれ、わっせわっせと崖を登り始めました。
崖そのものはルンゼ状で比較的登りやすいのですが、かなり風化が進んだ岩で結構もろく、見た感じ以上には気を遣います。足がかりのあたりにある浮き砂も気になりますし。
気がつけばおしんこどんより先回りして上から撮っていたりするTakemaです(身勝手ともいう)。
Takemaはともかく、古傷が癒えていなかったおしんこどん(過去の転倒がもとで右肩がやや自由にならなかった)には「思いがけない荒行」だったそうですが、頑張って登ってきました。ご苦労さん。
さて、とりあえず登り切った場所には何があるのかといえば、小さな岩穴が一つ。ゾルさんいわく、「こういう穴は狼が越冬したりするんですよ」。でも、その痕跡はなかったなぁ。ついでにツバメの巣も見つけましたが、この時期ゆえ無論お姿はなし。ところでスープにするって、一体どの部分を?(笑)。
ピンボケでごめんなさい‥。
さて、イメージ的には「ナントカと煙は高いところに登りたがる」をそのまま実行してしまった感じのわれわれは(いや、悪い意味じゃなくて楽しかったという意味ですので誤解しないでね)、しばし周囲の風景を眺めたあと再び崖を降りました。さすがシャガさん、おしんこどんに万が一のことがないように要所要所でフォローをしてくれておりました。
さて、雪渓の広場まで戻ったところでゾルさんがひとこと。「あの上に見えるのは野生のネギですよ」。
おお、ホントだ!確かにネギだ!
となればモンゴルの野生種を是非日本に(こっそり)持ち帰って‥と願う心の叫びもありましたが、検疫上の問題もありますし、厳しい気象状況で生育している野生種を別の地で育ててもうまくいかないのが普通ですし、それに何よりも、もろい岩盤(一部オーバーハング)を登って採取する自信は全くありませんでしたっけ(大笑)。
とりあえず小岩の上に登って雄叫びを上げるのがせいぜい?(笑)。
というわけで「そろそろ移動しましょうか?」ということになってきましたが、せっかくなので少し歩いてみたいし、「来た道を少し歩いて行くので、10分後くらいにピックアップして下さい」というリクエストを出し、二人でとぼとぼと歩き出しました。
このあたりの風景はといえば何だか日本アルプスや北海道の山にも似た、常緑小灌木とむき出しの岩が特徴的です。緯度も高いし、気候的にも似たような感じなのでしょうか。となれば、ここに来る道中で見た「ネズミ」とはもしかして?
こんな感じの道を歩いていきました♪
徒歩で歩いていると、道の両側を「カサコソっ!」っと薄茶色い体毛を持った小動物が移動していきます。しかもたいそう頻繁に。その動き方はといえば、ネズミにしては微妙に緩慢、しかも見た感じではもう少し身体が太めのような‥。
いや、最初はそれでも「ネズミだというんだからネズミなんだろうなぁ、たぶんヤマネズミなんでしょ」と思っていたのですが、帰国後にいろいろ調べてみたらやっぱりナキウサギだということが判明しました。いや、まだ平原エリアの方にいたのは野ネズミだったのかもしれませんけれどね。
だってさ、この画像からはナキウサギとしか思えないでしょ?
ちなみにTakemaがナキウサギを見たのは、北海道は日高の戸蔦別岳中腹&大雪のニペソツ岳中腹の2箇所しかないのですが、でもまぁたぶん間違いないでしょ!日本では雷鳥と並び氷河期の生き残り動物とされるナキウサギ(特別天然記念物)が、ここではごくあたりまえに見られるわけですね。ふむぅ、やはり南ゴビおそるべし!
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ちなみにこのエリアでは希少種の野生ヤギがいるということでしたが、人の気配に敏感な野生種ゆえ、このエリア(前日に何組か宿泊=夜も人の気配を濃厚に発散したと思われる=宴会でどんちゃん騒ぎ?)では全く見られませんでした。まぁこれは仕方のないことでしょうね。
道ばたに放置されていた、山羊と野生ガゼルの頭骨。
さてあれこれとゆっくり歩いているうちに、早くも「お迎えの車」が到着してしまいました。せいぜい100mくらいしか歩かなかったかなぁ。途中では「鳥も食べない木の実」の試食までやってたし(危ないからやめなさいって)。
はいはぁい、ロシアンジープ到着です。山の斜面にいたのは野生じゃなくて放牧山羊でした。
このあとは往路を戻りつつ、突如として寄り道したのが「南ゴビ博物館」。まさかこんな(見事に何もない)場所にいきなりぽつねんと設置されていることにまずはびっくり。こりゃ個人旅行じゃ絶対に来られないというか、ここにヒッチハイクで来るのはほぼ不可能だよなぁ)。
ただし博物館の中は撮影しなかったので(撮影有料をケチりました)、中を見たい方は是非現地まで行って下さいね(笑)。この立地条件にしては悪くない展示だと思います。ただ、案外(以下自粛)。
博物館の外はまさに大開放感のゴビ平原です。空が広ぉい!
さ、ここからは一気に宿まで戻ります。上の画像をよぉっく見ると、真正面の地平線近くに少しだけ白いものが見えていますが、あれが我々の宿であるTovsin Camp。しかしご覧の通り、この時点で車がわだちロードから離れつつあることは確固たる事実ですね。そう、シャガさんの運転する車はなぜだかぐぐぐいっと「あらぬ方向」へ進んでいったのでありました。さてそのわけは‥お次のページにて。