− その13 バヤンザク(2) ラクダは楽じゃない −
さて前述の通り「帰る気満々?」だったTakemaでありますが(実は「これから帰ればだいたい何時くらいに宿に戻れるかな」というような皮算用までしておりました(苦笑))、これからどうするのかについて何も聞かないまま車は発進し、しばし往路を戻ったかと思ったら、あろうことかエライ急傾斜の砂メイン斜面を滑るというか落ちていくように一気に下り始めたロシアンジープ!
と、初めて聞いてみたところで、これからラクダに乗りに行く旨を思い出したのでありました。いやぁ個人旅行じゃ絶対にあり得ない展開ですな(大笑)。
車は、バヤンザクの展望台から眼下に見下ろしていたあの広大な下部平原に下り、そこからしばらく行ったところにある遊牧民ゲルに立ち寄り、シャガさんが何か聞いていたと思ったら再び発進、今度はしばらく進んだところにあるゲルキャンプ(お客の気配はほとんどなし)に向かったかと思えばちょっと手前でルートをそれ、なぁんにもない平原の端っこ、いや厳密にいえばワジ(枯れ沢)のあたりでようやくエンジンが止まり大休止となりました。
「こんなところでラクダに?」と思ったら、実は「さっきのゲルでラクダを借りるつもりが、水を飲ませに出かけていてまだ帰ってきていないのでしばらく待機」ということなのだとか。うわぁとってもアバウトで楽しいこと限りなし、でも果たしてすぐに戻ってくるのでしょうか?(謎)。
ちなみに遊牧民の家畜は完全に放し飼いというわけではありません。特に水の少ない地域では家畜たちも水分を必要としていますし、夜は狼等の襲撃もあり得ますから、ちゃんと自分たちの管理下まで戻します。家畜たちにとってもそれが日常になっていますから、結構聞き分けよく羊追いの命令を(中途半端に)聞くようになっているのではないかと思います。見た感じも従順そうでしたし、羊と山羊の混成という作戦も功を奏しているのでしょうね。
このあたり、平原の北側の一部にはご覧のような小灌木が頑張って根を生やしています。この木の名前は「ザク」。「バヤン」とは「豊か・富裕」という意味だそうで、バヤンザクとは「木がたくさんあるところ」という意味のようです。もっとも豊かだったのは昔の話らしく、遊牧民が燃料として大量に採取したため木の数は圧倒的に減ってしまったそうで(ネパールでも似たような話を聞いたことがあるなぁ)、現在この地域でザクの木を切ることは禁止されているのだとか。再び名実ともに「バヤン」に戻る日はくるのでしょうか‥。
再び先ほどのゲルまで移動すると、水場はそれほど遠い距離ではなかったのか、すでに十数頭のラクダが戻ってきていてすっかりおくつろぎモードとなっておりました。さぁって、乗るかぁ♪
フタコブラクダは中央アジア地域に生息しており、アフリカなどに住むヒトコブラクダに比べて毛が長いのが特徴。
いや一番の違いはコブの数か(笑)。ちなみに冬はコブが大きく立派だそうですが、今は夏ゆえ小さくてぷよぷよ。
裸ラクダに鞍を付けています。性格もおとなしそうです。さぁ、準備はOKみたい?
というわけで、子供たちに手綱を引いてもらい、いよいよしゅっぱぁつ!
「つぅきのぉ、さばくをぉ、はぁるぅーばるとぉ♪」。何といってもまさにほとんど何もない砂漠のど真ん中でホントにラクダに乗っているわけですから、気分は悪いわけがありません。千葉県の御宿というところには「月の砂漠記念像」なるものがありますが、あれは下はコンクリートだしすぐ横は海だし、うん、こっちの方が明らかにリアルだ(何という意味のない比較でしょ)。
しかし、「悪いわけがない」のはあくまで気分だけというべきか、実はラクダの乗り心地そのものはかなり悪いんです。彼の一歩一歩とともにお尻にずしりと衝撃が押し寄せます。特に下り坂だったりするとその衝撃パワーは倍加します(笑)。いや、最初の5分くらいはまだまだ全然気にならなかったんですが‥。そういえば、
肝心なことをゾルさんに聞き忘れておりました。しかしゾルさんもシャガさんも、われわれが戻るまではゲルでラクダの発酵乳でも飲みながら休憩しているはずですから、この場で確認することはできません。子供たちは英語を話せるかも知れませんが、まぁいい、こうなったら運をお尻の皮に任せるしかないと覚悟を決めました(何のこっちゃ)。
ふり返ればゲルがぽつねんと立っております。まだ出発して5分も経たない頃です。
さて、随分画像が多くなってしまったので、お話の途中ですが続きは次のページにて。