− その20 遊牧民のゲルにおじゃまっ!(2) −



夜が明けると‥うわぁ、雨が降ってる(残念涙)。

前夜は夕食前などにモンゴル版の双六(羊の蹄をつかった遊び、これが結構面白い!)やモンゴル紹介ビデオなどで楽しんだのですが、写真は一枚もないので割愛。しかし夕暮れ前あたりから雨が降り出し、朝になっても天候回復の気配がないのはあまりにも残念。まぁ、モンゴルの降雨量の大半(雪をのぞく)はこの時期に降るわけですからある種致し方ないかなぁ。

しかし、そうなってくると「今日という日をどうやって過ごすか」が専らの課題となってきます。しかし、さすがゾルさん。前夜のうちにわれわれの「乗馬にかける意気込みの薄さ」に気づいていたというわけか(いや確かにはこちらからも「明日雨だったら、無理にびしょ濡れ覚悟で馬に乗らなくてもいいですよ」というリクエストを出していたんですが)、すでにしっかりと対策は施されていたのでした。それは‥

というもの。馬車なら雨が降っても雨具着用と傘の併用でどしゃ降りにも少しは耐えられるはず。うん、これはやはり名案だ。というわけでもちろん二つ返事で同意して、集合時間(10:00)に小屋の方に行ってみると‥



こ、これが「馬車」?(笑)。

ま、馬が引く車であればどんな荷車でも馬車には違いないんですけれどね。いやぁこれはまたシンプルな造りだこと(笑)。しかし、クッションとしての布団をかぶせ、さらに布を敷いて出来上がった車の上に乗ってみると、こりゃぁ至極快適な乗り物であることが判明しました。しかも車輪も四輪車用のタイヤだからちゃんとクッションもあるし。何だかこの馬車に乗ってシンデレラ城に行っても許されるんじゃないか?(うそつけ)。

ついでに重要なファクターとして、馬を操る作業はなぁんも関係ないし。ぐうたらであることに慣れすぎたわれわれ日本人にはあまりにもうってつけの乗り物というべきでしょう(苦笑)!



だってさ、こんなことが許されちゃうんだよぉ!(ちなみに寝ているように見えるのだけはヤラセですが)。

ただしこんなふう(=幸せ)に思うのはわれわれ乗る側の人間だけで、馬にとってはとんだ災難だったかも知れません。なぜなら‥
馬の立場に立って比較してみましょ
通常の「乗馬」の場合にかかる負荷= 人間一人+乗馬用の鞍(軽い)
馬車を引く場合(今回)の負荷= 人間四人+重い荷車一式
馬にかかる負担があまりにも大きいことは明白です。しかし、乗馬ガイドさんは「これくらいはあたりまえのこと」と思っているのか(たぶんそうでしょう)、馬を気遣う気配は全然見せませんでしたとさ。うーん、1馬力って実はすごいんだな(妙に感動)。

というわけで、小雨降るなか馬車によるお散歩のスタートです。



そうはいっても、この2者の違いはあまりにも大きいぞ。お、左には昨日のおしんこどん馬が悠然と(笑)。

雨ゆえ乗馬目当てで来ている皆さんの多くは宿で沈殿のご様子。でもこんなふうにぽっくりぽっくり揺られて行くのもなかなかいいものです。丘に登っていくと道のオボーがあったりして、「ああ、ここもただの草原なのじゃなくて人の営みがある場所なんだな」とあらためて思わせられます。はるか遠くにはナライハの町が見えたりして、風情は満点。

どこからか、馬に乗った少年が一人で現れ、オボーの周りを回った上でまたどこかへと消えていきました。かっこいいぞ少年。で、ホースガイドの少年とゾルさんが何やらいちゃいちゃムード。何をやってるのか聞いてみたら、携帯電話の着信音を聞かせていたんだそうな。そういやTakemaはまだ着メロの設定の仕方すら知らないんだっけ(汗)。
再び馬車を走らせ歩かせ、のんびりくつろいでいると‥おっと、本日二つ目のオボーに到着。

先ほどのオボーよりこちらの方が展望がいいなぁ、それにしても方角がよくわからなくなっちゃったけれど、こりゃ帰り道は遠そうだなぁ‥と思っていたら、

と言われてかなりびっくり。何だ往復コースだと思っていたけれど、知らないうちにぐるぅーっと回ってきていたのね(右上写真で遠くに見えているのがわれわれの宿です)。わたしゃ方向感覚についてはそれなりに自信があったのですが、それはあくまで日本での話で、ここモンゴルの雄大な草原の中ではなぁんも役に立たないということにはっきり気づいた瞬間でした(笑)。

ところで今回の「重労働」を買って出てくれた(いや、強制ですが)この馬ですが、なかなかの「屁馬」でありました(笑)。いや、ダメ馬というわけでは決してありません。へたれることなくきちんと動いてくれたのは事実です。馬にもそれぞれあるらしく、「こいつはきかん坊だから」「こいつは早く走れないから」ということをホースガイドのおにいちゃんは知っています。その上でこの馬が選ばれたわけですから。

では、「屁馬」というのはどういう意味かといいますと、まさに読んで字のごとく、「屁っこき馬」であったわけです。まぁそもそも馬は草食動物ですから、消化の際にガスが生成されるのはやむを得ないことなのですが(そういや、牛のゲップに含まれるメタンガスで地球温暖化が加速するなんて話も聞いたことがあったっけ)、でもね、こいつの場合はそれだけでは説明の付かない「何か特殊事情」があった気がしてならないんです(笑)。



きみぃ、そうやって歩いている間にも屁ぇこいてたでしょ(笑)。

屁をこくのはやはり足に力を入れる登り坂の途中であることが多く、「腹に力を入れたらそりゃ出るもんは出るっしょ!」を証明するような感じでした。ホースガイドが「Chut!(チュッ!=行け、の意味)」と声をかけると、確かに足どりは速くなるのですが途端に排出ガスの量も増加します(燃費とは関係ないと思うけれど)。さらに、あくまで歩きながらの放屁ということで、これまたリズミカル
モンゴル編 動画ライブラリー(29)

「頑張るフン張る屁っこき馬さん」

「最初の方は全く無音。だって平らな場所ですからね。16秒から23秒くらいにかけて連続する音が彼の尻による屁こき歌です))

Wmv形式、836KB、27秒

臭さはといえば‥あたりまえですが草食系の臭さですね。あっさり系というべきか?でも、だからといってわざわざかぎたいものでもないです(そりゃそうだ)。

早めに宿に戻ってきたのは何とも正解で、昼食前のまったり時に本降りのどしゃ降り雨が降り出しました。乗馬で出かけた数人のグループはそれこそびしょ濡れになって帰ってきたご様子。ご愁傷様でした。

さぁて、そのどしゃ降り雨とともにいったん天候も回復?というわけで、午後は再び馬にまたがって出かけます。

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