− その23 遊牧民のゲルにおじゃまっ!(4) −

というわけで、夕食後の20:15に宿を出発。馬ではなくまさに大草原のなかを「歩いて」お母さんゲルへと向かいます。と、宿で飼っている番犬がわれわれの後をついてきました。普通遊牧民が飼っている犬は非常に警戒心が強く、むやみに近寄ると襲いかかって来るということもあるそうですが、さすがに宿の犬ですからそういうことはありません。ただ、ゾルさんによると、「この犬も、下手をすると子羊とかを襲って食べてしまうことがあるそうなので、そのままついて来させるのは良くないらしい」そうなんです。

ゾルさんが帰るように追い払いますが、犬はわれわれとの距離を空けただけでやはりとぼとぼついてきます。どうしようもないのでほぉっておくことにして先へと進むことに。ふと近くの丘に目をやると、ちょうど尾根の上あたりを馬に乗った遊牧民の人たちが移動していくのが見えました。何とも言えないきれいなシルエットになっていましたから、思わずカメラを構えて撮った写真が下の画像です。かなりズームした上での手持ち撮影でしたが、ぶれずに撮れて良かったヨカッタ。



特に右の写真が何ともいい感じ(と自画自賛)。



影も随分と長く延びてきましたが、暗くなるにはまだ1時間半くらいありますしね。

さてそういえばあの犬はどこへ行ったのだろうと後ろを見てみると‥いません。とはいえ、宿に戻って行ったにしては、まだ宿そのものが見えているにもかかわらず途中にその姿はなし。どこだろう?とあたりを見渡すと、自分たちの右手横、30mくらい離れた場所で何かを食べているみたい。ん?と思ってズームでのぞいてみると‥

何やら動物の肉を食べているのがはっきりと見てとれました。もう少し近くに寄って見たいのは山々でしたが、ゾルさんの「こういう時はものすごく気が荒くなっていますから、たとえ普段おとなしい犬であっても近寄ってはいけません」というアドバイスに従いました。死骸は‥羊なのかなぁ。

ちなみに、この宿犬がたった今この動物を襲ったのでないことは確かです。確かそのあたりにはつい直前までカラスがたむろしていましたから、今回の場合は「カラスの餌の横取り」という方が正確でしょう。しかし、何ともはや‥。

宿から25分くらい歩いたところで、いよいよお母さんのゲルに到着です!

お母さんは馬にまたがっておられました。どうやら羊や山羊の群れを追って、ちょうど戻ってきたところのようです。何といいタイミング!足の痛みも少しは引いたのでしょうか?

さて、羊たちの向こうでは、デールに着替えた(羽織った)娘さんが、すでに牛の乳搾りを始めていました。よって、まずはそちらの作業を拝見することに。



乳搾りを始める前に、子牛たちはこうやって「隔離」されるようです。座り込んじゃって‥意気消沈?

モンゴル編 動画ライブラリー(31)

「大草原ど真ん中での搾乳作業」

何だか昔NHKで「明るい農村」なる番組をやっていたことを思い出しました。娘さんも頑張りますねぇ。

Wmv形式、1.04MB、37秒

ちなみにこちらのお宅には雌牛が6頭いるそうですが、牛の乳搾りは朝と夕方(というかこの時間)との1日2回行い、1回につき1頭あたり4リットルほど搾るのだとか。ということは、

となります。でも、そのほとんどはチーズなどの加工食品になっていくのでしょうね。生乳は飲むのかしらん?(何だか飲まないような気がしますな)、と、今まさに牛乳を飲みながらタイプしているTakemaでありました(笑)。

さぁて、お次はいよいよ「山羊の乳搾り」です。まずはお母さんがお手本を見せてくれるわけですが、牛とは違って山羊の場合は、「人間に搾られるがままじっと動かない」とはいきませんから(もちろん慣れた人がやれば別でしょうが)、こうやって、一人が角を持って山羊の動きを封じ込め、その間に乳を搾るというわけですね。

というわけで、まずは「山羊ホールド」の練習っ!(ってほどでもないです。要は写真を撮りたかっただけ)。

続いては、いよいよ「慣れぬ手つきで」乳搾り開始っ!いやぁ、どこに乳があるのかもわからない有り様でしたわ。
モンゴル編 動画ライブラリー(32.33)

「まずはお母さんによる模範演技」

さすがに手慣れた手つき。たぶん間違いなくこの道数十年の大ベテランですよね!。

Wmv形式、1.04MB、37秒



「続いておしんこどん&Takemaのへっぴり搾り」

いやぁ見事に不慣れなことやってるなぁという感じです。というか、次にやる日は来るのかどうか?

Wmv形式、882KB、30秒

そんなこんなで乳搾り体験終了っ!おかあさんにお礼を申し上げ、心ばかりの品をお渡しいたしました。今回受けた恩を返す機会はそうそうないと思いますから、せめてここで少しでもお返ししておかなくちゃ。



んでもってしっかり最後に記念写真を撮らせてもらうのがわれわれの常套手段だったりします。



そろそろ暗くなり始めそう。帰る時間となりました‥。

ところで、お母さんに途中で見た羊らしき死骸の話をすると、「それはもしかしたらうちの羊かも知れない」とおっしゃり、何とわれわれの案内でその場所まで見にいくことになりました。でも、「あれぇどの辺だっけ?」とわからなくなるのはいつもの通り。何となく記憶にある地形の記憶(草原なんですけれどね)を頼りに(いや、デジカメのプレビュー画面も大活躍しましたが)あたりを探してみると‥



ありゃまーっ。

死骸を少し動かした上で、お母さんはこう呟きました(と日記には書いてある)。

すでに目はえぐり取られ(カラスにやられたんでしょうね)、かわいそうな姿になっておりました。お母さんはちょっと残念そうな表情をしながら、それでもこうおっしゃって下さったうえで、再び自分のゲルへと一人帰って行かれました。いわく、

ありがたきお言葉に、ホント、感謝するばかりです。で、実はこの翌日もまたおじゃましたんです(笑)。まさか同じゲルを4回も訪問することになるとは思ってもみなかったなぁ。



死骸はそのままに、一人帰って行かれるお母さんでした。

そんなわけで、長い一日もこれにて終了!朝、雨が降っているのを見たときには「あー、今日は何だかあまり楽しめそうにないなぁ」と思ったりもしていたのですが、あにはからんや何とも充実した一日でした!



それじゃ、おやすみなさい。

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