− その33 UBからハラホリン方面に移動 −
ゆっくり眠った翌日はいよいよカラコルム(現在名はハラホリン)へ向かうことになります。今回のモンゴル旅行では南ゴビ、テレルジ(エルステイ)、フブスグル湖と回ってきましたが、このハラホリン方面が最後の訪問となります。ま、15日間でこれだけ回るというのは実際かなり忙しいですけれどね(笑)。
出発は10:30なのでよっくり起きればいいものの、なぜだか7:00に目が覚めてNHKの衛星ニュースを見てしまい、目も覚めちゃったんだからということでシャワーを浴びて少ししたら妙に眠くなって往生しました。でもまぁ頑張って?10:00を回ったあたりで下に降りるともうちゃんとゾルさんとアーギーさん(トライバー)が待っておりました。
ほぼ定時に出発し、UB市内を走って市外に出る‥その手前で3人の家族連れ(後でわかったのだけれど、祖父母と孫でした)を乗せることに。ちなみにこのおじいちゃん、乗り込むときにはしっかりデールを着込んでいたのに、途中で見たらデールを脱いでラフな格好になり、気がつけば降りるときには上着の前もはだけて上半身半裸状態になっておりました。まぁこの日は暑かったしなぁ。
この後はすこし走ったあたりの酒屋に立ち寄り(ハイ、私がリクエストしました)、ここでチンギスビール350ml缶6本(1本720Tg)とウランバートルウォッカを買い込む。このウォッカ、250ml、アルコール37度と小さくて軽めながら、1本1000Tgとはバカ安。
ちなみにこの時点で、日本から持参した芋焼酎の残りは300mlほどになっておりました。ビールと合わせて、これでとりあえずカラコルム滞在中のお酒は何とかなるのかなぁというところです。ま、なくなっても宿で頼めばいいから問題はありませんが。
しかし実は、このとき買い込んだビールに後日異変ありでありました。実は宿に到着後ビールを冷蔵庫に冷やしておいてもらっておいたのですが(あえてビニール袋に入れて渡したのに)、知らないうちに他のお客さんに「販売」されてしまっておりました。たまたまストックが切れていたのでということなんですが‥。ま、これもモンゴルの「持ちつ持たれつ」なんだと思えば。もちろん代金は返してもらえましたしね(証明がなければ厳しいかもしれませんが)。
とにかくずぅっと続くメインロード。車が点々と見えております。
市内を出てしまえば、それこそひたすら草原をひた走る道が続きます。正直言って単調で、普段乗り物乗車中にはなかなか寝ないTakemaも再び復活してきた睡魔にダウン。ちなみにUBからカラコルムまでの道は、さすがモンゴルのメインロードということか全線舗装!ただし、全線なめらかな乗り心地とは参りませんが‥。ちなみに2005夏現在でいえば、UB−ハラホリンの中間点から先=西側はむちゃくちゃ舗装が良かったです。UB側は‥穴ぼこだらけで、「舗装路」と表現するのはあまりよろしくないかも。
で、Lunの街を通り過ぎたあたりで、アーギーさんの運転する車は突如として道を外れ、道路脇の丘の上へと上がっていきます。え、どこへどこへ?‥と思ったら、何と丘の上でランチタイムなのでございました(ちなみに上の画像は丘の上からズームして取ったものです)。
ここでゾルさんからお聞きしたのですが、実はゾルさんの勤務する旅行会社には社員食堂があり、専属のコックさんもいらしゃるのだとか。もっともそれは「社員の福利厚生」のためというよりは、「ツアーに参加するお客さんのお弁当作り」がメインなのでしょうかね。写真はありませんが、ここで食べたランチボックス、結構おいしかったです。うちの職場にも食堂、できないかなぁ(あり得ないって)。
さて、昼食場所の先あたりから路面の状況が一気に良くなりました。日本並みとまではいかなくても、NZのローカルエリア並みの舗装レベルといった感じですから、車の方も時速80-100kmペースで順調に飛ばします。うーん、これだったらオンロードバイクでもかなり楽しめるんだけれどな。
ちなみにモンゴルで見かけるバイクといえば、一部の例外を除いてはロシア製とおぼしき赤色(オレンジ?)タンクの単気筒車ばかりでした。排気量は聞いてもわからずじまいでしたが、300ccくらいなのかなぁ。とはいえ数そのものは少なかったと思うのですが、考えてみれば日本の北海道以上に冬が厳しいわけで、1年のうち数ヶ月しか使えない乗り物なんだからあまり普及しないのもなるほどということかな。
このバイクばっかりでした(ハラホリン、エルニテ・ゾーの脇にて)。
途中、なぜか道ばたで転倒しているトラックを横目にしたりしながら(何があったのかは不明)進んでいくと、車は突如メインロードを外れ、草原の中を行く未舗装路を進み始めました。実はこの日の宿はハラホリンから少し離れた(手前の)ブルドという場所にあるツーリストキャンプなのです。この道を行くのが一番近いということなのでしょう。そうか、UBを出てから5h近くたっているし、今日の目的地も近いんだなと思った‥その瞬間っ!
いやぁ、思いがけず思いがけない状況を目撃しちゃったもので、こちらの4人もえらくたまげ、いや大爆笑しましたが、むこうもかーなりぶったまげたようで(笑)、去っていくわれわれの車を何度も振り返って見ているのがわかりました。いやぁさぞかし驚いたんでしょう(大笑失礼)。あまりに急な出来事だったのでカメラを出すヒマがなかったぞ(あのね)。
さて間もなくホブドなのか?というところで、車はゲルが並んだお宅に立ち寄りました。聞けば、実は同乗していた家族の皆さんのお宅なんだとか。というわけでちょっくらおじゃまして馬乳酒タイムということに。
そんなに長い時間じゃなかったんですが、それでも馬乳酒は3杯おかわりしたTakemaでありました。
そのゲルからはほんの一投足で本日の宿となる(はずの)BAYAN GOBIツーリストキャンプへ。しかし、到着後すぐに「いやぁな予感」を二つほど感じました。1つはまぁ大したことじゃないといえばそれまでですが、大型観光バスですでに到着していた韓国人の子供たちの団体。着いた時からキャンプ内には「元気な声々」がこだましておりましたから、「こりゃ何かと騒がしい一夜になるんじゃないか?」という一抹の不安があったわけです。
しかしそのこと自体は「まぁしょうがないか」と諦められる程度のものです。問題はもう一つ、それは‥「虫」。
実はここに来る途中、バッタの群れに遭遇していました。何だかバッタが増えてきたなぁと思いだした直後、その数は一気に増し、道路上にはたくさんのバッタ、バッタ(生きているのも死んでいるのも含めて)、フロントガラスには雨あられのように?バッタが当たって砕けろ的にぶつかって来始めました(だから車の全面はバッタの体液やら身体のパーツがへばりついたりでびしゃびしゃとなり、アーギーさんはこのあと川の水で洗車してましたっけ)。うわぁ何なんだろと思ってゾルさんに聞いてみると‥。
とのことでした。いわゆる「夏から初秋にかけての風物詩」とでもいうんでしょうか。‥と、ちょっと待てよ。バッタが群れをなして移動‥、餌を求めて‥、飢饉。何だかどこかで聞いたような気がするんだけれど‥ん?もしかして?
そう、古代より中国の人々を悩ませ苦しませてきた「飛蝗(ひこう)」。夏に大発生し、収穫前の作物を徹底的に食い尽くして去っていくバッタの群れ。この蝗害が時には歴史を大きく動かしたこともあったとかいう話をどこかで読んだことがありましたっけ。そうか、「風物詩」なんて生やさしいものじゃなかったのね‥。おっと話がそれました。ここBAYAN GOBIの話だった。
キャンプの正面入口。
到着後ゲルに案内されますが、何だかゲル同士がえらく密集して建っているようで(周りがさえぎるもののない大草原だけに)何だか微妙な違和感があります。でも、ゲル内に入って一息つこうかと思ったところでふと気づきました。
ゲルの中には何匹も何匹も黒い小さな虫が動かずにおりました。死んでるのかと思ってつまんでみると‥生きている。ゾルさんにこの虫について聞いてみると‥思わぬ答えが返ってきました。
ちなみに特に悪さをする虫ではないとのことでした(しかし後日この虫が原因かとも思われる災難に遭ったTakemaでありました)が、夜になるとゲルの内側の壁から上がってきて天井まで登り、最後には下に落ちるので、寝ている顔の上に落下してくるようなこともままあるのだとか。うっはぁそりゃコワイね(苦笑)。この状況だと、夜には百〜数百匹(!)出ることもあるとのお言葉でしたが、と同時に「気が進まないのでしたらこれから他のキャンプに移動しますか」との優しい言葉をお聞きして、しばし熟考。そして結論はといえば、
まぁ別のキャンプ地でも同じ状況だったらあきらめもつくし‥ということで、再びリュックを背負って車へと移動。すまぬBAYAN GOBIツーリストキャンプ、キャンプそのものに罪はないんだけれどねぇ。
ちなみにこの3日後、全く別のキャンプ地で再びこの虫の襲撃を受けました。すごかったですわ(苦笑)。
というわけで、よりハラホリンに近いエリアにある別のツーリストキャンプに移動することになりました。ありがとね、ゾルさんアーギーさん。17:00過ぎに出発したのですが、途中反対方向から来たマイクロバスがパッシングしたと思ったら、同じ旅行社のバスでした。どうやらあちらのドイツ人ご一行様もBAYAN GOBIに向かう予定だったのですが、この虫の件について話した結果、彼らもわれわれと同じキャンプに向かうことにしたとのこと。うーむドイツの皆さん、どうしたんだろうと思ったことでしょうね。
18:00過ぎ頃に、本日の最終目的地であるMungmond(ムングモド) Tourist Campに到着。いやぁ、Bayan Gobiに比べてもヒッジョーに開放的な場所にあり気分いいわぁ!まだ新しいキャンプらしく(市内にある同名のホテルとは別です、念のため)、トイレもシャワーも食堂棟もきれいだし、んでもってほとんどお客さんがいなくて静かだし(まぁこのあとドイツ人の団体さんが来るんですが、それでも空いてる)、そして何よりも例の虫の姿は‥全くなしっ!不思議!いやぁ、絶対にこっちが正解だったわ!
これまた聞いた話によると、これらの虫は西から東に向かって移動するんだそうで、このキャンプはBayan Gobiよりも西側に位置することから「すでに通過したあと」なんだそうな。なるほど!
とっても快適なので跳んだりはねたりのおしんこどん。あ、向こうは雨が降ってますね。
さっきまではしゃいでたと思ったら、いつの間にか物思いにふけり始めたようです。
Takemaはといえば、芋焼酎とウォッカへの飽くなき戦いを試み始めました。あー幸せ。
と、早足で敷地の端から戻ってきたおしんこどんが「カメラ、カメラ貸して!」とのたまいます。何でも座っていたベンチのすぐ近くでウサギがのんびりしているのだそうな。言われるがままにカメラを渡すと喜び勇んで戻っていくおしんこどん。どれどれ、どこにいるのかこっちからも眺めてみましょ。
なるほど、あれのようですな。ちなみにTakemaの場所からは100m近く離れてます。
「たぶん逃げちゃうだろうなぁ」と思いながら眺めていましたが、どうやらかなり近くに寄っても逃げなかったようです。警戒されなかったのね、えらいエライ。
あれま、ポーズまでとってくれちゃったのねウサギくん。
モンゴル編 動画ライブラリー(47) |
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というわけで、ただの移動日なのにやたらに長くなっちゃったこのページですが、明日はいよいよ「カラコルムの遺跡」じゃない「とある場所」を目指します!とは言ってもこれがまた、滅多に行かれないすごい場所だったりするんです。