− その40 ホスタイでタヒ見学&雷雲の恩返し?の巻 − 

日本出発前の予定では、この日は一気にUBに直行し、翌日(帰国する前日)にUB市内観光ということになっていましたが、すでに市内観光は終了している(フブスグル湖に行く直前の空き時間に)というわけで、滞在中に行程が変更されたのがこの日であります。ホスタイに寄り道してUBまでの予定が「ホスタイ泊」ということになったわけですが、Takemaとしてははるかにその方が有り難かったですねぇ。特に買うものもないし(=すでに買うべきものは買った、という意味も含めて)、ロスタイムを有効利用もできたし。やはり現地旅行社が直接オペレートしていると、いろいろと融通がきいてありがたいことです。

さて前置きはこのくらいにしてハラホリン出発後に戻ります‥が!

実は帰国後、この日の画像の一部データが吹っ飛んでいたことが判明しました(悲)。今回の旅行後にはあるSDカード(512MB)のデータが呼びだせなくなる、そしてこの日の一部画像がやはり呼び出し不能という、ダブルのトラブルに見舞われたわけですが、静電気やダストの問題が大きかったのかなぁと思います。デジタル記録って、なくなるときには一気に吹っ飛ぶからコワイですねぇ。皆様もお気をつけあれ。ちなみに関係はないですが、先日購入したフラッシュメモリ(1GB)も初期不良品でした。予備メモリでヨカッタ。

というわけで、ハラホリン出発後ホスタイのキャンプ(Hustai Tourist Resort: Hustai=Hustayn)に到着直後までの画像データはすべて消失しました。まぁしょうがないんだけれどね(諦めるしかない)、というわけで、その時の日記を抜粋&一部加筆することでご紹介いたしましょ。
エルデニ・ゾーからはメインの舗装道路をそのままUB方面に進む(戻る)と思いきや、アーギーさんはなぜか草原の中を進む一筋のわだちルートを選んだ。この道はショートカットではなく(メインロードが舗装路であることを考えれば)明らかに時間のかかる回り道だが、自分たちとしてはその方が楽しいので嬉しい。途中川渡りもあった。周辺のぬかるみには「どう見てもここでスタックしたとしか思えない格闘の跡」もあったというのにありがたい。

予定ではホスタイ到着後昼食ということを聞いていたが、そもそもハラホリン出発がお昼だったので、ホスタイの食事が非常に中途半端な時間になりかねない。そこでせっかくだからモンゴル人御用達の食堂「ゴアンズ」(いわゆる普通の食堂)でとることを提案する。ゾルさん「あまり清潔じゃないですけれどいいですか」と念を押すが、そもそもそういう方がいいのだ。

結局、国道沿いのゴアンズで肉煮込み飯や焼きそばを食べる。お茶を入れても全員で3500Tg(約350円)だった。やはり値段が全然違うね。

ホスタイツーリストキャンプのゲルはトイレ&シャワー棟のすぐ近くだが、妙な臭いは全くないし、もともとこのキャンプのゲルはかなり密集していたのにわれわれのゲルが一番端っこ&裏にちょっとした広場ありということでさしたる閉塞感はない。
うーん、でもゴアンズの雰囲気とかご飯とか、たくさん撮ったんだけれどなぁ、残念。皆様もメディアの取り扱いにはご注意下さいませ(ちなみに静電気には非常に弱いというのがあの類のカードの特徴だそうです。乾燥した場所でカードを出し入れする場合は、それこそ指先をぺろっとなめて(湿らせて)から作業するくらいの方がいいのかも知れません。

ま、それはともかくとしてホスタイ到着後から再び旅行記を始めますわ。

さてホスタイ到着時にはとことん晴れ、見事に青空で暑いくらいだったのですが、しばらく休んでいるうちに南西側(南?)から「ほぉーら、俺だって黙っちゃいないもんね、このままじゃ終わらせないもんね」と言わんばかりにいやらしい雲群がやってきました。左上写真は北側方向の空を撮ったものですが、すでに日陰なのは南西側が雲だらけになったため。しかも核心部にはピカピカごろごろドンドンドン!と、昨日われわれの入浴行動をかなり妨害した雷雲が横綱然として陣取っている様子です。こりゃ夕食後のタヒ見学、無理かもしれないなぁ。

果たして夕食前から降り出した雨は、食堂に入ってしばし経ったころ‥、

外はすんごい雨となり、Myゲルまで戻るのも明らかに躊躇する状況となりました(食堂には傘も持ってきたんですけれどね)。しかしそれでも「夕暮れ近くはタヒが一番行動する時間ですから‥」ということで20:00に出発決定となり(まぁここまで来ているわけだし、しかも移動は屋根付きの車なんだしね)、少しだけ小やみになったころを見計らってとりあえずゲルへ戻り準備を始めます(とはいえカメラの電池入れ替えくらいしかしなかったような気がしますが)。

しかし気がつけば、ついさっきまであれほどの勢いで降っていた雨(草原上にいくつもの濁流が出来ていたくらい)が、20:00に近くなるころにはさささっ@やるべきことはやったんでそろそろおいとまいたしますよ、という感じで止んだではありませんか!しかもこの雷雲くん、

というような、非常に「浮き世の義理をわきまえた」いい奴だったのでありました。それは‥いや、もうおわかりでしょう?



虹だ虹だ虹だ虹だ虹だ虹だ虹だぁ!

そう、車に乗り込んでほんの少し走ったあたりからは「ほぼ半円@180度*場所によっては三重」の虹が出たのでありました。「うわわわっすごい!」と思ったTakema&おしんこどんは急いで車を停めてもらって記念写真。



しかし実はこのあたりの画像もだいぶお亡くなりになってしまっていて、この時のおしんこどん画像はありません‥。

さて、タヒです。おっとしまった危なかった、「タヒ」についての説明がまだでしたね。タヒ(Takhi)とはモンゴル原産の野生馬で、和名は「モウコノウマ」という実にわかりやすすぎる名前の種なのですが、なぜかインフォメーションでもらった英文パンフレットを読むと「19世紀末に発見され」とあります。ん?どういうこと?(「新大陸」発見と同じ発想?)いわゆるモンゴル地域の家畜馬(背が低く体型も小さい)の亜種または原種なのかな?そこまでは書いていませんが‥。

で、野生種としては一度絶滅してしまったタヒですが、種そのものは実はオランダの動物園にて飼育されていたらしく、90年代に「逆輸入」され(30頭という説もありますが、パンフレットによると「全部で84頭」とある。第一陣が30頭だったのかな?)ここホスタイで厳重な管理下のもと自然に近い形で保護養育されているというわけです。これまたパンフによると「2003年12月現在頭数は150以上にまで増えた」とありますから、まぁそれなりに順調なんでしょうね。

さてそのタヒ、いかんせん野生に近い形で養育されているわけですから柵の中にいるわけでもなし(そもそも保護区内だし)、見やすい場所にいてくれるとは限らないわけですが、いざ行ってみたら駐車場のすぐ近くにおりました。運が悪いと「双眼鏡で覗いて何とか見える」程度の時もあるのだとか(ただネットで先人の旅行記をたどる限り、結構皆さん近くで見られているようですが)。



ほら、すぐ近くにいたぁ。



ありゃま、ずっと出続けていた虹と一緒に写せちゃった(嬉)。



Takemaの撮影風景。まだビミョーに雨が降ってたんで傘を差しながらね。

モンゴル編 動画ライブラリー(52)

「タヒ@夕暮れにうろうろ」

柵もないけど給餌もない。こういう保護っていいですよね。その代わり伝染系の病気には気を配っているのだそうな。

Wmv形式、494KB、14秒

というわけでタヒの見学し宿に戻る時間です。でも実はこのあたりはタヒのみならず、実は「タルバガン」というネズミの仲間(らしい)もたくさん生息しているようなのです。地中に穴を掘って暮らしているらしいのですが(しかもいくつもの抜け穴=逃げ道を掘る「安全第一主義者」らしい)、穴から出ると二本足スタイルで周囲の安全を確認したりするので、この道中でも何匹か見ることが出来ました。で、写真も撮ったんですが上記に述べたトラブルのため全滅。ものすごく残念、動画も撮ったのに!
ちなみにタルバガンは現在捕獲禁止獣に指定されているそうです(地域によるとは思います)。それというのも、彼らの習性=二本足で立ち上がる=草原で目立つ=猟師にとって格好の獲物、ということだからだそうです。猟師の絶対数が少ない時代はそれでよかったんでしょうが‥。



そんなこんなでこの日も暮れていきますなぁ。数時間前の土砂降りは何だったんだ。

さてこれでこの日も無事終了!‥とはなりませんでした。

数ページ前、ブルドのツーリストキャンプ(バヤンゴビ)をキャンセルしたことを覚えておられるでしょうか?(このページに検索でダイレクトに来た方はとりあえずこちらね)。その時に「虫たちは東方に移動している」ということでしたから、ハラホリンのキャンプでは事なきを得た(通過後)わけです。しかし、この日のキャンプはといえば、

この場所(ハラホリンやブルドよりもさらに東部側)にあるわけです。というわけでゲル内には昼間から多くのオサムシ系黒い虫(以下「オサムシくん」で呼称統一)がゆっくりと滞在しておりました。でもね、でもね!

外が暗くなったあと、ゲルの内側壁には常時20-30匹のオサムシくんが張り付いておりました。で、彼らは動いていないように見えてもそれこそ「オサムシの歩み」で、じわりじわりと上部に向けて動いていくんです。そしてある程度頂点近くまで来たあたりでなぜだかポトリと落ちる。その「じわじわ‥ポトリ」と同じペースでまた下から新たなオサムシくんがじわりじわりとやってくる。

いやここで真実を明かせば、実は最初こそ「まぁ落ちてきたら拾えば(外に投げれば)いいや」と思っていたんです。しかし、途中からあまりの多さに「果たしてどれくらいいるのか、数を数えてみよう」という、よせばいいのに系の妙な発想を思いつき、それ以降はつまんだオサムシくんを空になった薪入れボックス(金属製ゆえオサムシくんは登ってこられない)の中に投げ入れていたわけです。

ちなみにこの時おしんこどんはもうすでに寝ておりました。ただし灯りはつけていて、要はTakema一人でやっていたわけですが、狭いゲルの中で周回しながら採集を続けているうちに、薪入れボックスの中には推定200匹くらいのオサムシくんが集団で、

と、何とかしてはい上がろうと一生懸命足を動かしている音々が聞こえてきます。この音はこれでまたいろいろに妄想をかき立てるような感じなんですよ(笑)。

で、推定数百匹を葬ったあと(ゴメンナサイ、ストーブにざざざっと流し込みましたm(_ _)m)。そしてそのまま寝ることにしたのですが‥夜中。

耳のあたりにちくちくちくり系の痛みを感じました。とにかく(本能的に)耳の辺りを払ったあと、急いで灯りをつけてみると‥払い飛ばしたと思われるあたりには、やっぱり例の‥オサムシくん。

ちなみに、Takemaだけでなくおしんこどんも同じような被害に遭っておりました。ちなみにノミとかダニとか、そういう類の接触感じゃないんですよ。結構「チクリ」系だから、たぶん間違いない、これはオサムシくんの仕業です!結局2回くらい起きて虫払いの儀式を行いました(笑)。‥しかし同胞を目の前で虐殺された?オサムシくん、ちゃんと「逆襲の手だて」を準備していやがったようですね。くっそぉ!

そして翌朝、思いもかけない「身体的窮状」がTakemaを待っておりました‥。

[戻る][次へ]