アマラプラ周辺を抜けてさらに国道を南下したあと、ザガイン方面へは国道を右折して西へと進みます。しかしこれで洪水エリアから脱したと思ったら大間違いで、最初こそアスファルトの舗装面が出ていて快適な道でしたが、次第にところどころ道路そのものが冠水状態になってきます。



こんな道ばかりならいいのですが‥マウスオンすると画像が替わります。

まぁもっともこちらの冠水は大して深くはないようで、走行には支障がありませんでした。ただ舗装の幅がそれほど広くないからか、対向に大型車がくるとちょっと緊張します。というのは、舗装がない部分の土は既に十分に水を吸ってドロドロの状態、うかつにそのエリアにタイヤを入れると脱出困難になってしまうからです。



つまりは、こんなことになってしまうわけですね。

よっしゃやっぱり動画編!(10)

「水面とほど同じ高さの道を行く」

でも何だか気持ちよかったぞ。

wmv形式、1045KB、18秒
さて、撮影禁止のインワ鉄橋を通過するといよいよザガインヒルの麓に到着です。それにしても、視界を妨げるもののないエーヤワディ(イラワジ)川のど真ん中に架かる橋が撮影禁止というのも今の時代にはちょっとアナクロな気もしますけれどねぇ。

ここからはピックアップだか何だかに乗り換えればかなり上まで登ってくれるという楽勝トランスポートがあるとかいう話だったんですが、来てみたらそんな車は一台もなし。おそらくはこの洪水騒ぎで別の場所にかり出されてしまったんでしょうか。まぁ、歩いたって登れるので問題なしです。先ほどからちょっとご機嫌が悪くなってきたわがレーベーくん(エンジンが始動しにくい&アイドリング状態になるとエンスト)の調子をみるということで、今回はイェマイ君はお留守番。レイミーさんとOMさんと3人でてくてく参道を上がります。



この門の裏側から登りの屋根付き参道がずっと続いています。

この参道には物を売る人の姿もなく、ずっとひっそりしたままでした。‥と、ここで一人だけ昼食を取っていないOMさんが遅れ始めます。「OMさん、大丈夫?しんどかったら戻っていいですよ!」と声をかけますが、彼女としてはここで戻ってはガイド失格ということでしょう、「いえいえ大丈夫です、ちゃんと上まで行きますよぉ!」「至って元気!」をアピールしてきます。くぅ、健気(笑)。

まぁそんなこんなでとりあえず頂上の一角へ。頂上のパゴダ参拝の前にすぐ脇の茶店で休憩です。OMさんがここで軽食をとり、みるみるうちに元気になっていったのは言うまでもありません。



少年よ、君の視線の先には何が見えるのだ?(というか、そこに乗っちゃダメだよ)。



それはさっきのインワ鉄橋?それともパゴダだらけの山麓?



ああ、洪水地帯を照らす太陽よ!(意味なく感動)。

さて頂上での行動開始です。しかし、なぜか一番最初に目に入ったはずの黄金パゴダの記憶はほとんどありません。今このページを作りながら「地球の歩き方」を見直していて、「そういやこんなのあったかなぁ」と何となく思い出す程度です。

続いて本堂に入ると、これまで閑散としていた周辺部とはうってかわって何だか妙に賑やかで、あれま、おばちゃんにお茶とお菓子を勧められちゃったぞ。OMさんがいうには、「これらの人たちはみな近くの村の人で、きっと何かの集まりがあったのでしょう。たぶんこのお寺の修復か何かが一段落ついたとか、そういうことじゃないでしょうか?ちなみにそういうことで集まった時などは、村の人以外でも訪問者には歓待するのが習わしです。」

うーむさすがに本物ガイド、詳しく説明してくれます。お寺のいわれとか仏様の紹介とかはともかく、そういう話はどんどん聞きたいタイプのTakemaなので何だか嬉しいぞ。
そうそう、このオンマーさんについての詳しい紹介が遅れましたね。すぐ上にも書いたように、彼女は本物ガイド、つまり政府発行の正式なライセンスを持ったガイドさんです。彼女はもちろん日本に来たことがありませんが、日本語を自学自習で勉強しており、漢字やカタカナ交じりの日本語の文章もかなり読むことが出来ますし、日本語の聞き取りや話すこともかなりできます。「やれば出来るんだなぁ」と思うと同時に、「英語力を高めるための留学」ばかりに憧れる日本の学生に彼女の爪の垢でも煎じて飲ませたくなります(笑)。ただ、微妙な言い回しになるとやはり難しいようでした。でもその理由はよくわかります。教科書的でない我々の会話における表現というのはテキストに記載されていないのですから‥。

彼女にとっては、時折現れる(今のTakemaのような)フリーの日本人旅行者にガイドとして雇ってもらって収入を得るのが一番の現金収入、でもその一方でフリーの日本人がとても少ないのが悩みの種とか。だから普段はお寺でお布施の計算等の作業をしていくばくかのお金(相当安いらしいですが)を得ているそうなのです。そしてそのお金の一部は家族の生活費にも充てられているのだとか。まぁこの辺については後のほうで書くことにしましょう。



お茶もお菓子もいただいたのだから、花をお供えしてきちんとお詣りしなきゃ。
こういう時、お数珠を出してお祈りすると地元の人たちの目が優しくなる♪



後方がたぶんマンダレーの方角だよなぁ。お寺の中なので跳んだり跳ねたりは自粛して(笑)、
「水平のポーズ」で喜びを表現するTakemaでありました。

さて、もともとの計画ではここザガインヒルで夕日を眺めることにしていたのですが、天気はまぁまぁなれど、もしここで夕日が沈むのを見届けてから出発したら、当然洪水地帯アマラプラ通過はすでに暗くなってしまっており、下手をすれば(いやまず間違いなく)マンダレーに戻れなくなりそうです。というわけで、それでも「帰りましょう」とも何も言わないレイミーさん(ある種のプロですな)に、Takemaの方から言い出しました。「夕日はいいから、そろそろマンダレーに戻りましょう」。

帰り道のアマラプラは相変わらずでした(そりゃそうだあれから3時間くらいしか経ってないし)。夕方近くなってきたので家に戻るのでしょうか、自転車を押す(漕ぐ)人の姿が目立ちますが、四輪車の立てる波が人々のロンジーやタメインを上の方まで濡らしても顔色一つ変えずに黙々と自転車を押す姿からは、何だかミャンマー人の現実受容力の強さをうかがい知ったような気がしました。




顔色を変えないどころか、下の2枚などはTakemaがレーベーの荷台から
カメラを向けるやいなや、皆さん笑顔になってくれてます。

さて、というわけで無事夕闇迫るマンダレーに戻ってきました。ちなみにこの同じ日にマンダレーヒルから夕日を見ていたというKさん(後ろの方のページで出てきます)いわく、「いやぁ、『雨期のこの時期にこんな夕日が見られるとは!』と地元の人さえ驚くほどきれいでしたよ」ということですが、まぁ何も言いますまい(苦笑)。

となると、昼間にOMさんと約束した「バガン方面のガイドとしてOMさんをどうすべきか」の結論を出さねばなりません。しかし実はもう結論は出していました。そのことをOMさんにこう伝えます。
「OMさん、実は私はお寺の由来とか仏像についての説明とかにそれほど興味がありません。ただその一方で、ここミャンマーの人たちの暮らしや考え方などにはとても興味があります。そこでそういう点を中心としたガイドとして来て下さるのなら、バガンに一緒に行きたいと思うのですがいかがでしょう?」
答えはOKでした(まぁOKを出してくれるとは思っていましたが)。続いて待遇面(ガイド料など)を含めての折衝です。これについてはこちらとしてもかなり切り詰めて料金を考えましたから、彼女としてもにこやかに満足する金額ではなかったと思いますが、実は思いのほか持参のドルが少なかったので(これは完全にTakemaの計算違い)、真面目に切り詰めるしかなかったのです。

自分は明日からマンダレーの東部に位置する高原地帯に移動し、その後またここマンダレーに戻ってくる予定なので、戻ってきたら電話(彼女の家というか、ミャンマーの一般家庭には電話がないのが普通)ではなく、直接彼女の家を再訪して家族と一緒に夕ご飯を食べることになりました。何だか不思議な話ですが実際そういうことになったのですから間違いはありません(こうすることになった理由も後日明らかになります)。というわけで住所を書いてもらい(英語とミャンマー語で=迷ったら現地の人に道を聞かなければならないのでミャンマー語表記は必須)、数日後の再開を約束して「じゃあまた、数日後に!」

そのあと再びイェマイくん&レイミーさんの3人で再びETホテルに戻ります。ホテル到着後レイミーさんが「ところで明日の予定は?」と聞いてくるので、「明日は4:45発のラーショー行き列車に乗るんだ」というと、「よしわかった、その列車に間に合う時間にまた迎えに来るよ」とのこと。そこまでは考えていなかったので「いや、それはいいよ、今日は一日走って疲れただろうし、明日もそんな時間に起きるとしたら大変でしょ?」というと、続いて発せられた彼の言葉が衝撃的でした。
「何言ってるんだ、俺たちはもう兄弟じゃないか!俺も随分いろんな外国のお客を乗せてきたけれど、あんなふうにお客とビールで乾杯したことは初めてだった。嬉しかったよ。だから明日は俺たちが駅まで送ってやる。お金なんかいらないよ、兄弟なんだから!
うわぁ、とてつもないビール効果!(笑)。自分としては、「今日一日一緒にいる人と仲良くなっておいた方がきっと楽しいはずだ」といういつものノリで「お二人もビールいかがですか?」と誘っただけだったんだけれどなぁ(もちろんそれはおごるつもりだったけれど)。まぁ思いがけず「兄弟」に昇格させていただいたようなので、ありがたく申し出をお受けしました。まぁ何はともあれ良かったヨカッタ。

ホテルでちょっとくつろいだ後は、近くの食堂でビール付きの夕食。ちょっと中華とは違うなぁと思っていたら、実はその食堂、明日行くシャン州の料理屋さんだったんですね(ただし恥ずかしながらそのことには後から気づきました)。というわけでシャワーを浴びて今日はおしまい。明日は3:30にレイミーさんたちが迎えに来るので、宿の人にもそう伝えたし、荷物もほぼ荷造り完了だし、さ、寝るぞぉ!zzz。



というわけで、明日はミャンマーのローカル線でティーボーへと向かいます。鉄ちゃん全開というところでしょうか?(笑)。

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