− その2 怒涛の山登り鉄道 −
列車が駅を出て少し走ると、進行方向には壁のようにそそり立つ山がどんどん近づいてきます。ん?なにやら山肌には白い杭のようなものがジグザグに続いてる?あれは、もしかして‥。
そう、これがこれから行く「上り坂」だったのです。
いやぁ、あまりにもわかりやすい「スイッチバック」方式の上り坂です。かつては日本でもいろいろな場所で見られたこの登り形式ですが、機関車牽引方式の列車が減り(今や貨物列車だけ?)、なおかつ動力車の登坂能力がかつてとは比較にならないほど高まった現在では、もうほとんど残っていないんじゃないかなぁ。昔は中央線とか奥羽線でも見られたんですけれどね(中央線は今でもその路盤跡が見られるし、奥羽線の旧峠駅なんかは遺物がそのまま残ってるけれど‥)。しかしまぁ日本はともかく、ここの連続スイッチバックは本当に豪快です。何しろ真正面の山にそのまま挑むのですから‥。
というわけで列車は山麓まで真っ直ぐ進んだあと、大きく右にカーブしていよいよ急坂を登り始めます。
これはすでに山の中腹あたりまで登ってきたところからの画像ですが、だいたい、この高さから登ってきた線路を撮れるということ自体がすごい?
しかしまぁ、こうなってくるとやはり文字より画像、画像よりも動画ということになるでしょう(強引な意見展開だな)。というわけで、ここからは動画と画像のミックスでお楽しみ下さい(ナローバンドの方、ホントにホントにごめんなさいm(_ _)m)。
よっしゃまずは動画編!(12-15) |
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左写真のような感じで登っていくと、まずは最初の折り返し地点に到着です。折り返しは何と全部で5箇所もありました!(各折り返し場所には右写真のような看板がそれぞれ設置されている)。ちなみにマンダレー発の列車は機関車+客車4両(+貨物車1両)の計6両編成でしたが、どうやら折り返し用引き込み線の長さの関係でこれが限界長のようでした。ちなみにこの山登り区間を終えたあとのピンウールィン駅ではしっかり増結してましたしね。
車窓から顔を出す人の向きからしてもわかるように、今度は機関車を最後尾にして逆行し始めます。ゆっくりゆっくりそろそろっと。それにしても急傾斜のこの場所にこうして線路を通す時の工事は相当に大変だっただろうと、素人ながらに思わざるを得ません。それは、最初のスイッチバック区間を終えてくねくねと山肌を登りだした時の、次の写真を見てもらえばよくわかります。
まずは左の写真。急傾斜の山肌を、まさにへばりつくように線路が通っているのがわかるでしょう。白く光って見えるのはトンネルですが、その向こうには遠くに広い大平野が見えています。あの平野から一気にここまで登ってくるにはどうしてもこの方法しかなかったのでしょうね。
続いて右の写真ですが、列車は右上の線路を登ってきてさらに右方向に進み、そのあとぐるぅっと回り込んですぐ下の線路を上方向に向かい、さらにまたぐるぅっとループ式に回り込んで、この写真を撮っている場所まで上がって来ているわけです。ミャンマーでは他の場所でもループ式の線路を見ることがありましたが(インレー湖に向かう途中)、やっぱりこっちの方が豪快ですな。
そして列車はさらに登り続けます。何たってピンウールィンまでは1000mを登るのですから、そうたやすく登り坂が終わってくれるはずはないのですから。
まだまだ続くよ動画編!(16・17) |
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さてこれらの「難所」も何とかクリアすると、傾斜はまだ登り調子ながら緩やかになり、列車も徐々にスピードを上げ始めました。窓から入りこむ風も明らかに高原のそれになり、じぇったいにマンダレーから直線距離でたかだか50kmくらいにいるとは思えないほどです。ふぅ気持ちいいっ!こりゃ4月頃の「暑季」にミャンマーを旅する人は絶対にここに来なきゃへたばりますな(インレー湖@もう少し標高が高い、でもいいけど)。
窓の外を見ると、そこには何だかどこかで見たような風景が広がっています。ん?これって、「ひまわり畑」だぁっ!
写りはショボイですが、実際は結構きれいです。
さて、高原地帯の最初の大きな町であるピンウールィンまでは3時間以上かかります(しつこいようですが、距離は70kmくらいしかないんですよ。列車の平均時速は各自で計算して下さい(笑))。山登り区間を過ぎてもまだしばらくかかるということで、乗客の皆さんの多くはしばし休憩モードに入ります(皆さん朝はとてつもなく早かったはずですしねぇ)。というわけでごめんなさい、ちょいと失礼!
皆様、思い思いに異世界へ旅行中のようです。
わたしゃこういう時は全然寝ないタチなもので、ずぅっと車窓を眺めておりました。あたりの風景はまさに高原で、ここがミャンマーとは思えないくらい(言いすぎかな?)。ひとしきり走り、あたりに妙に整然と建てられた建物群が見えてきて、「ん?こりゃ軍関係の建物か?」と思いながら眺めていると(写真は撮ってません)、列車もスピードを落とし始めました。そう、いよいよピンウールィンに到着のようです!