− その2「タウン・カラッ(ポッパ山)に登っちゃえ!」 −

さて、ヤシ酒を買いこんだ後は一路バガンを目指して‥といいたいところですが、今日はもう一ヶ所大切な寄り道場所があるのです。それは「ポッパ山」。信仰の聖地というのはもちろんですが、その独特の地形も面白そうで是非寄っておきたい場所だったりするのです。

ちなみにこのあたりはすっかり高原地帯で吹く風もさわやか、「あ〜ミャンマーの軽井沢みたいだなぁ」と気分ものんびりしてきます。そんな中、行く手に大きな山が見えてきました。

正面に見える緩やかな、何だか東北は栗駒山の山体を彷彿とさせる感じの山がポッパ山です。ちょっと紛らわしいのですが、ガイドブック等でポッパ山と書かれているのはその山麓にある岩峰「タウン・カラッ(実測標高730mくらい)」のことで、上の写真の山(標高1500mをこえる休火山)とは別物です。そうこうしているうち、小さく見えてきましたそのタウン・カラッ。

はるか遠くから空しくデジタルズームで撮った写真はともかくとして、すぐ近くに来てみるとなるほど奇異なる岩峰がにょきっとそそり立っております。こうして正面から見る限り「どこを登って行くんだぁ?」と不思議になる感じです(実際は整備された参道が付いてますのでご安心)。

ここタウン・カラッはミャンマーの民間信仰であるナッ神の聖地ということですが、このナッ神信仰は日本の神仏習合と同様仏教と融合・併存しているらしく、現世利益を施すのはナッ神、来世への功徳は仏教の担当というように住み分けが出来ているのだとか。しかも祀られている37の神々はその多くが非業の死を遂げたあとに神となったということで、何だか日本の早良親王や菅原道真みたいな方々を彷彿とさせます。いやもっといえば古事記や日本書紀、大国主命の世界かな。

しかしなぜかナッ神廟堂でのお写真は撮らずじまいでした(別に撮影禁止じゃなかったと思うんだけれど)。おそらくTakemaの興味というかキンチョーは神々とは別のもっと現実的な対象に向けられていたからでしょう。その対象とは‥そう、こやつら。



ウッキッキーっ!すきあらば食い物奪い取るかんな系のオーラが上がってます。

そう、ここには猿がいっぱい。殺生禁断だからか人間を恐れないことおびただしく、逃げないどころか隙あらばいろんなものをかすめ取られる危険性も大です。「へっ、所詮サル知恵レベルに過ぎない奴らに負けてたまるか!」と見くだしながらも「やられませんように、目を付けられませんように」とびくびくしていたTakemaでありました。何だ、レベルはサル以下だったんですね(笑)。



階段はどこまでも延々と続きやがります。

登り口からはご覧のような屋根付き階段の参道が延々と続いています。これがまた結構急なところも多くてしんどいのですが(実測したところ頂上までの標高差は120-130mくらい)、しんどいだけならまだしも、常に足元に気を付けていく必要があります。それは‥



こうしている分にはまぁかわいかったりするのですが‥(このあと左のサルに威嚇された)。

そう、このサルたちが勝手気ままに巻き散らかした大小の排泄物。ところ構わず落ちていますから(定期的に掃除はしているのでしょうが)、気を抜くと足の裏に「むにゅ〜っ」とした感触を味わうことにもなりかねません。濡れている場所もはなはだ要注意というわけです(ちなみに参道入口からは裸足で歩かねばならないことをお忘れなく)。ついでにいえば、このサルたち、参道の脇あたりにのんびりと座り込んでいるだけならいいのですが、その横を人間様が通ろうとすると歯を向いて威嚇までしてくるので、「まったくもう‥」という気分にさせられます。

それでもまぁ何とか頂上の寺院までたどり着きました(Kさんは途中でへたれて遅れてしまったみたいです)。頂上付近を吹く風はまさに高原のそれという感じでとても心地よく、天気もまぁまぁで好展望。うん、まぁ来て良かったな。というわけでお詣りのあとあたりをうろうろと。

本家ポッパ山の頂上は雲がかかっていますが、山麓の風景は何だかここがミャンマーであることを忘れてしまいそうな感じです(左写真にマウスオンすると画像が替わります)。別の方向に目を転じてみれば、こちらははるか地平線まで続く大展望。くぅ、ここでビールをプシュっ、んぐんぐ、ぷはぁっとやりたいところですが、いやいやここは聖なる場所、あきらめましょう。それより、下に降りたら飲み頃になったシンデレラ生ヤシ酒が待っているんだぁ(わくわく)。

しばし頂上にてくつろいだ後下山にかかります。さてここでOMさん、突如として「わたし、先に降りますね」と言い出します。何かと思ったら、お腹が減ったので先に降りて下の方のお店(屋台)で春雨を食べたいのだそうな。腹減りパワーのなせる技か、彼女はどどどどっと下っていってしまいました。

こちらがかなり下の方まで降りてきたあたりで、彼女がちょこねんと座っているのが見えました。お目当ての春雨はまもなく出来上がりといったところでしょうか。クリスタルアップルを売っていたので、こちらも小休止ということにいたしました。

こんなふうに写真を撮っていたところまでは良かったんですわ、OMさん春雨の味見などもさせてもらって、うんこりゃちょっと辛めだよね云々と話をしていたんですから。しかしその話が盛り上がっていたほんの一瞬の油断。ああ!

だめでした。背後から気配を殺して近寄ってきたバカザルに気づかなかった!自分が買ってすぐ脇に置いていたクリスタルアップルをくされザルに持っていかれました!く、くっそお!

でも冷静に考えれば「バカザル」という表現は適正ではないかも知れませんね。彼(彼女かも知れませんがそんなん知ったこっちゃない)はTakema及び周辺の人々の裏をかいて獲物をゲットしたのですから。バカというか間抜けだったのはどう考えてもTakemaのほうに違いありません。ああっ!(嘆息)。

もちろん「一度買ったモノは買った人のモノ」ですから露天商の方も弁償はしてくれませんし、してもらうつもりもありません。というわけでKさんが買ったモノを味見させてもらいました。むぅ、あのくされザルよ!(結構根にもつタチだったりする私です)。「許せん!くっそぉ!」と無意味に悔しがりながら再び下り始めました。

しかしこのあと、またもやこのサル軍団の「返り討ち」に遭ってしまったTakemaだったのでした(大笑)。

さらに参道の階段を下り始めます。下りの階段ですからついつい早足になるのは当然のことで、結構よそ見をしつつ軽快に下り足を進めていた次の瞬間、Takemaの足のつま先に何やら「やばい感覚」が感じ取られたのでありました。

うわっ、やってしもうた中山法華経寺!(千葉県人ならわかるネタですな)。ちょっとした油断のうちに踏み出した右足、その着地予定地点にあったのは、そう「サルの糞」。くっそぉ、足の指の間からにゅるりんとはみ出しちゃったじゃないかぁ!(半分涙声)。

というわけでバカにしていた奴らにダブル反撃をくらい、「泣きっ面に猿」というほうほうの体で?参拝を終わらせたTakemaだったのでありました。ちなみに靴預かり所の脇には足洗い場があったんですが、そこの水も何だかどよよよんとしていたっけなぁ(苦笑)。

さ、気を取り直して道路沿いの茶店で休憩。かの「シンデレラ酒」を開栓するにはちょうどいいかもという頃合いです。



さ、一汗かいた後にはこういうのが一番!

しかしここには一つの判断ミスがありました。「お昼を回っちゃうと酸っぱくなっちゃうよ」というアドバイスをもらっていたのですが今はまだお昼前。でも、このタウン・カラッまでの道中は車中にて程よく揺れに任せてシャッフルされていたわけです。そして何よりも、この山登り中、この酒瓶は日なたに停められた車の中で「温度上昇により急速醸造」されてしまっていたようなのです。

結果、味としては「ま、飲めなくはないけれど結構いっちゃってるかなぁ」という感じになっておりました。Kさんと二人で飲んでいたのですが、最後はちょっと余り気味だったものね。せめて日陰で保管しておくか、出来れば運転手さん@このあたりの茶店には顔見知り、に頼んでそっと冷蔵庫の中にでも入れておいてもらうんだったなぁとちと後悔。

さて、気を取り直して出発しましょう。まだまだ先は長いんです!目指せインレー湖!

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