− 旅行記その15 濃厚なるカスタムカバにそれぞれの初ドロン −



これですよ、これっ!

サンライズバンガローに到着後しばし、われわれが部屋でまったりしている夕ご飯前のひととき、ピーターソンさんがやってきました。そしておっしゃったことといえば‥

来た来た来たーっ!いよいよ近代製法によらない「カスタムカバ」の製作実演&試飲ならぬ本格飲用のお時間がやってきたのであります!あ、ちなみにバヌアツでは「カスタム=トラディショナル」という意味合いで使われているようですので、カスタムカバとは「古来から伝わる伝統製法によるカバ飲料」とでもご理解下さいませ。

しかし、これがまた恐ろしい製法なんですね。妙に潔癖&清潔症で、電車の吊革にもおいそれとさわれないような人にとってはびっくり仰天速攻卒倒、復活見込み当分なし!という感じなんですが、ではそのへんの所を順を追って紹介していきましょう。お食事中の人は‥ま、そのままでいいですんで、口の中のご飯を吹き出したりなさらぬように(笑)。

まずは、先ほど購入したカバ(の根っこ)の深部に入り込んでいる土を丁寧にそぎ落とします。出来上がりの液体だって土色をしていますが、泥水を飲むわけじゃないですからこれは当然の作業ですね。え、ピーターソンさんがその作業をしているのはともかくとして隣の少年は何をしているのかって?いやいや、彼がまた重要な仕事を任されているんです。

カバの根の「有効成分」は根の表面に多く含まれているのかどうなのかはわかりませんが(多分そういうこともあるのでしょう)、少なくともその成分が水溶性なのは確かなことです。だから水で洗ったりしたら貴重なその成分が水に溶け出て(流されて)しまいます。それを避けるため、この少年(オクスティンくん)は根の表皮部分に付いた土を、ココナツの繊維を使ってこそぎ落としているのです(左上画像にマウスオンするとその画像に変わります)。

というわけで綺麗になったカバ根(の細い部分)がこの左上画像です。ちなみに右上画像はといえば、次の次の手順で必要になってくる「濾し器」となる木の皮。あくまで100%天然素材を利用する点はさすがに「カスタム」ですよねぇ。



ちなみにまだ彼は子供なのでカバを飲むことは許されません。「いつかはボクも!」と心に誓っているのは間違いないでしょう。頑張れもう少しの辛抱だ?

さてここからがそれこそ「カスタム」の本領を発揮する世界となります。数ページ前で首都ポートビラにおける「カバ製造工場?」を紹介いたしました。あそこではカバ根っこをミキサーで粉砕するという、まさに「現代製法」そのものだったわけですが、さて問題です。「カスタム製法」ではいったいどうやってカバ根っこを粉砕するのでしょうか?それはまさに「確かにそりゃそうだけど‥」的な、あまりにもわかりやすく、そしてあまりにもリアルすぎる作業工程により明らかになったのであります!(笑)。




もう少しおしゃれな言い方でいえば「Chewing Kava」ですね。ただしこの言い方がおしゃれなのかどうなのかは知ったこっちゃありませんが(苦笑)。

ピーターソンさんが根っこにかぶりついたかと思うと、とにかくひたすらカバ根を粉砕すべく噛み始めます!そしてさらにかぶりついて噛み続け、とにかく噛む噛む噛む噛む、Welcome to Kava World!ちなみにカバ根っこは非常に固いので「これをやっているからこそわれわれは歯が強いんだ」とは宜なるかな。また、カバを噛んでいるときは唾を(できるだけ)出さないようにして噛むのだとか(噛んでいる間に生じた水分ごっくんも不可)。しかし、われわれ日本人にはそんなの無理でしょ(笑)。

で、とにかく噛み続けてある種のペースト状になったカバを吐き出します。この辺については「百聞は一見に如かず」系動画でご確認下さいな。



「ただいまカスタムカバ製造中!」

ほらほら、人によってはこの動画だけでかなりキビシイでしょ(笑)。

Wmv形式、2.45MB、1分09秒

というわけで「半製品」となったカバがこちらでございます。ちなみにこのようなカスタムカバは首都ポートビラに滞在する限りお目に掛かることは珍しいわけですが、実はここに来るまでに滞在していたエパウ村など「地方の村」では今でもごくあたりまえに作られているようです。あの時はお葬式の関係でなかっただけなんだとか(by かわもっちゃん)。

ちなみにこの噛みカバ製造工程ですが、「噛んでは出し、噛んでは出し」という流れではなく、ある程度口の中のモノが細かくなるとさらに新しいカバ根を口に入れ、再びモノが細かくなると新カバ根を口にして‥結局、もうこれ以上の量は噛めない!というところまで噛み続けた上で、口の中できれいに「整形」して葉の上に吐き出します。それが右上の画像なんですが、形がきれいなのでそんなにオドロオドロしい感じではありません(よね?)。

さてこのある種ヒジョーに有機的な成分(アミラーゼかいな?)の加わったであろうペーストが、このあとの作業によりいきなり「飲料」に変わるわけであります!



まずはココナツのお椀をセット!先ほどの半製品ペーストを、これまた先ほど準備しておいた樹皮に載せ、



そこに適量の水を注ぎ込みつつ、少年がこね回しながら濾していくと‥



このように、カスタムカバ水がお椀になみなみとたたえられたわけであります。

てなわけでいよいよカスタムメイドのカバが大完成!このエキスの中には多かれ少なかれ唾液なんぞも含まれているわけですが、それはここタンナ島に古くから伝わる「伝統の味」として気にしないっと!‥というのはきれいごとで、実際はかなり苦しんだんですが(笑)。だって飲み感覚の苦しさはバリウム、さらに「この液体の出自」をついつい頭の中で考えてしまうとね(笑)。しかしこれもまた慣れが解決してくれるようで、この翌日また別の場所において、当然同様の製法で作られたカバを飲むときはほとんど何の違和感もありませんでしたっけ。

前にも書いたとおり、カバは「一気に飲む」のが基本ですんで、とにかくいきますぞ!おしんこどんとともにカバタイムスタート!



Takemaの奥で笑いながら指さしているピーターソンさんは、この後予想される流れを理解なさっていたんでしょうか?

1杯目、変化なし。まぁ1杯でドロンがくることはそうそうないみたいなんでこれはまぁいいか。で、2杯目を干したあたりで何やら違和感が。ん?何だか何かが何となく‥

さてここで、今後カバを飲んでドロンしてみたい方の参考として、この時のドロン状態についてご説明申し上げときましょ。何とも懇切丁寧なTakemaサイトでございます(自画自賛)。やっぱり日記はきちんとつけておくもんですね(笑)。ただし、ドロンにはいろいろなパターンがあるようなので、必ずしも誰もが以下のような感覚になるわけではないということをご了承下さいませ。ちなみにおしんこどんドロンは‥おっと、このページの下の方で出てきます。

(以下、当時の日記からそのまま引用)
1. 視界の視野が狭くなる感覚がある。ただしお酒を飲み過ぎたときのような「世界がぐるぐる回る」というものではない。感覚的には、わざと両目を「寄り目」にしたときに見える世界に似ている気がした。
2. 唇及びその周辺がうっすらと麻痺した感じになる。ちょうど歯医者さんで麻酔注射をされた直後(例えば上の歯茎あたりに)に感じる違和感に似ている。ただしいやな感じは全くない、不思議な感覚。
3. 何となく物事に集中できそうな気がする。というか細かな感覚がきちっとしているような気がする。
4. 周りがうるさく感じるというのはドロンの典型的な感覚らしいが、自分の場合はそんなことはなかった。ただ、周りにいたのが関係者だけだったからかもしれない。
5. まっすぐ立つのは困難。ただ、以上の症状が15分もすればごく普通の状態に戻ってしまうのは不思議この上なし。

だから、こーんな感じでまったりとすごしたわけですね(右上画像、まっすぐ立てていないのが大笑いです)。

夕食の準備がととのったということで食堂へ。この日の宿泊客は自分たちだけということで、われわれだけのために簡単なコース料理が出てきます。前菜はポテトフライだったので、タンナ到着時に購入した(ぬるい)ビールのおつまみとします。ここまでは彼女も順調でした。



ちゃんとビールを飲んでましたし、このポーズも元気そのものですし‥。

しかしメインディッシュのカレー風味プレートが出てきたところで、いきなりダウンのおしんこどん!カレーの匂いに一気に「キボチワルイ」モードに突入してしまいました!



もちろんこれはヤラセ画像ではなく、おしんこどんはこの時ホントに苦しんでました。

急激に気持ち悪くなったおしんこどん、「ちょっとお手洗いに行ってくるわ」ということで、灯りを渡しました。この時はまだ「大丈夫だろうかなぁ」と簡単に考え、おしんこどんを一人で行かせたTakemaでありました。が、しばらくしてピーターソンさんいわく、

とおっしゃるではありませんか!こちらはライトがないので(おしんこどんに貸したまま)遅れながらついて行ってみると、何とおしんこどん、トイレ棟と鍵の掛かったバンガローを間違えて格闘していたというのです。後で聞くと、「何で開かないのかわからないけれどとにかく開けようと思っていた」というようなことでした。ちなみに彼女はトイレ&シャワー棟がどこにあるのかについてはすでに知っていたはずです。ということは、これもまたカバによるドロンの影響だという他はありません。

「正しいトイレ」で「キボチワルイ」状態を解消し(何があったかはあえて書きませんが)、食堂棟に戻ってきたものの、すぐに再び「キボチワルイ」ということで別棟へ。ピーターソンさんいわく「これもまたドロンの一症状」なのだとおっしゃいます。ということはある種やっぱりお酒と同じで「悪酔い」はするということなんでしょうね。ちなみに前にも書きましたが、かわもっちゃんが「カバの二日酔いはかなりキビシイ」ということをおっしゃっておりましたっけ。

というわけで、おしんこどんは夕食を摂ることもなく撃沈してバンガローで沈没と相成りました。ただしこれだけはおしんこどんに謝らねば。というのはこの日は‥

誕生日を南の島で迎えてもらう、これは夫たるTakemaとして間違った選択ではありますまい。しかも貸し切りの宿で、マネージャーのピーターソンさんも心づくしのもてなしをしてくださった、これもまた間違いではないはずです。しかし彼女は結果として「誕生日のディナーを食べることなく『キボチワルイ』まま床についた」わけで、いやはやホントにすまんすまんおしんこどん、ということで懺悔懺悔、六根清浄お山は晴天モードになったTakemaなのでありました(要はゴメンねということなんですが)。

自家発電の電源供給は21:30に落ちました。でもデジカメのバッテリーとノートPCの充電は完了できたので何より。ここでは電源の確保が何よりですからこれで安心というところです。というわけで、いよいよ明日からタンナ島の探索を始めます!
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