その他、硫黄島の見どころ

【硫黄岳六合目展望台】



こうして足を踏ん張ってないと飛ばされそう。

今なおもうもうと噴煙を上げる硫黄岳へは頂上近くまで車道がのびていますが、ビジターが行ける(進入可能)のはこの展望台までです。ここから上は火山ガスが噴き出すエリアになりますから、作業車及び専門家以外は立入禁止となります。

しかし、もともとこの道は硫黄採掘のための作業道路として作られたこともあって、道幅は極端に狭くヘアピンの連続。さらに北からの季節風が強い冬などには、それこそ車だって横倒しになりかねないくらいのものすごい風が吹きます。うちらがこの展望台に上がったときがまさにそれで、ゆっくりと走る車は大きく左右に揺れて不気味だし(ちなみに車が横倒し=崖をまっさかさまを意味します)、展望台に着いたときも「下手にドアを開けたら車が倒れるんじゃないか」と思うくらいのものすごい強風でした。ま、車種が1リッターワンボックス=車重の割に横風を受けやすい)だったというのもそう思わざるを得なかった一つの理由なのですが。

でも、ここからの展望はさすがに随一です。屋久島も、口永良部も、黒島も、とにかく全部見えます。天気がよくて風のない日にはぜひお越し下さい。

【恋人岬】

 

誰が名づけたんだろう、このネーミング。右写真にマウスオンしてみて下さい。

ここ「恋人岬」は、硫黄島の全体像を知るにあたって絶対にはずせないスポットといえるでしょう。眼下に硫黄島港及び集落を見下ろし(ちなみにここから見る硫黄島港は、変色域と正常域とのコントラストが絶妙に確かめられるスポットです。すぐ手前の「岬橋」からのほうが見やすいとも言えますが)、そして遠景としては噴煙をたなびかせる硫黄岳。いやぁいい感じ。ベンチや東屋もあるし、芝に寝転がって昼寝というのものんびり旅行者には捨てがたいですね。ただし場所柄風が強く吹きますけど。

【俊寛の涙石】



おいおい、おしんこどん、しっかり俊寛ポーズが堂にいっているよ(笑)。

この「俊寛の涙石」については現地案内板に次のような説明がありました。一部表現を改変していますが、内容的にはオリジナルとほぼ相違ないと思います。
俊寛は安元三(一一七七)年鹿谷荘にて平家討伐の陰謀が洩れて捕えられ、平康頼と共に鬼界ヶ島(硫黄島)に流された。のち、康頼らが赦免されて都に帰る折、成経が「都に帰ったら清盛入道の気色を見はからって、早く赦免されるよう極力頼んでみるから、それまで命を大切にしていて下さい」と、一人残される俊寛に語った。

俊寛はこの言葉を深く信じ、粗末な庵に帰った後も、天候の良い日は庵から北のほうへ山裾を分け入って、はるか薩摩の見えるこの大石にはい登って、「今日は迎えに来るか、明日はきっと迎えに来るぞ」と大きな期待をかけ、飽きもせず毎日のように迎えの船を待ちわびていたが、その気配は一向になく、あげくの果てはこの石にすがって泣きもだえたというこのようなことから、集落の人々はこの石を「俊寛の涙石」と呼んでいる(三島村教育委員会設置の説明板より)。

しかしこの石のある場所への指導標はなく、島の概略地図にも載せられてはいませんから(役場の方、地図の次回改訂時には載せて下さい。今回教育ビデオの撮影に来られた一行は、探し出すのに相当苦労したそうです)、見つけにくいことこの上なしです。でも、平家城へ行く道から林道穴の浜線に入ってすぐのところ(100mくらい)のところにありますから、こうやって覚えてしまえば簡単なのですけれどね。

【平家城】

 

(左)平家城から見た竹島と昭和硫黄島(昭和に入ってから噴火でできた島)
(右)平家城の園地から眺める硫黄岳。あちこちから火山ガスが噴出している(マウスオンしてね)。

フェリーみしまが硫黄島に近づく頃、島の北側に見える巨大な立方体状の岩、それが「平家城」です。その名の通り、この地に落ち延びてきた平家の残党(安徳天皇一派)が討伐軍の襲来に備えて築城したという伝説が残っています。事の真実はともかくとして、晴れていれば実に気持ちのいいところです。ビールと食べ物を持参すれば一日中ひなたぼっこしながらまったりできそうな場所でしたよ。

【大浦湾】



この写真を撮った前日の波はすごかったなぁ。

島の西側にある天然の入り江。ここを訪れた人たちは「波が全然なくて天然のプールのよう」とか書いているようですが、最初にこの場所を訪れた時は海が大荒れで、正面の岩には波しぶきがどう見ても10m以上の高さで上がっておりました。どこがプールじゃい状態でしたね。やはり北からの風&波が吹き込む冬に訪れるべき場所ではないようです。でも、波がなければ泳げそう。砂浜のほとんどないこの島においては貴重な場所なのでしょう。

【日本唯一の村営!硫黄島空港】

確かめたわけではありませんが、たぶん旅客を扱う空港としては唯一の「村営」なのでしょうね。残念ながら定期便はありませんが、運が良ければセスナの離発着が見られるかも。もっともいずれにせよ滑走路は立入禁止ですけれど。運航時以外はこの待合所も無人です。


というわけで、いよいよこの島ともお別れです。次のラストページでは、感動的な?フェリー出港をご覧下さい。