穴の浜温泉
実はこの島に行こうと決めたとき、最初に「何とかして行きたいものだなあ」と思ったのがこの穴の浜温泉でした。干潮時、幅数十m、長さ100m(それ以上?)にわたって一大露天風呂が広がるというのでは、こりゃあ万難を排して行かねばならんのではないか、そう思っていたわけです。
しかし、ネットで検索しても、この穴の浜温泉にたどり着いた人は数えるほど。しかも、「行くには行ったけれど、崩れたガレ場を下ったりヤブをかき分けたりで死ぬほど大変でした」とか、「まぁ、行ったとだけ書いておきます」と妙に思わせぶりなのか、それとも思い出したくない出来事でもあったのか、とにかく情報の少なさという点では相当のものです。
以前は「民有林林道穴の浜線」でかなり近くまでアプローチし、そこから歩道もついていたそうなのですが、いかんせん人の住まないエリアだけに行く人も少なく、おまけにその道が崩落してしまったとかで、今では島の人もほとんど足を踏み入れることはないと聞きました。行きたいのは山々、でも断念する勇気も必要というところでしょうか。
それでもという方は必ず島の方に最新情報を聞いてみるべきです。そして情報がない場合はあっさりとあきらめ、ウータンで温泉三昧なさって下さい。
総合開発センターの温泉
旅行者、それもキャンプなどで滞在費を安く上げようという人間にもとってもやさしい硫黄島。この開発センターにある温泉浴場は、非島民であっても無料で入浴することができるんです。しかも源泉は島の内陸にあり、そこからパイプで引湯しているという本物の温泉というのですからいうことはありません。毎日オープンというわけではないのですが、これはありがたい。
【利用開放時間】
読めますか?解読不能の方のために転記します。 温泉利用の皆様へ 温泉利用は、毎週月水金の午後二時〜 七時三十分迄です。 (但し、祝祭日を除きます) |
ところで、我々が島に着いたのは2001年12月24日(月)。この日は23日の天皇誕生日の振り替え休日にあたっていましたから、いわゆる「祝祭日」ということで温泉はオープンせず。翌火曜日はもともと休みだから、じゃ、水曜日の夜に入ればいいやと早合点していたのが運の尽きでした。
26日、水曜日。夕食前にひとっ風呂と決めた我々は意気揚々と開発センターへ向かいました。浴場は1Fの一番奥にあります。しかし?なぜか浴室に電気もついてないぞ。しかも脱衣場の扉を開けてもお風呂場独特の暖かみもないし、これは?と疑問に思ったのと、手前の部屋から係の女性の方が出てきたのはほぼ同時のことでした。
「あ〜すみませんね、今日はお風呂、やってないんですよぉ」
「え、だって今日って水曜日ですよね?」
「ええ、そうなんですけれど、年末だということで、今週だけ特別に昨日と明日開けて、
それで今年は終わりなんですよ。」
「えええっ、そうなんですか!では、昨日は開いていたというわけなんですか?」
「はい。すみませんが、明日は開けますから‥」
「いや、明日の船で帰っちゃうんで…」
迂闊だった。あまりにも迂闊だった。あらかじめ「月水金オープン」という情報を仕入れていただけに、日程の変更などは思いもよらず、確認すらしていなかったのだ。だ、大失敗。
というわけで、「ここだけは楽勝!」と思いこんでいた開発センターの温泉に浸かることは結局できず、背中を丸めてさびしく宿へと戻るTakema&おしんこどんなのでありました。
教訓:わかったつもりでも必ず確認。はあぁ、今思い出しても悲しい出来事でした。
お次は、「硫黄島のナイトライフ」。われわれは島の夜をどうやって過ごしていたのか編です。