− その3 今宵は静かな自炊宿でのんびり −

さて今宵の宿はご覧の通り「神滝温泉」。鳴子から鬼首に向かう途中にある、一軒だけの小さな温泉です。ちなみに、「かみたき」ではなく「みたき」と読みますので念のため。宿泊は自炊素泊まりのみという、今となってはすっかり珍しくなってしまったスタイルの旅館です。部屋にはTVもなく、隣の部屋とは襖一枚で仕切られているだけ。湯は「子宝の湯」として昔から多くの人に愛されてきたのだそうな。弱食塩泉であったまるからかな。

もともと宿は少し離れた場所にあったそうですが、昭和30年代末にこの場所に移転したそうです(約40年前のことですな)。もっともその際それまでの建物をご主人自らがそっくり移築したそうで、よってまさに風情は昔のまま。何だかタイムスリップしたような懐かしさを覚える宿です。



ピカピカの宿もいいけれど、こういう風情の宿にもまた捨てがたい魅力がありますよね。

部屋に通され、そのまま宿のお母さんとしばらくお話をさせていただきました。この地域の話、ご一家の話、建物を移築したときのエピソード等々。お話好きのお母さんで、気がつけばお菓子やらワサビのおひたしやらをいただいちゃってましたっけ。



この、何ともいえない静けさがたまりませんな。

そうそう荷物を下ろし始めたときのことです。お母さんが「ところで寝具のことですが、この後何日かキャンプされるということですよね?」と聞いてきました。聞くと、寝具使用料は料金に含まれないとのこと。そういえばこういう自炊宿ではもともと湯治用のマイ寝具を持参するのが普通だったっけ(最近は寝具付きのところも増えてはいますけれど)。というわけでもちろん「あ、寝袋を使いますから寝具は要りませんよ」と答えてお金をセーブ。よって、この日は3000円/1泊の基本料金(2005年5月現在)だけでお安く泊まることができたのでした。

さて、一段落ついたらお風呂お風呂♪。「一応男湯と女湯がありますが、今はどちらも空いてますからご夫婦一緒に入っちゃってもいいですよ」という有難きお言葉に甘え、しっかり貸し切り風呂をタンノーできたのでありました。男湯女湯とも、大きくて深めの湯船に湯がこんこんと流し込まれています。もちろん循環などというしゃらくさい機能などはついているはずもなく、ついでにいえばシャワーなどという設備もこういう場所には似合わないものです(要はないんですけれど)。あ、石鹸はありましたので念のため。



こうやってみると小さく見えますが、同時に軽く10人は入れる広さです。お湯は熱め。

夕食は、買いこんだおつまみを食べながらの静かな夜となりました。というか、メインの夕食(鳥鍋)を作るよりも前におしんこどんに睡魔が忍び寄り19:30に撃沈(笑)。Takemaは、その横で残ったつまみに手を伸ばしながら芋焼酎三岳をちびちびと。暖房するほどではないとしても少しずつ涼しくなってきた部屋の中ではお湯割りが最適でした。明日はどこをどうやって回るか、綿密に計画を立てたのでした。とはいってもこっちも21:30頃には寝ちゃったかな。前日ほとんど寝ていなかったので、実に健康的な夜でありました。

そして朝。障子を開けると‥今日もいい天気!いちいち炊事場でパンを焼いて部屋まで運んだりするのも面倒なので、キャンプ用の椅子とミニテーブルを部屋の前の庭に引っぱり出して、「おそとで朝食」としちゃいました。ちなみにこの宿の宿泊者にもいろんな人がいるようで、中にはキャンピングカーで到着し、寝るのはもちろん室内だけど炊事や食事は車でやっちゃうという人もいるのだそうな。



何だか「縁側の朝食」といった感じですね。パンも美味しく焼けました。

というわけで野湯訪問2日目開始です!まず最初に訪れたのは‥山ん中のあの湯でした!

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