− その7 大間で海鮮お昼ご飯と下風呂龍神祭り −



灯台の奥には北海道の大地が。距離は20kmもないんだったっけ。

さて、下北半島に来たのは二人とも初めてですから、やはり本州最北端の地には是非とも足を踏み入れればと思っていたわけですが、この時の心理的および生理的な最大の目的は何とも現実的な「お昼ご飯たーべよっ!」というところにありました。何せ食堂そのものの数がぐっと少ないこのエリアですからね。というわけでまずは記念写真。

ハイ、記念写真オシマイ!というわけで、すぐ目の前の食堂に飛び込みます(実はどっちに入るか悩んだ)。海の幸系の定食、値段はやっぱりそれなりといえるかも知れませんが‥実際頼んでみるとボリュームもなかなかですししかも具材もかなりなかなか!前日の昼に食べたむつ市内のお寿司屋さん、すっかり印象が薄くなってしまいました。ましてや関東近辺の「漁港直送!」を謳う食堂さんは草葉の陰から見守らなくたって全然構わないよ的レベルでした!そう、大間の昼飯、いいっ!

どんぶりのほうは写真ではわかりませんが具がたっぷり深く載せられています。海老頭の左側にちょこんと見えているのはアワビですが、「やっぱりアワビの量は少ないよなぁ」と思っていたら、まぐろやタコの下にどどどんとお隠れになっておりました(笑)。ウニもかなりの量。定食のほうには共通メニューとしてサンマの煮付けがのっていたのですが、これがおしんこどんの心の琴線に痛く響いた様子。食べ終わってからもことあるごとに「いやぁさっきのサンマは美味しかったわぁ」としみじみ呟いておりました。

というわけでお昼ご飯大満足の後は‥おっと、下風呂漁港に急がなきゃ!龍神祭りが始まっちゃう!

漁港に戻ったのはほぼ13:00ちょうどでした。しかし我々の到着と、何やら太鼓の音を響かせながら満艦飾の漁船が出航していくのとはほぼ同時。ん?もしかして?そう、あれがお坊さんを乗せたメイン船(御座船)でした。どうやらお祭りの進行は自分たちが思っていたよりも早かったようなのです。おそらくは13:00=出航時刻、一連の儀式や行列はそれより前ということだったのでしょうね。うぅむちょっと残念、しまったぞ。

まいどぉ!ここで動画です(3)。

「お伴船の出航です」


いやぁ何だか勇ましい出航風景でした。

Wmv形式、822KB、24秒

そうこうしているうちにも大漁旗や日章旗、旭日旗などで飾り付けられた漁船(ほとんどがイカ釣り船)がどんどん沖へと出て行きます。そう、この港をベースとする漁船の多くがお伴をするのです。となればということで、せっかくですから埠頭の一番先っぽまで船団を見に行きました。



天気晴朗なれど波はちょっとあるのか?いや、漁師さんにとってはこのくらい「凪」の範疇なのでしょうね。



沖の方では船団を作った漁船が。時に入り乱れるのには理由があります。

さて、この埠頭の先には他にも何人かの地元の方がいらっしゃいました。元学校の先生だとおっしゃる(「日本一周も3回やったよ」というすごい方でした)70半ば過ぎの方にこの龍神祭りについてのお話を伺うことができましたので、その内容については以下に記載しておきます(メモしたわけじゃないから間違いがあったらごめんなさい)。
* このお祭りはずっと昔から毎年8月27日に行われているもので、漁によって命を失った魚貝類への供養のために行われたものらしい。もちろんそこに海上での安全祈願等が含まれる。
* 参加する漁船それぞれの長がくじを引き、どの船にお坊さんを乗せるかを決める。なお、御座船になるということは非常に名誉なことであると同時に、その船にはその後1年間の大漁が約束されるというわけで、名実ともにこのくじ引きは非常に重要なものであるらしい。
* 今年は約20隻ほどが参加したが、昔は船の数ももっと多く、40隻くらい沖に出るのが普通であったらしい。
* お坊様を乗せた船を先頭にして(決して御座船を抜いてはいけない)、漁港から大間側、そして大畑側それぞれに向かい、それぞれの(境界の)場所でお坊様が供養の経を唱え、お祓いの御札(?)を海に沈めるということだ。御札には重りがつけてある。
* 港の正面沖まで戻ってきたところでも同じようにお祓いをし、そこから御座船は3回周辺を回った上で港に戻ってくる(すべての伴船が回るわけではない)。陸に上がった後はみんなで厄落としの宴会となる。
* この祭りは以前は女人禁制で、船に乗り込むことは出来なかった。ただし現在はそのような禁制もなくなり、女性でも子供でも乗り込んで構わない。ちなみに集落の裏山の頂上にも祠があるが、そこも以前は女人禁制であった。
* 船の沖出しは海が危険なほど荒れない限りは行われることになっているが、不思議なことにこの8/27という日は海が荒れるというのは非常に少なく、(先生が)覚えておられる限りほとんどないということだ。
* この日は供養の日ということで一切の漁作業は行わない。
なるほどぉ、いやぁ勉強になりました!そういえば龍神様といえば水の神様ですし(‥そうだったよなぁ)、魚たちへの供養を前提にした宗教的共存が昔から行われていたというのも非常によくわかりました(ちなみに自分たちはこの日の朝宿の方に「あのぉ、今日のイカ釣り船に乗りたいんですけれど‥」と申し出たら、「いや、今日だけは船が出ないんですよ」とやんわり断られたっけ。こういうわけだったのね)。

さて、こんなお話を聞いているうちに、沖に出ていた船が徐々に戻ってきました。



いやぁ何だかやっぱり海に生きる人たちは格好いい♪

まいどぉ!ここで動画です(4)。

「先頭の御座船がいざ帰還!」

くじで決まる御座船なのでしょうが、なんでもこちらは「3年連続の栄誉」を勝ち得たそうです。ちなみにこんな場所で眺めておりました。

Wmv形式、524KB、15秒

それにしても、船が沖に出てから帰ってくるまでの間(約1時間半)、見物していたのはこの元先生と、若い頃は外洋船にずっと乗っていた方と(どちらも70半ばの方でした)あともう一人(少し離れた場所にいたのでお話はしませんでした)、そして我々2人の計5人だけ。出港時にも観光客らしき姿はなかったなぁ。もう少し観光客にアピールしてもよいのでは?と思うと同時に、そうじゃない地元の方のみのお祭りだからこそいいのかもと思ったりして、何だかいろいろな意味で得をした気分です。

なお、この元先生が余談としておっしゃるには、「自分や彼(横にいた外洋船乗りの方)などには定年があるけれど、漁師をやっている限りは80を越えたって現役だからね。自分も学校を定年退職してからは旅行などもしたけれど、最近はもっぱらこの埠頭の上で夕日を眺めながら釣りをするのが日課なんだよ。この埠頭の先から眺める夕日は本当に最高なんだ‥。」

これから下風呂温泉を訪れようと思っていらっしゃる方、夕方近くに港の埠頭の一番先(海に向かって右側の埠頭です)にて釣り糸を垂らしている男性の姿を見つけたら‥それがこの元先生なのかも知れません(勝手に書いて怒られないかな(笑))。



埠頭の先から戻ってきたところでちょっと記念撮影っと。

さて、気がつけば午後3時を回ってしまっています。このまま薬研に向かってもいいんですが、実はちょっと事情がありまして、ここ下風呂でもうひとっ風呂浴びていかなきゃもったいないんです!それはこちらの「3玉」のおかげなんですね。

さぁってこれは何かといえば、何かと楽しみいっぱい下風呂温泉で宿泊者限定にて発売されている「下風呂温泉手形」。800円にて旅館12軒、公衆浴場2軒(大湯&新湯)のうち3つに入れるというものなんですね。ちなみに大湯も新湯も入浴料は300円ですから、3回入るだけで100円お得というわけです。旅館によっては入浴料がもう少し高い場合もあるかも知れませんし(未確認)、記念としてもいいですよね。

ちなみに有効期間は発売から6ヶ月で、他に烏賊姿とペン立てバージョンがあります(ちなみにこの青森ヒババージョンの場合、ホルダーの裏側に発売日のハンコが押されています。使用後はお風呂に浮かべるとヒバの香りを楽しめるという特典?付きです)。

実は、昨日から今日にかけて新湯・大湯と入ったくせに、おしんこどんの勧めにもかかわらずこの手形を買うのを渋ったTakemaでありました。しかしチェックアウト時に「宿泊者しか購入できないんで‥」とまるほん旅館の方から軽いプッシュをうけ、「や、やっぱり買おっ!」と、あっさり心変わりしたTakemaなのでありました。んでもってこの段階でまだ未使用。となれば、とりあえずはここで入らなきゃ!(それでも1回分余っちゃうんですが、まぁあとは記念としてもね)。

というわけで宿をいくつかうろうろしたんですが、さすがに土曜日の夕方=宿泊のお客さんを優先したいということか、結構「ただ今手形入浴不可」の宿が多いんですね。これはちょっと残念な気もします(お客さんが多い日に受けいれてこそ温泉街全体のアナウンス効果も高いと思うんですが‥)。でもまぁ全ての宿でそうというわけではなく、新湯の真ん前にある「つぼた旅館」さんへ。

場所柄当然といえば当然の新湯系の湯を引いているお湯ですが、こちらの湯は薄白濁でした。湯船も深くてかなり気持ちがよく、こちらもなかなかよい湯ですねぇ‥としみじみした瞬間です!思わず大笑いしてしまったのは!

必要以上の湯花流入を防ぐため、源泉流入口に何らかのフィルター仕掛けをしてあるのはそう珍しいことでもありません。でもまさか、たまった湯花がこんな形状になることって‥あるんですねぇ(しみじみ笑)。というわけで、上の画像に是非マウスオンしてください。たぶんこれをご覧のあなたの口元も自然とほころんでくるはずでしょう!



つぼたやさん、心身共に楽しい入浴をありがとう!

さて太陽もだいぶ傾きの度合いを増してきた頃、いよいよ薬研のキャンプ場へと向かいます。とはいえ30分もあれば着いちゃうし、大畑で買い出しをすることを考えても焦ることはないよなぁと思っていたとき、ふと右手に「これは?」と気になる構造物を目にしました。急停車。



これって、どう見ても大間線のループ橋ですよね?ループの下は倉庫になってました。

結局大畑から先に伸びることもなかったこの大間鉄道。国道の真横にあたりまえのようにこんなものが残置されたままはなんともはや。あ、でも嬉しいんですけれどね。ところでふと思ったんですが、国鉄末期から地方のローカル線はどんどん廃止されていきましたが、万が一日本が戦争に負けなかったら、これらの路線には今も列車が走っていたのでしょうか?(反実仮想)。

さ、現実にすぐ戻った後は大畑にて買い出し(あれま秋刀魚買っちゃった)、いざ薬研のキャンプ場へと向かいます。

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