− その11 びしょ濡れ薮こぎの先にあったアツアツ湯小屋 「もう一つの二庄内温泉」 −
明けて翌朝、客舎の炊事場にてのんびり朝ご飯のトーストなどを焼き始めていた頃、何と突然土砂降りの雨に!くわぁぁ何てこったい!今日は朝一番で「もう一つの二庄内温泉」探索予定なのに!
TVの天気予報を見ていると「(全国版)今日はほぼ全国的に良い天気に恵まれるでしょう。」「(青森版)県内は太平洋側を中心に晴れますが、津軽地方は気圧の谷が通過しますので曇りで、ところによって雷雨となる見込みです。」
そうこうしているうちに、くっそぉ大当たりだよ天気予報、雷まで鳴り出しちゃいました。こうなると気持ちの芯から「はんにゃはらみた‥」と力が抜けていきますが、それでも車に荷物を積み始める頃には多少小やみになってきました。「気圧の谷は停滞じゃなくて通過するって言ってたし、もしかしてもうすぐ通過終了ということなのかしらん?」
そうなることを期待しつつ出発です。本日最初の目的地は山の中にひっそり佇む湯小屋、林道をどんどん進んだ先にあるということです。実は一度途中まで入った道なので入口がどこなのかは地図なんか見なくてもわかってます。ちなみにわれらが野湯探索車フォレスター号にはカーナビなどという文明の利器は付いておりません。あくまでアナログ探索一本!(‥でも最近「あったらいいのかもなぁ」と思うようになってきたのも事実だったりします(笑))。
し、しかぁし!いよいよ林道の入口まで来てみると、そこにはアナログでもデジタルでもいかんともしがたい「どうしようもない現実」が待っておりました!国道から林道に入ってたった10数mの先に!
ええっ?、う、う゛っそぉ!
やられたぁ!どうやら先の方で土砂崩れだか崩落が起こっているらしく、奥には入れませんっ!ありゃまぁこりゃ残念‥と思いつつ車を方向転換させます。しかしそんなにとことん困るわけでもありません。ふっふふ、「迂回路」を行けばいいのさ♪(そんな表示はありませんけどね)。
それからしばらくの後、ダムを見下ろす展望台に立つTakemaの姿がありました。このころには何とか雨もやみ、いやぁよかったヨカッタ。
ダム内に湯が出ていないかを真剣に探すTakema。って、出てないっしょ!
ダムサイトの標識、なぜ丸い穴があいてるの?となればこういう写真を撮りたくなるのは必定。
さぁ再び目的地を探します。ここからは漠然とした知識しか持っていないのですが、運良くダムの管理関係者さんの車が通りかかり、ほぼ場所を特定することが出来ました。あと、自分の知らなかった別の湯(個人所有)の情報も‥。
しかしここからの道路はかなり傾斜が急&荒れていて、道そのものがえぐれている場所もあります。FFの乗用車などだとかなり厳しそうです。おまけに枝林道は刈り払いがなされておらず草が伸び放題のところに先ほどの大雨、草木は雨の重みで思い切り道路側に被さってきています。まぁ道は道なのですが、車の塗装面をいたわる人には絶対お勧めできません(笑)。
まいどぉ!ここで動画です(4)。 |
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さて寄り道の後は今度こそ所期の目的湯を目指します。車を止め、ここからは歩きとなります。が、しかし、その先の「歩道」を見ると「行きたいんだけれど行きたくない」という葛藤というか矛盾というか、フロイトならこんな気持ちを何て表現するんだろう的疑問がフツフツとわき上がってきました。
だって、雨の直後の薮こぎ必至なんだもん。
これまた全く刈り払いされていない道は、もはや道の体をなしていません。しかももと歩道に覆い被さっている草木の一本一本、茎や葉の一本一枚それぞれが「ほぉら、ボクたちシャワーを浴びたばっかりだからびしょびしょなのさ♪」といわんばかりにたっぷり水分を含んでいます。さっきはフォレスターくんに泣いてもらったけれど、今度はTakemaの番ってことかぁ?(半涙)。
この「歩道」を見たおしんこどんはここから先に進入することを断念しました(賢明)。Takemaは損得根性(せっかくここまで来たのに‥)から行くことは決心したのですが、その一方で、今回この場所のために準備してきた「温泉備品」までびしょぬれ薮こぎルートに持ち込むほどの決心はつきません。ちなみにこの時の「温泉備品」というのは以下の通り。
1.携帯湯船 | 湯船に浸かれないほどの熱さということは、湯を別のものに貯めかえて入るのが一番でしょということで準備。しかし今年のGW、鳴子エリアの某野湯では子供用のビニールプールを使おうとしたが、お湯でビニールがふにゃふにゃモードになり湯を貯められず大失敗。よって今回は全く別のものを持参していたわけです。 |
2.バケツ | 当然湯を汲み出すためのもの。しかし、薮こぎ時にそんなもんを持っていたらじゃまなことおびただしいですよね。 |
3.水タンク | 熱けりゃ水でさませばいいわけですがその水がない‥というわけで、10リットルのポリタンを準備。しかし、ただ普通の水を加水するのもちょっと何だしというわけで、この時ポリタンに入れていたのは「奥薬研温泉隠しカッパの湯」の源泉でした。しかし、10kg重量のタンクですからねぇ‥ |
というわけで、こしゃくかつ魅惑的な小道具君たちにはお留守番を命じ、ここからは単身でびしょびしょ薮に立ち向かうことにいたしました!うーむわれながら立派!(おバカともいいますな)。ただし、びしょびしょヤブに立ち向かう格好はといえば「短パンにビーサン」というものすごくラフないでたちだったんですけれどね(笑)。
さて、ここでTakemaは妙な発想を抱いたことによって失敗を犯すことになります。それは「この薮道の先に湯があることはまず間違いないだろう。でも、その途中がどれくらいしんどいかはまだわからない。ということは、一度この格好で偵察してみた方がいいんじゃないか?」というものでした。そのため、なぜだかタオルすら持たず、手ぶらで薮道に突入したわけです。ではその様子はといえば‥
まいどぉ!ここで動画です(5)。 |
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しかし、賢明な皆様ならもうおわかりでしょう。「偵察」とはその目的地到着後に出発点まで戻り、そして再び同じ場所を目指す、その初期行動に他なりません。しかも偵察の往路終点は当然温泉。温泉を目の前にしながらタオルを取りに一旦戻るなどというのはあまりにもバカらしい発想です。あの時自分がどうしてこのような発想をしてしまったのか、いまだに謎です(笑)。
まぁ、この道を往復するだけで身体中(服も含めて)びしょぬれになってしまったわけですから、結果的にはタオルなんてあろうとなかろうと問題はなかったんですけれどね(大笑)。
さあ、そんなこんなでやっと目的地に到着です!
しかし予想通りというべきか、目的の湯小屋はすっかり薮に覆われておりました。入口付近にも樹木(草じゃない)がかぶさっていて、ここしばらくは訪れる人もなかったのでは?と思わせられます。枝を押しのけたり折ったりして、何とか右上写真の扉を開閉可能な状態にまで整備します。幸いなことに(というか不思議なことに)湯小屋はコンクリ造り、扉も木製ではなくサッシですから、じゃまなものをどけてしまえば開閉そのものは特に問題なし。スムーズに開けられました。
ドアを開けてみると‥いきなりむわっとする熱気。そりゃ当然の話で、中には湯気抜きの窓もあるとはいえ、常に温泉が出ているわけですからねぇ。その「たまりにたまった熱気」が少し落ちついた頃、ようやく内部に入ります(メガネが曇ってしまったので待つしかなかったんです)。
内部は不思議なことに男女別に分けられており、それぞれ脱衣場まで作られています(もっとも、ずっと放置されたままなのですからそれなりに荒れてはいますが)。
内部は左右対称になっており、それぞれの湯船は下でつながっています。
さて肝心の湯はといえば、無色透明の湯がたっぷり満たされていてすばらしい。しかも湯の表面に浮遊物(蛇の抜け殻とか(笑))は全くなく、きれいそのもの。ただし唯一にして最大の問題はやはり湯が熱いということ。45度はありますね。そしてかねて聞き知っていたとおり、湯温を下げる水は全くありません。
この期に及び、あらためて「温泉備品」を置いてきてしまったことを後悔。ここには洗面器があったのですから、いざとなれば携帯湯船だけでも持参すれば良かったのに‥。とはいえ、あらためて取りに戻るほどの気合いはなかったんですね。というわけで‥。
あち、アチっ、熱ぅい!
ほんの数秒の決死隊状態でした(笑)。このあと車に戻り(短パンはぐしょ濡れ状態)そのままこの場所を離れたわけですが、やっぱりもったいなかったなぁ。今度は草が茂るよりも前、GWあたりに再訪し、秘密兵器を使った快適入浴を果たしたいと心したTakemaでありました。
なお、初めての湯にゆっくり浸かれなかった無念は、去年初入湯を果たした「二庄内温泉@コンクリ升」に入ることで少しだけ晴らすことが出来ました。
まいどぉ!ここで動画です(6)。 | |
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