− その14 驚いたぞ「たけのこの里」(2)、野湯を目の前にして? −

というわけで、いざ「久吉温泉跡」へと向かいます。目立たない場所ゆえ気づかなかったとはいえ、管理棟というか駐車場のすぐ脇にあるのですから、見つけたときはもうびっくり。まさかねぇ、こんなところに旧源泉の湯船があるとは‥。



はい、こちらが以前小屋がけのあった旧浴槽です。

湯船にはずいぶんといろいろなものが浮いていました。湯船の底や壁面にて生成され、その後はがれて浮かび上がって来たと思われるヌラヌラ状の茶色の物体がほとんどでしたが、中には温かさにひかれてのことでしょう、脱皮した蛇の抜け殻も浮いておりました(おいおい)。

歴史ある?久吉温泉の源泉がこのように荒れた状況になっているのを見るのは悲しいことです。となればお掃除オソージっと♪

というわけで掃除は終わりましたが、湯が何だかかなりぬるめなんです。これはなぜかと思ったら、何とすぐ上に造成された釣り堀池から漏れだした水が、この浴槽の奥側に浸みだし、流れ込んでしまっていたのです。というわけで浴槽の縁付近にたまっていた土を除去して漏水の流路を確保すると同時に、周囲に生えていたコケを使って(あくまで人工的に植栽されたものではありませんので念のため)それでも流れ込もうとする水を流路へと導く誘導路を作ります。

さて、これらお手入れの結果はといえば‥



ほぉーら、こんなにキレイになりました♪

ところで、これだけじっくり長い時間をかけて(アブにかまれながらも)お手入れをすれば、何だかこの湯にもずいぶんと愛着がわいてきます。いや愛着というより、それはもっとストレートな言葉で表現した方が良さそうでしょう。それはつまり‥

という、本能というか欲望丸出し系の心情ですね(笑)。しかし、そこにはある大きな問題が立ちはだかっていたのでした。それは‥

という厳然たる事実なのであります(笑)。いや、看板とかどこにも書いてあるわけではないけれどさ、常識的に考えたら当然のことでしょう(すぐ脇が駐車場だし)。となるとうーむ、これは困った。理性(入っちゃダメよん)感情(入りたくてウズウズ)とが怒涛のせめぎ合いにあえいでほたえてバロムクロス的(ふ、古すぎっ)混沌状態に陥ったTakemaなのでありました。なお、さすがに冷静なおしんこどんは、ちゃんと内湯があるわけだしあえてここに入るつもりはなかったようでしたね(笑)。



だってさぁ、われわれの泊まってる6号棟(上の建物)からもこんなに目と鼻の先なんだよぉ‥(呟)。

さて、ここでバロムクロス×バトルロワイヤル状態(あれ、さっきと違う表現だ)のTakemaに、ふとした「光明」(ピカァ)というべきか「一休さんの頓智的抜け穴」(この風呂入るべからず??)というか、要は「猿知恵レベルの新発想」が浮かんだのでありました。

はい、ここで問題です。上記ABの「‥」にはそれぞれある言葉が入ります。それぞれその言葉考えてあてはめなさい!(何やってんだか)。
(A)
(B)
もちろん、賢明な皆様なら考えるまでもないことでしょう。正解は当然以下のようになるわけですね。
(A) 「確か今晩は自分たちの他に泊まり客はいないということだったよな」
(B) 「ということは、入浴しても誰にも不快感を与えずに済むということだ」
ま、当然ほめられたことではありませんが、夜間には宿直管理の方(この時点ですでに会話を交わしていました)しかいなくなるわけですから、他のお客さんに公然わいせつ&変態扱いされることはありえないということで‥。なお念のため申し添えれば、翌朝になってこちらから「事後報告」をいたしました。決して「事後承諾」をいただけたわけではありませんけれど=笑われました。そりゃそうだ。

というわけで、夜も更けた20:00頃だったでしょうか、旧久吉温泉湯船に忍び寄るTakemaの影一つ(笑)。



結局入浴願望には勝てず、という「精神的弱さ」を露呈した一瞬。でもやっぱり嬉しそう。

なお、予想通り湯船の底(掃除してない)からは多くのヌラヌラが浮上してきました(笑)。やはりちょっとこのまま寝るのは問題があるでしょというわけで、かねての計画通り、このあとは「現在の久吉温泉」にて旅の汗というか入浴のヌラヌラと決別することにいたしました(笑)。貸し切りだしね。

こちらはもちろんしっかり男女別、シャワーに石けん・シャンプーまで完備された完璧な浴場です。でもって湯は当然かけ流し。われわれだけで使うのは余りにもったいない感じですが、われわれがいなくてもどうせずっと流れっぱなしですからねぇ。「飲まないでください」というのは、循環しているからではなく飲泉の許可を得ていないからだと思われます。

お湯はかなり熱めの薄茶色。旧湯船とは別に、すぐ近くを掘って湧き出した湯だと思われます(聞かなかったけど)。表示では源泉温度は46度(だったっけ)とありましたから、加水冷却はせずそのまま(ポンプアップ&導水の過程で多少湯温が下がったものを)流し込んでいるのでしょうか。数多く喰われていたアブやブヨの傷跡に、いやぁしみることしみること!(笑)。ちなみに夜には気づきませんでしたが、翌朝入ったときは浴槽の底に多くの変わった析出物が沈んでいてちょっとびっくりしました。



気がつけば、性懲りもなく朝にも入ってたりして(大笑)。

さて、朝の「外湯(あくまで便宜上の名前ね)」「内湯」めぐりを終えたあと、係員の方とのんびりお話をさせていただきました(この会話の中で事後報告をしたわけです)。

お話好きの係員さんから聞いたことを思い出すまま書き起こせば、「以前の久吉温泉は営林署関係の山仕事の人たちが多く利用していた」、「旧久吉温泉湯船は記念として残してあるが今のところ使い道がない、個人的には『せめて足湯として利用すれば』とも思うが、再整備のための費用を考えると簡単にはできない」、等々。

またこれは久吉温泉とは別件ですが、ここ「たけのこの里」のすぐ下流にある久吉ダム(ここに来る途中にあるダムです)についてもお話を伺いました。何でもこの久吉ダムの水は水道水としても利用されているそうなんですが、実は造成時には湖底近くの場所からかなりの量の温泉が湧き出ていたそうなんです。しかし水道利用を前提としていたため様々な方法でその温泉の湧出を止め(もったいない‥)、ダムそのものは平成7年に完成したそうです。しかし、今になって再びその「封印」部分から温泉が漏れ始めており、現在再びその湧出を止める工事が行われているのだとか。

帰り道、ダムの湖水を眺めながら通過したんですが、この時期にしては予想外に湛水量が多く(二庄内ダムはあんなに少なかったのに)、その場所はまったくわかりませんでした(というか、工事箇所が見つからなかった)。それにしてもすでに水がたまっている湖底エリアでの漏水工事ってどうやるんだろう?

さて、ゆっくりさせていただいたお礼を述べつつ「たけのこの里」をあとにします。いやぁ、ホントに「急場しのぎ」のつもりが思いっきり楽しませてもらえて堪能感動満足三昧でした。「津軽伝承工芸館」のお蕎麦屋さん、Takema&おしんこどんのツボにはまったアドバイスをありがとうございました!

いよいよ最終日、今日中に千葉まで帰らなきゃ。でも「最後の悪あがき」はまだまだ続きます(笑)。

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