− その3 出航ダブルフェイント、のち大荒れ。やっとの思いで父島到着 -

さてしかし、いざフェリーが出航するまでに神様はしっかりとフェイントを用意してくれていたのでした。しかも大小ダブル(深刻&お笑い)で。

まず第一のフェイント(深刻編)は出発前日にやってきました。最終準備に余念のないTakema&おしんこどんのもとに突然予期せぬ電話がかかってきたのです。何気なく取った電話の中で、相手の方(東京諸島観光連盟)は突如次のようなお話を始めたのでありました。

げ、げげっ!(笑うしかない)しかしまぁどうなさいますかと言われても、相手が海じゃ文句のいいようがありません(ちなみにこの時伊豆諸島南部には海上波浪警報が出ていました)。現地滞在が3泊から2泊になってしまうというのは大変残念ですが(フェリーの帰着予定日は変わりません)、しかしこれで「行かないっ!」というのではぽっかり予定が空いてしまうだけですから意味がない。当然「そのまま旅行予約の継続」をお願いしました。うわぁ現地2泊か、「行ってすぐ帰る」弾丸旅行だぁ。みいまんさんみたい(笑)。

というわけで1日遅れの12/23、あらためて竹芝桟橋に向かったわれわれなのでありました。同じ桟橋からは伊豆七島方面のフェリーや高速船も出ているのですが、どうやら海はまだ結構荒れているらしく、「条件付き運行=途中で一定以上海が荒れている場合は引き返す」ということのようでした。でもおがさわら丸(以下おが丸と略します)についてはさすがにそんなこともないようで一安心。島への唯一の足がこの船、ということは様々な生活物資もほとんどこの船で運ばれるわけですからそうそう欠航ばかりもしていられないという事情もあるのかもしれません。ちなみにおが丸が着いた翌日の島内スーパーは途端に品揃えが豊富になるそうです。

チェックインして乗船券やボニンクーポンその他をいただき、いざ乗船です。当然二等船室ですが、23日はさすがに年末には少し早い時期なのか(考えてみればまだ学校だって終業式くらいの時期ですからね)、混み混みギッシリということはなくて程々。おしんこどんによると「以前夏に乗ったときと比べ、感覚的には半分くらいかな」という感じだそうです。隣の人との感覚もかなりゆったりしていて、かなり快適に過ごせそう。やっぱりオフシーズンというのは嬉しいなぁ。

というわけで外に出て出航の様子を眺めることに。汽笛を鳴らし、いよいよ東京ともお別れです(いや、1000km離れた目的地も品川ナンバーの車が走るれっきとした東京都なんですけれどね)。と、ここでいきなりフェイント第二弾(お笑い)が始まったのでありました。



おが丸は桟橋を離れ、長駆25時間半の長旅に出発です。次に接岸するのは小笠原‥のはずが(笑)



ターミナルの中から、サーフィンボードを抱えて走ってきた人あり!しかし時すでに遅し、茫然自失状態



と思いきや、何とおが丸は6700tの巨体を再び岸につけたのでありました。○藤さん、あなたのためにずいぶん燃料使いましたよぉ(笑)。

ま、これくらいのフェイントなら許せるかも(笑)。でも普通なら「もう離岸してしまったので駄目です、次の便に回ってください」とビジネスライクに進んでしまうことでしょうが、この直前ターミナルの人は彼にどんなふうにアドバイスしたんでしょうね。「万が一まだ間に合うかもしれない、ダメもとで、とにかく走れメロスになったつもりで桟橋に走れっ!」とか言ったのでしょうかね(完全に妄想)。

まぁ、「やれやれやっと出航したわ」と安堵していた性格の悪いセリヌンティウスたちは、「なぁにやってんだよ、ちゃんと時間守れよなぁ」などとぶつぶつ言っていたわけでありますが(笑)。というわけでこのフェイントのため15分くらい出発時間をロスしましたが、なぁに大勢に影響はありません。何たってここから25時間半、フェリー上の人となるわけですから!(そういえば以前東京−釧路の便が出ていたときは「27時間」だったよなぁ、あれも楽しかったなぁ)。



それじゃしばしバイバイ東京タワー&レインボーブリッジ♪

船はゆっくり緩やかに巨体を揺らしながら東京湾内を進んでいきます。しかし東京湾内の制限速度は大型船の場合10ノット(時速18.5km)、しかも湾内ですら多少揺れる(普通これくらいの大型船ならほとんど揺れを感じません)ということは‥

その予想はしっかり大当たりっ!沖に出るに従ってどんどんどどんと揺れが大きくなってきました!手すり等、何かにつかまって歩かないとかなりやばい状況になってきました。ま、船室内で同僚さん@合わせて4人で座って飲み続けていたので酔っぱらっていたという状況もあるのですけれど(笑)。しかしおかげさんで「酒酔いと船酔いの二重奏」に悩まされることはないまま、気がつけば現地滞在の分も含めてこれくらいで足りるだろうと考えて詰め替えた2リットルの焼酎ペットボトルは、たった一晩でほぼ空になっていたのでありました(残量約150ml)。みんなぁ、飲み過ぎっ!(大笑)。



この日最後の太陽は、大荒れ大揺れの中沈んでいきました。もちろんすべての外部デッキは立入禁止です。

しこたま飲んで横になったにもかかわらず、夜中はずっと震度5レベルの縦&横揺れがずぅっと続きますんで安眠できません。途中断続的に揺れが収まるときだけが睡眠に適するんですが(笑)、ぐうっと持ち上がる感じの次は「どどーん」と沈んでこれまた押しつけられる、その上下動作だけならまだしも時には沈み込みの代わりに横揺れゆっさゆさ。Takemaもフェリーはそれなりにたくさん乗ってきたみたいですが、今回はかなりのものでした。恐るべき強力冬型気圧配置っ!屋久島周辺の島々の時もそうでしたが、冬型って日本海側に雪を降らせるだけのものではないんですよね‥。

時計を見れば朝なんですが、まぁ早く起きても特にすることがないのでしばらくごろごろしていました。どうやら船は波の影響で2時間くらい遅れているみたいだし、急いで起きることはないかなと思ったわけで。揺れは一時よりはましになったような感じですがまだまだしっかり揺れてます。

でもまた少しかるぅくラウンジでビールなど飲んで、また寝て、しばらくしたらどうやらいよいよ父島近し?というような雰囲気で人々の動きが妙にそわそわ系に変わってきました。ではではと起き出し、知らないうちに解放されたデッキに出てみると‥。



おおっ、父島@小笠原が目の前に!

というわけで、ようやく目的地の父島に到着ですっ!今回はここからフェリーを乗り継いでいく母島訪問の予定はありませんのでよかったのですが、もし最初から母島メインで計画していたらますます自由時間が少なくなっちゃうところでした。やはり亜熱帯の小笠原とはいえ冬は途中の海も荒れますから何が起こるかわかりません、念のため「もし○○の場合は‥」の想定をしておいた方がいいような気がしました。やっぱりオフシーズンにはそれだけの理由がありますから(笑)。



というわけで到着です。島では曜日よりもおが丸に合わせた時間が流れています。



向かい風にあおられ、パーマのかかったおしんこどんの髪はアフロ状態に。Takemaの足にはすでにビーサンが。

埠頭にはわれわれの予約した宿(シーサイドインAQUA)の旦那さんも出迎えに来ておられましたが、同僚H&Tさん@釣り目的の方がらみ(別の宿)で送迎はパスとさせていただき、後日お世話になる釣り船「かっぽれ丸」の船長さんの車ですぐ近くのレンタカー屋さんまで送ってもらいました(いや、十分歩ける距離なんですけれどね)。で、再び埠頭まで戻り、釣り道具(何といっても巨大クーラーボックスがいくつもありますから)をかっぽれ車とこちらとに分けて積み込みいざ出発となりました

さてそれぞれの宿をまわり荷物を下ろす&チェックインを完了したあと、日没までの数時間はこのまま父島を一周いたします!まずは‥やっぱり「外から見たおが丸」でしょというわけで、再び埠頭へ。



27時間以上の荒波を乗り越えてきたおが丸よご苦労様。高速船の可能性が消えた今、君もまだまだ現役っ!

ちなみにここ父島まで来るために船に頼るしかないのは事実ですが、だからといって「おが丸」しかないのかというとそうではなく、「貨物船に同乗」という手もあったりします。せっかくの小笠原、スタートからディープに到着したいという方にはおすすめかと思います。ただし時間がかかる&おが丸に比べて不確実要素は大きいと思うので、日程に余裕があった方がよろしいかと思いますけれど。でもやっぱり、次回訪問時はこっちもありですな!

というわけで、このあとはいざ島一周スタートですっ!
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