− その4 温湯目指して紆余曲折に濃厚堪能、いざいざ進め! −
朝だよ朝ですいい天気♪
明けて翌朝は、まぶしい朝の光を障子越しに受けて目覚めるという「日本人の正しい朝の目覚め方」のマニュアル通りに起床いたしました。そして朝ご飯はもちろんおみそ汁と魚の干物。あー、何だかいいなぁ。で、朝風呂はもちろんデフォルトね(笑)。
朝風呂のあと宿の前に引いてある沢水でのどを潤せば、いやがおうにもきりっと目覚めるってもんです。
さてさてお宿を出発し、最後の宿題である上の湯へ。共同浴場の中でもここだけは源泉が違う「上の湯1号泉」、通称「ひ(冷)え湯」。これまでとは違った無色透明泉に身も心もホントにすっきり。先客さんがおられたので写真は撮りませんでしたがまた来ようっと。
そうそう今回初めて気づきましたが、施設の端っこには公共の「洗濯場」まであるんですね。そりゃこのご時世ともなれば洗濯機の方が手間もかからないし便利かもしれませんが、誰でも利用できるようになっているのがスバラシイです。
次回の訪問はまたGWの頃かなぁ。洗濯場は足湯としてついつい利用したくなりますが絶対にダメよ(笑)。
というわけで肘折温泉を後にして車を走らせしばし‥おっと、素晴らしい眺望が!この日は本当に天気がよかったからなぁ。
道路から北西には鳥海山、そして南西方面には月山の雄姿がそれぞれ望めました。どちらも真っ白。
さてこの朝の出発はそんなに早くもなかったのですが(9時過ぎころ)、今日の目的地は宮城の温湯(ぬるゆ)温泉。距離的にはそんなにない‥とはいっても、その道中には鳴子温泉をはじめとした大小の温泉郷がそれこそキラ星輝くがごとく、
と、あちこちから手招きしている恐るべきルートでもあったりするわけです(=興味のない人には何の変哲もない峠越えの国道だとも言います)。というわけで地図と情報源とをにらめっこして、瀬見温泉はちょっと前に入ったのでパス、赤倉温泉はそのうちきちんと成敗?してみたいので今回は立ち寄りせず、残るは大堀温泉と琵琶の沢温泉というマイナーどころと、前にもうろうろしたのにいまだ未湯の中山平温泉、そして鳴子エリアのどこかの湯をターゲットとすることに。もちろん各駅停車でしらみつぶしに入るのもいいんですが(そのうちやりたい)、まぁ今回はその時の成り行きでっと。
というわけで瀬見温泉は対岸の国道を通過するだけ‥ぐわっ、河原の湯(未湯)が入浴可能に見えるほどにあったかそうな湯気を上げてるぅ!(後悔その1)。しかし一度決めたパスの掟は、少なくともその時の自分の中では絶対ですから(チクショー)そのまま通過しました。なお心やさしいおしんこどんは「本当に寄らなくていいの?」と声を掛けてくれましたが、そうだよなぁ何で見てみるだけでもしなかったのかなあ。どうせ春先は増水していて入れないわけだし。何だか今後年老いていくはずのTakemaは自分にもどんどん頑固になっていく気がするぞ(大笑)。
で、「後悔その2」はこの後すぐやってまいりました(笑)。
最初に目指したのは大堀温泉(最上温泉)。国道からは結構離れた場所に公共の宿「国民年金健康保養センターもがみ」なる大規模施設がありますが、自分が思いきり心ひかれたのは同じ地域にある「町営簡易宿泊所『りんどう』」。「町営」でぴくりときて、「簡易宿泊所」でずどどっと心ひかれて「こ、ココハアメデモカゼデモ行カズバナルマイ!」という流れになるのは当然のことでしょうよ。
で、目の前に現れたのは「簡易宿泊」の基準というか己の固定観念を根底からうっちゃらんばかりのテラス付き(に見えた)立派な宿泊棟を有するウッディな施設。うーむこれが簡易宿泊ならば、世間に数ある「一般宿泊宿」の一部はどうなってしまうんだろう?と思わんばかりでした。外観からすれば、ニュージーランドのリゾート地にある高級モーテルみたいですからね。
お客さんがひけた後のお昼前、館内には職員の方しかおられません(連泊客のお姿もなし)。こんな時は直接お金を払った方が早いんだけれどなぁと思いつつ入浴券購入。浴室の場所を指示されて歩いていく途中のわれわれの会話はといえば、「ここ、泊まって拠点にするにもいいんじゃない?」という感じでした。
しかしTakemaが浴室に入った瞬間、これまでの思いはいきなり変更を余儀なくされました。はい、ここで左上の画像にマウスオンしてくださいね(笑)。ありゃまー、加温はともかく循環湯だとはかなりがっかり。そうと知っていたなら最初から他のお湯を目指したのに‥これが「後悔その2」でありました。
でも、いざ浴室に入ってみたら、かなり大きい浴槽には結構大量の湯が流し込まれ、しかも浴槽からあふれ出る湯の量も多いんです。加水源泉の流し込み量も比較的あるのかなという感じで、しかもオーバーフローエリア以外の洗い場タイルは乾いていましたから、そもそもこの時点の湯はほとんど汚れていないわけです(フィルター通過関係の云々はこの際無視しましょ)。浴室扉を開けたときにも塩素臭は感じられず、すくい上げたお湯からはきちんとお湯のにおいがしました。え、「お湯のにおい」って何だって?いや、お湯のにおいですって(要は特徴のないアルカリ単純泉ですんで)。
あったまったまま(というか結構ぬくぬく感は長く続きました。上の湯は浴後「ひえの湯」の名前通りすぐに身体の火照りも取れたのにね)、この時は「よーしリベンジじゃ!」と次の湯を目指しました。目指せ琵琶の沢温泉!しかし‥
しょうがない、これも「後悔その3」にカウントせざるを得ません。となればやっぱりさっき通過した瀬見の湯に入っておくべきだったという後悔の念がふつふつと(苦笑)。まぁお休みでは仕方ないんで先を急ぎます。おっとお昼ご飯をそろそろ‥
というわけで、こういう時はお蕎麦に限ります。というか、われわれの温泉行脚においてお蕎麦は不可欠なんですね。
うーむここまでの流れは何だか非常によろしくないぞ、これは何とか中山平温泉できっちりと「仕事」をさせてもらわねばと思いつつ、ココハ!と見定めた自炊宿の「丸進別館」を目指したわけであります。し、しかし入口には「○○家こちら」と書かれた法事関係の表示が。奥を見ると玄関にはその関係の提灯がちらり。うーむこりゃお風呂をいただくどころじゃなさそうだということであっさり観念。うわぁ今日はかなりついてないぞ=残念ですが後悔その4ですね。
せっかくだから他の宿の湯をとも思いましたが、気がつけば多くの宿の前にはすでに日帰り客の車が大挙して押し寄せて?おりました。いま考えればあちらやそちらの宿を目指せばヨカッタのにという悔いも残るところではありましたが、そのまますごすごと退散したことについては今となっては笑ってすっ飛ばしましょう。
しかし「その5」だけは何とかパスさせていただきたいのが正直なところであります。というわけで、峠を下って鳴子温泉まで。ここに「この時期ならではの湯」があるということは随分前から知っていましたが、毎年ここに来るのはGWと相場が決まっていましたから「春の増水」により如何ともし難かったわけですね。しかし11月下旬となれば一年で一番の渇水期?というわけでいざ!
おお、沢の合流点の片方からは白濁の湯が!そしてその上流には明らかに先人による工夫の跡が!
GWに来たときには「何だ何だ全部が川で全くわからん」状態だったところが、こんなにフシギな空間になっているとは驚きです。ここしばらくは増水も、そして先人の入浴もなかったような感じで、適度に「荒れた」感じが何とも嬉しいところ(この「荒れた=嬉しい」という感覚はわかる人にしかわからないような気もしますが(笑))。
この河原ではあちこちからブクブクとお湯やガスの噴出が見られます。
泥のブクブク、透明ブクブク♪
で、「まさにこの日のTakemaのために造られた」としか思えない極上形状の湯船を発見いたしました!うーん、いろんなところから結構丸見えなんですが、見ている人はいないだろうと勝手に確信してさささっと脱衣、そして湯へ!
うーむ、こんな深山幽谷じゃなかった、駅前で野湯っちゃっていいんだろうか?
おしんこどんが撮るとなぜか水平が歪むんですよねぇ。そうそう、右が自力補正後の正しい画像であります。
というわけで、長年というかここ6年の懸案だったこの湯はおかげさまをもちましてのクリアとなりました。でも、同じく懸案の「GSの湯」は、すでに冬ごもりモードに入っていて今回も撃沈。いつになったら入れるんだろうなぁ、年によってはGWの途中で「春の目覚め」となるとか言うことですが(店員さん談)、今までそんな気配は全くなかったんだけれど‥(いつもGWの前半を狙うからかな?)。
さぁって、あとは一気に本日の宿である温湯温泉を目指してもいい‥んではありますが、せっかく温泉のデパートメントストア鳴子温泉に来たからには、そのまま素通りというのもあまりに芸のない話です。どこかの湯に立ち寄りをと考えましたが、うーんこれに関しては資料の持ち合わせがなかったんですよね。しばし悩んだ挙げ句、以前宿泊した高友旅館さんの真向かいにある「田中温泉」へ。
「田中温泉」であり「田中旅館」にあらずとは何とも自信たっぷりな名前ではありますが、鉄筋作りの立派な見かけ(その割には入口に屋号の看板がなかったりするけれど)とは裏腹に、かなりいろんな意味でシブイ宿でありました。
まずはいきなり「正面扉が閉鎖」されているところからスタートとなり、すぐ横の通用口から入ることになります。入浴料は200円と格安です。ちなみに東鳴子温泉観光協会のサイトで見る限り旅館の立ち寄り湯料金としてはここが一番安い?入口脇で料金を支払います。係の方がいないときは入口のカウンターあたりにお金を置いて勝手に入れていただくのがこちらの作法だとか何だとか。
薄暗い館内はまぁいいとして(入口を背にしているから)、いきなり屋内ブランコがお出迎えしてくれるのがまた独特の味というところでしょうか。そこにまたミスマッチのニューヨークヤンキースTシャツが程よい切れ味を醸し出しており、何だか六本木ヒルズ内を温泉ゆかたに手にはタオルを持ったまま下駄でカラコロ歩き回るのと似た味わいなのかもしれません(やったことないけど)。
で、温泉。こちらもまた予想外のトキメキを演出しているのでありました。
先客さんが4名ほどおられるようでしたのでカメラは脱衣カゴに置いて浴室に入ったのでありましたが‥
この混浴大浴場の、あまりにもフシギな造りにまずは脱毛じゃなかった脱帽!(ハイパーリアルなボケかも)。浴室中央にはオクタゴン(八角形)の吹き抜けがどどんと自己主張し、その周回に沿う形で半周にわたり黒湯といってもいい「濃い湯」がアブラ臭とともにたっぷりと満たされておりました。むろん敷地内湧出の独自源泉だというのですから、やっぱり恐るべし東鳴子!普段はしないことですが、この湯を堪能後思わず脱衣場からカメラを持ち込みました。
で、そのお湯なんですが、暗紺色でありながら湯花はなぜか白いんですね。何とも不思議な感じでありました。ただ先客4名さんはいずれもこちらの湯を堪能されていて、上がる気配もなかったことから撮影は断念。反対側にあるもう一つの湯船へと移動しました。右上の画像はそちらの湯船です。こちらもどんどん湯が流し込まれているとはいえ、湯花は全くなくほぼ無色(右上画像で黒く見えるのは浴槽の色を映しています)、というわけでお湯のインパクトはメイン湯船に比べて全然無いんですけれどしょうがない。
広い円形コロセウム浴場におばあちゃん2人とおじいちゃん1人、そして60手前くらいのおじさんとTakemaの総勢5人ながら全員一切の無言。湯に出入りする音すらはばかられる中、音はといえば左上画像の通りに注がれる新鮮湯の音と、そして天井からたれ落ちるしずくの音だけ。いやぁ「ここだけの時」が流れておりました。かなーり気持ちよかった!‥しかしその頃おしんこどんは?
聞けば、女性専用湯はしばらく誰も入っていなかったらしく激熱湯。しかも加水用の蛇口は、そういえば混浴浴室にも見あたらなかったなぁ(あったのかもしれませんが)。というわけでろくすっぽ入れず早々に上がってしまったのだとか。女性浴室から混浴浴室へはつながっていませんからしょうがなかったんですが、それにしてもちょっと残念(すまんかった)。
このあとは家族風呂を見学し(左上画像)、おしんこどんに女性浴室(右上)を撮影してもらって満足した次第です。いやー、11月後半だというのになかなか汗が引かなくて笑ったぁ。さ、このあとは有名だけれど入ったことのなかった温湯温泉へ直行!
[戻る] | [次へ] |