夜半に音もなく降っていた霧雨は朝になると上がっていましたが、空模様は相変わらずの曇天で、今日もまた「いつ降り出してもおかしくない」感じです。まぁ今日は移動日だし、まだ雨らしい雨にはやられていないから(昨日の雨も5分くらいでやんだので)そろそろ来てもおかしくないしと、端からあきらめモードでスタートしました。

国道40号をどんどん北上していきます。しかしまぁ、メイン国道だというのに全然車がいなくて快適でした。音威子府村から中川町を通り、天塩町に入ってすぐの雄信内というところ(勝手に「おしんない」と読んでいましたが、正しくは「おのっぷない」であることを今初めて知りました。ん?さらに調べてみたら「おのっぷない」は駅名の読みで地域名は「おのぶない」?ん?天塩町と幌延町の町境それぞれに雄信内という地名が?何だかわけがわからなくなってきたぞ、というわけで閑話休題モード)から、宗谷本線沿いに北上する道道256号に入ります。この後の目的地から考えればショートカットにもならない道なんですが、「そろそろ出そうな気配の白黒パンダ車」のにおいを察知して(うそつけ)道道に逃げたわけですね。

工事用ダンプ以外通行はほぼ皆無の道ですが(旧国道40号かも)、そんな途中にぽつねんと「北緯45度通過点」の大きな看板がありました。



この日の荷物はおしんこどん(身長160cm)の背丈を優に超えてます。なお、道路面にも通過を示すペイントが。

北緯45度通過点の看板については日本海沿いの道道106号のものが有名ですが、観光客の通ることもまれだと思われるこの道にまでちゃんと設置されているとは思いませんでした。

このあとは幌延の市街地を通り抜けて道道121号へ。と、ん?「トナカイ牧場」?



あまりにもガラガラだった観光牧場にて。自販機の「エンジョイサマー♪」が何となくうつろに響きます。柵の外にはなぜか山羊が一匹。

飼育されているトナカイに餌をやったり出来るという観光牧場でした。(ちなみに有料なので)どうしようかとおしんこどんに相談したところ、こんな答えが返ってきました。


(このロゴをクリックすると「トナカイに乗った」時のページが別ウィンドウで開きます)

ふぅむ、そういえばそうだというわけで入園料を払うのはやめにすることに。それにしても、我々も何だかんだ言っていろんな体験をしてきたもんですなぁ(笑)。それにしてもかなり大きな施設なのに他にお客さんの姿はなく、こりゃ維持していくのも大変だろうなとしみじみ。

さて、そこから程なくして本日最初の目的地「豊富温泉」に到着です!



一見、どこにでもありそうな雰囲気の公営温泉センターに見えますが‥

さて、なぜにこの豊富温泉を目的地にしたのか?それはこの温泉の特徴によるところが大なのです。「ナトリウム-塩化物泉」というのがここの泉質名なのですが、名前だけだと何だかよくわかりませんね。では百聞は一見にしかずというわけで、まずはお風呂場方面に行ってみましょう。

この看板の「一般浴場」の説明の中に「油こい」とあります。そう、ここ豊富温泉は全国にぽつりぽつりと点在する「アブラ臭系温泉(油のにおいがする温泉。新潟県内に比較的多い)」の中でも、特に濃い臭いを発する、いわば

として有名でありまして、これまた全国にぽつりぽつりと存在する「アブラ臭信徒」(総数は決して多くないと思われる)にとってはいわば「聖地」ともいえる位置づけをなされているのであります!(勝手に断定)。

ではでは、まずは「一般浴場の方に行ってみましょ。

源泉の温度は20度と少しくらいしかないということで当然加温しているわけですが、循環などせず堂々の掛け流しです。一般湯はどうやら源泉をかなり濾過して使用しているようなのですが、それでも浴室のドアを開けたとたんに(いや実は、脱衣場あたりからもうすでに)濃厚なるアブラ臭が感知できます。お湯は軽く塩味。

湯船をよく見てみると、表面にはうっすらと油膜が漂っています(左上画像にマウスオンで確認して下さいね)。しかし、油膜があるというから考えると‥

という気にもさせられます。

さて、一般湯のあとは湯治用の浴室に移動したわけですが‥うーむこの温泉も「汗が引かないぞぉ!」。服が汗でどんどん湿っていくのを感じつつ急いで脱衣場へ行き、さっさと服を脱いでさぁどんなもんなんだ湯治の湯?



二つある湯船の一つには、何と「オイルフェンス」が設置されています!ここの湯花は軽くてお湯に浮くということなのでしょうが、ということは「この湯花の主成分は油そのものではないか」ということが想像されるわけです。

書き遅れましたが、そもそもこの豊富温泉は大正年間に石油の試掘をしていた時に発見されたそうですから、石油分が含有していて当然なわけですね。なお源泉井はいくつかあるそうですが、かつては油成分の薄い源泉を使っていたのが、この油分そのものが皮膚病に効果的であるということがわかり、1999年から現在の「アブラ分が濃い」源泉使用に切り替えたのだということです。なるほどねぇ。



オイルフェンス内には湯花がびっしり。



一般湯に比べて油膜は比較にならぬほど濃いです。



もっとも、湯船全体が油でギトギトというわけではありません。オイルフェンスがいい仕事をしております。

湯船の中には「浮かない湯花」がいくつも漂っています。ちなみにこの油分が皮膚病に効くということですが、なるほどカサカサ肌などには油分でコーティング、すなわち「天然の保湿クリーム」みたいな働きをしてくれるんでしょうね。

ん?しかし‥もしかして今日みたいな日(太陽は出ていないがこの地域にしてはかなり暑い=気温27-28度くらい)においては、この温泉は「塩分でしっかり保温をしつつ、かつ油分のべとべとで保湿、すなわち毛穴をふさぎ汗の出を抑える」というような、非常に「夏向きでない」働きをしでかしてしまうのでは?と、急激に不安になりました(笑)。

まぁそんな仮説が正しいのかどうかはわかりませんが、お風呂から上がった後は数十分もの長きにわたり汗が止まらなかったということは事実です。ちなみに湯上がり時に気になるほどのべとつき感はないんですが、気になる人はやはり上がり湯を使ったほうがよさそうです。

湯上がりにセンター内の食堂で昼食をとり、お腹の心配もなくなりました。というわけで稚内を目指します。ただし国道でそのまま一気にというのも芸がないので、日本海沿いの道道106号、通称オロロンライン経由で北上します!

106号には強い南風が吹いていました。この南風のため、天気そのものはよくないのにまったく寒さを感じません。しかも「北上」なので完全に追い風状態、よって風圧も少なくとっても快適な走行でした(南下だったらしんどかったろうなぁ)。

「オロロンラインのセンターライン上にて」

これで天気がよかったりしたら最高なんだけれどなぁ。もちろん利尻は全く見えませんでした。

Wmv形式、738KB、18秒
ノシャップ岬は面倒くさいのでパスしてダイレクトに稚内市内に入る山越えショートカットルートを使い、まっすぐにフェリーターミナルへ。というのも、実は利尻行きフェリーの出航時刻を調べていなかったんです(笑)。午後発の最終便が何時だったか、確か15:00前後じゃなかったかなぁという記憶は今から確か10年前の渡島時のものなのですから何ともアバウトです。いや、もし間に合わなかったら稚内に泊まればいいやと思ってたんですけれどね。

ただ、実際の到着時刻は14:20頃でしたか。時刻表を見ると次の(最終の)利尻島鴛泊行きは15:30とありましたから、余裕というべきか、ギリギリ系のあまり好きではないTakemaとしては「ちょうどいいタイミング」というほうがいいでしょうか。ただ、このターミナルの常識として「時間つぶしをする何物もない」というのはわかっておりましたが‥。その昔(まだTakemaが北海道に初上陸する前)、小樽〜鴛泊のフェリー便が運航されていたときは到着時刻等も含めて大変便利(夜行便)だったそうですが、多客期だけでもまた運航してくれないかなぁ。

おっと、そんなこんなのうちに折り返しで利尻に向かうフェリーが港内に入ってきました!(強引な展開ですな)。



やはりここでも1台だけ「偉容&異様」を放っている、わがブラックバードであります(笑)。

この日この船で利尻に向かうバイクはといえば、自分を含めてたった4台。確かに利礼航路の航送料金は安いとはいえませんが(750cc以上は往復で9720円+人間の運賃)、でもせっかく内地から自分のバイクを持ってきたのであれば、ここで稚内にバイクを置いていくというのはあまりにケチくさい行動ではありませんか皆様!だって周回で50km、たった50kmとはいえやっぱり50kmあるわけですから(何のこっちゃ)、やっぱり島内をバイクで走ろうよぉ!

と思ったら、ターミナル付近にたくさんいたバイクの多くは礼文航路のフェリーに吸い込まれていったようです。まぁ一方ではよろしと思いつつ、でもバイクだったら絶対に利尻の方が楽しいはずなんだけれどなぁとやはり納得がいかないTakemaでありました(この発想の根本には「はるか昔の桃岩荘体験、そしてその次の礼文訪問時における悪天」が大きく影響していることを付け加えておきます)。でもねぇ、失礼ながら言わせていただければ‥。

自然の豊かさ&多様性からいえばどう考えても利尻の方が上でしょう。レブンウスユキソウなどを代表する「花の島」のイメージをうまく利用した礼文ですが、島の高低差はいかんともしがたいわけですからね。それなのにライダーですら(卑下)利尻には直行せず、直行する旅行者も「その後礼文へ」を前提にしているわけですし‥。

人口比にして半分強の礼文島に「してやられている」気がする利尻島、百名山登山者ばかりをあてにせず何とか頑張ってほしいものですわ。ただしTakemaとしては「今のままであってほしい」と思うのも事実でありますが(あれま大いなる矛盾)。



そんなこんなのうちに、利尻岳を頂点とする「利尻島」が見えてきました。こっちの方が天候は安定してたのね。

鴛泊到着は17:10定刻。大きいフェリーではないのですぐに外に出られます。あれま天気はまぁまぁよし!と思って島の反対側、沓形に向けて走り出したわけなんですが‥



この直後、ガス&霧雨に見舞われました(笑)。

そして到着した沓形岬キャンプ場、前回(10年前くらいですが)の記憶によると「かなり混んでいた」というわけで、夕方の到着となるといいポジションは望めないなぁと思っていたわけですが、あにはからんや現地は以下のような感じでありました。



あまりにもガラガラ。海側からの風があったので灯台に向けてテントを張ってと。

さて予想外の沓形岬ではありましたが、ここは実際の所あまりにも滞在心地のいいキャンプ場なんですよね(自分がヌシになりたいくらい)。次ページではその「心地よさ」について語ります!
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