− (2) 温泉Takema特急深夜便、まずは朝湯3連発で活入れっ! −
夏の恒例となった東北温泉行脚も今年で5年目。しかしまぁ毎年お盆時期を外しているにもかかわらず、なぜだか少なくとも往路は(そしてほとんどの復路も)深夜走行を強行しているわけですね。基本的に出発の前日は仕事ですから、仕事から帰ってきてちょっと仮眠して出発するわけですが、なぜだか途中で眠くなる時とならない時(全く、ではないですけれど)があるんですよね。
で、今回は「道中眠れず、朝になってから眠くなった」というパターンでした。午後10時過ぎに千葉を出発したんですが、途中岩手県に入った(夜が明けてきた)あたりから急に眠くなってきたわけです。しかし少しずつ周りが明るくなってくると、眠いTakemaの中に「理性と欲望との葛藤」が頭をもたげました。で、勝ったのは当然「欲望」のほう。すなわち
という、受領国司の「受領は倒るるところに土をつかめ」みたいな気持ちになってきたわけです。
【せっかくだからここでお勉強】
平安時代の説話集にはそんな受領国司(今でいう県知事にさらに警察やら裁判やら徴税やらのパワフルな権力を持たせた、期間限定の地域支配者)のめくるめく欲望についての皮肉めいた逸話が載せられています。京都の貴族が国司として信濃の国に赴任し任期満了で都に帰る途中、国司の乗った馬が転落しおつきの者どもが捜索したところ、国司は崖の途中でとどまっており無事でした。引き上げてみたところ片手にはキノコがてんこ盛り。落ちた場所がちょうどキノコの宝庫だったわけで、国司は「すごい量だった、片手にしか持てず惜しいことをした!」と自分の命の危機をすっかり忘れて悔しがるわけです。で、最後に「バカ野郎、俺の信条はこれなんだ!」で上の文章となるわけですね。
日の出だぁ!と写真を撮って、岩手山SAで朝ご飯を食べたらすっかり青空♪
さて東北道は鹿角八幡平ICで降りることに決めていましたが、大館方面に向かうのにどの山越えの県道を越えるかはまだ決めていませんでした(国道経由はそもそも選択肢になし)。すぐ手前の湯瀬PAで最終判断を下す段になってもまだ決まりません(優柔不断)。まぁいいやってことで高速を降りる直前で「遠回りルート」を選びました(実は、悩んだときはこのパターンの選択をすることが多いTakemaです)。
で、最初に「朝一風呂で眠気を吹っ飛ばす」を目指して向かったのは大葛(おおくぞ)温泉!町民浴場ながら外来者も同料金、しかも100円!もちろん掛け流し、到着は6:00過ぎながらもちろんオープンしているのは東北の共同浴場ならあたりまえ!というわけでさっそく入浴させていただきましたぁ!
ほぉーら100円でしょ。湯船はこの画像で見ると小さく見えますが結構大きいです。
何と、男性浴室はどうやら一番湯!無色透明の石膏泉が「ほぉーら頭も身体もビシッと目覚めたいでしょー?」とTakemaを迎え入れます。
建物も新しく大変きれいな浴室は現地の十和田石、一山越えた比内の産だそうです。安直にタイル貼りにしないのはさすがですし、さらにはシャワー&カランの代わりに「源泉掬い場」(左上画像。身体や頭を洗うときは湯を掬うわけですね)が用意されているところなどはあまりにも心憎いです!設計に携わった方々の心意気が(外来の湯浴み客である)Takemaにも「どうだぁ、わかったか!」と訴えてくるようです。
シンプルだからこそすごい、本当にすばらしいお湯でした(実は他のお客さんがいないのをいいことに朝からトド(=湯船サイドでゴロ寝)になってしまったTakemaをお許し下さい。だって眠気はなくなったけれど気持ちよかったんだもん)。
35回お風呂に入れて3000円って‥地元にあれば家のお風呂は要らん!
さて、「朝の目覚め」さえしてしまえばこっちのもの、まだ7時なんだから今日はこれからとことん楽しんじゃうぞ!(いやホントに楽しみました)。お次は「大葛にしようか別所にしようか」でつい数時間前まで悩んでいたもう片方の別所温泉へ。何だ、結局両方とも訪問するんだったら悩む必要はなかったわけね(苦笑)。
こちらは管理人不在の共同湯で、外来客100円×2人分を透明アクリルの箱に投入し(見せる必要はないけれど右上画像にマウスオンで証拠写真(笑))、いざ脱衣場へ。ん?何だかここの脱衣カゴ、平均サイズを優に超えるビッグサイズでありました。
男湯には先客がおられたので撮影は自粛しましたが、無色透明、少しだけ熱めの湯が心地よいです。それにしてもきちっと清掃が行き届いていてすばらしい。脱衣所等にはゴミ箱すらありませんが(「お客さんの良心を信じて‥」だったか、そんな張り紙がありました)、ゴミどころか塵一つなくて感服しました。
こちらは貸し切りの女性湯をおしんこどんが撮影したもの(広さは男性湯と同じ)。
湯そのものに特別な特徴はないですが、個人的にはかなり気に入った一湯となりました。しかし、この「少しだけ熱め」がこのあと話題になろうとは‥。
続いて「軽井沢温泉」へ。ん?「別所温泉」といい「軽井沢温泉」といい、何だか甲信越の湯めぐりをしているような気がしてきます。ちなみに、自分が今も使っている1997年版のツーリングマップル(集落の地名や地形表示などの情報量が最新版よりも詳しいのでいまだに愛用)によると、「この付近には軽井沢という地名が多い」とあります。じゃ、このあたりに引っ越せば「オレ、今軽井沢に住んでるんだぜ」と、人を煙に巻くこともできるわけですね。いやまぁ私らは諸般の都合で引っ越せませんが(笑)。
結構大きな温泉施設で駐車場も広いです。まだ午前中の早い時間だったので混んではいませんでしたが。
しかし、別所温泉で長湯をしたからかまだ身体が火照ったままです(ちなみにこの日は朝から暑い日でもありましたし)。「別に入らなくてもいいかなぁ」とも思ったのですが、次にいつ来られるかもわかりませんのでやっぱり入っちゃいました。こちらは入浴料150円也。しかし、これで3つめの温泉だというのに、支払った額は100+100+150=たったの350円!東京や千葉の銭湯1回分にも届かない額です。驚くなぁ。
こちらも浴室風景は誰も入浴していなかった女性浴室のもの。このあたりでは女性の朝風呂はあまり流行らないのか、それとも女性の方が働き者なのか?(たぶん後者だということにしてこの地域の女性に媚を売ることにしておきましょう)。
こちらも無色透明湯です。別所同様、洗い場のお湯も温泉らしいです。ボイラーなど要らないから維持管理も安くつくのかな。
さて、こちらの温泉では「あつ湯(大)」と「ぬる湯(小)」の二つの湯船があるのですが、最初ぬる湯に入ったときの体感は「うーむ別所と同じくらいかな」という感じでした。他の男性も誰一人としてあつ湯に浸かってはいなかったし、自分もあまり熱いのは苦手なのですが‥なぜかここで、
という、これまでのTakemaからすれば無謀ともいえる行動に対する確固たる意味なき意志が芽生えたのでありました。ちなみに、ぬる湯の方も体感では「ジャスト43.0度じゃなくて43度半ばくらいかな」という感じであったのですが‥。
もし温度差が表示のままだとすれば、「46.5度」ということもあり得るわけで‥熱い湯は苦手なのですが。
「く、く、くぅっ!」。声には出さないながらも、心の中でそんな声を出しながらそうっと入浴していきます。那須は鹿の湯でも44度の湯にはいるのが限界だった自分が、今まさに静かに新たな記録を達成していく、キツイながらもそんな満足感に徐々に心は満たされていく‥なんて気持ちには全然なりませんでした(笑)。こりゃ熱すぎですよ。とりあえず肩まで浸かったところでギブアップ。しかし、上がるときも「ざばぁっ!」と一気に立ち上がることは出来ませんし(「お、お湯を揺らすな!」の心境ですね)。もしかしたら数人の地元入浴客の方が
というという意識を持ちながら見るともなく見ている可能性もありましたから(自意識過剰だって(大笑))、肩まで浸かりながら「ふぅ」と声にならぬ声を出してゆっくりと上がりました。上がって湯船の横に座ったらクラクラしましたわ(笑)。
ちなみに女性浴室の看板にはかわいいイラストが。ついでに風呂桶は全て「くまのプーさん」で統一されていたようです。男性浴室のそれがどんなものであったか全然思い出せないのは、たぶんあの時の高温湯のインパクトというか刺激が強すぎて、他の些末な記憶を消し去ってしまったからなのでしょうね。年齢に応じた記憶力の低下であるとはとうてい思えません!(責任転嫁の典型ともいいますが)。
さてお湯から上がってきて、管理人さんの女性としばしお話をさせていただいているうちに、今日の温泉行脚の話となりました。自分らが「さっき別所に入ってきた」という話をしましたら、管理人さん曰く
ん?ということは「熱い=気持ちいい」という価値基準がこの地域のデフォルトなのでしょうか?(笑)。自分としては「あつ湯に一度も入らぬ○○二度入る○○」という発想もありかなと思っていた(いる)んですが(苦笑)。
まぁ、とにもかくにも朝湯三連発の修行はこれにて終了。前夜はほとんど寝ていませんでしたが、確かに頭も身体もしゃきっとしましたっけ。
ここからはしばらく車を走らせて、「恋!じゃなかった、これは濃い!」温泉へと向かいます。続きは次ページにて。
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