− その2 川原畑 温井温泉 岩陰の湯 −
川原湯温泉笹湯のあとに向かったのは次なる共同浴場ではなく、「やんば館」という、八ッ場ダム建設のPRセンターでした。なぜそこに向かったのかといえば、トイレに行きたいという生理的欲求もないわけではありませんでしたが、メインの目的はこの地域の情報冊子を入手すること。 ネットで調べた情報によると、どうやらこのPRセンターにある小冊子にはダム関係地域に関する細かな情報が紹介されているらしく、その中にどうやら目指す共同浴場の記載もあるということなのですね(ソース:「はしご湯のすすめ」)。 というわけで上記冊子を入手。水没予定地域に残された歴史的建造物や古刹などを歩いて回るためのガイドブックとして編集されており、地域の情報量としては相当に濃厚です。もちろん、目指す共同湯もしっかり記載されておりました(というか、これなしではわからなかったかも)。 ただ、前ページカラーの厚地コート紙55ページの構成はあまりにも立派です。無料の冊子ですが、果たしてここまで上質の製本をする必要があるのかなぁ。ダム建設にはお金がかかるのは当然なんですが、これも相当にお金がかかっているような気が‥(苦笑)。とはいえもちろん有り難かったんですけれどね。 |
(注)ただしこの冊子とほぼ同じ情報はネット上でも公開されています。詳しくはこちら。
そんなわけで、川原湯からほど近いところにある川原畑地区の岩陰の湯にはすぐに到着しました。もっとも7月には場所がわからず、このすぐ脇を通過して工事車両用?の道路をずんずんとはるか奥まで入り込んじゃったんですけれどね。こんな場所にあったとは驚きでした。ちなみに7月に見ていた導湯管はここの温泉に続いていたのか、管の大元(源泉)を探すんじゃなくて行き先を探すべきだったなと今さらながらに後悔しました(笑)。
まだ新しくて、掃除も行き届いたきれいな無人施設です。ね、軒下のベンチはデフォルトでしょ(笑)。
建物の中に入ると、正直言ってまだ木の香漂う気持ちのいい脱衣場(施設が出来てから6年くらいは経っているみたいですが)。料金は300円ということでちゃりんチャリンちゃりん♪。今日は無人湯が多いということで小銭を多めに、さっきのPRセンター前の自販機でもわざわざ1000円札+20円で飲み物を1本買っておいたので、男女別のお風呂=それぞれの料金箱に入れる場合でも問題はなしでした。ま、ここも先客さんはおられなかったんですが。
木(松の木でしょう)をたっぷり使った造りはとてもいい感じ、そして足ふきの布なども清潔で大変好感が持てます(ちなみに「足ふき布が汚れていたら利用者各自で交換して下さい、布は倉庫に‥」というような記載がありました)。
よし、お風呂はどんなもんだ!と思ったら、これまたこの地域デフォルトの?大きいポリバスがどどんと鎮座しておりました!ここに限らず林温泉や、このあと訪問した横壁温泉も同じ時期に同じ事業者によって建設された浴場ですから、同じ造りなのは当然なのでしょうが。
お湯は失礼ながら?あまり特徴がないのですが、その湯量はなんともはや。上の画像を見ると塩ビパイプの継ぎ目(流量を調節できるよう加工されている)から漏れ出ているような感じで湯が投入されています。使われなかった湯はパイプの先からそのまま排水溝へ。つまり、この画像の状態は「お湯を湯船の外にかなり捨てている状態」なのですね。何というゼータク!
お風呂を出てみると、晴れ渡った空の下紅葉の山々がきれいに「黄金の輝き」を見せてくれておりました。晩秋の山が織りなす素晴らしいコントラストを眺めながら、火照った身体を風にさらしつつのんびりしたわけですが‥。
実はこの岩陰の湯、地域振興を目的として作られたとはいえ、他の同様の施設とは違って「いずれダムの下に沈んでしまう運命」のようなのです。確かに、林温泉やこのあと行く横壁温泉とは明らかに違う低い位置にあり、湛水予定エリアマップをどう控えめに見ても「こりゃこの場所はどう見ても沈むっしょ!」と思わざるを得ません。
前出のソースサイトでも2005年段階で「すでに地域住民の80%ほどが転出」とあります。国道のバイパスが出来るまではともかくとして(山の上の方を貫く感じで現在工事中)、いつかは取り壊される運命にあるんでしょうね。だから源泉をはるか上部からパイプで引いていたわけか。しかし、こんな施設を「期間限定」で作っちゃうっていったい‥しかも人々に「出て行くこと」を半強制する地域に‥。
貸し切りで利用できた湯ではありましたが、何だかビミョーな思いのままこの地をあとにした次第でした。
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