− その9 台風やりすごしのため濁川新栄館連泊、でもって近場の桜野温泉&八雲温泉も訪問!−

さて、台風をやり過ごすために選んだのは濁川温泉の中でも一番湯治場っぽいという「新栄館」さん。到着してみると、うーむなるほど、いい意味での「昭和の雰囲気」たっぷりで驚きました&にんまり。



サッシこそ金属製に替えられてはいても、こりゃ何ともシブイ感じです。右上は湯小屋。東北の湯治場そのものじゃないですか!



浴室に向かう通路はこれまたいい感じ。貼り紙も、何ともいい味を出しています。

ちなみに今回ほぼ初めてきちんと道南エリアの温泉を回ったTakemaが初めて気づいたことといえば、「道南エリアは本当に早くから開けていたんだ」ということに尽きます。古文書によれば前出の知内温泉は「1404年以前の開湯」だというし(もちろん温泉施設が出来たのはもっと後のことでしょうが)、ここ濁川温泉も、江戸後期にはすでに湯治場があったというのですから、要は明治以後の開拓期以前、松前藩支配の時代(とはいえ松前藩の支配が旧蝦夷地のどこまで実効的であったかどうかは謎ですが。せいぜい渡島半島エリア?)からすでに温泉地として利用されていたのは確かなようです。

この温泉の発祥地という「元湯神泉館」は築130年以上ということです(行ってないのでわかりませんが)。でも、こちら新栄館の雰囲気だってなかなかです。いつも道東や道北ばかり行って「北海道の温泉利用の歴史は(アイヌの人たちの利用を除けば)それほど古くないのではないか、だからこそ『鄙び系の湯治場』はほとんどないのではないか」と勝手に思っていたTakemaとしては目から鱗の落ちる思いでした(道南地域に詳しい温泉ファンの方々、無知蒙昧のTakemaを笑ってやって下さいな)。

お昼のうちに素泊まりでの予約を入れたことは前のページで書きましたが、到着はすでに17:00ころだったというのに、宿泊した新館はもちろん、本館にも宿泊者の気配はなし。聞けば今夜の泊まり客はわれわれだけとのことでした。ちなみに宿泊は棟続きの新館で、こちらは鉄筋コンクリート造。部屋には冷蔵庫もTVもありますし(さすがにエアコンや無線LANまで望んではいけません(笑))、万が一明日もっとも接近するという台風が来てもここならゆったりとやり過ごすことが出来そうです。というわけで連泊決定!

さて、そうなるとお風呂。事前にものの本にて「ここのお風呂はスバラシイ」と聞き知っておりましたのでまず間違いはないとは思いますが、いざ!

ちなみにここ新栄館さんのもともとのお風呂は現在の男湯だけで、現在の女湯は新館にありますが、おしんこどんによるとそれほど特筆すべきものではないとのこと。で、この「男湯」は実は「混浴」らしいのですが、特に日帰り入浴のお客さん(女性)には「あちらは混浴です」という案内はしていないそうなのですね。でも決して「男性専用」というわけではないので、おしんこどんとしても日帰りのお客さんがいないタイミングを見計らえば新栄館の元湯を楽しむことが出来るというわけです。

というわけで、3つの浴槽(湯口部分の湯量調整によりそれぞれ温度が違う)を楽しんじゃえ!

「ではちょっとあたふたと」

うーん、見る人などいるのだろうか?(笑)。

 Wmv形式、1.86MB、49秒


連泊ということで、そろそろたまりつつある洗濯物を成敗すべく洗濯機もお借りし、うーむこれで後顧の憂いはしばらく消えたぞ(ちなみに後日もう一度洗濯しましたが)。というわけで新館ロビーも基本的に貸し切りモードで、湯ったりと過ごした濁川温泉初日の夜は過ぎていったのでありました。

明けて翌朝。雨は降ったり止んだり、強く降ったかと思えば結構長い時間止んだりと、不安定な天気が続きます。ちなみにこの朝の段階で台風はコースを東寄りに変えた結果北海道への直撃は避けられたのですが、そのため中途半端に残った前線が刺激されたまま残ってしまい、結局このあと道内の天気はしばらく不安定なままだったのでありました。この日も「雨時々強くなったり弱くなったり」だったんで、連泊は正解だったんでしょう。

バイクだったらこの日は「テントの国の王様」よろしく、さなぎテントの中でもぞもぞしているのが関の山だったんでしょうが、何といっても今年は「屋根付き移動器具」で来ていますから「宿の湯めぐり」であれば問題なしです。というわけでとりあえず出発!



濁川温泉への分岐で見つけたこの看板、一番上には「24時間受付中」の文字が。宿の方は24時間臨戦態勢だったんでしょうか?

さてそんなことはともかくとして、まず目指したのは「桜野温泉熊嶺荘」。盲腸線とも言ってもいい道道573号を進んでいった先にある一軒宿です。え、盲腸線って?という方のためにひと言説明しておけば、もともとは鉄道(マニア?)用語で、本線から分岐する支線の終点が他の路線と接続することのない「行き止まり線」のことをいいます。もちろん別の定義もあるので詳しくはWikiでもご覧下さいませ。

で、この道道573は一応未舗装林道で日本海側の乙部町とつながってはいるというものの、林道部分は廃道に近いのだとか。というか、峠越えの交通量が皆無に限りなく近い以上「盲腸道道」といってもあながち間違いではないでしょう。実際、すれ違ったわずかな車は明らかに地元車とおぼしき車とダンプ、そして郵便車両しかありませんでしたし。



あれま瀟洒なペンション風の桜野温泉♪

道道から離れ、宿への取り付け道路をしばし走った先にお宿がありました。うーん、熊が出ても全然おかしくないエリアです。これで取り付け道路がダートで、かつ自分がバイクでの訪問だったりしたらちょっと気になるかも知れません(笑)。

到着時は雨でしたが、ちょうど入れ替わりに男性が出て行ったので、宿の方から「今は誰も入っていないので両方貸し切りで構いませんよ」とのお言葉が。うーん、まだお盆には間がある雨の平日となるとこんな悦楽が楽しめるわけですね。というのはTakemaも禁断の女性風呂に足を踏み入れたわけですが、湯船の大きさは男性湯船の半分あるかないか、しかも露天風呂は男湯側からしかアクセス路がありませんから、混雑時に訪れた女性はちょっと可哀想?



内湯(男湯)と露天風呂の図。タンノーしました。

ちなみに露天風呂の下には川が流れていますが、さすがに昨晩から雨がほぼ断続的に降り続けた影響で、水の色は完全に黄土色一色でした。宿の敷地とはかなり段差があるとはいえかなり湾曲しながら流れていますから、もっと大雨が降ったときには水圧もかかるだろうし‥と何だか心配になってしまいます。いや自分だけかも知れませんが(笑)。

さて、桜野温泉のあとは‥実はこのあと国道5号線を北上したわけですが、途中で完全な勘違いをしでかしてしまいました。初めての場所なのにあまり地図を見ないで「記憶で」進んだこともあるんですが、奥美利河温泉を目指して北上しているつもりが、途中の標識を見て「しまった分岐を行き過ぎた!」と間違えてしまい、戻り始めたはいいもののしばらく走っていくうちに「これまたしまった、まだ分岐まで行っていなかったんだ」ということに気づきました。

ちなみにおしんこどんは助手席ですっかりすやすやとはいうものの、それはいつものことだし?(笑)、そもそも途中で車を止めて地図を確認すれば何ということはなかったんですよね。ただ、時にどしゃ降りになる不安定な天気の中、大型車を先頭とする「大名行列」のど真ん中にいたものですからついつい流れに乗ってしまったままにしていたのが失敗でした。いや、たぶん「どよよよん」とした天気のせいで「もーどうでもいーわー」という気分になってもいたんでしょうね(笑)。

まあでも今さら再度北上するでもないかなぁと思ってそのまま来た道を戻り、目的地変更で八雲温泉へ。結果論ではありますが、あのまま奥美利河温泉に行っても露天風呂はどうせどしゃ降りモードだったろうし、まぁ行かなくてよかったのかな?

というわけで八雲温泉おぼこ荘へ。かつては町営だったのが民営化されたそうなんですが、日帰り施設側だけならともかくとして、公式ウェブサイトを拝見すると宿泊施設側はかなり豪華な大規模施設みたい。大丈夫なのかなぁとちょっと心配になったりしますが、あくまで杞憂に過ぎないと信じることにしましょう(笑)。

お湯はといえば含重曹とはいえ食塩泉ベースなのは道南地域のデフォルト(ちなみに濁川も基本的には同じ泉質。ただし少々アブラ臭)。そう考えると大船下の湯とかI温泉とかの硫黄泉って渡島半島では貴重なんですね。

ちなみに露天風呂に行ってみたら小雨模様なのはともかくとして湯がかなり少ない!というのも清掃からまだ間もないからなんでしょうけれど、湯温は十分なれど深さはまだ寝湯レベルでした。でも強引にくつろぎましたけれどね(笑)。

ちなみに併設のレストランにはなぜだか「名古屋コーチン雑炊」なるメニューが。なんでもこちらのお宿は「名古屋コーチン普及協会」会員なのだそうです。

帰りにはちょっと南下して、森駅売店にてこれまた純系「森のいかめし」をゲット。しかし食べてみて思ったんですが、思ったより中のご飯に味がしみていない気がしたんですけれど、これはこれでこんなものなのかな?新栄館に戻って焼酎のおつまみにしながら何となく物足りなく思いつつそれでも一気に平らげました(笑)。さぁって、今は日帰りのお客さんもいないみたいだし、お風呂に行ってこようかな。



そんなこんなで、2日目の夜も過ぎていったのでありました。

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