− その12 思いきり寄り道で種川温泉・奥美利河、そして素晴らしきモッタ海岸温泉へ −



うーむ、JA青年部もよく頑張ってますな(笑)。

さて、国道229号と230号の分岐を右に曲がり、目指すは前日お馬鹿ミスで到達できなかった奥美利河温泉山の家。実はその後再びこの分岐まで戻ってくる予定なのでかなりの距離の往復となるのではありますが、今後の予定を考えるとこの日に行っておくのが一番無難なんですよね。

でも、ただ往復するだけというのも芸のない話なので、国道沿いに4つある「ねとい温泉」「あったからんど」「種川温泉休憩所」「クアプラザ・ピリカ」のうちどれか一つに立ち寄ることにしたわけです。さてこのページをご覧の皆さん、この温泉名だけからどれかを選ぶとしたらどれを選びます?

Takemaとしては、循環湯はもちろんですがハコモノ系の立派な施設はちょっとご遠慮という気がします。ついつい鄙び系・地元密着系を選んでしまうわれわれとしては、やはり「種川しかないだろう」という結論に達するわけです。というわけで行ってきました‥。

種川温泉の外観はこんな感じ。温泉併設のコミセンといった感じでとりあえず見た感じはOK!ちなみに駐車場には軽トラが一台のみで、混雑しているようにも見えずこれまたOK。入湯料を払って浴室に向かい、男湯の出入口付近で「温泉の管理方法についての掲示」を発見しました。すると‥

あっちゃまー残念、循環湯だぁ!でも、循環設備を加温湯投入(ここの源泉は30℃そこそこ)のためだけに利用していることもないわけではないしと思いつつ、浴室の扉を開けて中に入ってみると‥

あーあ、すっかり外しちゃいました(笑)。でもまぁこりゃしょうがないですねというわけで、地元のおじいさんとのお風呂交流をしっかり楽しんでまいりました。いや、おじいさんの話は半分くらいしか聞き取れなかったんですが、Takemaの海外旅行における英語ネイティブに対するリスニングレベルと同じようなものだと思えば(笑)。

さて「クアプラザ・ピリカ」(予想通り遊園地みたいな大規模施設だったので、ここを選ばなかったのは正解)のあたりで国道を離れて山の中へ。この辺りから雨は間断なく降り続くようになってきており、うーむイマイチよろしくないと思いつつも「これはこの湯も貸し切りモードかもしれん」と、甘酸っぱい思いも徐々に濃厚になっていったのでありました。

というわけで雨の奥美利河温泉山の家に到着。うーんここはまさに山の中丸出しというか、ホントに山の中だから当然なのですが、泊まるにはいい感じでもあります。でも、先客さんの姿があちこちからちらほらと。さすがに貸し切りとはいかなかったようです(笑)。ちなみに露天風呂は結構開放的な造りで、受付棟から坂道を降りてくるときには女性露天が丸見えです。立派な目隠し塀などはなかったりするのでちょっと目のやり場に困ったりしますが、もともと露天は半混浴だし、見られたくない人は最初から露天には出てこないだろうからこれでいいのか。そもそも、ここにお客さんがたくさん来るのは夏場と連休中くらいでしょうし。

さて、男女風呂とも先客さんがいる中われわれも入浴スタートです。湯温は結構ぬるめで夏向き、無色透明でとってもあっさりした浴感です。それもそのはずというべきでしょうか、湯上がり後に園地を整備していた方に立ち話でお聞きすると、この温泉の源泉はすぐ近くの鍾乳洞からの流れ出しなんですが、何と温泉の上流部に、すぐ脇を流れる沢水がかの鍾乳洞に一部流れ込んでいく場所があるんだそうです。それが洞内で温められ、本来の源泉と一緒に出てくるわけですから、要は一部は「真湯(水を沸かした湯)」というわけなんですね。

また、「雨の日はお湯がぬるい」というのにも合点がいきます。いわゆる「自然の足し水」が多いからですね(笑)。

しばらくしたら先客の皆さんは上がられたようなので、おしんこどんが露天風呂の沖合を経由して男湯側に乱入(笑)。で、撮ってくれたのが右上画像というわけですね。ちなみにここは2食付き宿泊も格安なので、お湯に特徴はないけれど環境を考えれば泊まってみたい場所でもあります。

さてこのあとは再び日本海側に戻ります。せたな町の中心部(昔は「瀬棚」だったよなぁ。何でもかんでも平仮名に改名するというのはその地域の歴史や文化を無視した行為であり大反対!というのがTakema&おしんこどんの共通意見なんですが)に来たところで、どうやら町を一望する展望台があるというのでえっちらおっちら。いや、車でですけれどね(苦笑)。



うーむ、こりゃかなりいい感じの場所。すぐ横にはキャンプ場もあるしね(でもソロキャンパーにはちと高すぎ!)。

で、そろそろ今宵の宿泊地目指してきっちり移動すべき時間になってきました。でも、このまま行けば16:00過ぎには着いてしまいそう?ならば「一応17:00頃到着予定」と連絡しておいたこともあり、いきなり思いつきで「茂津多岬灯台」への分岐で左折!

分岐した道は、一気に一気に登りやがります。えらい急坂で、われらがフォレスターもかなりひいひい。いやブラックバードならストレスは感じないと思いますが、傾斜がゆるんだ辺りでいきなりダートになったりしますから、それはそれで願い下げです(笑)。舗装とダートが交互にある中を登り続け(ちなみに一部は大型オンロードバイクのもっとも苦手とする「深砂利」でした)、ようやく到着。

あれまー、何だか瀟洒な灯台です。もちろんここにも昔は「灯台守」がおられたようですが随分前に無人化され、また、2006年3月末をもって全国全ての灯台は無人化されたということです。「喜びも悲しみも幾年月」という映画も真の意味で過去のものになってしまっています。

しかし、ここでわれわれが感じたのはそのようなノスタルジックな感傷ではありません。感じたのはもっと俗でベタな庶民的感情なんですよ。それは‥

ということ。右上の画像(マウスオンで拡大画像に変わります)によると、ここ茂津多岬灯台は1937年に日本一の高さ(海面から灯台の先端までの高さ)を誇るコンクリート製灯台として築造されたのですが、その後1951年に余部灯台に日本一の座を譲ったそうです。と、そこまではよくあること。で、2001年に屋根部分の改修を行い、「再び日本一になった」そうなのですが‥。

何だか灯台屋根部分の先端に「とってつけたような」△(三角)がのっかっていますよね。これって何?ちなみにマウスオン画像を見るとわかりますが現在2位の余部鉄橋との高さの差は89cm。ただでさえひょろ長い三角屋根、そしてその上にまた三角というわけですから、これは「日本一奪還のためにわざわざこしらえたのでは?」と思われても仕方ないような気がするんですが(笑)。
ただしここでちょっとフォローをしておくならば、灯台ファンのサイトでいろいろな灯台の画像を見ていると、どうやら「屋根の上の突起物」というのは結構デフォルトのようなんですね。換気のための空気穴でもあるのかも知れません。でも2001年に改修されたのは屋根の部分だけということですから、その時に「これまでより屋根を高くしなければならなかった必然性」はあったのかなぁ、というところですね(笑)。
さて、そんな茂津多岬灯台をあとにしてさらに北上します。この日は朝の段階で「キャンプなら賀老高原キャンプ場だよなあ」と考えていたのですが、やはり雲行きが怪しい(現に奥美利河では雨だったし)ので、今宵もまた宿に泊まるという軟弱路線!(笑)。というわけで、結構お湯の評価が高そうで気になっていたモッタ海岸温泉旅館へと向かったのであります。



宿は最近新築されたばかりとのことでピカピカでした。ワンワンもお出迎え。

この「モッタ海岸温泉」ですが、なかなか苦心&奇跡&希有の湯なのでございます。

まず苦心編(笑)。ここのご主人(今は隠居なさって「先代」なのかもしれません)は道内の別の地域から昭和40年過ぎに移住してきたそうなんです。直接お話しを伺う機会に恵まれたのですが、「土地の値段は二束三文だったよ」とはご主人の弁。ただし、今宿がある場所を含めて手つかずの自然というか原野(森)だったそうで、そこを最初お一人で開墾し、多少なりとも「住める」状態にしてから奥様を呼び寄せたのだとか。宿の山側にある石垣は、最初このご主人が手作業で石を並べたのだとか。いやはや、「そういう時代」だったのかも知れませんが、何ともご苦労が多かったのでしょうね。

次に奇跡編。このご主人は、道内の別の場所(虎杖浜温泉)で温泉の掘削作業に従事なさっていたことがあるそうなのですが、そこで得た知識や技術を生かして「この地でも温泉が出ないものか」と考え、専門家の意見を聞いたところ「ここではろくな温泉など出るはずがない」と否定的な返答しか返ってこなかったそうです。しかし移住後この地域の山を知っていたご主人は、「出るはずだ」と信じて掘削なさったところ現在のような食塩硫化水素泉、しかも加温不要の高温泉が出たというのですから、何ともスバラシイ!

最後に希有の湯編。道南地域の温泉は食塩泉系が圧倒的に多く、硫黄泉は数えるほど。すぐ近くに火山があるわけでもありませんからこれだけでも奇跡の湯といえるでしょう。しかし、これで驚いてはいけません。実はこの温泉、日本でも有数のラジウム泉でもあるというのです。ちなみに過去、北海道医療大学の調査によるとラジウム含有量は北海道で一番多く、あの「二○ラジウム温泉」の3倍近いのだとか。ちなみにあそこはオーナーが変わってからは経営内情が酷いことになっているとかいう話を同宿のお客さんから聞いたこともあり、今回訪問しない理由付けになりました(笑)。

ちなみにラジウムは空気中に放出されるとラドンという気体に変化するとかいうことで(専門家ではないので表現が変だったらゴメンナサイ)、「呼吸浴」とでもいうのでしょうか、浴室内に漂うラドンを吸い込むことによって体内に吸収されるのだとか。ということは、この宿には露天風呂もありますが、温泉の効果を高めるためには内湯浴の方が効果的というわけですね。ふーむ。なお、飲泉も「湧出したばかりのものを飲む」ことによる効果は期待できるそうです。でもいずれにせよ「1泊2日で効果が出るわけはない」のは当然ですね(笑)。

いずれにせよ、今回ラジウム泉についてちょっと調べてみたんですが、三朝温泉を初めとした全国のラジウム温泉は一般に療養に最適と考えられ、数多くの湯治客が訪れているようです(今回の旅行の初日に泊まった秋田の玉川温泉もやはり放射能泉系です)。しかし、ネット上の全国ラジウム温泉情報にここモッタ海岸温泉が出てくることはあまりありませんでした。まだまだ知られぬ名湯なのかも知れません。そしてヒミツの温泉情報も?(ふふふ笑)。



ご主人からいろいろと貴重なお話を聞かせていただきました。ありがとうございました。

順番は前後しますが、いよいよそのありがたき温泉です。海岸近くの高台にある宿ですから、内湯・露天それぞれから日本海を一望できる素晴らしい環境にあります。ただし海岸側には国道が走っているので、露天で嬉しそうに立ってうろうろしていると国道からは丸見えです。ただし、それほど交通量も多くないし、気にする必要などない!気にしてどうする!ともいえますね(笑)。



ここが「ラドン吸引し放題(笑)」の内風呂です。薄白濁の湯は飲用コップあり。浴室内には硫黄臭たっぷり。



露天風呂は小ぶりながらもいい感じ、そしてきっちり日本海がのぞめるのはいうまでもなし!

この日は一日中曇りベースで雨が時折どどんと強く降るという不安定この上ない天気でした。食事前の入浴時は上画像の通りだったわけですが、ちょうど夕食時間に日没タイムとなりました。ちなみに食事の部屋からも夕日はばっちり見えますので何とも嬉しいことです。



この角度から撮るとまるで船の上のよう?(左画像)。ご飯は必要にして十分でもちろん美味しい!

さていよいよ日没時間です。食堂の窓からは逐一の変化がいながらにして眺められます。すると‥。



おおお、このあとはどうなる?(上画像にマウスオンするとスライド動画が出てきます)。

宿の方も常連さんも「こんな夕日は見たことない!」という感じの「真っ直ぐ一筋」に伸びた夕日でございました!

さて翌朝、女性風呂でおしんこどんは「朝一番で入ろうと思って」訪問した女性と遭遇したそうです。その方は「源泉のあまり湯をもてあそんだりして時間をつぶした」ということだったので、われわれもチェックアウト後その「源泉あまり湯」を見学することに。



うーんモッタイナイ‥。

というわけで、このあとは島牧村内のいくつかの湯を目指したんですが、またまた宿題をたっぷり残してしまいました。うーむ。
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