− その13 宿題を多く残した島牧村内温泉行脚と、結局無意味な「道の考察」 −

さて、このエリアにある野湯の獣神サンダーライガー、じゃなかった野湯の重鎮といえば、今や林道崩壊により幻の野湯となりつつある金花湯(小金井沢の湯)なのでありますが、林道入り口に頑丈なゲートがあるのと、そもそも四輪車で進入できる状況ではないのとで最初からあきらめておりました。ちなみにこの約2週間後、machikaneさんが小型オフロードバイクで突入、完浴を果たしております。うーむうらやましいぞっ!

で、われわれはせめて周辺の温泉ぐらいは行っておこうというくらいの軽い気持ちで、まずはモッタから一番近い千走(ちはせ)川温泉へと向かいます。おっと、しかしその前に寄ろうとした栄浜霊泉はロスト。あれー、何で見落としたんだろう?で、こちら千走川にはは見逃すことなくきっちりと到着したわけですが‥



あれー、何てこったい!(マウスオンで拡大画像に変わります)

ま、「ごめんなさい!」といわれてしまっては「そこを何とか」と駄々をこねるわけにもいきませんし、宿の方も外出中ということでしょうか。こればっかりは仕方ないです。で、そこからもう少し進んでいくと、「賀老の滝」の案内看板があったわけですが‥。



ん?何やら張り紙が?(これまたマウスオンで拡大します)

うわーあぶないところだった!昨日の朝あたりは「このキャンプ場に泊まってもいいかな」と思っていたけれど、結局天気がやや不安だったのでモッタに泊まったんですよね。あのままキャンプするつもりで食料を買い足し、この看板まできたらショックはさぞや大きかったことでしょう。しかも、あの表示からして昨晩千走川には泊まれなかったでしょうし、結局モッタまで戻ることになったのかもしれません。セ、セーフっ!

そしてさらに進むと、どうやらここが「重鎮サンダーライガー(しつこい)」への入口のようです。聞いていた通り鉄製のゲートが閉められており(もちろん鍵でロック)、われわれはせめてゲート付近から「これより20km以上奥にあるはずの極上湯」に思いを馳せるしかありません(笑)。と、ゲートのすぐ脇に目をやると?(右上画像マウスオン)

うーむ、それなりに出入りはあるようですね。ちなみに真新しい足跡のようなものもあったのですが、それが靴の跡なのかそれ以外の獣によるものなのかは微妙なところ(笑)。ただ仮に人の足跡だったとして、その人はまさか歩いて湯を目指した?だって1日じゃ帰って来られないだろうに‥。ここはやはりオフ車しかないよなぁ。

さて、いつまでここにいたところで温泉が向こうから近づいてくることはあり得ないので再び移動開始、今度は河鹿の湯へ。

ここは噴湯丘から湯が湧き出して‥いたらしいのですが、かの奥尻大地震後湯脈が細くなり、湯は出ていなかったり出ていたりという噂でしたが、最近の情報では「上からは出ていないが下部からはぬるい湯が湧出している」ことのようでした。しかも数年前まで道路の工事が行われていて現地へは徒歩で延々と歩いていくしかなかったのが、今やその工事も終わり‥というわけで、どんなふうなものなんだろ?と見に行ったというわけです。

宮内温泉から奥に進むと、整備されたダート路に変わります。ダートといっても充分に2車線はあるような感じで(というか、2車線での舗装を念頭に置いた作り)、「これならブラックバードもOKさ♪」といった感じです。で、橋脚部分にさしかかるとこりゃ驚き!

とまで思ってしまうほどのえらく立派な橋が続きます。うーん、「いいものを作りたい」という職人の意志はわかりますが(もちろん冗談)、この道、宮内温泉エリアから奥には誰も住んでいない「非生活道路」なんですけれどねー(苦笑)。そして圧巻は終点直前の「河鹿トンネル」っ!



「トンネルを抜けると、そこは‥終点の駐車場」でした(笑うしかない)。

うーむ、これは何だかもうスゴイ世界です。この奥には登山道があるだけなのに、はたしてこんなすごいトンネルが必要だったのでしょうか?(イマイチ意味がわからない人は上の画像にマウスオンしてみてください)。そりゃ、登山には便利に、山菜採りにも便利になったのは間違いないでしょうが‥。こんなに立派に整備するお金があるなら、金花湯への林道を再整備してよーっ(懇願)。おっと、あちらの林道が整備されない理由をモッタ海岸温泉のご主人に聞いていたんだっけ。
何でも、金花湯近くまで延びる(「延びていた」という方が正しいかもしれませんが)あの林道は、もともと山越えで反対側まで貫通させるルートの一部として計画・建設されたのだそうです。残念ながらその「反対側」というのがどこの町村だったのかについては「焼酎でホロ酔い気分」状態で聞いていたので忘れちゃいましたが(一番肝心なところを忘れてどうする)、いま改めて周辺の地形図を見るに、「せたな側」なのかなという気がしてきました。

というのは、たとえば長万部側というか奥美利河温泉あたりに抜けさせるとすると、標高を含めて相当山深い場所まで工事をすることになり、計画立案そのものはもう何十年も前の話でしょうから、土木技術の問題もあって「いくら何でもそこまでは考えなかったんじゃないか、これが理由の一つ。

もう一つはといえば、海岸線のバイパス路として計画されたのではないかという仮説です。せたなから島牧までの区間を走ったことのある人ならわかると思いますが、茂津多灯台の位置を見てもわかるようにこの区間は山が海ぎりぎりまでせり出しており、しかも最後は崖になって一気に海に落ちている場所が非常に多いです。となれば道路工事には莫大な費用と危険を伴う作業が伴います。さらには悪天時には道路の決壊なども多く予想されるところです。

というわけで、島牧から茂津多岬を経由せず、この地図の赤マーク部分の峠付近を越えて瀬棚に抜ける山越えの道を考えたんじゃないかと推量してみたわけです。‥が、これはあくまで仮説。真偽のほどは温泉のご主人にもう一度聞いてみなきゃわかりません(笑)。
話が大きくそれてしまいましたが、一方で今回ここ河鹿の湯までの道をここまで整備したというのも何だか非常に気になるところです。行き止まりの道路にこれだけ大規模な工事を行う必然性はない‥となれば金花湯方面経由の山越え路案に代わり、今後この泊川沿いの道路が新たな山越え路として工事の手が入っていくのではないかと考えられます。

もしそうだとしたら、いや多分そうでしょう、今後金花湯へはこれまでとは違ったルートからのアプローチが可能になるのではないか?うわー何だかすごく夢が広がってきたぞ!(もちろん、苦労してたどり着いた先達の方々にとっては「えーっ、そんなのないよー!」とお嘆きになることでしょうが)。

しかし大体のところ、「こうなってほしい」というようなはかない望みは、「星に願いを」かけるような安直な努力ではもちろんのこと、もうちょっと努力してお百度参り、さらにはものすごく頑張って千日回峰行、果ては鶴は千年亀屋万年堂のナボナがお菓子のホームラン王になったところで、そうそう思い通りにはならないものなのでございます(くどすぎ)。

つまりは‥こちらをご覧いただければ全てがわかります(笑)。うーん、結局この泊川沿いの道はこのままでオシマイということなのね。



というわけでこれまた大きく話がそれました。話を肝心の河鹿の湯に戻しましょう。

トンネルを抜けると、何と河鹿の湯はすぐ目の前にありました。ただし「目の前」とはいっても泊川の対岸です。ここ数日の雨で川は増水‥しているんでしょうかね(そうでもないかな)。おまけにぽつぽつと小雨も降り出したし‥。うーん、下半身びしょびしょ(しかも一部は結構深そう)、上からもびしゃびしゃというのは何だかなー。おまけにアプローチ場所とおぼしきあたりには蛇くんが「一応ボクもいるかんね、一応覚悟してね」と自己主張しているし‥


根性なしと言わば言いなさいっ!その通りですんで(苦笑)



直線距離にしたらほんの少しなんですが‥(ちなみに右上画像、噴湯丘の下には手作り湯船が見えてます)。

実際のところこの日はこのあと大移動が控えていて、あまり時間を取りたくなかったという本音もあるんですが、やっぱりちょっと無精すぎたかもしれません(笑)。よし、今度はブラックバードで来ようかな。

さて、結局どの湯にも入らないというのはやっぱりナニなので、宮内(ぐうない)温泉にだけは立ち寄ることにしました。こちらはきちんと営業していてほっとしました(笑)。

この日はかなり蒸し暑い日でありまして、そんな中わざわざ汗をかきに昼前から温泉に入ろうとするもの好きさんは少ないらしく、お客さんの姿は他になし。あまり特徴のないお湯ではありますが(失礼!)、湯ったりタンノーいたしました。

ちなみに女将さんと話をしていたら、この宿のあたりはまさに温泉の関係で地熱が高く、「冬はともかく、夏は下からも熱が上がってくる感じで本当に暑いんですよ」とおっしゃっておりました。なるほどねぇ。

なお、この温泉近くの道路上には異常発生したバッタがそれこそ何百匹何千匹という単位でたむろしている場所がありました。そこを車で通過したんですが、1時間ほどクルマを走らせたあとで何気なくフォグランプ周りを見てみると‥

いろんなところにバッタが挟まったままになっておりました(笑)。あちゃーキミたちにとってはえらい災難だったねぇ。と同時に、シールドなしのヘルメット着用であの場所を通過したらさぞかし痛かっただろうなと(笑)。さらに驚いたのはこの翌日、どしゃ降りの雨中走行を抜けてとある温泉に立ち寄り入浴を果たしたあと「そろそろあのバッタくんたちを除去するか」と思い立ち、木ぎれで取り出していたところ、そのうち一匹がまだ元気よくジャンプしていったことでありました。あいつ、生命力あったなー。

というわけで島牧村のはここまで。なーに、また来ることもきっとあるでしょう!
[戻る] [次へ]