− その18 小湯沼訪問2007夏 −

ニセコ五色から山を下り、今度はニセコ湯本温泉へと移動です。そして湯本温泉の源泉はといえば言わずとしれた大湯沼。しかしどうやらその上流にはもう一つ小湯沼なる湯沼があり、危険ではあるが湯を楽しむことができる(もちろん自己責任でね)という話は前から聞いておりました。

しかし問題はそこにたどり着くためのルートです。基本的に野湯紹介のサイトではルートについてぼかすのが不文律で、わずかながら断片的に示されている情報を総合し現地にてオリエンテーリングよろしく探すことになるのが普通です。ただ今回、ここ小湯沼についてだけは「かなり参考になりそうなページ」をコピーして持参していました。かつてあった遊歩道は完全に廃道化していて通れないので、そのコピーが唯一の?資料だったわけです。

というわけで、のっけから入口を間違えたりしながらも、その資料に出ている人工物にたどりつきました。すると‥たしかにビニールテープが木の幹に巻かれています。うーむここかぁ相当手強そうだぞと思いながら、おしんこどんとともに薮漕ぎを開始しました。



薮の奥にビニールテープが巻かれているのが見えます。

しかし、直線距離にしてほんの5mも行かないところまで進んだところで、「このルートは違う、絶対に違う!」Takemaの中の野性が叫びます。というわけで戻ったわけですが、あそこは踏み跡どころか人が通った痕跡もほとんどない場所だったのに、薮の奥に巻かれたビニールテープはいったい何を意味していたんだろう?

さらに周辺を探索(荒れた林道を車でえっちらおっちら。4WDだから何とかね)すると、今度は「いかにもそれらしい」場所に出ました。こ、ここが入口か?

今度はかなりもっともらしい場所ではあります。ビニールテープはばっちりあるし、そこから下り加減に延びている旧歩道らしきものもありますし。しかし、周辺の地理的状況を考えると「これは絶対に小湯沼に続くルートではない」ことが確信できたので、この道に足を踏み入れることはありませんでした。結果は大正解、アブナカッタ。

で、「本当の入口」は、最初のランドマークから少し戻ったところにあったのでした。「急がば回れ」とはまさにこのこと。というわけでいつ泣き出してもおかしくない曇天の中、小湯沼探索行はスタートしたのでありました。

「これってたぶん、昔は林道だったんだろうな」と思われる道を下っていきます。とはいえ今は全く手が入れられていませんから、ひどいところでは左上画像のようなブッシュウォークになっていたりします。ただまぁ足下はしっかりしていますんで迷うことはありません。

しばらく行くと、ちょっとした広場のような場所に出ます。そこからはいよいよ山道ということになりますが、広場周辺をよく見ると踏み跡が山の斜面に延びているのがわかります(上中央画像)。しかしここからはなかなか難渋ルートとなります。

たぶん昔の遊歩道だった?と思われるこの歩道、ここも全く手は入れられていませんからブッシュが道に覆い被さっています。そこに昨日来の雨や霧による水滴がたっぷり。それを少しでも避けようとすると、必然的に「腰をかがめた老人スタイルウォーク」で行くしかありません(右上画像)。

しかしそれでも身体も靴もびしょ濡れです。しかし幸いなことにルートそのものはしっかりしています(これもいつまで何とかなることやら?)。20分ほど疲れる姿勢のまま移動していたら、まず最初に何やら臭いが。うん、硫黄臭です。そしてさらに、左下の木の間越しに何やら広い場所が見えてきた?あれはもしかしてもしかする?


ちなみにここに来るまでの間に指導標等は一切ありませんでした



憧れの小湯沼全景。対岸(旧歩道入口付近)におしんこどんがいるのがわかります?

ここまで来たらどこからでもいいから即入浴っ!といきたいところですが、実はここはキケンな野湯でもあります。というのは、小湯沼は見た感じよりもずっと深いらしく、そして内部からは湯とともに湯泥も多くわき上がっているためか、岸から少し行ったあたりで突然足がつかなくなったりするのだそうです。しかも何とか踏ん張りたい足の下には底なしの泥。それこそ一歩間違えば「沼の神に引きずり込まれてもおかしくない」恐怖の沼だったりするわけです。

しかしその一方で、この沼の一角の岸辺には先人が手を加えた湯だまりがあるという情報も。というわけで岸を歩くわけですが、場所によっては地盤そのものが弱い場所もあるそうなので、万が一沼に滑り落ちたりすると底なし沼にはまってさあ大変♪ということにもなりかねません。くれぐれも自己責任の上で慎重な行動をお願いします。時計回りが無難かも。

そして歩いていくと、ありましたありました!



おおおおおっ!ここですここここっ!

そこには浅めとはいえ十分な広さの湯だまりがありました。ちなみにこの湯だまりの底は泥ではなく小石や岩ですので、ずぶずぶと沈んでしまうこともなく安全安心です(笑)。よし、それでは今度こそいざ湯浴み開始です!



うふふふ、うふふふ(意味不明なれど喜びの度合いは伝わるかと思います)。


「小湯沼突入〜湯ったりの図」

ここには何としても来ておきたかったんで、いやぁ嬉しかったぁ。

 Wmv形式、1.99MB、53秒


ちなみに、「安全な湯だまり」の先には「湯泥の沼」が「ほぉーら、こっちも気持ちいいよぉ♪」とばかりに広がっているのですが、ま、今回は無理をせずに眺めるだけにしておきました。ちなみに岸辺付近の沼の表面はといえばご覧の通り。



あわ泡アワワワ状態で何ともいえず不気味?(笑)。

さらには、ここ小湯沼から流れ出す湯はそのまま馬場川となって大湯沼方面に流れていくんですが、天気のほうも不安だったし川そのものも泥湯川で洗うのも大変そうだったし、そもそも流れ出し部分における湯温がそれほど高くないので今回はパスしました。‥って、次はいつ訪問するのかわかりませんがTakemaとしてはまあいいかなと。そもそも小湯沼に行かれたこと、まがりなりにも湯を楽しめたこと、それだけでもう十分でございます(笑)。



湯沼から流れ出す馬場川はここから始まります。

帰りは勝手知ったる道ゆえどんどんと戻ります。何とか雨にも降られずによかったねと思いきや、何と車に戻ると同時にポツポツと降り出したかと思ったら一気にどしゃ降りに!いやはや、あのあと沼の湯や馬場川の湯に浸かっていたら今頃は山道の途中で濡れネズミになっていたこと間違いなし。危ないところだったねと胸をなで下ろしたわれわれだったのでありました。

さてそれでも朝露で服は濡れてしまっているし、汗もたっぷりかいたので、ここはニセコ湯本温泉で身体を洗って着替えてさっぱりしようというところです。というわけでいざ行かん国民宿舎雪秩父!



結構鄙びた感じに古びているところがかえっていい感じに思えました。

さてこの宿の売りはいくつもの露天風呂らしいのですが、先ほどから降り出したどしゃ降りの雨が相変わらず降り続いておりまして、露天に浸かりながらまったりとはいきません。いや濡れるのはもう構わないんですが、大粒の雨が湯面に着水して湯を跳ね上げるので、全然落ち着いて入っていられないんです。ま、それでも何とか入りましたけれど、デジカメくんにとっては試練の時となりました(笑)。



少し雨の勢いがおさまったところで駆け足入浴(一枚だけマウスオンで画像が変わります)。大湯沼風呂だけは閉鎖されていて残念。

お風呂から上がってアイスクリームなどを食べているうちにさしものどしゃ降りの雨も上がったようです。というわけですぐ裏の大湯沼を散策することに。

うーむやはり小湯沼に比べて湯温は圧倒的に高いようで、沼から立ち上る湯気の量からして全然違います。というわけで周回路を歩いていくうちに何やら朽ちた木道発見!どうやらこれが小湯沼へと続くかつての歩道の名残りのようです。すでに朽ち落ちてしまっていますが、そもそもそこから先の斜面を見ると、もはや「どこが歩道だったのか全くわからない」ほどに自然に還ってしまっているのが一目瞭然。古い情報だとここから歩いた記録も残ってはいますが、このルートはもはや「歴史の1ページ」として封印されてしまったようですね。

このあと沼の下流側にある足湯にて湯に足をつけるやいなや、再び大雨が降り出しました。傘は車に置きっぱなしだったんで急いで靴を履き、上の駐車場までダッシュで戻ったわけですが、せっかく着替えた服がまたもかなり濡れてしまいました。実は足湯のあとはそのまま下流に延びる遊歩道を歩いてみようそして出来れば入浴適地を見つけて入っちゃおうと思っていたんですが(笑)。

さてこのあとは雨のニセコに見切りをつけて(うそですテントは張ったままだし)、一気に日本海側まで山を下りていきます。まだお昼前だし長距離行脚?



何だこの画像は?いやいや、小湯沼を目指そうとされる方へのサービスショットということで(笑)。

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