− その2 切明温泉「それぞれの湯」をタンノーするの巻 −



さぁって、この沢のちょっと奥に極楽があるのだから!

屋敷温泉を出発したあとは一路切明温泉を目指します。それにしても中津川沿いの、直線距離にして10kmあるかないかの川沿いに単純泉あり赤湯あり硫黄泉ありというのはここ秋山郷の山深さ湯深さを如実に表していますね。

のよさの里は明日に回すってことでそのまま通過し、和山温泉の仁成館には過去に3回行っているので(お気に入りというよりも、何だか看板がすぐに目に入ってついつい行っちゃうという感じ)、さすがに今回はパスしようということで、和山集落方面への除雪路をパスしあえてわだちのみのショートカットルートを進みます。



ゆっくり目で普通に走れば滑らないんだなースタッドレス、と実感しましたわ。

で、再び除雪路と合流です。この時間になると除雪路の路面は完全に雪なしで、バイクでも走れそうな感じですね(でもどうせ翌朝は凍結しちゃうはずなんでバイクは絶対無理)。さてここまでくれば今宵の宿「切明温泉 雪あかり」は近いはず‥と思いながら車を進めていくと‥




(どうやらキツネか何かは通ったみたいですが(笑)。

あのー。宿に向かう道が‥いや宿自体云々(唖然)。

一瞬大不安になりましたが、でもちょっとしてすぐ不安解消自信復活。だって立地的には「切明温泉」なのですから、他に2軒ある別宿の側から冬期搬入&搬出&お客様お車ルートが続いているんじゃないかと思ったわけですね。というわけでとにかく冬期の秋山郷終点である切明温泉「雄川閣」へと到着しました。が‥



あのー、やっぱり宿への道は除雪されていないし車のわだちもないんですけれど‥

この瞬間、「もしかして予約した宿は秋山郷とは全く別の同名宿だったのだろうか?」という不安がむくむくと(笑)。でもなー秋山郷で探しながら電話したはずなんだけれどなぁと思いつつ、でもいいかげんお腹が空いていたので雄川閣の食堂でお昼をいただくことに。ここでTakemaがなぜ「もつ煮込み定食」を注文してしまったのかはわれながら謎です。いや美味しかったんですが、「もつ煮定食」を頼んだのはたぶん人生で初めてだと思います(笑)。

そういえばこの時食堂の外で猫が「一面雪の中唯一雪が溶けている(温かいと思われる)温泉のバルブ蓋の上」で座っていましたっけ。しかし蓋のサイズがあまりにも小さく、お尻と後ろ足を乗せたらもう目一杯、というわけで常に前足の一本を中空に置きながら休んでいる姿が印象的でした。



あんたね、あんたの後方にある雪が溶けているところはパイプダイレクトなんだからもっと温かいし全肢を投げ出してゆっくりできると思うんですが?(笑)。

さて昼食後にフロントで肝心なこと(今宵の宿「雪あかり」について)を聞いてみると、そこには思いがけない伝達がなされていたのであります!いわく、

う、うそでしょ!(笑)。しかしこれが秋山郷の現実なのかもしれんと思えばさほど腹は立ちません(でも「あー、何で雄川閣に予約を入れなかったんだろう?」とちょっと後悔はしましたが)。

ただし今回の旅程におけるメインポイントともいえる「中津川沿いの河原を掘れば出る湯」はここから行くのがいちばん近いはずです。いずれにせよまだ時間は早いし(13:30頃)、宿への雪中行軍は後にしておいて、かの有名な河原の「湯」に行ってみましょうか!

雄川閣のすぐ下にある吊り橋を渡るんですが、この橋の上が一番雪深かったような気がします(笑)。中央部は深さ30cmくらいあったでしょうね。ちなみに左上画像にある「通り抜けできません」の先は雑魚川林道です。無雪期でもここから志賀高原まではきついぞー。スピードは出せない舗装林道だけれど、とにかくクラッチをいじくる左手がへろへろになった気がします。ただし逆コースで下ってきてここから帰る道も「疲れた手首足首及び一番へたれているはずの腰」にはかなりきついんですけれどね。ま、一度行ってみて下さいって=ライダー各位。

さて橋を渡って踏み跡をたどります。大した距離ではないしここは「超有名野湯」のはずなんですが、とにかく雪となると勝手が違うのか、先人の足跡は「2人*往復+α=のべ4-5人の通過かな」という感じでした。実は雄川閣の食堂から外を眺めていたら先ほどの滋賀の旦那さんが歩いていくのを見ていましたから、あの人が最新の足跡を付けたわけですね。



雪の撮影は補正しないとこんなふうに雰囲気が一気に変わっちゃうという見本ですね(苦笑)。

てくてくと歩いていくと、なるほど源泉地帯に到着っ!たーしかにこりゃいろんな意味ですごいところかもしれん。

河原の脇に設置されたヒューム管からは熱い源泉が湧き出し、そのまま河原方面へと流れ出しています。この源泉を利用して大きな湯だまりがいくつも作られていました。予想通りあらためて掘る必要はなかったので、スコップは車の中に置いてきて正解でした。

というわけで河原にて着替えようとしたところで、おしんこどんいわく「ケモノの臭いがする!」。うーんなんだなんだと思ったらすぐさま岩陰に「大きな置きみやげ」発見!何やらの糞ですね(お食事中の方ゴメンナサイ)。‥大きい。あまりにも大きい糞(しかも並んで二つ)。人類は果たしてこれだけの量を一度に脱糞することが出来るのかどうか(しかも同量のモノが二つ並んでましたからね)。ちなみに自分だったらたとえ一つでも内臓まで絞り出さないとひり出せませんです(何のこっちゃ)。こりゃツキノワグマの糞だったのかな?もちろんティッシュ等も落ちていなかったし、しかもわざわざウンチングスタイルで約60cmを移動してあらためてひり出すというのも「万物の霊長」といわれる人類の仕業とは思えなかったんですけれどね。

ま、いいや(笑)。湯だまりに影響を及ぼしている状況ではなかったんで、そのままお湯に直行です!



あー、素晴らしき哉切明の源泉野天風呂!



おしんこどんも湯浴み着で入浴です。


「切明の河原野湯全景」

この時期に来てよかったです。人がわんさかいたら多分入らなかったでしょう。

Wmv形式、1.02MB、26秒


多少ぬるいところでも、川底の砂をちょちょいっと手で掘れば暖かい部分が露出するのでこれは何ともいい感じです。先客の旦那さんも途中で上がり、後半は貸し切り状態でゆっくり出来ました。ちなみに下流側の対岸には雄川閣があるので向こうからは丸見えですが、ま、逆を言えば向こうの露天風呂もこちら側からは丸見えなのでおあいこですね。

さてそんなわけで切明の野湯(あまりに宿に近いのであえて野天湯というべきかも?)をタンノーしたわれわれは再び駐車場に戻ってきたわけです。さーてそうなると次なる難関、「今宵の宿までどうやって行くか?」というきわめて現実的な問題が立ちはだかってくるわけですね。前述した通り「雪あかり」へ通じる道は車のわだち一つないのです(ちなみに雄川閣側からの道には人が歩いた跡はありましたが)。

路面状態がわからない以上、いくら4WDとはいえ新雪の登り坂の道に突入するのは無謀でしかありません。やはりおっしゃる通り荷物を持ってこの雪道(積雪30cm弱)を「先人の足跡=1人」に従って歩いていくしかないんだろうな、足はびしょ濡れになるだろうけれど仕方ないかな‥と思って荷物の準備をしようとしていた矢先、突如として希望の光がわれら2人を照らしまくったのであります!

そう、われわれにとってはまさに救世主とも思える「日本郵政公社」の軽ワンボックスが勇ましく走り下りてきたのであります!もちろん雄川閣さんに荷物を届けに来たようなのですが、この時のTakemaの行動は素早く(笑)、車を停めた職員さんに道の状況をお聞きすると「大丈夫だよ」のひと言。この区間の道路状況を熟知している方のご意見はもちろん、「お手本」といえるわだちを付けてくださったドライバーさんに感謝感謝大感謝ということで、われわれも憧れの「車で宿まで」を決行することにいたしました(笑)。

いざ進んでいくと、やはりただ一筋のわだちでもこれがあるとないとでは大違いですね。車両の幅が違う&登り坂というところは排気量でカバーできたのか、全くひやりとすることもなく宿の前まで到着することが出来ました。でもこれも4WDという安心があったからかな、ちなみに後から来られた方はFFということもあり、うちの車ののわだちはあっても「念のため下から歩こう」という結論に達したそうです。お疲れさまでした。

さてそんなわけで到着した宿である「雪あかり」ですが、われわれの到着と同時に出てこられたご主人によると、この宿に通じる2つの道はそれぞれ私道のため除雪はどうしても公道の後に回される(もちろん有料)とのこと。しかもこの宿自体が間もなく冬期休業に入るということもあり、「予約時の連絡先(携帯)には何度も電話を入れたんですが‥」ということでした。申し訳ありません、わたくし携帯電話は普段「カバンの中に入れているだけ」というのが実情なので(苦笑)。



宿の入口には大量の薪が積まれておりました。リラックスモードのロビーに置かれた薪ストーブはもちろん活躍中(中央画像マウスオンで拡大画像に)。

でも、この宿の造りは何だか不思議です。これだけ山の中=春や秋はとことん冷える場所なのに、なぜかロビーと食堂部分は体育館並みの広さを誇る吹き抜けなんですね。これじゃ暖かい空気は無意味に上空にたまるばかりですよねぇ。もしかして、もともとは大学などの合宿を前提に造られたのかな?と思って聞いてみると、どうもそうではないみたいですね。

でもこの日の予約はわれわれともう1組だけということで(前述の雄川閣から歩いて来られた男性2人組)、温泉はそれこそ貸し切りで湯っくり楽しめたのであります。源泉は切明河原からの引き湯ということで季節柄ややぬるめではありましたが、外の雪景色を眺めながら掛け流しの湯をタンノーする心地が悪いわけはありません。そうそう、この宿には露天風呂もあるんですがさすがにこの時期は湯を溜めていません。ぬるすぎるでしょうしね。



とやかくは申し上げません。あー、幸せですよぉ!



宿のご飯は普通ですかね。でも「熱いものを熱いうちに」という姿勢には好感が持てます。

そういえばこの地域の特産の一つにマタタビがあるみたいで、夕食に供された酢漬けが気に入ったわれわれは、この翌日しっかり道の駅で購入しましたっけ。

このあとはもうひたすらウダウダと。気がつけばロビーで男性二人組との話に花を咲かせておりました。さすがこの時期にこの地を目指す方というのはなかなかの強者ばかりと見えて(いやわれわれはへたれ系ですが)、かなり濃厚な旅話を伺うことが出来ました。あ、拙サイトのURLをお伝えすると言ったのに忘れちゃったことがたった今判明(大汗)。

さてそんなわけで、翌日は「予想以上の大移動」と相成りました。長野県はやっぱり広いということを実感できていなかったTakemaとしては大失敗の宿予約、何で乗鞍なのよ?
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