− その5 世古の湯上がりに「振り込め詐欺」?さらには野生イノシシまで! −



こ、こ、これはもしかして‥そう、野生のイノシシが道端に吊られておりました。恐るべし南伊豆。

さて宿を出発し、とりあえず中伊豆方面へと山を越えてえっちらおっちらコースへと進みます。バイクでも通ったことのある県道59号線へ。結構広いワサビ田があるんだよねーということでずんずん進んでいきましたが、と、



したがって、この広大なワサビ田も夢の中で見ただけだと思われます=おしんこどん爆睡中。



今は収穫時期ではないので誰もいませんでしたが、春になるとこのモノレールが元気に動き出すのでしょう。

そんなわけで爆睡おしんこどんとともに湯ヶ島へ。当然「前回初めて来てみたら朝のお掃除タイムと重なって涙を飲んだあの湯」のリベンジに訪れたわけです。入口を見ると‥むむっ今回は階段手前の鎖ゲートが開いております、こりゃ行かれそうですぞよしよし。

というわけで「世古の大湯」目指して階段を下りていきます。ちなみにおしんこどんはいまだ「眠りの神様」から解放してもらえないらしく「わたしゃいいわ、車で寝ているから」ということで、Takema1人での訪問となりました。ちなみに湯小屋の入口に掲げられた看板には「瀬古の大湯」と大書されていますが、それ以外の但し書きは全て「世古」なんですよね。本当はどっち?

湯小屋は完全に男女別で、その境にあたる部分の壁に利用料金の志納箱が、「ある種この大きさに似つかわしくないほど」大きな鍵とともに据えられていました。昔からこんな大きな鍵ではなかったことでしょうが、無人の施設ゆえ不逞の輩がひどい振る舞いをすることもあったのでしょうね。利用時間が夜9時までと多少短くなったのもたぶん‥。それでもこうして一般客の利用を許可して下さっている地元の方々に感謝、感謝です。利用の際は「入らせてもらう」気持ちとマナーを大切にしましょう>ALL。なお上の両画像ともマウスオンすると別画像に変わります。
ちなみに入浴時のマナーを守ることはもちろんですが、先客の方がいる場合などは必ずひと声かけて入りましょう。地元の人にとってみれば、見たこともない部外者が無言で入って来て、その正体不明の者と無言のまま同じ湯船に浸かるというのは、どうも落ち着かないしいい気はしないはずです。都会のスーパー銭湯や巨大温泉ホテルの大浴場とは違うのですから、わたしは必ず「こんにちは、失礼します」と声を掛けるようにしています。

あと、同じく先客さんがいる場合、現在はカメラも最初から持ち込みません。貸し切りになるのを待って取りに行くか(もちろんその時もちゃんと身体を拭きましょうね)、または二言三言会話を交わして自分が「アヤシイ者ではない」ことを理解してもらってから「あのー、実はカメラ云々‥」と切り出し、許可をもらってから脱衣場に取りに行くというのが多いです(ただしこれは宿の湯がほとんどで、共同湯ではほとんどやりません)。
しばらく入っていたら先客さんが出て行かれたので(いや本当はかなり粘って待っていたんですが(笑))、カメラを取りに行き撮影開始!

浴槽は2つ並んでいますが、向かって左側に湯の投入口がありそちらが適温ややあつ湯、右側がぬるめの湯になっています。源泉は浴槽の底に投入される仕組みになっていて、出口付近に足を近づけてみると‥あちちっ!(苦笑)。石膏臭のするやさしいお湯でございました。

湯小屋内や浴槽内は古いながらも綺麗に手が入れられ、湯の汚れなども感じることなく満足満足、日々清掃をなさっておられる方々に感謝して世古の湯をあとにしました。

と、ここで携帯を見ると着信履歴が。誰だろうと思ったらTakemaの母からです。何かあったのかなぁと電話してみると、「今、どこ?」「どこって、まだ伊豆にいるけれど?伊豆経由で奈良に帰省するって言ったじゃないのさ?」「あーやっぱりそうだよね(何となくほっとしたような声で)。」一体どうしたのかと聞いてみたら、

以下、Takemaを騙る人物と母のやり取りを簡単にね。まずは初日夜のやりとりから。
Takema母 「はい、もしもし」
偽Takema 「あー、ボクだけど」
Takema母 「何だか声が変だけれどどうしたの?」(Takemaはちょっと声のキーが高いんです)
偽Takema 「いやー、風邪ひいちゃって‥」(常套手段ですね)
Takema母 「で、今どこにいるの?」(上記の通り母には夫婦で帰省することは伝えてあります)
偽Takema 「い、家だけれど?」
Takema母 「家って、どこの?」(ちなみにうちは二世帯住宅ですんでね)
偽Takema 「あ、友達の家だよ」(何かヤバイと悟ったらしくごまかす)
「ところでちょっと話がしたいんだけれど、明日午前中、もう一度電話したいんだけれど何時ころならいる?いや、悪い話じゃないんで心配しないで大丈夫なんだけれどさ。」
(このままの流れだとばれてしまうと考えたのか強引に話を展開)
Takema母 「うーん、10時ころだったら大丈夫だよ」(何か変だとは思いながら完全に振り込め詐欺だとまでは思わなかったらしい)
偽Takema 「じゃ、また明日その時間にね」
わたしが母に電話するときは(二世帯住宅だからあまり外から電話する機会はないんですが)必ず「もしもし、○○(Takemaの名前)だけど。」と名乗るようにしているんですが、いざというときの効果はなかったようですね(笑)。でも、「家って、どこの?」は大変効果的だったようで、偽Takemaの動揺が目に浮かぶようです。こういう時こそ相手に「5W1H(※)の質問シャワー」を浴びせれば電話はさっさと切れたと思うんですが、さすがにそうもいかず疑いきれずに明日のアポタイムを「予約」してしまったそうなんですね。
(※)5W1H 中高あたりで習ったかと存じますが念のためあげれば「When=いつ、Where=どこで、Who=誰が、Why=どういう理由で、What=何を、How=どのようにした」ですね。このどれでもいいからいくつか相手に質問すれば(選択問題はダメよ(笑))敵さんは当然答えられませんから電話を切るしかなくなるというわけです。と同時に、敵さんはいかにしてカモの個人情報を手に入れようかと必至ですから、この5W1Hに関する情報をカモが漏らしたら全てデータベースに組み入れ、そこだけはリアルな情報を話してきます。

警察等が「受けに回らず自分から何か質問してください」というアドバイスを流すのももちろんこのことを念頭に置いているわけなんですが、いざとなると相手のペースに乗せられてしまうのが痛いところですよね。誰だって最初から「親族を名乗る相手」を疑いたくはないでしょうから。

個人的に思うんですが、声が違うところを指摘されて「風邪をひいた」と言い逃れをするしかない所を逆手に取れないかと思うのであります。
偽Takemaとすれば「翌日約束した時間に電話を入れればもう自分の息子と信じた状態で話をするだろうから、仕事がやりやすいはずだ」というマニュアル通りに話を展開させたんでしょうね。しかも「悪い話じゃない」と安心させ、翌日の電話までにいろいろと考えさせようとするところが(各家庭ごとにいろいろな事情があるはずですから多分親はその事情に勝手にあてはめて想像してしまう)何とも姑息ですね。たぶん翌日の電話における本題の第一声は「で、何だと思う?」で決まりでしょう!そこでカモの相手から発せられる言葉は個人情報の宝庫ですから、あとはその情報を利用しながら「いかに金をせしめるか」系の話に持ち込んでいくはずです。

しかし、偽Takemaの企みは思うとおりには進まなかったのであります。明けて翌日10:00、やはり疑いを捨てていなかったTakema母!
Takema母 「はい、もしもし」
偽Takema 「あーボクだけど」(たぶん昨日の初電話と同じように「風邪をひいた声」だったんでしょうね)
Takema母 「ね、今どこにいるの?」(で、でたー「Where」攻撃!)
偽Takema 「家だよ、帰ってきたから」(あーあ、やっちまいましたな‥)
Takema母
偽Takema 「ブチッ!ツー、ツー、ツー‥」(以上、完全打ち止め終了でございます)
そんなこんなで何とか無事に「振り込め詐欺」の災厄から逃れることの出来たTakema母だったのであったのだそうです。でも世古の湯の駐車場でずーっと母の話すこの出来事を「へーへーほーほー」と聞き続けていたTakema、傍で見ている人がいたら(いませんでしたが)「何の長電話、しかも本人はへーへーほーほーと相槌しか打っていないし‥」と不思議に思ったことでしょう。でも幸いずーっとだーれもいませんでしたのでまぁよしよし。

そんなわけでわが一家のセキュリティ対策を母にきっちり教え込んだ上で(要は「手の内を明かしちゃダメよ」「質問とその答」、特に変な声の場合。あと、職場で公金を使い込んだりしていることも一切ない「清い生活」を送っているということもね(大笑))、そのあと車に戻って爆睡おしんこどんを起こし上記の出来事を伝えたら、どうやら「睡眠の悪魔」も一気に退散してくれたようでした。それにしても危ないアブナイ。ま、うちの場合は「じゃ、あんたが家に帰って来てからおしんこどんと一緒に聞くからね」のひと言で全てが解決するんですが(笑)。

さてそうこうしているうちにすでにお昼をはるかに回り(花吹雪を出発したのが11:00ですから当然です)お腹空いてますー!しかしこの日のお昼ご飯は「今日こそちゃんとしたお蕎麦」と決めていましたので、「そば、うどん、名物ラーメン」などという店では食べたくないのでありますよ。湯ヶ島からは下田方面に向かって南下していったのですが、期待していた天城峠手前にもそのような店はなし、七滝付近の国道にもなし、このままいけば河津の浜に出てしまいますが、

というTakema頭の中のデータベースをほじくり返して山越えの国道へ。実はその途中にも蕎麦屋があったことも覚えていたのですが‥やはり年末近い平日だからなのかあえなく定休日で敗退していたのです。

で、観音温泉方面に向かっていきます。昭吉の湯分岐の少し手前右側に幟が出ていたと思ったがと思いつつ探すも見つけられず分岐まで。戻る途中で「あーここだったここだった!」と気づいた建物の前には枯れ草が生えまくっておりました。残念、廃業しちゃったのね。

しかしノスタルジーに浸っている場合ではありません。「痩せたソクラテスよりも太った豚になれ」という格言ではありませんが(ん?何か変?(笑))、いいかげんお腹が減っているのと同時に、「食べるのが遅くなればなるほど夕食時間との間隔が狭くなる」というわけで、今日の宿ごはんは何となく直感として「大漁大量系」を予想していましたので、できれば早めに‥あ、でももう午後2時も回っちゃったぞというころ、下田の手前でようやく「蕎麦専業店」発見!



比較的大きなお店でしたが、お蕎麦はちゃんと手打ちで及第点、満足しました。

さてこのあとは完全な平日の午後3時過ぎにもかかわらず下田市内のR414&裏道ともに大混雑という不思議な渋滞に遭遇(見た限り事故渋滞ではなかったみたい、一番の原因は信号の点灯時間バランスの設定ミスとも思われるが?)。

ところで、市内ってまさかいつもこうなのでしょうか?10分で40-50mですよ、しかも裏道=普通は地元民御用達の道なのに。もしそうなのだとしたらここにはじぇったいバイパスはケチらず作るべきだと思いますよ(市街地を避ける形のトンネルで)。というか、伊豆の東側と北側は必ず混むんだから伊豆中央道のようにセコい有料道ではなくて(日々かかる料金を惜しんで地元の人が使わないのでは意味なし)、それこそいろいろ問題としてあげられている無料の高規格道を作るべき。その恩恵を受ける人の数&経済効果は「奥山高速」の比ではないんですからね(本来はこっちでしょ?なんで使われない道を無料で造るの?)。

最近は関東近辺の一般有料道も「ペイ出来る見込みが立たないんで」無料化している所も多いですし(この場合都道府県の道路公社運営が多い)、国交省は今ある「開通に関して自らが絡んでいる」一般有料道については自分のフトコロを削って何とかした方がいいと思うよー。

「当時の先輩官僚の判断は当時としては妥当なものであったが(←ここ重要ね)社会情勢の変化によりその方針を一部(ここ重要ね)転換せざるを得ない状況に来ていると判断されるので」とか言ってさ。

なお地元商工観光団体から「市内中心部を通らない通過客が増えてしまう」という反対意見が出るのは当然だと思いますが、じゃ、その観光客のうち何割がこの渋滞を気にせず今現在その店に来ていると思います?もっと言えば「休日の下田市内は混むから行きたくない」と思っている人がどれだけいると思います?(これは下田や伊豆半島エリアの皆さんに対する直接的な不満では断じてありませんので念のため)。大切なのは発想の転換です。今まで通りにやっていけばやがてジリ貧、ではどう変えていくのか、そしてその変化の過程でどのような対応をしていくのか?

下田に限ったことではないんですが、首都圏を集客圏とする観光地の中でも伊豆半島の道路インフラはいいとは言えません。「行きたいときに行かれない」のが実情です。東名道もそうなんですが(細すぎる)、そこから下りた先がさらに細いんでねー。古くは新婚旅行のメッカであった熱海や伊東、そしてその後は伊豆半島全体が「来るなら来ていいよ、ちょっと大変かも知れないけれどねうふふのふ」系のお天狗様になっていた部分もあるのではないでしょうか。民間も、そして行政も。東京側から伊豆半島に向かう一般国道のお粗末さを考えてもそれはわかると思いますよ。



何だか某政党の言い分そっくりになってきたような気がするんでこの話はここまで!もちろんTakemaが「実は政界を目指している」と思っている人は皆無だと思いますが(笑)。

R414系道路からR136(伊豆周遊道路)に入ると、分岐の交差点を含めて上下線とも何なのさというくらいに(車はそこそこ多いながらも)さばさば流れておりました。一体何があったのか何もなかったのか(=いつものこと)?ちなみに年間でも一番観光客が少ないタイミングでの訪問だと思うんですけれどねー。

さ、そんなこんなでR136をまずは西へと向かいます。石廊崎への県道分岐でちょっと心動きましたが、今回はバイクでもないので無理して行かなくてもいいやということで国道を行くことに。で、たぶんこの内陸を行く国道を通るのは初めてではないとは思うんですが(断片的な景色の記憶あり)、あのさ、

昨日の今日で源泉井が雨後の竹の子のように出来ることもないでしょうからたぶんずっと前からこうだったんでしょうがこれは驚きました。ん?某高級果物のハウス?次回は是非行こうかな?バイクでね。入れるのかな?

しかし今回は熱帯植物園も銀の湯会館もパスしたのであります。そしてそのまま国道を進んでいったわけですが、あれま後で地図を見たらショートカットルートがあったんですね。後続の地元車が右折していったのはあの分岐だったのか。しかし、そのおかげで「いいモノを見せてもらった」のであります。

しばし走っていくと石廊崎からの県道と合流し、ちょうど県道側から来た軽自動車のうしろについたのです。ゆっくり系の地元ナンバーだしくねくねしているからまーいいか、と思っていたらその軽がとある家の前でウィンカーを出して止まろうとします。じゃ抜こうかとした時にあるものがTakemaの視界に入ったのと、おしんこどんが「ちょっと待って、あれは何?」という言葉を発したのはほぼ同時(だったと思う)でした。



それはまさに国道のすぐ脇だったんです。先ほどの軽自動車が止まったのはその真ん前で、車から降りた皆さんはそのイノシシとは正面反対側の家の関係者の方のようです。というわけでその20-30m先で急停車したTakemaはさっそく様子を確認に(笑)。

すぐ脇のニワトリ小屋で餌をやろうとしていたお姉さん(先ほどの軽のドライバーさんみたい)に事情を聞いてみるとやはり、

地元南伊豆エリアで獲れるイノシシの中でもかなりの大物だそうで、確かに数ヶ月前に見た「元気なイノシシくん軍団」を思い起こしても、野生でここまで大きいということは‥ちょっとビックリです。

と、イノシシ本体にさらに近寄ろうとしていたTakemaにお姉さんがこんな警告の声をかけてきました。

そう言われてよく見ると、毛先あたりにはところどころに「小さな白い物体」が。寄生していた彼らは「イノシシ本尊」からのおこぼれ(血とか体液とか)をもらえなくなったので「次なるご主人」をこれから見つけなければという切羽詰まった状況でそれぞれ本尊の毛先で次の帰省先、いや違った寄生先を見つけるべく待機していたというわけなんですね。

イノシシに寄生するシラミが人間(というかTakema)にも寄生するのかどうかは聞きませんでしたが、お姉さんの言葉からしたらたぶん来るんじゃないか?というわけで怯えてしまい接写シラミ画像は撮れませんでしたが、毛先に真っ白いものが結構いっぱいいたのは確かです(ぞわぞわぞわっとしましたわ)。ちなみにシラミは身体を洗ってもシャンプーしても駆除は出来ないみたいです。で、上の真ん中画像にマウスオンすると「白いツブツブ」が写っている画像に変わります。でも「核心部」はこんなもんじゃありませんでしたよ、「ツブツブツブツブツブツブツブべったり!」という感じでしたがその画像を撮る直前に上記の言葉を言われちゃもうダメ!(笑)。

ちなみにおしんこどんはこのあと「あー身体がかゆい!」と言っておりました。でもTakema自身も何だかかゆくなってきたような気がしました。しかしそれは今となってしまえば「パブロフの犬」のようなものだったようですね(笑)。

悲しい話の例ですが旧日本軍の兵士の方が戦地、特にジャングルの戦時病院等で亡くなると、真っ先に動き出したのがシラミだったのだといいます。シラミはシラミで宿主の命が失われたことをすぐ察知して「次なる宿主」を探し始めたということだったのでしょうね。シラミとて「生きよう」という気持ちはわれわれと変わるところはないのですから‥。



野生イノシシから話がちょっと別の方向に流れてしまいましたが、いいかげん今日の宿に行きましょうよー!
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