− その7 夕刻の釧網線はエゾシカサファリライン♪、そして川湯の夜をタンノー! −

そんなわけで道楽館さんをあとにして(またおじゃましますよ!)、レンタカーを走らせて富良野の市街で返却のための給油をする頃には「またも大雪」モードになっていたのでありました。あらためて考えても今回の行程はあまりにもいいタイミングの妙をたぐっていったとしか思えません。1日、いや半日ずれていたって計画はぼろぼろだったはずなのですから‥。

で、富良野駅前からは帯広行きのノースライナー号。やっぱり峠越えはプロのサービスに任せるのが一番です。こちらは事前に電話予約をしておりました。ネットじゃないのがこういう時は何だか安心です。



運転手さんに「Takemaです」と申し上げると「はい、予約が入ってますね」と手書きの予約表で確認してくれるのが嬉しいです。



しかしですね、「たぶんここで休憩するだろうな」と思っていた南富良野の道の駅で買った「あめせん」は、ビールのつまみとしては最悪でした(笑)。

富良野市街でも雪が降っている状況なのですから、このあとの狩勝峠方面はとにかく雪雪雪。夏に気分よく休んだ峠の駐車場はみごとに雪と氷に包まれておりました。で、眠くなったのでそのまま「眠」。いやーありがたいですな。

ちなみに下調べが甘かったのが帯広市のイベント。「次の停車は帯広競馬場前です」とアナウンスがあったとき、はたと気づいたのであります。

しかしこの日に開催しているのかも含めて全く状況がわからずそのまま通過。あー、駐車場は目一杯埋まっていたみたいだし、くっそーなんで降りなかったんだろー!(だいぶ後悔してます)。今や帯広でしか開催されていない、しかもちょっと先行きが見えない競馬ですから‥。夏に再訪できたら一番の目的地にしますです。

で、とりあえず帯広駅前へ到着。日曜日なので味乃やさんは休業日(だからおとといにおじゃましておいたわけです)。最初は温泉に‥とも考えていたわけですが(駅から歩ける範囲にもモール泉かけ流しの湯ありとはしっかりチェックしておりました)、何だか面倒になってお蕎麦屋さんへ(温泉メグラーの風上にもおけない発想ですがまぁこれはこれでいいでしょ)。



そんなわけで帯広随一ともいえる?こちらのお蕎麦屋さんへ。結構コシがあって美味しかったです。

結果としては食事だけにしたのでゆっくりできてよかったかなという感じでありました。で、ここから釧路へは特急で移動です。約20分遅れで到着しましたが、アナウンスで「釧網線は発車を遅らせてちゃんと接続しますのでご安心めされよ」と言っておりましたので安心です。途中太平洋を眺めたりもしながら、やっぱり20分遅れのまま釧路に到着。

釧路駅ではわれわれの車両がちょうど乗り換え階段の至近だったのでラッキーでした。隣のホームに止まっているディーゼルカーは予想通り1両ポッキリの最短編成でしたから、何とかして席を確保しないと悲しいことになりそうで。で、急ぎ足でホームに上がり車内に入ってみると‥

というわけでしっかりボックス席を確保。結局乗り換え客はせいぜい10人くらいといったところで、そんなに焦ることもなかった感じでありましたが、でもやっぱりボックス席が取れたのは嬉しい限りです。ロングシートじゃねぇ‥。



というわけで、発車ーっ!鉄ちゃんの旅スタートです。

しばらくは神妙に座っていたのですが、この列車、何だか駅近くでもないのに妙にブレーキをかけたり警笛を鳴らしたりしてちょっと落ち着かない運転です。この辺の子どもは線路を遊び場にしているのかなという感じですが、釧路から数駅進めば周囲は原野ですからいやまさかそんなことはありますまい。そう、この列車は釧路湿原国立公園を突っ切るように走っているわけですから。ん?と、ということは?

というわけで、せっかくキープしたボックスシートも何のその、いざ先頭の運転席脇に陣取るTakemaでありました(子どもですなー)。お気づきかもしれませんが、ここからは右上画像にマウスオンすると現れる画像のように、前方視界がばっちりなのでありますからね。静止画はほとんど撮りませんでしたので、ここは是非とも動画でお楽しみ下さい(途中ピントがぼけたりしますが気にしないで見てね)。



「釧網線はエゾシカサファリ列車!」

結構頻繁にうろうろ出てくるので、列車がカーブにさしかかると「この先にいきなりいるんじゃないか?」とデジカメ電源をオンにして待ちかまえていたりすると、これがまたホントにいたりするから面白い!

Wmv形式、1.91MB、48秒

そんなこんなで川湯温泉駅に無事到着。あたりはもう真っ暗で、確か列車に接続する温泉街への連絡バスがあるはずなんですが(ないと困る)‥おお、何ともひっそりと静かーに待機しておりました!

お客さんはわれわれ以外に1人だけ。うーん確かにこりゃ地方のバス会社は大変です。というわけでほんの僅かだけ経営に貢献すべく料金をチャリン。温泉街まではたった10分ほどですが、外灯もない凍結路を歩くことを考えれば極楽浄土念仏成就です。というわけで右上画像にマウスオンすればご覧いただけるとおりカイチョーに走るバスなのでありますが‥と、ここで運転中のドライバーさんがこう聞いてくれました。

何と、宿の前でバスを止めてくださるそうなのです!土地勘のない中で暗い道を宿探しすることもこれでなくなりました。はーありがたやありがたや!

というわけで、今回川湯温泉の宿として予約していた「御園ホテル 別棟ラルゴ」へ。川湯温泉に泊まるのは高校の修学旅行以来のことで、確かその時は「川湯プリンスホテル(ただしあのプリンスホテル系列ではありません)」に泊まったと記憶していますが(われながらよく覚えてるなー、もう27年前の話だぞ)、今回のお宿でたまたまその話になったところもう廃業してしまったそうです。あれま。

話がそれました。大型ホテルの多いこの川湯温泉、御園ホテルさんも大きなホテルなのですが、この「別棟ラルゴ」は何だかどうも違った趣のようで、川湯温泉での宿探しを始めたときいきなり気になった施設なのでありました。

素泊まりのみ受付、客室5室のみ、なのに広々とした「おしゃべりラウンジ」あり、しかもお風呂は独自源泉のみならず本家御園ホテルのお風呂も無料で入浴できるというし、さらには無線LAN完備(PCは各自持参ね)、そして2人なら宿泊料金は4200円/人(入湯料別)とかなりリーズナブル。こ、この宿ヒジョーに気になる!というわけで急いで予約したというわけなのです。ちなみにラルゴさんの公式サイトはこちら(御園ホテルウェブサイト内)ですので、どんな感じなのか是非チェックしてみてください。

さてすでに夜なのでお宿の画像等は明日撮影することにして、まずわれわれは夕食へと夜の川湯温泉歓楽街へと繰り出したのでありました。しかし日曜日の夜、しかもちょうど宿の夕食時間ということもあり路上にはほとんど人影がありません。でもね。



おみやげ屋さん店頭にはキャンドルライトが灯され、また除雪された雪山にも小粋なキャンドルが(右上画像マウスオン)。

大々的なイベントとは一線を画した手作りのほのぼの感に、何だか心いやされるような感じがしてほっと一息というところ。こういう感じって好きなんだよなー。

先にセイコーマートで朝ご飯を買い込んだ上で、夕食場所としてあらかじめ調べておいたお店へと向かいます。それは‥

「味楽(みらく)寿司」さん。川湯温泉というと内陸というイメージがありますが、お店のウェブサイトによれば「網走と釧路の中間に位置するという立地条件を生かし、双方からネタを直接仕入れている」とのこと。さらに「摩周湖の伏流水で炊いたシャリ」だの、「約30種類の地酒」とくれば、

という気になったのは言わずもがな。ということでお店に入りカウンターに着席、ご主人に「こちらのお店のウェブサイト、拝見しました」と告げると、「じゃ、お二人にお酒をサービスしましょう」との思いがけないお言葉が!実は全然気づいていなかったのですが、トップページに「ホームページを見たと告げると北の勝(根室の地酒)を1杯サービス!」と明記されていたのでした。というわけで有難くいただいて乾杯!

実は来店前から注文するお寿司は決めておりました。「特上おまかせ郷土寿司」がそれです。やはりこういうお店に来たならばお店一番のおすすめをしっかと食したいものですし、そもそもこれは夕ご飯なのですから、この品を頼んでも「1泊夕食付き7,350円」と同じことになりますからね。ここはやっぱり奮発せねば!

さて、お寿司が出てくる前に何か軽い一品料理でもと思いご主人に伺ってみると、「ではタラバガニの内子なんかどうです?」。もちろん食べたことなどありませんでしたし珍味だということでそちらをお願いすることに。



うわー、何とも濃厚でこくのある味!ついつい「すみません、お酒おかわりお願いします!」。なみなみ、たっぷり!

この内子とはタラバガニの卵巣部分にあたり、ここで成熟した卵が外に出て「外子」となるのだとか。もちろんお店秘伝のたれでつけ込んだ自家製で、いやーホントにお酒のつまみにぴったり!ご飯の上にかけて食べるなんてもったいなさ過ぎです!(笑)。

ただご主人がちょっと残念そうにおっしゃることには、「最近はこの内子がどんどん貴重品になっちゃってね‥」。タラバはもはや日本近海ではほとんど獲れず、そのほとんどがロシアからの輸入に頼っているそうなのですが、近年そのロシアでも水揚げが大きく減少しつつあるそうで、輸入の絶対量が大幅に減少しているのだそうです。これも「後先を考えずに乱獲をしてきた結果」というわけですが、このままいけば本当に「幻の珍味」になってしまうかも知れないというわけですね。
思うのですが、あの秋田の「ハタハタ」のようにこの地域のタラバを一定期間「一切禁漁、輸出入禁止」とかにはできないものですかね。もちろん漁業補償はきっちり行い、ロシア側にも「協力費」なる名目で一定の見返り(という名のお金)を渡してもいいですから(ただし他諸国への輸出も差し止める=これが一番厄介かも)。でも「いやそんなの無理だ云々」と言っているウチに、本当に貴重な資源が回復不能なほどに枯渇してしまうようにも思います。または「一定期間、高額の対策費なるものを強制的に徴収して需要の強制削減を進める」という手もあるのかも知れません。ただいずれにせよ、国の枠を越えた対策が必要とはなりますが、ロシアとて「このままでは大変なことになる」という漁業従事者の思いは共通しているはずなのですから。

わたしは北洋漁業に関しては当然素人なのではありますが、素人でもそんなふうに思ってしまうほどの危機的な状況であることを考えると‥。「数年−10年くらい、アブラガニでいいじゃないですか!」(アブラガニ一族にとってはたまったものじゃありませんが)。毛ガニや花咲ガニについても時間差を置きながら対策を実施することにより、貴重な漁業資源や食文化を多少なりとも守れるのではないかと思うわけで、ついついこんなことを書いてしまいました。
ところでお店に入ってきたときから気になっていたのですが、店内には何だか「大相撲」に関する多くの品々が展示されているのです。だってですね、

左上画像は大鵬親方の還暦土俵入りの写真なのですが、よく見るとこれがすごい!だって大鵬親方はもちろんですが、露払いは九重親方(元千代の富士)、太刀持ちは北の湖親方ですよ!さらにはそれをもとに描かれた相撲絵にはお三方のサインが(直筆らしいです)、そしてさらには木枠の番付表(これも全て本職による手書き!)までもが、これでもかという迫力で迫ってきます。

こりゃー相撲好きのおしんこどんにはたまらんだろーと思ってちらりと見てみたら、やっぱり目をらんらんと輝かせておりました(微笑)。ここ川湯は大鵬親方の故郷(生地は違うようですが)、「川湯相撲記念館」は大鵬記念館といってもおかしくない展示内容ですから(この翌日行きました)、やっぱり川湯の皆さんは相撲好きが多いんだなーと思ってお聞きしてみたら、何とこの親方とこちらのご主人とそのようなレベルのお付き合いではないそうなのです!いわく、

へ、へ、へぇー(真剣驚)!確かにサイトには親方がカウンターでくつろいでおられる画像も掲載されていますが、そんなご関係とは何とも思いもかけないものでした。考えてみればあの番付表だってじっくり時間をかけて作られている超貴重品ですし(ここで右上画像に注目、ちゃんと一番下に「味楽寿司」と書かれています!)、うわー驚いた!

さてさて、そんなふうにへーほーしているうちに本日のメインディナーが出てまいりました!



よっほほーいのやっほほーい!13貫もの珠玉のネタがちりばめられた特上くんであります。いっただきまーす!拙サイトはグルメサイトではないのおいしさをうまく表現できないのでありますが、でもはっきり言えるのはただ一つ。

いや、お世辞とかじゃなくて本当にそう思うんですから間違いない!これまで道東エリアには「あそこに行ったらこのお店」という「安らげるお店」がなかったんですが、これからは是非足繁く通わせていただきたいと(勝手に)思っております!あ、ちなみに店内にはネット利用可能なPCも用意されておりました。ここのご主人、かなーりただ者ではなさそうです(ほめ言葉ですよ)。ちなみにお会計も「うそ、あんなに(お酒を)飲んだのに?」と思うくらいにおやさしかったです(笑)。

さてすっかり気をよくしてお店を出たあとは、宿へ帰らず河原の公園へ。川に面した足湯施設付近にミニライトアップが施されておりました。実はここは冬期間「ダイヤモンドダストパーティ」が開催される会場でもあるのですが、本日は条件が合わないとのことで中止のようでした。まぁ-3℃くらいでしたからそりゃ無理ですよね。でも、そのため誰もいないライトアップ会場、そこに「川湯」の名の通り温泉川から立ち上る湯煙‥個人的にはかなり満足。というかどうしても「高校の修学旅行で来た」というイメージからか足が遠のいていた川湯温泉ですが、何だか手作り感がたっぷりあって結構いいところなのだと再認識した次第です。来てよかった‥。



足湯もそうなんですが、手前を流れる川そのものがまさに「川湯」。あ、スコップ持ってくれば(ヤメナサイッテ)。



誰もいない会場をうろうろしていたら何だか嬉しくて、でも主催者の方々に申し訳なくて(いや、でも十分に楽しみました)。



そんなわけでラルゴさんに戻ったわけなんですが‥ん?おしんこどんがいきなり除雪作業に??

そうなんです。非雪国組のわれわれ夫婦ではありますが、おしんこどんは大阪で生まれ奈良で育ったので雪かきの苦労を知りません。そこで酔いに任せて?「雪かきやりたい!」と、宿の道具をお借りしていきなり玄関部分の除雪を始めたわけです。
すると、物音に気づいて出てこられた管理人の根津さん(ネット上の「ラルゴ」クチコミサイトに実名でコメントされておられるのでここでもお名前を出させていただきます)が出てこられて「いやーすみませんね、ちょっと最近腰の調子が悪いもので‥」。

と、話はそれだけに終わることなく、気がつけば「ではラウンジで軽く一杯やりませんか?」ということに。うわ、根津さんマイボトルのご相伴に‥どんどんあずかっちゃいました!しかしやはりこのきっかけはおしんこどんが作ってくれたわけで‥わが妻ながらやっぱりスゴイですな。



というわけでかんぱーい♪(もちろん味楽さんでそこそこ飲んでいたんですが、もーっともっといただいちゃいました!)

ちなみに、お話を伺い始めてからすぐに「どうやらこの方はただ者ではないぞ」と感じていたんです。だって世界情勢に詳しく経験も豊か、Takemaなどその足もとに及びもつきません。「あのぉ、あなた様は‥」とおそるおそる伺ってようやく納得がいった次第です。すごいなぁ御園ホテル!

ここからはそれこそいろいろなお話をさせてもらったわけですが(なぜ「別棟」なのかとか)、気がつけば最初のお酒ボトルはなくなり次のボトルへ。おーいこんなにいただいちゃいけないでしょというわけで部屋からペットボトル入りの焼酎も持ち出して‥でも結局はほとんどたっぷり飲ませていただきました。うわー嬉しかったです!というわけでたっぷりたんまりお酒をいただき、根津さんとのお話もこれまたたっぷりたんまり。いやー素晴らしい宿に泊まることが出来て大満足です!全然「軽く一杯」じゃなかったですけれどね(大笑)。

なお、今回はたまたまお仕事の手が空いたということでご一緒させていただきましたが、普段は御園ホテル本館のお仕事もあるそうなので「いつも根津さんが宴会に誘ってくれる」わけではありません、念のため(大笑)。根津さんもいわく「こういうのは久々です」ということでした。ちなみに今回は根津さんも「チェックインの時にお酒のにおいがしたのでもしかしたらこのお客は『酒飲み』かも?」と感じておられたそうです。列車内で飲んでおいてよかった(笑)。



さて明日は朝がゆっくり出発なので、御園ホテルの湯に行くぞー!

あ、肝心の「別棟ラルゴ」の設備等、次のページで紹介いたします!
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