− その3 中房温泉、残りの湯船を全制覇せん! −



あ、この湯には昨日も入りましたけれどね(御座の湯)。

(2009/5/31-6/1)

翌朝は早起きして朝食前に湯めぐり開始です。せっかくならいいコンディションで朝一番の湯を楽しみたいですからね。というわけで最初に訪れたのは上の御座の湯じゃなくて混浴露天の「菩薩の湯」。

朝一番で宿からちょっと離れた露天風呂まで行こうと考えたお客さんは皆無だったようで、先客なしでお湯をタンノーできました。湯から上がって宿の方に戻り始めたあたりで「次のご夫婦」と遭遇。うーんちょうどいい入れ替わりタイミングでした。

宿の手前、日帰り入浴施設「湯原の湯」のあたりには、日中から夕方にかけて管理人の方が常駐しています。日帰り入浴希望のお客さんが宿のほうに進まないよう誘導するためなのですが、無人のゲートを作るのではなくこの場所に案内係を置くというところに宿のポリシーを感じます。泊まりの予約をしていても、「ゲートのインターホンに到着の旨を伝えるとゲートが開く」なんていうのでは到着時からいきなり興がそがれてしまいます。直接の応対というのは確かに人件費が余計にかかってしまうかも知れませんが、これからも続けてほしいシステムです(今から変えることはないと思いますが)。

さて続いては「地熱浴場」へと進みます。

こちらはいわゆる「屋外岩盤浴」とでも言うべきでしょうか、八幡平エリアの玉川や御生掛、大深、ふけの湯あたりの各温泉場ではこのような地熱を利用した湯治形態がポピュラーですが(特に後生掛や大深温泉では部屋自体がオンドルになっていたりします)、ここ中房温泉では現在湯治を旨とする宿泊プランを設定していませんから、いわば「お試し系」ですね。でも「お試しに徹した結果」屋根を付けない=星空を眺めながら湯治気分を楽しむ、という趣向を狙ったのはなかなかかも。

続いては「温泉プール」へ。Takema的にはあまり必要性を感じない施設ではありますが、それだけ湯量が豊富だからこそ可能なんですよね。でもここは海パンを持ってきていないので見るだけでパスしました。でも温泉投入口の湯温は結構熱かったので「浴槽内ではしゃぎたい子供たち」にはうってつけかもしれません。

続いてはプールのすぐ上にある「ねっこ風呂」。その名の通り木の根をくりぬいた浴槽が1つ鎮座しています。おしんこどんが先に入り続いてTakema。何となれば順番が逆だとおしんこどんが肩まで浸かれないから?(笑)。でもお湯は結構すぐにたまりますから大きな問題はないかも知れませんが。

お湯ばかり浸かっていると身体から水分が失われていきますので給水は必須です。何とこの界隈に湧水が引かれていてゴクゴクと飲むことができます。このあたりの湯は宿からは多少離れた場所にありますから、いちいち戻って給水 or ペットボトル持参の要なしというのはかなり考えられていますね。せっかくなら10リットルのポリタンを持参するんだったぁ(後悔先に立たず)。

さーてさらにどんどん入っていきましょう(笑)。続いては「月見の湯」。夜間は女性限定となる露天風呂で、おしんこどんは昨夜この湯に浸かりながらきれいなお月様を眺めていたんだとか。昼間は普通の露天風呂ですが(でも開放的)、この湯船に入れたヨロコビを足の指で表現してみた次第です(笑)。

敷地内の神社にて手を合わせ(神社はこちらの他にもう一箇所あります)、そのかたわらに目をやると‥

実はこれ、中房温泉源泉の高温泉をいかに加水せずに冷却するかという試行錯誤のもとに生みだされた独自の冷却設備なのだそうで、ここだけに限らず敷地内の各所で見ることができます(ただしそもそも「見せるための設備」ではなく、また安全上の問題もあってよしずで覆われていますが)。以前は単純な加水に頼っていたという中房温泉が「加水なし源泉100%」という湯使いに出来たのも、このアイデアを実際に導入できたからなのだそうです(宿ではこの「空冷式」と水冷式(熱交換?)とをダブルで利用しながら給湯しているようです)。

まだまだあります。左上画像は足湯、右上は「温泉タマゴ専用源泉」。敷地内にこれだけの入浴用湯船がありながらさらに足湯設備を作ってしまえる遊び心(でも利用頻度はあまり高くはないだろうと推察)、そして温タマ源泉については何だかタイの温泉を懐かしく思い出させてくれました。もちろんタマゴは宿で買い入れることが出来ます。あとで触れる「焼山」(地熱エリア、前ページで出てきた牛ヒレ蒸し焼きはここに埋めて調理された)ではジャガイモやら何やらの野菜も茹でられるということを聞くと、やはりここの宿はこんなに駆け足湯めぐりではなく「2泊して、中のお昼は地熱ご飯♪」というのが一番楽しめるような気がします。

さてそうこうしているうちに朝ごはんタイムとなりました。かなり早く起きたのがおわかりになるかと(笑)。



本館の朝ごはんはこんな感じ。オプションで頼むことのできる牛乳は低温殺菌でお腹に優しいです。

さて朝食が終われば普通のお客さんは「あと1湯くらい入ってチェックアウトかな」お考えになるのでしょうが、われわれは10:00のチェックアウトまで目一杯湯めぐりを敢行するのであります。だってまだ全部の湯に入ってないですからね(笑)。

朝食後最初の湯は「白滝の湯」。十数m上の源泉から、穿たれた溝をまっすぐに源泉が流れ落ちています。その溝が硫黄系の湯花で白くなっていることからこの名が付けられたと思われますが、最初の枡(右上画像)にはかなりの湯花が。この受け皿を通り抜けたお湯&湯花は次のあつ湯浴槽で冷却された上でメイン浴槽に投入される仕組みです。



右上画像は「おしんこどん=あつ湯浴槽、Takema=メイン浴槽」の図ですが、あつ湯にはかなりの湯花が浮遊しています(右上画像マウスオン)。

ここの湯でもわれわれが服を着たタイミングで「次のお客さん」がやってきました。「ごゆっくりお楽しみ下さいねー♪」と言い残した上で続いては(湯上がりで身体が火照っている中)山道を上がっていきます。



これが「宿の敷地内」なんですからすごいですよね。おしんこどん、浴衣で移動は大変だった?(ちなみにTakemaは「浴衣を着ない派」なんです)。

結構急傾斜の道を上っていった先には「大弾正=地熱地帯」が。例の「蒸し焼きエリア」です。



この穴のどこかでローストビーフが蒸し上げられたと思われます(むふふ)。

この穴々のそばで地面を触ってみると‥「うん、かなり熱い」。ここでも地熱を利用した「浴」ができるようですが、ゴザはどこに‥おおーっと発見!あずまやの屋根下にゴザが格納されています。ゴザを雨で濡らさないためにこの場所に置いているようですね(ただし案内表示がないのはイマイチです。そのまま帰ってしまう人もいるのでは?)。

さて実はオンドルやサウナがそんなに好きではないTakemaとは逆に、「それ系が大好き?」とも思えるおしんこどんがさっそくゴザを敷いて温浴を開始です。



右上画像の状態で声を掛けると‥何だか妙な身体的反応が(右上画像マウスオン)。

このあと、ジャガイモを持参なさったご夫婦が(確かジャガイモはリクエストすると無料でもらえるらしい)お越しになりました。さーてそれではそろそろ下りましょうか。まだまだ入っていない湯船があるのですから!(そろそろ湯疲れてきた?)

源泉エリアには何とも絶妙な湯の導入路がいろいろな場所にいろいろ構築されています。それにしてもこれだけあちこちから源泉(しかも高温泉)の湧出があるというのは不思議ですね。はるかなる先人はよくこの湯を見つけたものだと感服してしまいます。そしてさらに湯めぐりは続くのであります(笑)。

続いては温泉サウナの蒸風呂。Takemaはサウナが苦手なので撮影だけでパスしましたがおしんこどんは前夜のうちにしっかりタンノーしたそうなのであります。このあたりの「やる気」についてはTakemaは全然かないませんが、対抗する気もないのでまぁいいかと‥。

まだまだ続きます。滝の湯は中房温泉唯一の貸し切り湯で、鍵を借りて入ります。源泉をはるか上方から落下させることにより湯温を下げるということなのでしょう(ただし左上画像で見られるように竹筒からそろーりそろりと投入されてもいます)。

そして最後に混浴の大浴場の湯に浸かり、とりあえず全ての宿の湯を完浴したというわけです。気がつけばこの湯から上がったのはチェックアウトのタイムリミットも近い時間で、いやー何だかんだで疲れましたわ。

さてそんなわけで中房のお湯をすっかりタンノーしきってチェックアウトと相成ったわけですが‥メイン建物の本館を見上げてみれば‥



軒端の鬼瓦にはしっかり温泉マークが!このこだわりには驚きました。

さてそんなわけで中房温泉をあとに‥いやいやまだまだ!実は宿の方のご厚意で「せっかくなら湯原の湯も入っていって下さい」というお言葉に甘えて日帰り専用の湯にもおじゃますることにいたしました。

宿から降りていくとすでに湯原の湯は営業中。ただし平日(月曜日)の午前中ということで先客さんはおられません。宿から(内線?)電話で連絡が来ていたようで「泊まりの方ですね、どうぞどうぞ」と迎え入れていただきました。



昔はこんな日帰り入浴施設はありませんでしたが、これなら燕岳から下りたくもなりますね。



ちなみに湯船は屋外とはいえ、屋根下部分にシャワー付きの洗い場もあってかなりいい感じです(でも入浴料700円はちょっと高い?)。

ということでこの中房温泉をあらためて振り返ってみれば、Takemaの食わず嫌いだったのは明らかでした。それはかつての登山者という視点(泊まりはしないが温泉には入りたい)からすれば「登山客に冷たい宿」という印象であったのですが、宿のスタンスとして「わざわざここまで来てくれる泊まり客を大切にしたい」というのがあったのですね。

日帰り湯として湯原の湯を、きちんと源泉かけ流し(しかも2源泉別湯船)で提供したところに宿の心意気を感じます。「源泉をいかに大切に利用するか」のお手本を見させてもらった気がする滞在でありました。

さて出発後はもうどこの湯にも入らなかったのであります。それはこのあと‥「壮大なる水たまり」に行ったから。
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