− その7 日光沢温泉&加仁湯、好対照の湯宿 −



あー、こういう風情、何とも言えませんね。

そんなわけで手白沢から加仁湯へと降りてきましたが、まずはさらに奥にある日光沢温泉へ。実は日光沢の湯にはもう今から20年以上前に浸かったことがあるんです。あの時は奥鬼怒の湿原に行ったんでしたが、あくまで山メインの頃でしたから温泉の記憶は「露天風呂だった」こと以外に全くなし。よって今回再訪して「湯の記憶」をしっかり印象づけようという魂胆です。加仁湯からは10分の林道歩きで到着。

うーんこの入口は記憶にあるぞ。たぶん昔から変わっていないでしょうね。でも下流側にのびる宿泊棟はあの頃はなかったかな?いずれにせよ、奥鬼怒4湯の中で一番鄙びていて、また山小屋ベースの営業を行っているこちらの宿は、手白沢同様送迎を行っていません。加仁湯や八丁の湯に送迎付きで宿泊して足を延ばすというのは可能ですが、やっぱりできれば歩いてきてほしい気も‥。

まぁそれはともかく、玄関前にぶら下がっている鐘をカーンと鳴らして宿の方を呼び、入浴料500円*2を支払います。「今は誰も入っていませんからごゆっくりどうぞ」とのお言葉に気をよくして混浴の露天風呂*2へ。ちなみに日帰り客が利用できるのは露天風呂だけですので。


源泉は2本が使われていて、透明湯だから単純泉かと安直に考えていたら、うち1本からは結構な硫黄臭が。湯ざわりはさっぱり系で、木陰でゆったり楽しめるのでこりゃなかなかヨロシイです。さて続いては誰もいないので下段の露天風呂へもアラレもない姿のまま移動です(たぶん皆さんそうしていると思われますが)。

古い記憶が飛んでいるくせになぜか「日光沢は透明湯」という妙な思いこみがあったもので湯船を見たときは驚きました。いやーなかなかやるじゃないですか日光沢温泉!

ただし周囲をコンクリートと鉄製の仕切り(というか落石抑止壁)に囲まれているので、風情という点ではイマイチかも知れませんが、「不逞の輩に覗かれないように」というような意図で作られている壁ではないので気分そのものは悪くありません。ただし夏の盛りの日中にはかなり暑くなりそうな気がします。

そんなわけで2湯をタンノーし、山の湧き水をゴクゴク飲んで水分補給もOK。再びリュックを背負って来た道を戻り、すぐに加仁湯へ到着です。

ご覧の通り4湯の中で一番立派な(ミスマッチなともいいますが)建物で、中に入るとそこは「どこの温泉街にもありそうな中規模旅館」そのものです。ここを目当てに泊まりに来ることはないだろうなと思いますが、まぁお湯は建物とは別物だし「内部は温泉のデパート」ということらしいので、こちらにも寄せていただきましょう。

平日の昼前だというのに、なぜか館内には結構な数のお客さんがいます。「何でだろ、大きな宿だけにそれだけ連泊の人が多いってことかな?」とも思いましたが、理由は前の方のページでも書いたとおり、川俣だったか平家平だったかの温泉宿から日帰りツアーでやって来た人たちだったんですね。ここまでバスでやってきて3時間の自由時間、そして再び宿に戻るという感じだったようですが(おしんこどんからの又聞き)、せっかくなら日光沢や八丁の湯などにも足を延ばせばいいのに‥皆さん加仁湯の虜になっておられるようでした(笑)。

第三露天風呂をのぞいたらスリッパがやたらにたくさん見えたので瞬時にパスし、手前の第二露天へ。ここは誰もいませんでしたが、すぐ上に別の湯があり、また宿泊棟からも見えないわけではない微妙な位置にあるのでどうも落ち着きませんでした。



でも白濁の湯に浸かる気分は決して悪くありません(さっきも浸かってましたが)。

続いては階下の内風呂へと向かいます。そっちの方には人の気配がないかな?と思ってのことでしたが、案の定、しばらく誰も入りに来た気配がないみたいで一安心。そうか、皆さん露天風呂が目当てなのね。

内風呂は脱衣場からドアを開けると洗い場に出て、そこからまたドアを開けると浴室に出るというちょっと不思議な配置なのですが、さらに不思議なのはその浴室側にもまた洗い場があり、さらにはその配置が横向きになっているという造りです。

お風呂に入っている人が川の側に身体を向けると、その正面に「同性のお客が横向きになって身体を洗っている」のを見ることになります。ちょっと見慣れぬ光景ゆえ見る方も見られる方もあまりいい気持ちはしないのではないでしょうか(「洗っている人の背中を見る」くらいならわかりますが)。たぶん洗い場の数が足らなくてあとから設置したものだとは思われますが、これはチョットいただけません。お湯がいいだけに‥。

ちなみにこちらの宿の玄関にも犬がおりました。そこそこ大きな犬ですが結構な老犬なのか、歩くのも大儀そうな感じ。でも玄関周辺が大好きなのは手白沢と同じですね(笑)。

宿の前には足湯がありました。湯量の豊富さを物語るように当然かけ流しの白濁湯です。それと、八丁の湯側に少しくだったところに何と「春日野部屋合宿所」なるものを発見しました。春日野部屋ウェブサイトによると次のように書かれていました。
加仁湯合宿は山歩きを中心にした体力増強メニューが中心です。また豊富に湧き出る温泉を利用して怪我の治療をします。
ということは、8月上旬に加仁湯周辺の山道を歩いていると向こうから関取衆がドカドカドカっと歩いてくるのに出くわすってことでしょうか(笑)。まさか雪駄履きじゃないでしょうね。

というわけで続いては奥鬼怒最後の1湯「八丁の湯」へと向かいます。これまた10分かからず着いちゃうんですが(笑)。
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