− その4 そんな気もなかったのに気がつけば八甲田界隈へ −

さて孫六温泉からは玉川温泉方面へのR341を北上します。実は出発時のアバウト計画としては「八幡平界隈まで北上してそこからはいきなり東進して北上山地方面に向かうのもいいかな」と思っていたのですが(北上山中の鉱泉を巡るという激シブ発想)、結果的には八幡平を突き抜けてさらに北上してしまったわけですね。でもその気まぐれのおかげで?2名の方々と濃厚な出会いを果たすことが出来たわけですからこの日の気まぐれだって捨てたものじゃありません。あ、強引な正当化ですけれどね(笑)。

というわけで鶴の湯の入口を見学し(おしんこどんは初訪問、Takemaはずいぶん昔に日帰り入浴済)、でも今回は日帰り入浴開始までにまだ1時間ほどあるのでパスしました。でも8月下旬の平日朝9時にもかかわらずどんどん車(レンタカー)が来るというのは、いまだに鶴の湯人気衰えずということなんでしょうね(まだ入浴時間前なのは手前の掲示で知っているはずなのに)。となればこのまま「鶴の湯とか黒湯にどんどん集まれ観光客!われわれは別の湯に行くからね♪」という感じでいいのかな?(同じことが群馬の法師温泉とかにも言えますな)。

そんなこんなでどんどん八幡平方面に向けて北上していきます。今回は玉川温泉を通過するつもりなので一気に!と思っていたのですが、道ばたに何本か立てられた幟にふと気を取られたTakemaでありました。それはつまり、

というような思いであり、Takemaの脳内にはこの温泉名に関するデータベースが構築されていなかったのであります。というわけで橋を渡って対岸へ。と、いつの間にやら立派な温泉施設ができているではありませんか!やはりしばらく来ないとそこそこ変化しているものですね。

もっとも、このあとそこそこならぬ「多大な変化」を実感することになるとは、この時点では思いも寄らないTakemaでありました。

この日も平日、しかもまだ午前中でしたから駐車場はガラガラ、貸し切り湯の可能性はかなり高そうです。わくわく。しかし、のれんの掛かった入口まで来たところではたと足が止まりました。そこに書かれていたのは‥

の文字。この界隈にしては随分強気な料金設定に一瞬躊躇しましたが、ここまで来て入っておかないとやっぱりあとで後悔しそうなので‥「決断」!(というほど大したコトじゃありませんが)。あとで知ったことですが「湯宿はなやの森」さんは露天風呂付き客室を20室中13室有し、かつ「12歳以下のお子さん連れは宿泊不可」というポリシーを持つ高級湯宿でありました。ちなみに玉川温泉とはお湯も全然違いますし経営母体も全く別です。

かつてあった学校をモチーフにしながら2005年に開業したこちらの宿は当然ながら内部も大変きれいで、また館内の掲示に「みかん色の温泉」とあったことから温泉にも期待が高まります。しかももちろん源泉非加熱かけ流しというのですから、やっぱり入ることにしてヨカッタ。

透明の源泉が空気に触れて酸化することによってオレンジ色、いやみかん色になるというのはよくある話ですが、その多くは源泉を口に含んでみると結構金属的な味がするんですよね。でもこちらの湯はそういう味もしなかったので何だか不思議な感じ(源泉はナトリウム硫酸塩泉=芒硝泉)。ただし金気臭はありました。

内風呂は照明が落とされていたことも含めてあまり派手なみかん色ではありません。でも派手じゃないということはそれだけ湯が新鮮だというわけですから残念がるには及びません。結構な量のかけ流しですが、源泉温度は60.1度ということですから(新しい施設ということもあり)熱交換で湯温を下げているのでしょうか?

ちなみに案内された際「露天風呂では花壇の草取り作業をしているので‥」といわれましたが、いろいろお話を聞くことができると思ったので「そのまま作業を続けていただいて結構です」と申し出ていました。というわけで男性が草取りをなさっているところへ「こんにちはーおじゃましまーす」。

うわ、こっちはまさにみかん色の湯!でも湯花の沈殿がほとんど見られなかったのは何だか不思議でした。源泉はかなり熱めでしたが(47-48度くらい?)さすがに露天ということで入浴域は43度くらい。ちなみに宿のウェブサイト内の「はなやの森 誕生物語」に出てくる「男神山(おがみやま)」がきれいに眺められます(仕切りの塀はまぁしょうがないですね)。ちなみにこの真裏には女神山(男神山と標高はほとんど変わらない)があり、地形からみるに



多分そう見えるだろうと思うんですが、上記地点に行ったわけではありませんので詳細は不明です(笑)。

それはともかくとして、この界隈にはもう随分前から脳内データベースにインプットされている野湯があるはずだったんですが、残念ながらデータベースそのものが古すぎて(記憶が定かじゃなくなっていて)今回もたどり着けませんでした。スネーク残念!おまけに帰ってきてから某情報での「もっといい野湯」をスルーしてしまったことを知り愕然(笑)。山も深いエリアですが野湯の道も深い!勉強させていただきました(先人に感謝!)。

さてここからは「温泉苦難の道」報告であります。新鳩ノ湯温泉が少し前に休業(廃業?)したとの情報は聞いていましたが(あー残念、何度も前を通っていたのに一度も入れなかった)、八幡平頂上への分岐を通過した先にある「東トロコ温泉」が閉鎖されていたことにいきなりビックリ。それだけではありません、志張温泉は2軒あるのに(同一経営)どちらも閉鎖。うわー、この界隈だけで3つの湯が閉鎖されちゃった!

それだけではありません。1997年にこの地域で起きた大規模な地滑り&土石流により澄川温泉が埋没し赤川温泉も全壊、ともに廃業を余儀なくされたわけです。この2軒は自然災害によるものではありますが、ここ十数年で上記3軒を合わせて5軒の温泉宿が廃業!これをゆゆしき事態といわずして何といえばいいのでしょうか!しかもTakemaは97年以前からこの界隈をバイクで通過していたのに!というわけで教訓です。

何だか意味もなくわけのわからぬ短歌なんぞをひねり出してみたわけです(笑)。ちなみに「野湯」を「やとう」と読むか「のゆ」と読むかについては古来から論争がありますが(ないない)、「秘湯」とか「薬湯」とかの読み方に従えば「やとう」と読むのが普通なのでしょう。でも、Takemaは「のゆ」派です。理由?何だかこっちの方が牧歌的な響きがあって気に入っているからです。ただそれだけの理由しかないんですが、もともと昔からあった語じゃないんですからちょっとお遊び的に読んだってバチはあたらないでしょう。

話を戻しましょう。八幡平山麓の温泉がどんどん閉鎖されつつある今だからこそ、この界隈に現在唯一残された湯宿である「銭川温泉」に立ち寄らずにはいられません。

建物は結構新しく、また脱衣場の床部分などは温泉熱を利用してポカポカしています。宿泊室は全室オンドルとのことで冬は助かるだろうな(ちなみに温度調整が出来るそうなので夏でも安心?)。そうそう、建物の脇には手作りのベンチがあり、湯上がりの身体を涼ませるには絶好なのですが、このあたりにはよく見ると朽ちた犬釘が落ちており、その先には何と線路まで!線路の細さと断面の小ささからして、かつての森林鉄道の遺物なのでしょうね(右上画像マウスオン)。ん?ということは、もしかして長く奥に伸びているこの護岸そのものが森林鉄道の路盤だったのかも?

男女別のお風呂はしばらく誰も入っていなかったらしく熱気がこもっており「うはー!」。というわけで窓をガラガラと開けて換気。爽やかな谷風のおかげですぐに快適になりました(虫がいなくて助かります)。で、湯船の隅に浮かんでいた温度計を見ると‥「46℃」!10年前のTakemaであれば「こ、これは人間が入れる温度ではない」と、スゴスゴ退散したことでしょう。

が、どうしたわけか最近は「ふーむふむ46℃ですかそうですか」と、冷静沈着な入浴行動に取りかかるようになってきているわけですね(とはいってもかけ湯を念入りにするだけですが)。こういうのをその道の人々は「温泉力がついた」と形容するらしいんですが、Takemaも少しずつ「そんな人」になりつつあるということなんでしょうか?(笑)。

ちなみにいざ入ってみると底の方はやや湯温が低かったので、全身を使って湯もみに励んだ結果、44℃の適温やや熱めというところに落ち着きました。無色透明のさっぱり湯ですが、浴後はこれまた汗が引かなくてなかなか大変でした。ちなみにその頃、おしんこどんはいつものように大睡眠帝国の大王に見そめられて車内で爆睡しておりましたとさ(笑)。

この時点ではまだ志張温泉元湯の廃業を知らなかったので、脇道にそれて降りていったのですが、すでに道も荒れ始めていて断念。新しい買い手がつけば再開もあり得るとかいう話をどこかで読んだ記憶もありますが、今のところその気配はなさそうですね。残念。鬼クルミの実も大きくなっていましたのでパチリ。ちなみに「クルミが路面を噛む」というスタッドレスタイヤの広告を見た人も多いかと思いますが、普通のクルミではなくこのオニグルミが使われているそうです。



大王の呪縛から解き放たれたおしんこどん、「おー、変わった花がある」と喜んでおりました。

さて鹿角まで北上してきたところでそろそろお昼過ぎ、この日の泊まりをどこにするかもまだ決まっていませんが、とりあえず大湯温泉でお昼ということに。ラーメンや定食じゃなくてお蕎麦屋さんを探していると‥おお、あったー!

お店の屋号は「満月」。本格的な手打ち蕎麦をいただくことが出来ました。また海老の天ぷらがプリプリで「旨し!」。ランチタイムにはミニ天丼付きとかのお得なセットもありますし、偶然立ち寄ったとはいえここはオススメのお店でした。蕎麦懐石などのこだわりメニューもあるようですのでこれも食べてみたい!でも夜のみのメニューなので大湯に泊まらなくちゃいけませんね。じゃ、次回は泊まるか?(2日前までに要予約、全8品3150円)
大きな地図で見る
昼食後はせっかくなので大湯温泉に入浴することにいたします。でも今回大湯温泉に来ることになるとは思ってもいなかったので、事前情報としては「4つの共同湯がある、ただしどこも激熱だというTakema脳内データベースと、自分の地図に書き込んであった「共同湯もいいが○○もOK(○○はあえて伏せ字にしています)」というコメントだけ。土地勘もないので、とりあえず脇道に入っていくと‥



一発で引き当てるとは、これもまた「温泉力」云々のパワーなのでしょうか?(笑)。ちなみに午後もまだ早い時間なのにひっきりなしにお客さんがやってくるので浴室画像はありませんが、なるほどかなり熱いです。でも入れないほどではないかなと、身体を流しかけ湯した上で一発で入浴完了。

と、先客さんのうち1人(初老の方)はどう見ても地元の方かと思いましたが、どうやら熱くて入れずに躊躇している様子。もう1人(地元の方)が「もっとたっぷり掛け湯しなきゃ駄目だよ」とアドバイスしています。その方、しばし格闘の上「入浴完了」。よかったですねー。

ちなみに源泉をなめてみようとパイプから流れ出る湯に手をかざしたら‥

ただ単に「熱い」というより、生命に危険を感じる「キナ臭い熱さ」でありました。さては69.7℃の源泉をそのまま投入してるな!ちなみに湯から上がってから、短時間ではありますが水で冷やしました(アブナイアブナイ)。

なおわれわれが訪問したときには番台に管理人さんがおられましたが不在の時もあるようですね。ちゃんとお金は払いましょう。下の方に書かれているキャッチコピー、

何だか秀逸に思えてしまったのは私だけでしょうか?(笑)。

さて、電話番号を調べて今日の宿を「八甲田温泉 遊仙」に決定。目的地が決まれば気分的にも随分楽ですね。というわけでさらに北上です!と‥



うわー、すごい滝じゃないのさ!

しかしこれは自然の滝ではなく、上部には堰だか何だかが見えますから、これは発電所絡みの施設ではないのかと思っていましたがやっぱりそのようで、これは止滝発電所の余水吐から流されている余り水のようですね。ただ左上画像を見るに、滝の中に随分と多くの草が見えています。常時これだけの水量があるのであればあそこまで草は生えないし、これは臨時放水的なものなのかと思っていたら、やはりそのようですね。詳しくは下のボタンをクリクリっとね(説明の手間を省いてますな)。それにしても明治35年から使われている発電所とはビックリです。
さてこのあとは発荷峠を越えて十和田湖へ。子ノ口から奥入瀬(焼山)方面へ向かうメインルートは何度も通っていて面白味もないし、バスが前にいたら大名行列モードで延々と走らなければならないので、十和田湖畔に降りたところで左折し、半時計回りルート(滝ノ沢経由)+奥入瀬バイパスで北上することにしました。でもこれが結構長かった!やはり「王道」を進んだ方が早かったかも知れません。でも滝ノ沢界隈の森の中を行くルートはなかなか風情もあったのでまぁいいかということで。

奥入瀬渓流館にてソフトクリームを食べてしばしの休息。ふだん甘いお菓子などは欲しいと思わないTakemaですが、ここでは自ら率先して買ったんだっけ。

食べた後はケムリタイムで灰皿エリアに移動したTakemaでしたが、遠くからおしんこどんを見ていると‥うーん、公衆の面前でも全然動じずにわが道を突き進んでますなおしんこどん!(右上画像マウスオンで動く画像に変わります)。ま、他にほとんどお客さんはいなかったんですけれどね。ただし「誰もいない」というわけではなかったぞ(笑)。

さて、このあとは某所に潜入です。が、その潜入レポートについては次のページでお楽しみ下さいませ。
[戻る] [次へ]