− その3 米沢の歴史と味をちょこっとかじった上で熱塩へ −

さて朝方のご夫婦との会話の中で「米沢市内の○○で振る舞いの芋煮が食べられる、この連休で終わりだから結構混んでいる云々」のお話を聞いてしまったTakemaでありまして、今日は山を越えた会津泊まりでもありますから(=距離的にも遠くない)、「それならちょいと寄り道してもバチは当たるまい」と考えたのはまさに自明の理なのでありました。NHKの大河ドラマ「天地人」には基本的に興味のないTakemaではありますが、たまには「健康で文化的な最低限度の歴史観光」はしてもいいかなと思ったわけです。ま、全てのきっかけは「振る舞い」なんですけれどね(苦笑)。



そんなわけで上杉神社に来てみました。「毘」の字が裏返しですが気になさらぬように。


まずは神社にお詣りです。さすが連休の中日ということかお詣りする人が絶えませんが、これも大河ドラマの大いなる影響でしょうね。ん?振る舞い芋煮はどこにあるの?(サモシイ)。きょろきょろしていたら「稽照殿こちら」の看板を発見。確かここには若旦那がおっしゃっていた「さりげなくいきなり『愛モード』の甲冑があったりする場所」ではないかい?



「今年のみ1/11まで開館します」の「今だけ限定(左上画像マウスオン)」に負けて見学を決意しました。入館料400円也。

確かに「愛の兜(かぶと)」はありました(館内は撮影禁止ゆえ画像はなしです)。しかし、戦いの場においてこの凝った造りの兜は「曲げないように壊さないように」という感じにならなかったのでしょうか。館内には鎧兜や時の中国からの官位授与絡みの服や文書なども展示されていましたが、実はTakemaが一番興味深かったのは新聞記事の切り抜きでありました。いわく(記事の内容とほぼ同様のwikiから引用)、
「上杉謙信が毘沙門天の信仰を表した「毘」の字を旗印に使用するなど、当時、神名や仏像を兜や旗などにあしらうことは広く一般に行われていたことから、軍神である「愛染明王」または「愛宕権現」を表したものとの理解が大勢である。」
まぁそんなものでしょうね。大河ドラマや時代劇で制作側が一生懸命ぼかして(または当時の現実をあえてねつ造して)いるのは「当時が身分制度社会であったがゆえの差別」だったりします。身分が違えばお互いの関係性は全く違うんです。20:52分頃、身分を明かした水戸黄門に対して農民や町人ふぜいが立ったまま「ありがとうございました」と頭を下げ、水戸黄門は高笑いして去っていきますが、実際にはあり得ない絵ですからね。直江兼続が「領民を愛する」というのは対等観に基づく見方であり無理があるわけです。

さて、結局上杉神社には振る舞い芋煮現場を発見できず。というわけで、多くの人がやってくる参道方面に向かってみると、そこには巨大な博物館が(こんなに大きい施設が必要なのかと思うくらい)。そこには「天地人博」とあり、さらにはその入口付近に特設のテントが。おーっ、振る舞い芋煮会場はここだったか!と近づいていくと‥ん?何だか皆さん妙なチケットと引き替えに芋煮をもらってる?

神社参拝はともかくとして、こんなところでNHK主導から始まったイベントに乗っかるのもナニなので(なお、わが家はちゃんとずーっと受信料を払ってます。払ってない人のとやかくは聞きたくもありません)、というか館内がそこそこ混んでいることはこの人出からも推察できるので「パス!」と決めました。なんだぁ、限定振る舞いだったのね(残念無念)。



そんなわけでテントを離れ、近くにあった売店でコロッケを購入。あ、しまったコロッケ本体が見えてない!(笑)。

しかしふと気づけば11:00を回ってます。小野川温泉からの出発が10時前くらいでしたから当然なのですが、ここから大峠を越えて喜多方に行こうものならどこのラーメン屋も行列必至!「行列大嫌い」のTakemaとしては(おしんこどんはそうでもないようですが)、そんな場所でわざわざラーメンなど食べたくないのであります!(ついさっき若旦那に喜多方ラーメンマップ最新版をもらってたんですけれどね)。と、ここで妙案。

喜多方にははるかに及ばないにしろ、米沢ラーメンもご当地ラーメンとしてちょっと人気なんだとか?どんな特徴があるのか、ここであらためてwikiってみると‥

細打ち縮れ麺とあっさりとした醤油味のスープが特徴。出汁は野菜や鶏ガラ、煮干しなどを使う店が多い。

とあります(もっともwikiの米沢ラーメン項目自体がものすごくシンプルなんで驚いたのも事実です)。

で、もとより下調べなんぞしていないですし、昨日お巡りさんにもらった地図は観光マップじゃないので飲食店は数えるほどしか出ていないわけで、どうしようかなと思ったところで、「確か昨日通ってきたところで『米沢ラーメン』の幟が出ていたところがあったよな」という記憶から、えらく安直に選んだのがこちらのお店。

ラーメン屋さんで味噌ラーメン以外を頼んだのは何年ぶりだろう?Takemaは完全味噌派ですが、30才くらいまでは醤油ラーメンばかり食べていたこともあり基本的にはどんなベースでも食べられるんですけれどね(美味しくない塩ラーメンだけはイヤ)。

まったく予備知識なしに、おしんこどんはお店のお勧めとおぼしき「牛肉ラーメン」(中央)、そしてTakemaはチャーシューメンを注文しました。チャーシューメンは魚系のダシが出ていましたが牛肉メンはそうでもない?ただ、肉を炒めたときにかなりニンニクの臭いが漂ってきましたから、その他調味料の関係でダシ味がわかりにくくなっていたのかも知れません。

驚いたのは麺の量でした。「細打ち縮れ麺」はまさに米沢ラーメンの王道をいくものですが、もちろん大盛りなんか頼むはずがないにもかかわらず、ラーメン鉢内のかなりの容積を細麺が支配していました。ふだんでも自宅近くの店で「半ラーメン」を頼むことが多いTakemaとしてはこれは強敵(笑)。

ま、でも苦しむことなく普通に完食いたしました。味はまぁそこそこあっさり系で、このページをアップする前に下調べで見ていた各サイトでは「ダシが薄い」というコメントが多かった気がしますが、別にそんなことはないんじゃない?美味しくいただきましたよ。

さて昼ご飯も食べたことだしここからは一気に行きます。今回一番のチェックポイントとしていた県境の大峠界隈、雪の積もり具合ははどうなんでしょうか。



大峠に向かう道は路面こそ出ていますが空も暗く雪も降り続いていましたが‥



県境近くなると空も明るくなり、大峠トンネル入口(山形側)では太陽も出ていました!

旧大峠をめぐる旧道を走る機会には恵まれないまま終わってしまいましたが(現在は通り抜け不能)、米沢と喜多方が通年通行可能になったというのはすごいことだなぁと思いますわ。だって今さっき米沢ラーメンを食べて、その1時間後には喜多方ラーメン‥って、そんなん食べられるかい、Takemaはマエダンゴさんとは違うんだぞ!

というわけで、トンネルを抜けたあとはぐっすり熟睡態勢に入ったおしんこどんを横目に孤独の運転を続けるTakemaでありました。しかーししかし!峠のトンネルを抜けた最初の「信号のある交差点」で左折し、どん詰まりの駐車場に車を止めて、真向かいの商店に料金200円をお支払いして‥



こちらに入浴することも忘れませんでした。だって、どうみても先客さんがいない雰囲気だったんだもん。



外観はこちら。リニューアルして女性もぐっと入りやすくなりましたね。でも源泉温度は徐々に下がってきているようです。

おしんこどんも入浴し、眠りの国からの呪縛からも解き放たれたみたいですね。ここ熱塩温泉には足湯もあるのですが、すぐ近くにこんなに素晴らしい共同湯があるのでいまだ足を浸けたことがありません。今回も検温の手湯だけで終了。

そんなわけで温泉をあとにして再び南下スタート!と、「日中線記念館」の看板を見つけていきなり右折。旧熱塩駅駅舎が現存しているなんてこの時まで全く知りませんでした。廃止直前には1日3往復しか運転されていなかったこのローカル線(「日中走らない日中線」などと揶揄された)は、昭和59年に廃止(バス転換)されたわけですが、小中学生の頃鉄ちゃんだった自分もこの頃(大学2年生)になると登山ばっかりしていたから、廃止時にもわざわざ乗りに来ようとはしなかったわけです。いまふり返ると「二足のわらじ」を履いておけばよかったかな?



誰もいないはずの駅前で、雪の肌の「起き上がり小法師(こぼし)」が出迎えてくれました。



改札口を出た先にもミニ小法師が飾られていました。左側の小法師は何だかゆるキャラ系の表情ですな。

この小法師軍団ですが、どうやらこの翌日の1/11(月祝)にここでイベントが開かれるそうで、そのために作られたものだと思われます(冬のあいだ中あるわけじゃないそうです=そりゃそうだ)。駅看板なども現存しており、この旧駅舎が大切に守られてきたことがわかります。結構人気なのか?われわれが来たときには先客さんの車が2台止まってましたし(入れ替わりで出ていきましたが)。

結局北行き方面の駅名表示が白地のまま廃止となったこの日中線ですが、もともとは米沢までを結ぶ幹線?(いやたぶん奥羽線の迂回路という位置づけかな)として計画されたのだそうです。でも開通したとしてもあまり旅客需要はなかったでしょうね。先ほど通ってきたR121の大峠トンネル区間でさえ現在の交通量は多くないわけですから‥。

さて、駅舎の奥の方に屋根付きで静態保存されているラッセル車と客車があったので見に行ってみることにしました。



こうして屋根付きだと保存にはいいですよね。絵的にはイマイチですがまぁしゃーないことです。



車両の塗装は近年塗り直したそうで、まるで現役車両のようにピッカピカ。



客車の出入口には階段がついていて、車内に入ることも可能。非常に良い保存状態です。

駅舎や車両がこれほどまでにきちんと手をかけて保存されているとは驚きでした。そんなわけでいい気分になって再び出発です。喜多方まではもう15kmもないほどの距離なのですが、さすがにまだお腹はすいていません。というわけでやっぱりラーメン寄り道はパスということにして、近隣の「気になる湯」に向かってみることにしました。とはいえ結局別の湯に入ることになったんですが(笑)。
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