(その1 ひょんな湯=城里町白山温泉が実はこの日の一番星!)



水戸市内からさして遠くないところにこれほど風情ある鉱泉宿があるとは!

(2010年3月7日)

ここ数週間ほど宿泊を伴うお出かけをしていません。1月は山形や福島、栃木にも行きましたが、2月は寒かったせいもあって日帰りでの千葉県内だけ。例年冬場は活動が鈍るTakemaではありますが(爬虫類みたい)、昨年一昨年は2月の北海道にお出かけしていたのに今年はなし(仕事の関係で無理)、また「Takema@冬の定番」とでもいうべき阿武隈山中の鉱泉巡りにも一度も出かけなかったんですね。こ、これはもしかして‥

「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」


(ホントは「寄る年波」画像を自分で書きたかったんですが、ものすごく手間がかかりそうだったので葛飾北斎さんにご登場願いました)。

で、3/7(日)。朝起きてみると空はどんよりというか小雨模様でもありました。ま、天気予報でも「今日は雨ですよん♪」とのことでしたからしょうがない。そもそも日帰りだしどうしようかなと考えたのですが、そういえば水戸市内に「気になる加熱かけ流し」の仮設風施設があることを思い出し、そこに行ってみることにしました。もっと暖かな時期になったら遠くに目がいくでしょうからわざわざ「水戸市内」の市街地温泉には行こうとしないだろうし、今日は冷たい雨の日だから入浴客ももしかして少ない?との下読みもありました。ちなみにおしんこどんは「家事がたまってる‥」ということでお留守番。

家を出たのは9:30過ぎ。実は目指す湯は13:00からの営業ということで(その道の先達の方々にはもうこの時点でバレバレですね)この時間に出てしまうのは早すぎ感ありすぎなのですが、そのためもう1つ気になる鉱泉をピックアップしてあります。現地付近の到着時間によってはそっちに先に寄ってもいいかなと。

で、予想通り高速はかなり空いていたので順調に水戸北IC(ETC専用、バイクもOK)で高速を降り、予備ターゲットの鉱泉を目指してR123を北上します。看板を目印に左折して、さらに進んでいくと‥



田んぼの中を突っ切る道の先に‥おお、ありましたぞ白山温泉、その名も「白山荘」!

水田エリアを抜け、ほんのちょっとだけ森の中に入った場所に位置する白山温泉ですが、国道からもかなり離れているので何だか深山幽谷にある秘湯の趣満々です。「この雰囲気は大当たり」と思わずにはいられません。車が4台ほど止められそうな屋根付きの専用駐車場があったのでここに駐車し、坂道を登っていきます。

坂の途中には、どう見ても手作業で造成したと思われる石積みの段々が。全4段のうち一番下の段はだいぶ崩れてきていますが、上の3段(撮影角度からみると1つの石積みに見えますが)はきっちりと所期の仕事を果たしています。今は草が生える時期ではないですが、枯れ草の痕跡も一切ないところにこちらのお宿の「普段のお仕事ぶり」がうかがえます。「かなり良さそうなお宿」という印象です(右上画像にマウスオンで激シブ系玄関の画像に変わります)

この玄関の引き戸ですが、年季は入っていても実にスムーズに「カラカラ‥」と開いたんですね(しかもこの日は湿度が高いのもお忘れなく)。そして玄関に入って「ごめんくださーい」、「はーい」のお返事のあとしばしでお出ましになった女将さんがまた丁寧な言葉遣いで「入浴ですか、ではちょっと待っていて下さいね、お湯を見て参りますから」とおっしゃった上で玄関から去ったところで、この界隈を見ていてものすごく感銘を受けたんです。それは、

玄関で待っているところから思いきり嬉しくなってきました(笑)。というか、玄関がこんなにきっちりしているならば浴室も、そして宿泊の部屋も同じようなコンセプト(=きっちり系)で整理整頓されているはずでしょう。これは湯使いも期待できるんじゃないでしょうか?何でも開湯は源義家の時代に遡るということで、歴史を今に伝える宿と言っても過言ではありません。



側棚にも無粋なものはなく、窓の造りもお洒落です(右上画像マウスオンでふるーい温泉確認証画像に変わります)。

数分後女将さんが戻ってこられて「ではどうぞ」とご案内下さいました。実はここの入浴料は800円とやや高額なのですが、その額を差し引いても余りある素晴らしい浴室が待っていてくれたのであります!女将さんに案内されたその先には‥



こ、これはすごいです!いやホント、かなーりぶったまげましたです!(下調べ時点では浴槽の形状まで知らなかったのです)。女将さんに案内されて浴室に入り「これが浴槽でね、今はボイラーの湯を入れてますから、熱くなったら蛇口を‥」とご案内を受けているあいだ口元が緩みっぱなしでした(笑)。

しかも、よく見ると船体の横腹には「白山丸」のロゴが付いています(ただし「白」と「山」のロゴは取れちゃったみたいですが、この遊び心はかなりポイント高し)。そして船体横からは‥



このアイデアはすごいすごいっ!何だか自分だけの貸し切り湯なのに「こりゃいいすごいぞ」系の独り言を言いながら喜色満面西方浄土方面を地でいく感じです(意味なし)。なお、これとは別にシャワー付きカランが1基ありますのでお湯が少なくなっても大丈夫です。しかしこの浴室内にはさらに恐るべき現役設備が存在していたのでありました。

浴室内の窓側には、室内だというのに小屋根が付いています。これは何かと思ってよく見てみると「井戸」でありました!なるほど、だから水汲みの桶がつながれていたわけですね(左上画像マウスオン)。

しかしこの井戸はただもんじゃありません。というのは、お湯を投入している&まだオーバーフローしていないタイミングでも、この浴室にはどこからかジャージャーと水が流れる音がしていたわけです。というわけでこの井戸の水面をよく見ていると‥

自噴でどんどんあふれている井戸水はパイプから常時外に流されていたわけですね。それにしても、鉱泉湯浴室の同じ室内に自噴の井戸が同居しているとはビックリです。もちろん井戸水だから飲めますし。
なお、最初Takemaは「この井戸が源泉に違いない」と思い、源泉が炭酸泉だという表示があったことからこの井戸水を味わってみたのですが(微量の炭酸味はあるように感じましたが気のせい?)、あとで聞いてみたら「源泉はここから400mくらいの山の中から引いている」とのことでした。



脱衣場脇には水神様が祀られておりました(左上画像マウスオン)。分析表は随分昔のものですが、浴室の風情がぐっと高評価。

というわけで、誰も待っていなかったであろうTakemaの入浴足であります(苦笑)。ところでこの「舟」の外観からある程度想像できると思いますが浴槽はかなり深めであり、そのため内部の両脇に腰掛けの板が渡されています。でもせっかくなので深々と浸かっていたところ‥

あとで聞いてみたところ、こちらはもちろん鉱泉ゆえの沸かし湯なのですが、蛇口から入れているのはボイラー利用の沸かし湯で、でもそれとは別に薪を使っての加温もしているそうで、その加温が浴槽底からわらわらと上がってきていたというわけです(ただし加温湯投入というわけではなくあくまで間接加温だそうです)。でもこの「ゆるーい加温」は何ともいい感じでありました。アツアツじゃないんですよ。

もっともっと居たい気にさせられましたし、もうこの白山温泉を「本日の本命湯」にしたい気持ちも濃厚でしたが、一応「次の湯もあるんだよなー」というわけでそろそろ撤収です。女将さんはある程度お年を召しておられたので、お仕事の手間を省くべく浴槽の木蓋をかぶせておきました。



やっぱりとてもいい感じ。ここの湯はネットでも案外見過ごされているような「秘湯」かも。

ちなみに入浴中の浴感は「多少ツルかな」くらいのものでしたが、湯上がり後は汗がなかなか引かない「あたたまりの湯」であることは間違いありません。この日のこの界隈は4-5℃しかありませんでしたが、それでもしばらくは汗が止まりませんでしたよ。

女将さんにお礼を申し上げながら「必ずまた来ます」と申し上げた上で坂を下りていきながら宿方面をふり返ると、到着時には見られなかった煙が上がっていました。なるほどあれが「薪による加温」なんでしょうね。せっかく薪に火を入れたんだから次のお客さんがすぐ来るといいなぁと思いながらも、その気配は全くないままでありました。あ、ちなみに浴室は1つしかないようですので、空いていれば男女とも常に貸し切りで楽しめると思います。

というわけで、事前の期待をはるかに超えた「いい感じの白山温泉」をタンノーした上で、次に目指すは水戸市中心部のビル群近くに位置する湯であります(本来の本命)。
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