神津島、式根島、新島、大島の温泉行脚

− その6 バイク de GoGo! in 神津島北部 −



さてバイクに乗って、今度は北部方面へと走っていきます。

「のんびりとことこ」
実は乗り慣れないスクーターゆえ、運転は結構ビビリモードでした。「ブラックバード云々」という声が聞こえますが、ニーグリップができないので鋭角カーブをぐぐっと曲がれないんですよ(苦笑)。

というわけで15:30頃にバイクで出発したわけですが、すこーしずつ時間的な焦りを感じ始めていたTakemaでありました。バイクの返却時間は17:00までといわれていますが、今から北部方面にて3ヶ所訪問希望地があり、それらの場所を満喫した上で17:00までに戻ってこられるだろうか?というわけで急ぎたいのは山々なれど、ビビリ運転中なのでスピードを出し過ぎると曲がりきれません(笑)。

というわけで、どんたくハウスの前にバイクを停め、まずは最初の訪問地へ。ちなみに「どんたく」とは島の言葉で「磯もんや魚を浜辺で焼いて食べること」を意味するそうで、要はBBQですね。しかし今から魚を釣りに行く余裕はありませんというか、ここに来たのはそれが目的ではありません。実は「その昔、このあたりにトロッコ線路があってその軌道跡が今でも残っている」という話を聞きつけ、「鉄の血」がふつふつと源泉自噴したというわけなのです。

とはいえ、このトロッコは旅客用ではなく貨物用というか、島のとある産品を運び出すための短い専用軌道だったようです。村の観光商工課による掲示がありましたので、それを引用させてもらいましょう。



どんたくハウスの使用は有料(350円)ですが、少し離れた屋外炉なら無料でどんたくドンタコスできるんでしょうか?

【名組湾とトロッコの跡】

正面の岩肌の高い山を神戸山と呼び、山全体が抗火石で形成されている。昭和十七年頃、建築材料に利用するため、当時、島外資本による日産化学工業株式会社により、この地に鉱石運搬の施設が建設された。

当時は道路もなかったので、目印に山の上の支柱が立っている場所よりこの名組湾まで索道を張り、採石された石が降ろされた。そしてさらにこの湾の先にある、ポンプと呼ばれるところまでトロッコに載せて運び、運搬船に荷積みされた。

その後、時代の変遷により石の需要も減り、昭和三十年代に積み出しは閉鎖された。当時、最盛期にはこの附近に仮屋もあって多くの人が働いていた。現在は神戸山まで車道が通じて、平成十二年の春まで採石が行われていた。採石された石は、今まで住宅や道路の石垣など、貴重な天然石として島内で消費されてきた(中略)。

今では残されているトロッコ橋や、附近に散在している採石、トロッコの車軸などが、当時を思い出す名残となっている。
そんなわけで歩いて行ってみると‥おお、ありましたありました!

もちろん線路は撤去されていますが、コンクリートの橋は現存していました。しかしこの橋を歩いて渡るのはちょいと危険?というわけで、石ゴロゴロの橋下を通って先端部へとアプローチすることに。高いところでは高さ3mくらいありますから落ちたら大怪我必至ですし、そもそも橋そのものがだいぶ劣化しているでしょうからね。というわけでだいぶ海側に歩いたところで岩をよじ登って軌道跡へ上がります。



うーんさすがにだいぶ劣化しているようで、内部の鉄筋がむき出しになっていました。



何と、当時の枕木がまだ残っていました。コンクリに埋め込まれていたので外せなかったのでしょう。



最後に小さな橋を渡ると、「ポンプ」と呼ばれた場所に到着です。ここで荷積みされたわけですね。おしんこどんはしゃいでるなー(右上画像マウスオン)。

さてここであまりのんびりしているわけにも行かないのでバイクまで戻ろうとしたら何やら観光系の看板が?まぁすぐそこなので行ってみると、何だかかつての火山活動というか造山活動を髣髴とさせる地形に出会いました。



それにしてもこんな文様が作り出されたその時、この島は阿鼻叫喚の世界だったんでしょうなぁ。

ハイ、そんなわけでこのエリアの観光(これって観光と言っていいのか?)は終了!続いては北端に近い場所にある「赤崎遊歩道」へ。しかしいざ到着してみてビックラこいたんですが、

何だかディズニーランドのアトラクション設備かと見まごうばかりの凝った造りに驚きました。橋の支柱部分を除くほぼ全てが木造ですよ!こりゃ工事も大変だったに違いない‥。ご丁寧に2ヶ所飛び込み台も設置されていましたが、たまたま干潮だったこともあると思いますが「今飛び込んだら海中の岩に激突してオシマイだな」と思わずにはいられませんでした(右上画像マウスオンで飛び込み台の拡大画像に変わります)。

しかし橋の向こう側には行きませんでした。やっぱり残り時間が気になったからなんですが、せっかくだったらダッシュで行っておくべきだったか?でももしそうしていたら17:00には間に合わなかっただろうか?



というわけで、最後の訪問地に向けて来た道を戻っていきます!だいぶ影も長くのびてきましたね。

この日最後の訪問地はやっぱり温泉でしょう!(これ系のネタがそろそろ出るだろうなと思った方も多いと思います)。指呼の間に「あの」三宅島があるわけですから、ここ神津島にも温泉がないはずはありませんよね。コンテナ系の仮設事務所はもうそれだけで湯の良さを感じさせます(笑)。温泉好きの人々には「仮設施設にこそよい湯有り」という神格化された定義があったりするわけで(あるのか?)、わざわざ循環濾過の温泉のために仮設施設を建てることがあり得ないことを考えればそれは確かに真理を見据えた分析に基づく定義なのですよ。なお、上の両画像ともマウスオンで画像が変わります。

なお伊豆諸島全ての島(南部の八丈島等を含む)に言えることですが、露天風呂施設に関しては全ての島で水着の着用を義務づけられています(だから混浴)。これについてはまず間違いなく「かつての離島ブーム」が影響しているんだろうと思いますが(相当オバカをやった人生の先輩方がいるんじゃないでしょうか?)、その罪状はともかくとして、今では地元のご老人も含め全ての方々がこのルールを厳守していますので、「俺はいやだ」などのワガママを主張しないようにしましょうね。郷に入りてはナントカというやつです。

さて、この神津島温泉露天風呂群(いくつもある)については「入浴料800円」という情報を得ていました。しかしいざ受付に行ってみると、右上マウスオン画像のように「島外大人:200円」と、何と1/4の大ディスカウント料金になっているではありませんか!これはまたいったいどうして?(嬉しい話なんですけれど)。と思っていたら、どうやらそこにはいろんな事情があるようでした。

ここ神津島温泉の露天は「広ーい広い露天風呂、そして夕日を眺められる展望風呂(大岩の上にある)、そして岩陰に位置する小露天風呂」の3つからなっているわけなんですが、いろんな事情からか現在(2010年3月現在)使用されているのは「小露天風呂」のみ。風情は決して悪くないんですが開放感はあまりないんですね。ここだけしか湯を入れていないというわけで上記の格安料金ということになっているようなんです。でもですね、



左上画像のようなプール露天はなくても問題なしでしょ(右上画像マウスオンでおしんこどん画像に変わります)。



ここで十分に高濃度の温泉がタンノーでき、さらには浴槽の風情はここが一番なのかも知れません。プールじゃないんだから。

ちなみに源泉温度は57度もあるらしく、泉質はナトリウム塩化物強塩泉。かなりしょっぱく「ちくちくする湯」でもあります。でもこれだけの施設を造りながら湯を張っていないというのはもしかして「悪夢の源泉湧出量低下」なのでしょうか?

でも、係員さんと新地元民の方(おそらく新たに赴任してきた学校の先生なんでしょう「先生はもう島民だよ」と言われてましたから)との会話を聞いている中で、ちょっと気になる係員さんのお言葉が。それは‥

うーん、やっぱり湯量が減っているということなんでしょうかね。このあと直接係員さんに確認してみたところ、「状況が落ち着いたら露天風呂の再開を検討することになると思います」ということでした。ということは状況が落ち着かない限り?露天風呂の再開はないということなんでしょうか。これについてはイマイチよくわからない部分もありますので、現地訪問を考えておられる方は事前に役場まで直接電話した方がいいかもしれません(離島に関してはネット上の情報があてにならないこともありますので)。

さてそんなわけでレンタルバイク屋さんである「神津島オートサービス」まで戻ってきたのは16:50、うん模範的な時間だなと思っていたら、さして広くない中庭には驚くべきモンスターが鎮座していたのでありました!



ちょ、ちょっと!この2台のBigbikeはいったい何なのさ!

聞いてみると、この2台のバイクはご主人が趣味でカスタマイズしたのだとか。しかし趣味の世界を超えてませんか?(笑)。というか、値段はいくらでもお支払いするからこのバイクを借りてみたかったぞ(本音)。あ、でもアメリカンはこれまた曲がるのに苦労しそうだからさらに結構大変だったかも(笑)。

というわけでバイクを無事返却し、てくてくとこの日の宿まで帰ります。町の一番外れに位置する宿ですが、さっきまで何回か前を通ってましたからもう道はバッチリ頭に入ってますんで。



着いたぁ本日の宿「山下旅館別館」!部屋からはご覧の通り夕日もバッチリ!

このページもそろそろ長くなってきましたが、6ページ目にしてまだ初日編というダラダラ構成を考えるとそろそろ目途をつけなきゃね。そんなわけでもうちょっと続けますよ(勝手な話でごめんなさい)。

さてこの「山下旅館別館」ですが、ネットで予約した宿であります(楽天トラベル)。だってそのキャッチコピーにこうあるんですもん。

こ、これはどう考えてもこの宿でしょうよ!多分(距離的に)そうだろうと思っていたのですが、先ほど入った神津島温泉とは別の源泉(源泉名は湯柱温泉)を使っているということで、うーん嬉しいではありませんか!ちなみにこの日の宿泊客はわれわれだけということで、「どうぞいつでもご自由に(混浴で)お使い下さい」ということなので、これまた幸せいっぱい夢いっぱいなのでありますね。というわけでいざお風呂へレッツらゴー!!



どうやら通常は女湯として使われている浴室のようです。



お湯は無色透明ながら黒い湯花が少し舞ってます。源泉は露天よりも少しマイルドな食塩泉。



失敬して男風呂をのぞいてみたら、行き届いた清掃がなされておりました。こっちの方が広くて気持ちよさそうだなー。

ちなみに脱衣場内の掲示によると源泉温度は40.5度となっていますが、ロビーにあった最新の分析表(平成21年3月26日)によると湯温が低下し36.2度となっていました。もっとも源泉湧出量は(動力)73.4L/分ということで豊富ですから、もともと循環用に作られたわけでもない浴槽からはしっかりオーバーフロー。どうみても加熱かけ流しですね(隣にボイラー部屋もありました)。



開放感のある浴室からは神津島港が見渡せます。真下にはメインロードが通っているんですが全く気になりません。



部屋はご覧の通りぐぐっと広く、もちろん窓からは港が見渡せてヒジョーによろしい哉。もちろん暖房便座のトイレも付いてます。

さてそうこうしているうちに夕食の時間となりました。お客がわれわれだけだからというからでもないのでしょうが部屋食です。食事後にはお布団も敷いてくれて快適滞在どっこいしょという感じですね。で、その食事ですが!



大きめ伊勢エビの半身+なめちゃいけないキンメのカシラ煮付けでもうお腹いっぱい夢いっぱい♪

もしかして「何だ料理が少ないなぁ?」と思われる御仁もおられるかも知れません。でもわれわれにとってはかなりの量でして、この旅行中「一番お腹が張った」量であったことをここに告白させていただきます。「出された料理を残すのは最大の罪悪」と心得るわれわれは、かなりの苦難と忍耐とをもってこのお料理全量をクリアしたわけです。そのかわり伊勢エビもお頭も、余すところなく身をほじって食べましたよ。ついでにお酒も飲んだしご飯もぱくぱく。

夕食後に少しくつろいだ上でお風呂に行き、上がったところで宿のお子さんがひとこと。

うーん、神津島村民の中でも毎日温泉に入れるのは君たちだけなんだよね、何だかとてつもなくうらやましいぞ(笑)。

さて、明日はいよいよ神津島を離れます。というか今朝この島に着いたばかりだったのに、何だかあまりにも盛りだくさんで気がつけばもう6ページ進行とは!(笑)。でもこの旅行はある種の先細りですからご心配なく?いや、でも「針小棒大」が得意のTakemaですからどうなることやら?(苦笑)。
[戻る] [次へ]