神津島、式根島、新島、大島の温泉行脚

− その15 新島3日目 晴れた!バイクだ!温泉だ!(1)



いやっほー、この日がくるのを待ってました!

カーテン越しに射し込む朝日の明るさで目が覚めました。素晴らしい目覚めであります。今日は丸一日楽しむぞぉっ!そんなわけで朝食を食べ、温泉セット等を準備し、ヤジーのお母さんに教えてもらっておいたレンタルバイク屋さん(2軒)を目指すことに。と、出発時に食堂でお母さんから何やら説明を受けている3人組の女性がいたことを見逃さなかったTakemaでありました(謎笑)。

しばらく歩いていくと、明らかに休業中と思われるレンタルバイク屋さんを発見。あちゃまーさすがにオフシーズン!しかたない別方向のもう1軒に行くかというあたりで「謎の榎」看板発見。地域名なのかなこれ、「東京都新島村謎の榎25番地」とかになるのかな、うわー何だかいわくありげな地名だぞと思ったりしましたが、実際は地名ではなく旧跡の名前でありました。何だつまらん(勝手に勘違いしておいてブツブツ文句を付けるうつけ者Takemaをお許し下さい清右衛門さん!)。
【謎の榎と墓】(近くにあった教育委員会設置の説明板より)

新島は、寛文八年(一六六八)から明治四年(一八七一)までは流刑の地であった。流人が流刑地で再犯し、しかも重罪であった場合、死刑が執行される。寛政十年十一月一六日、流人清右衛門が処刑されるとき、清右衛門は自分の無実を叫んで、その証として法塔塚に榎を生やすと訴えて死んでいった。はたして、まもなくこの法塔塚に榎が生えてきたので、その霊を慰めて墓石が立てられたと伝えられている。墓石には妙法啓岸霊位ときざまれている。この流人の宿としていた本村北村の農家は、この流人を「榎のおじい」と呼び、現在も仏事・法要の時には香華を手向け続けている。
そんなこんなでもう1軒のレンタルバイク屋さんへ(ただし、島内にはもっとバイク屋があると思いますので念のため)。店は開いていましたがオーナーがいない?と思ったら、「ご用の方はこの番号までお電話下さい」とのことでした。なるほどこの時期は「お客がいないときは無人店舗」なのね。究極の人件費削減ですな(笑)。

タンデム可能なバイクはありましたが、ご主人いわく「どうだろうなー、エンジンかかるかなー」。なるほど、冬の間このバイクを借りた人が全くいなかったということね。そんなわけでスターターオン。セルモーターの音はそこそこ快調そうだけれど‥おお、エンジンがかかったぞ!

そのあとはタイヤの空気圧を調整してレンタル準備完了。ご主人はお話好きな方で、景気が良かった離島ブームの頃に島の外から来た人々がお土産屋などを沢山オープンさせたが、ブームの終焉とともにこの人たちも撤退し、あとに空き店舗だけが残されたなどのお話をいろいろとして下さいました。

「満タン返しで、返すときに私がいなかったら店の中に止めてくれればいいからね」。うわー信用されてるなー(笑)。というわけで新島めぐりに出発です!

村営船乗り場を通過して東海汽船のある新島港へ。この時間は船が着くわけでもないので閑散としていましたが現ターミナルの向かいには新ターミナルが「外観はほぼ完成」の段階まで建設が進んでいました。あ、ちょうど休憩時間だったのだろうと思いますが、作業員さん達が砂浜に座ってくつろいでますね(左上画像マウスオンで拡大)。

ちなみに前の方のページで書きましたが、伊豆諸島の多くの島にはそれぞれ2つの港があり、天気(風)の状態によって使用港を使い分けているのが普通です。しかしここ新島の客船港はここ新島港のみ。冬の季節風が強い時期は東側の港を使うのが普通なのですが、どうして新島村は東海岸の羽伏浦港を整備して大型客船を停泊できるようにしないのでしょう?

その理由は新島港の向かいにぽっかりと浮かぶ無人島「地内島」(右上画像)の存在にあります。港の西側に位置するこの島は冬の季節風が吹き荒れる時期に「天然の防波堤」として役立っているというわけです。この日の午後は「天気晴朗なれども北西風強し」だったのですが、確かに地内島と新島の間だけは白波がぐっと少なかったです。ちなみにこの地内島ですが、Wikipediaによるとこんな記述があります。
「かつては樹木が生い茂る緑の島だったが、動物園で飼育されていたサル、シカ、ウサギが捨てられて野生化したために植物が食い荒らされ、樹木がなくなるとサルは絶滅し、シカは泳いで脱出、現在は残ったウサギだけが僅かな草を食べて生息しており、殆ど岩山に近い状態となっている。また、脱出したシカは新島に渡って繁殖し、農作物を食い荒らす害獣となっている。」
さてはかつての新島村、動物を遺棄しましたね(苦笑)。しかし生態系破壊の見本のような話であります。ただしそれは今のような自然保護が叫ばれる前の話であり、「今の常識を以て過去の行為を非難する」ことはできません。かつては小笠原諸島の聟島などの無人島でも、「人間の都合で」持ち込まれたヤギが大繁殖して島の生態系を破壊した例があります(そのヤギはその後東京都が予算を付け、現在では完全に排除されています)。

今はウサギしかいないという地内島ですが、無人島ですから排除はそれほど困難ではないはずです。「島の防波堤」をもう少し大切にした方がいいのでは?このままではどんどん崩れてしまいますよ。人間様の都合というまことに勝手な理由ではありますが‥。

とまぁエラソなわかったような理屈をくどくど述べてきましたが、所詮われわれはいちげんの観光客ですので、やはり晴れた日にはどんどん観光に精を出し、少しでも新島村の経済に貢献するしかないのであります。それが世のため島のため(笑)。

途中、現ターミナルに隣接する場所に「光と波と風の塔」なる不思議な施設があったので立ち寄ってみることに。なぜこのようなものが造られたのは定かではありませんが、あまり意味ある施設だとは思えません‥(それでもほたえるおしんこどんは展望台で足を上げてますね=左上画像マウスオン)。

ちなみに南を見渡すと、ここから少し行った先にある岩場の上に何やら人工的な構造物が見えてます(右上画像マウスオンで拡大)。あれがこれから行く「お楽しみ施設」であることに間違いありません!天気もいいし、サイコーだろうなぁ(わくわく)。

そんなわけでバイクで行く距離でもないすぐ近くなんですが、かといってバイクを置いていくわけにも行かないのでいってみましょー、

重厚な石造りのエントランスの先には靴脱ぎ場、そして左右それぞれに男女別の脱衣場が設置されています。と、そこには何やら方位を示すのであろうモニュメントが埋め込まれています。お金かかってるなー。しかし誰も読めないと思うんですが(笑)。ちなみにこの施設の利用料は何と「無料」!なのであります(ただしロッカーやシャワーは有料。でも誰も使ってる気配なかったなぁ)。

他の島と同様、ここも水着着用義務があるのでまずはお着替えです。で、いざ露天風呂へと進んでいくと‥



最初に行ったときには地元の先客さんがおられたのでそのあとの画像ですが、これはなかなかの開放感、湯温も熱めでいい感じであります。そんなわけでおじさんとしばし3人で雑談をば。

ここの湯は近くの間々下温泉からの引き湯なのですが、どうもその間々下の源泉ポンプの調子が悪いようで湯量が足らなくなっており、よってここの露天風呂も2つにしか湯を入れていないのだとか。「ここの源泉は熱いし(79.8度)塩気が強いから(ナトリウム塩化物強塩泉)ポンプがすぐやられちゃうんだろうな」とのことでした。もっともネット上の情報によると源泉はそれほど深いところからの揚湯ではなく、深度50mくらいだとか?

ページトップの画像を見てもらえばわかると思いますが、この温泉施設はギリシャの遺跡をモチーフにデザインされているようです(温泉知り合いのゆささんによれば地元の建築士による設計だとか)。特に岩場の頂上部分には様々な意匠が施されているわけです。

しかし、その肝心な頂上部に至る階段の入口には立入禁止のロープが張られています。と、ここで偶然にも役場と工事業者の一行とおぼしき方々が現れたではないですか!

どうやら最近行ったであろうメンテナンス工事の現場確認にお越しになったようですが、こりゃもっけの幸いというわけで「上に上がる許可」をもらって見学に行ってきました!

うわー開放的!で、下の露天風呂群を見下ろすと、一部にしか湯が張られていないことが一目瞭然です。

うわー、ここにお湯が張られていたらどんなに気持ちいいでしょうに!すぐ脇には右上画像のようなウッドデッキもあるし、これって完璧なリゾートですよリゾートったらリゾート、リゾットじゃないリゾート!(しつこい)。

先客のおじさんも「上に湯を張ってくれれば気持ちいいんだけれどな」とおっしゃっていました。施設管理の方、もしお湯の総量が足らないのであれば下の2槽に湯を張るんじゃなくて「上1下1」でお願いしますよ!(しかしそれを思いついたのは湯を上がったあとで、管理人さんはおられたのに実情をお聞きすることが出来なかったのは残念)。

さて続いてはもう一つの露天風呂へ。しかしこちらはただ今湯溜め中でして、源泉をそのまま入れていることもありかなりの激熱湯。そんんわけで水ホースからも水が注がれていますが、浴槽底にある源泉投入口の向きを考えればこのあたりが一番温度が低いはず‥なんですがっ!(右上画像マウスオン)。

うーん、おしんこどんよく頑張ったぞ(笑)。ん?Takemaは恐れをなして尻に帆をかけて逃げ去ったとか?しかしTakemaの本領は別のところで発揮すればいいのであります。そしてそのチャンスは案外すぐにやってきました(笑)。

われわれが露天湯から上がり、先に着替え終わったTakemaが駐車場側でまったりしていると、若い女性3人組がそれぞれ自転車でやってきました。自転車の前のカゴには「民宿ヤジー」の文字が。

そこですかさずTakemaの出番であります!(決して「いわゆるナンパ」ではなく「純粋に同宿のよしみからくる親愛の意味」から出た行動だとご理解してくれなきゃリンダ困っちゃいます)。

でもさすがに皆さんきょとんとしています。そりゃ当然の話でわれわれが出発する際、食堂でお母さんから説明を受けていた彼女たちは廊下を通るわたしらに背を向けていたわけですから。しかしその旨を告げ、同宿であること、レンタルバイク2人乗りでここまで来ていること、そして何よりも「われわれが夫婦で来ていること」を告げると(これ大切ね)、合点がいったというか安心したようでした(笑)。「それじゃまた夕食時に」といったん別れたところでおしんこどんが登場‥したんだっけな?

ちなみにレンタルバイクの話をしたら「あー、それいいですね!」との反応が。聞けば3人中2人が普通二輪免許を持っていて、お1人は普段からバイクに乗られているのだとか。うーん、今晩は楽しい夕食になりそうじゃないですか!(嬉)。

ただしもちろん彼女らとはここでいったんお別れです。さ、タンデムバイクも借りたことだし、公共交通機関ではなかなか行かれない島の南部方面に行ってみますか!
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