− その16 新島3日目 晴れた!バイクだ!温泉だ!(2) −
そんなわけでひとっ風呂あびたあとはスクーターとはいえバイク、となればツーリング!島ツーリングを楽しまなければ損々っ!というわけでここからは南部方面へ。とはいえ海沿いの道路はすぐに断崖にぶつかりEND。そんなことは地図を見ればわかりますから山上を行くワインディングルートへと向かいます。と、その分岐の手前には?
さすがに水が豊富な新島というべきか、だーれもいないにもかかわらずざあざあと水の流れる親水公園。いや、無駄な施設だとか申し上げるつもりは毛頭ございません(夏は喫茶軽食施設も営業するようですし)。少なくともTakemaはここで○意を催し、とっても整備されたトイレでゆっくり諸般の行為を気持ちよくタンノーいたしましたからね(大笑)。
しかしこの界隈、見事にだーれもいませんね。ちなみにこの親水公園の向かい側には自衛隊の駐屯地があります。実はここ新島にはミサイルの発射基地があるのです。ただし「首都防衛のための最前線基地の1つとして365日24h迎撃用パトリオットがカマ首を持ち上げている」とかいうことでは全然なくて、近距離用ミサイルの命中精度を上げるため、年間20日以内だけ「海面に設置した無人標的に向けてちゅどーんと発射する」程度の頻度らしく(実際は年間で10発くらいしか発射していないとか)、すなわちそれ以外の日は何とも閑散としたエリアだというわけです。ここから南には人も住んでいないしねぇ。
というわけでほとんど対向車もないコンクリ道路を進んでいきます。
実際はもっと急なワインディングが続きますので、道自体は面白いです。
そんなわけで島の南端部へ。景色が見渡せるY字路の分岐から南側へ下っていく道は「これより先管理地域により関係者以外立入禁止」とありましたか。さすがに「ミサイル基地までレンタルバイクで誰でも自由にお越し下さい」というわけにはいかないようです(そりゃそうでしょ)。というわけでここでしばし休憩ね。
なるほどあの辺がミサイル発射場ですか。その奥には三宅島が見えてますね(左上画像)。右上画像の島は神津島です。
久々の好天気と展望を楽しんだあとは来た道を戻りますが、そういえば途中に「展望台こちら」とか何とか書かれた分岐があったよな、入口を見た感じでは未舗装だったみたいだけれど‥まぁいいか、行ってみましょということに。もしかしてレンタルバイクは(道の状態が悪いので)進入禁止だったのかな?でもレンタル時に何も言われませんでしたからたぶんOKだったのでしょうと勝手に解決ライオン丸(=古すぎです)。
最初のうちはとっても平坦で段差もない道を進んでいきます。すると突然、工場の廃墟がでてきました。
「コーガ石」。そう言われても、新島に行かれたことのない人には何だかわからないと思いますのでちょいとご説明を。
新島では軽石の一種である「コーガ石」(坑火石、「抗」の字も当てられていますが、「坑」の字義に「穴」という意味がありますから多分「坑」が正字でしょう。ただしいろいろな文献を見る限りは「抗」の字をあてている方が多いです)が産出し、その推定埋蔵量は10億トンともいわれています。非常に軽量で比重は「1.0以下」、つまり「水に浮く」というわけですね。
このコーガ石、軟らかく加工が容易で、また耐熱性に優れかつ軽量。そんな特徴を利用して、島では家や壁の材料として長年使われてきました。島内で見られる石壁のほぼ全てはこのコーガ石を利用したものであり、また、一見鉄筋コンクリート建築に見える建物も、新しいものを除けば実はこのコーガ石建築だったりするのです。あとで聞いた話ですがわれわれが泊まっている民宿ヤジーさんのお宅もコーガ石建築だというのですから驚きました(ご主人談)。
加工しやすく軽量、かつ軽石ですから火にも強いというわけで、建築材料としてはうってつけだったこのコーガ石ですが、産出が進むにつれてやや比重の重いものが出荷の中心になりました。すると「困った問題」が生じてきたというのです。
比重の重いコーガ石(厳密には比重1.0以上のものはチュウコウ石と呼ばれ別物扱いだった)を積み重ねて壁にすると、土台部分のコーガ石がその重量に耐えきれず崩れてしまうということがわかると、コーガ石の建築材料としての需要は減退し、かつては沢山いたコーガ石職人さんたちもみな廃業してしまったのだとか。だから現在あるコーガ石造りの家は大変貴重な存在であるともいえるでしょう。
そんなわけで使われなくなったコーガ石やチュウコウ石ですが、その素材の特徴に目を付けて「彫刻オブジェとしての利用」が始まりました。現在島の至る所に「石造りの彫刻」が見受けられますが、これらは皆このコーガ石を使ったものであり、島内にはこの石を利用したクラフトショップなどもあるようです。
以上の内容はTakemaがヤジーのご主人から伺った内容に多少加筆したものですが、いかんせん記憶をたよりに書きましたので事実と違う点があるかも知れません。内容に間違いがありましたらご指摘下さいませ。
さてここ向山界隈はそのコーガ石の故郷。工場周辺から展望台に至る道路はかつて原石を載せたトラックが行き来していたはずであり、ここが採石場であったことを示すかのように、周辺は木々の繁茂が少なくやや荒涼とした風景が続いています。
工場跡を過ぎると道が悪くなりますが、看板はしっかりあるので安心です。
さらに進んでいくと、周囲が徐々に低くなってきました。そろそろ頂上=展望台に到着です。すると‥。
(手前が式根島、奥が神津島)
春ですから多少は霞んでいますが、視界はほぼ良好ですね(さすがに富士の秀峰までは見えませんでした)。ただし西風がかなり強く崖を駆け上ってきます。ん?崖上で向かい風が強いとすれば‥
おしんこどんはこれをやるっきゃないですね。向かい風に向けてジャンプ!はできないですが(やったら死ぬって)、その気分だけでも味合わなきゃ。そういえばこれを初めてやったのはパプアニューギニアのポートモレスビーだったっけ。あれから7年、そろそろワンパターンかも知れませんな(汗)。
この石山(向山)展望台にもコーガ石彫刻のモヤイ像がありました。それにしてもこんないい景色の場なのに誰も来ないとはあまりにもモッタイナイ気がします。とはいえこの場所はご覧の通りの高台ですし途中はダート路ですから、バイクや車がなければ来られませんね。しかもオフシーズンのこの時期、われわれが訪問するには一番のいいタイミングだったかもしれません。
と、ちょうどいいタイミングで式根島港からかめりあ丸が出航するようです。
よーく見るとやって来ますねかめりあ丸が!(両画像ともマウスオンで拡大画像に変わります)。
と、これはいいタイミング!新島からも連絡船にしきが出航したようです。かめりあ丸と連絡船にしきのランデブー、最高の場所から見ることが出来そうです。
おおー、地内島との海峡をかめりあ丸と村営船にしきがすれ違っていきます!
確かに地内島のエリアは波が穏やかですね。それぞれの目的地に向けて行ってらっしゃーい。
村営船にしきも間もなく式根島に到着です。さてそんなわけで来た道を帰りましょうか。
「石山(向山)展望台への道」
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