− 約60年ぶりに姿を現した旧共同湯を目指して −
− その3 約60年ぶりに姿を現した「河原の湯」に浸かる −
そんなわけでやって来ました目的地!まずは民宿さんにご挨拶。こちらの建物は浸水しただけでなく、只見川側の斜面が増水に洗われて削られた結果地盤が動いたことにより「全壊」の診断を受け、約ひと月間避難しておられたそうです。しかし現在は川側の緊急工事が完了し「とりあえずは大丈夫」ということで今は自宅に戻られています。
わたしらは以前御親戚の旅館に宿泊したことがあり、また「季節限定露天風呂」にも何度もおじゃましているのでいろいろな意味でずいぶんお世話になっています。そんなわけで、奥様に「被災お見舞い」を手渡しました。些少ではありますが、すこしでもお役に立てれば‥。
で、河原の復活湯への入浴希望を申し上げると快諾してくださいましたが、「川の水位変化が大きいので、あまり長くは入らないようにして下さいね」とのことでした。了解した上で、ではでは行ってみましょう!
季節限定露天風呂は一部損壊しましたが、たぶん今後の作業で復活してくれることでしょう。
河原側から民宿を見上げると‥うーん、相当えぐられたのがわかります。緊急工事がなかったら大変でした。
昔のコンクリート歩道が出ていました。このあたりには砂の堆積がありませんが有志の皆さんが撤去なさったのかな?
さてそして、僅かなカーブを曲がると、そこにはとてつもない桃源郷が広がっていたのであります!
すぐ横を流れる只見川、そのすぐ上に2つの浴槽がそれぞれ別色の湯を湛えて「いらっしゃーい!」と叫んでいるではありませんか!驚いたことに、この木枠は今回新しく作られたものではなく、往時(約60年前)のものそのままなのだそうです。源泉を注ぐ木をくりぬいた造作(後出)もそのままなのだそうで、湛水後は空気に触れることがなかったため腐食しなかったということなのでしょう。それにしてもスゴイです河原の湯!
ちょっと別角度から撮ってみました。マウスオンするとさらに別角度画像に変わります(平常時のダム水位位置がわかりますね)。
左上画像のこれが源泉の丸木くり抜き湯口ですが、その脇には別の湧き出しもあってとにかくシュワシュワしています。この付近の共同湯や炭酸井戸の存在を考えれば当然でしょう。炭酸濃度が高いので、ぜひここはコップ持参でシュワシュワ炭酸水を味わってください。金気味を含む、美味しいシュワ湯です!
また、どんと直立している柱の下からもかなりの勢いで湯が湧出しておりました(ここが一番湯温が高い場所でした)。それでも37.3度ということは‥やはり共同湯同様冬は加温しないときびしいですね(いや、この場所の冬期入浴はたぶん危険すぎて許されないでしょうが)。
ではそろそろ入浴いたしましょう。9月以降、湯を愛する方々による作業により完全に掘り出されているので快適に入浴できます。ただし川の増水により河原の湯全体が水に浸かることもあるので、入れるか否かについてはある種運次第です。
どちらもぬる湯で長湯上等!という感じですが、それぞれの湯温は両画像にマウスオンすると表示されます。うーん、この時の外気温は14度(ただし風なし)でしたので快適だったかな。でも紅葉の時期あたりだと太陽がないとかなり寒いかも。皆さん、今シーズン中の訪問はお早めに(なお、ご主人によると「朝はせめて9時以降に訪問するようにしてほしい」とのことですので厳守しましょう)。春は只見川本流が雪解けで増水するので「季節限定露天」との掛け持ちは難しい気がします(あくまでも想像ですが)。それにしても‥
ちなみに同好諸氏で未湯の方々を煽るようなご説明を申し上げれば、「両浴槽とも足元自噴」であります!特に透明湯側は結構な勢いです。
【奥会津大塩温泉 河原の湯】
斜め上方にはこちらも今回の豪雨で被害を受けた共同湯の建物が見えています。屋根にはまだブルーシートが掛けられていますがすでに仮復旧しています。何でも災害派遣された自衛隊の皆さんが浴槽の泥を排出してくださったのだとか。本当にありがたいことです。この半年強で国民一般の皆さんの「自衛隊」に対する見方が変わったであろうことを切に思います。ただしあくまで自衛隊の存在意義は「国防」にあることを忘れてはなりません。そしてその意味での「暴力装置」なる機構は絶対的に必要なのですよ社○党さん!
それはともかくとして、右上画像をよく見ると上流部には落橋した只見線第七橋梁が見えているんです(右上画像マウスオン)。あの屈強に見えたトラス橋ですら落橋してしまうほどの激流というか川津波がこの地を襲ったわけで、それは自然災害なのか人災なのか?そしてここからの復旧は誰が?どうやって?お金はどこから?‥さまざまに考えさせられます。とにかく皆さん現地にお越し下さい!行けば当然そこでお金を使うわけで、それが地元経済を回す原資になるのですから!
しかし‥そろそろこの場を去るべき時間になってきました。明日は仕事‥ふぅ。
さてそんなわけでコンクリ歩道を歩き上まで戻ろうとした瞬間でした。ふと只見川の本流に目をやると‥
もしかしたら、思いきり渇水時期になるとこの下部でも入浴が楽しめるなんてことが‥。
ここ「河原の湯」に関係する本名ダムは、東北電力のプレスリリース(2011/9/30報)によると「設備の健全性確認が必要」とあります。昭和29年に発電を開始した古いダムですから、今回の水害により躯体そのものに相当なダメージを受けているのでしょう。となれば只見川沿いの護岸工事とともに本体にも多かれ少なかれ手を入れなければならないわけですし、再湛水までにはまだ当分かかる(数年単位)のではないかと思われます(素人考えですが)。
こちらの民宿さんもこの水害で大きな被害を受けましたが、その一方で河原の湯復活という思わぬ副産物ができたわけで、拙ページをご覧いただいている皆さん、是非こちらの民宿に義援金をお渡し下さい!または隣の共同湯の組合さんにご寄付をお願いいたします!さらには落橋したたもとのスーパーで買い物をなさって下さい!そうすることで、今回の災害でつらい思いをなさっている地元の方々も少しずつ元気になっていくはず!わたしはそう信じます。
そんなわけで奥様にお礼を申し上げた上でこの極上湯をあとにしました(ご主人は不在だったようです)。で、せっかくなので炭酸水井戸まで行ってみたら‥うわーものすごく整備されまくっていてビックリ!初めて来たときは笹だらけのぬかるみだったし、隣の工場もまだなかったんですよね。で、井戸をのぞいてみると‥(右上画像マウスオン)、
これも只見川の関係なのか、それとも単純に秋の渇水期だからなのかはわかりません。でも何だか嬉しかったのは、井戸水を汲むシステムが相変わらず「紐の付いたヤカンを投げ込んで汲み出す」という今まで通りのやり方だったことですね。ほのぼのしていて好きなんですよこれって(笑)。
さーてそろそろ帰路につかないと明日の仕事に差し障りがあります。何たってナビによると家までは5時間以上かかるという予測が出ているのですから(やっぱり奥会津日帰りは遠いわ‥)。そんなわけで只見線は運行していませんが「千葉に向けて出発進行!」です。
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