− その8 やってきました初めての「ばんえい競馬」(1) まずは基礎知識から −



実は、開催日の競馬場に入るのも初めてだったりするTakemaです。

さて、帯広行きノースライナー号の終着は当然「帯広駅前」なのですが、われわれが下車したのはその1つ手前の「競馬場前」。前回(2009)、同じバスに乗っていて「へー、こんなところに競馬場があるんだ‥って、帯広?も、もしかしてばんえい競馬??」ということに初めて気づき、次回訪問時には是非立ち寄ってみようと心に決めていたのがこちらでありました。

ばんえい競馬。通常の競馬とは違い、北海道の開拓時代、馬同士の力比べに端を発して始められた「引き橇」の競馬です。橇を引く馬のことを「ばんえい馬(ばん馬)」といい、この競馬(公営)は何年か前までは帯広以外にも旭川や岩見沢、北見などに同様の競馬場があり、ばんえい馬はもちろんのこと騎手や調教師さんその他の方々も開催日程に合わせてこの4競馬場を順繰りに回っていたそうなのですが、残念ながら岩見沢、北見は2006年度を以てばんえい競馬の開催を中止そして旭川も2008年休止。よって、今やここ帯広が公営競馬としては国内唯一のばんえい競馬開催地となっているわけです。

ばんえい馬は当然一般的な競馬種であるサラブレッドではなく、かといって「道産子」といわれる北海道由来の固有種というわけでもないのは意外なことですが、フランスやアメリカから輸入された種馬との混血により現在のばんえい馬の血筋が出来上がっているということです。そして何と!

サラブレッドの馬重が500kgそこそこであるのに対して、ばんえい馬の馬重は重賞系であれば軽く1000kgを超えているようです。今ちらりと、とある重走系レースのエントリー馬の馬重を調べてみたら「1000kgは当たり前、半数以上が1100kg超え」でありました。もちろん若馬の場合は1000kgにはまだまだ届かないわけですが、それにしたってやはり重量馬であるのは確かです。



あ、でも上記のことはWikiのページでも見てもらえばわかることなのでこの辺で割愛。どんどん場内へ入っていきましょう。おっとその前に入場券売場で入場料(1人100円)を支払わねばなりません。が、しかーし!

これはもちろん入場券売場の係の方が、Takemaの存在全体から満ちあふれる気品と品格にそれと察し「この方々はタダモノではない!」と全てを理解した‥からでは毛頭ありません。というか、Takemaは最初に1枚の紙を提示したわけですよね。それはどんな紙なのかというと‥

とは言っても、何のことだかわからない方々ばかりだと思いますのでちょっと説明しますと、ここ帯広のばんえい競馬では重賞を除く好きなレースに「好きなレース名を付ける」ことができるのです。しかもレース後は表彰式もあり、さらには馬主さんや騎手、そしてもちろん優勝馬との記念写真というイベントにも「スポンサー」として参加できるという特典まで付いているのです!

Takemaは今回協賛金として「金2万円也」を拠出しましたが、個人による協賛の場合は1万円からOK(聞いた話によると「1万円の協賛金というのが一番多い」らしいです)。Takemaは「これまで北の大地を存分に楽しませていただいた御礼」のつもりで2万円にしたわけですが、1万円だったら、自己満足&めったにできない経験料(競走馬や騎手ほかの皆さんと記念写真なんて、馬主でもない限り夢の世界ですもんね)として決して払えない金額ではありません!(ただし人には人の価値観がありますからTakemaの考えを押しつけるわけではありませんが)。

いずれにせよこの協賛プログラムプランは旅行計画立案時のTakemaのハートをいたく刺激し、「よーしやっちゃれ!」という気にさせてくれたわけです。これまで馬券の1枚も勝ったことのないTakemaなのに(笑)。

なお、この協賛プログラムについてはばんえい十勝の公式サイトに詳しい説明がありますのでよろしければご覧下さい。トップページ内の「インフォメーション」>「レース協賛について」をクリックすると詳細ページが開きます(公式サイトのトップはこちら)。



さて話を当日に戻しましょう。総合受付で協賛者であることを申し出ると、「それではこの通路の一番突き当たりに事務所がありますので、そちらまでお願いいたします」とのこと。要はスタンド下の端から端までの移動となるわけですね。



よくわからないんですが、建物もちょっと古めのこういう雰囲気って地方競馬っぽいんでしょうか?



これまたよくは知らないんですが、場内通路上でこんな「予想会」が行われているのも地方競馬ならではなんでしょうか?

でも土曜日ということもあって子どもさんの姿も見られましたし、まぁこれはこれでアリなのかと。とにかくTakemaにとっては見るもの聞くものの多くが新鮮な感じでありました。そういえば競馬場の敷地前には2010年8月にオープンしたという「とかちむら」というスイーツ&グルメ&産直ゾーンもありましたっけ(結局行きませんでしたが、帰りがけに寄ってみればヨカッタとちょっと後悔)。ちなみに「とかちむら」への来場は入場料がかかりません。有名スイーツ店は入居していないようですが、有名どころなら市内各所に製品を売っていますからここはここで楽しめるのかも‥。

さてかの事務所で「協賛レースのTakemaですが」と申し上げると、係の方が丁寧にご説明下さいました。ただ、予約していた「プレミアムラウンジ」へは、

うーん、何だかかなーり非効率的な動線なのですが(笑)。できれば「到着の確認」だけは入口すぐのインフォメーション(正式名称は「総合案内所」)で手続きできるようにしてもらえると有り難いんですけれど‥。もっとも今回は両母を同伴しているのでよけいにそう感じただけなのかも知れません。

3Fのラウンジまで直行するエレベーターがないというのは確かにちょっと面倒ですが、ばんえい競馬をめぐる諸事情(=設備改修にお金をかける資金的余裕云々)を考えれば致し方ないのでしょう。プレミアムラウンジの利用料金だけでエレベーターを設置できるわけでもありませんから‥(ちなみに協賛者であってもラウンジ利用料は別払いです。そりゃそうだよなー)。

そんなわけでラウンジまで上がってくると、さすがにこのフロアは近年にリニューアルされたらしくピカピカでありました。ラウンジ専用のレセプションもありますしもちろん専用の「勝馬投票券発売所(自販機)」もあります。暖房も十分だし、われわれ一行用にソファー向かい合わせの4人席が確保されていたので長時間滞在にも全く問題はありません。夏なんかは外のテラスに座っての観戦もいいんだろうなぁ(さすがにこの時期はレースタイム以外に外に出ている人はいませんでした)。

さて、そうこうしているうちに第3レースが始まるようです!まずは何が何だかわかりませんが観戦しましょうそうしましょう!

ばんえい競馬のレース場は一般レースから重賞レースに至るまで全て同一のコース「直線200m、馬場はダートじゃなくてサンド」のコースで行われます。途中2箇所に坂=障害があり、特に2つ目の障害は1つ目よりも大きくまたその頃には馬も疲れてきているので、最初に第2障害を乗り越えた馬が勝つわけでは全然ないところに面白味があるといえそうです(見ていた限り、「先行逃げ切り」はばんえい競馬ではなかなか成り立たない感じでした)。

なお通常の競馬の場合順位の判定は「馬の鼻先が先に入ったほうが勝ち」ということですが、このばんえいの場合は逆に「橇の後端がゴールを通り過ぎた順」で判定されるそうです。これは昔の「運ぶべき荷物をいかに早く目的地まで完全に運びきるか」という考え方に基づくルールなのでしょう。

また第1障害から第2障害までの区間では、騎手はばんえい馬の状態を見ながら適宜前進を止めることができます。しかし第2障害を越えたあとは騎手の判断によるストップをさせることはできません。もっとも第2障害からゴール区間でも止まっている馬がそこそこ見受けられましたが、それは「騎手が休ませているのではなく馬が疲れて動けずに休んでいる」のだとか。これらの記載は後述する「バックヤードツアー」でガイドさんが話していた内容に基づくものなのですが、なるほど勉強になりました。

レースが終わると平坦部分はならし器具を装着した専用トラクターが整地作業を行い、そして障害エリアは‥何と毎回手作業で整地しています。こりゃ大変だぁ。そうそう、この日この時間は雪が降っていなかったのでわからなかったのですが、たとえば大雪が降ったあとなどは整地しようにも雪と砂のミックスで各コース毎に走路の状況が変わっちゃうんじゃないかと思われますよね。

しかし何と!コースの地下にはヒーティングの設備があり、コース上に雪が積もったままレースが行われることはないのだそうです。というか、この設備によりばんえい競馬の通年開催が可能になったということでちょっとびっくり。競馬場の走路下に暖房設備とは!

そうこうしているうちにパドックを第4レースの出走馬が回り始め、第4レースが近づいてきたようです。上にも書いた通りわたくしTakemaは賭け事「は」やらないんですが(お酒とタバコはやります)、とりあえずすこぉしだけ勝ってみました。ちなみにその道の先達諸氏からしますと


(ただし当然のことながら中学生が勝ち馬投票券を買うことは禁止されています(笑))

というような印象をお持ちになることは即刻承知の助であります。でもそんな先達の皆さんも、もしかして最初に馬券を買った時から三連単狙いじゃなかったでしょというわけでお許し下さいませ。ちなみにTakema、馬券を買ったことがないくせに何だか用語だけは詳しいなぁ。ま、これも人脈ってことで(笑)。



言わずと知れたここがゴール地点です。各馬とも、ここを目指して走ってくるわけです。

さてこのあとは、とある無料見学会を目指して総合案内所へと戻ってきました。と、1F通路にマスコットキャラクター発見!カメラを向けたらすぐさまポーズを取ってくれました。

このマスコットの愛称は「リッキー」というらしく、実はこのあと「本物さん」を見たりしたのですが、その本物さん、日本各地に出向いてばんえい競馬のアピールに努めた功績が認められ(もっとも本人というか本馬の積極的意志によるものではないはずですが細かなことは言いっこなし)、今や帯広市の特別住民票まで交付されているという人気者なのであります(もっとも住民税まで払っているわけではないでしょうが)。

さて、このあとはいよいよ「Takemaのあっちこっち杯」?いやいやまだまだ第8レースまでにはたっぷり時間があります。その時間を利用して行こうと考えていたミニイベントがあるんです。その名も‥

ばんえい競馬 バックヤードツアー!

そんなわけでこのツアーについては次ページでお話ししましょ。
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