− その11 かくて帯広の夜は更けて −



やっほー天然温泉かけ流しぃ!しかも駅前っ!

さてタクシーは帯広駅前のホテルへと向かいます。翌日は列車で釧路へと向かうので駅前に泊まっておいたほうが何かと便利ですし、立地的にも繁華街が近くにありますから夕食場所には困らないはずです。

ただ、帯広といえば温泉です!(きっぱり)。「あ、十勝川温泉ね」とおっしゃるあなた、まだまだ甘ーい!実は帯広市の市街地には数多くの温泉施設が点在しているのであります。で、「かけ流し」でホテル検索してみたら‥(ちなみに日帰り入浴可能の温泉は20くらいあります。もちろんほとんどがかけ流しです)。

ふく井ホテル

北口の駅前には「リッチモンドホテル」「パコ帯広」等、ほかにもいくつかのホテルがあります。しかしそれらのホテルは温泉なしか、あっても循環湯だったりして心が動かなかったわけですが、この「ふく井ホテル」さんは堂々と「源泉かけ流し」を謳っております。

しかも、宿系口コミでの評判もなかなかいいのでありますよ。朝食も美味しいらしい!ということなのでこちらを早々に予約していたというわけです。至近距離での宿画像撮影を忘れてしまったのですが、左上画像で横書きの「天然温泉」と書かれている建物がそれなんですね(ちなみにその後ろに縦書きで「天然温泉」と書かれているのが上述のパコ帯広です(市内の別の場所から運んだ湯を循環で利用)。

16:30前、比較的早めにチェックインしたので、まずは「混む前に」お風呂に行くことにしました。他の3人はしばし談笑のようでしたが、こういう時になるとフットワークが軽い落ち着いてどっしりと構えることのできないTakemaなのであります。落ち着きなくちょこまか動く小動物系でゴメンナサイ(笑)。

浴室入口には「源泉情報」の掲示板が。PH9.8、45.8度の湯が200リットル/分とはなかなかですね。ただし某Rトラベルのレビューページでのホテル側公式コメントを拝見すると、「PH8.6、湯温48.6度」とありました。湯温が上がった?なお源泉保護の観点から条例が制定されており、ふく井ホテル周辺500m圏内では新規の温泉掘削ができないそうです。したがって現段階において自前源泉を持つ駅前ホテルといえばここふく井ホテルしかないというわけでしょう。しかしここの湯の「実力」についてこの時点ではまだ知らなかったのでありました。

脱衣場には普通サイズのタオルとバスタオルとが山と(そして整然と)積まれております。宿泊客はタオルを持たずにお風呂に来て、使用済みタオルは下のカゴに入れて帰るというシステムです。これはこれで悪くありませんし、省力化という点でもなかなか考えられています。上記サイトにおける公式コメントには「お客さまのマナーも向上してきていて、使った洗面器や椅子なども片付けて下さる方が多い」のだとか。いい話ですねー。

日帰り入浴は受け付けていないのですが、市内にはそれこそ(郊外の十勝川温泉まで行かなくとも)20箇所くらいの温泉施設がありますから問題はありませんよね。でも、「(入浴)のみ不可」のかけ流し湯とくれば温泉好きにはある種たまらない話です。ではでは、浴室に入ってみまショー!



地下ということもありどうしても照明の関係で黄赤系の色が強調されてしまっていることをご承知いただいた上で説明しますと、源泉自体の色はそれほど濃いものではありません。洗面器の湯に手を浸けたくらいではほとんど変化がありませんが(右上画像マウスオン)、でもやはり浴槽上から見ると結構紅茶系の色づきがわかると思います。

でもふく井ホテルの湯の真骨頂はやっぱり浸かってみてナンボ!なのであります。それは‥

以前別のページで、Takemaが湯の感触を主観的に表現する場合の表記基準が大まかに言って「さらり感 <すべ感 <ツル感 <ツルツル感 <ツルヌル感 <ヌル感 <ヌルヌル感」であるということを書いた記憶がありますが(ちょっと表現は違ったかも)、こちらは「ツルツル」ですからかなりのものです。ちなみに「ヌルヌル」の湯はTakemaのちいちゃな温泉めぐり経歴の中で10湯以下です。ヌルだってかなり限られるわけですから、「かけ流し湯ということは知ってはいても湯触りまではさして期待していなかった」ここふく井ホテルの湯は、Takemaにとってまさに‥

時間が早かったことも幸いしてTakemaの入浴中にはどなたも入って来ませんでしたので(身体を拭いているときに次の方が入ってきた)、いやぁもう湯をタンノーしたことは言うまでもありませんでした。ちなみに地下にある浴室ですが、換気状態は完璧で湯気モウモウとは縁もゆかりもなく、浴室内の温度もベストの状態に保たれておりました。お世辞でも何でもなくスバラシイです。

Takemaが戻ってくると、入れ替わりにわれわれの女性陣3人組がお風呂へ(混浴じゃありませんよ念のため)。ところで湯を上がって戻ってきたおしんこどんから聞いた話によると、同浴の女性は十勝沖だか釧路沖だかの地震で圧迫骨折をしてしまい、それいらい定期的に釧路から車を運転なさってこちらの宿に「湯治宿泊」に来ておられるのだとか。この日も運転中腰がどうにも痛くなり、車の車庫入れは宿の方にお願いしたほどだったそうなのです。

でもこちらのお湯に浸かると症状は一気に改善するのだそうで、「ここの温泉が私にとって一番効く」とおっしゃっていたそうな。普段は(家では?)湿布を貼っているそうですが、湯上がりに「今日はいいかな」ともおっしゃっていたそうで、うーむ、やはりただのツルツルではないのですね。

話は変わりますが、このふく井ホテルの公式喫煙所(客室内喫煙OKの部屋もありますがTakemaは宿の部屋では一切吸いません)は1Fロビーの奥、ミニビジネスセンターに間借りする形で設置されています(センサーによる強力ファンが作動するためロビーにタバコの臭いが流れ出ることはほとんどなさそうですし実際感じませんでした。ただし喫煙者の嗅覚はタバコの臭いに鈍感なのではありますが)

で、ここでたまたまホテルの従業員の方がコピーをなさっていてちょっとだけ立ち話。で、それからしばらくしてTakemaが再び喫煙所入りしていたら、先ほどの方が通りかかり「先ほどばんえい競馬協賛レースについておっしゃっていましたよね。さっきちょっと調べてみたんですが、もしかして『Takemaのあっちこっち杯』ですか?」とお声を掛けて下さいました。その細やかなお気遣いが嬉しいではありませんか!ハード面もソフト面もC/Pがとっても高いと感じたこのホテル、次に帯広に泊まるときにもここにしよう!(なかなか泊まる機会はないと思いますが‥)。

さて話を時間軸上に戻しましょう。お風呂のあとは夕食というのが自然の営みというか流れなのではありますが、実は競馬場で食べた昼食(お弁当)がまだお腹に残っていて、少なくとも両母はまだお腹が空いていないというのであります。われわれもまぁ似たようなものなのではありますが、少なくともわれわれ2人にはそうも言っていられない「大切な事情というか訪問先」があるのです!もちろん、

「それは本日最後のイベント、『味のやさん訪問』なのであります!」

というわけでこの旅行2回目の「両母を宿においての別行動」がスタートします(笑)。味のやさんは駅から少々離れた場所にお店を構えているのですが、徒歩でも15分くらいかなというエリアなので18:15に出発です。住所は控えてきたし、札幌同様区画ごとにわかりやすい名前が付けられているので(「西3南4」とかいうように)住所さえわかっていれば迷うことはあり得ないはず‥だったのですが、



この辺を歩いているうちは自信満々だったのですが‥

何度も何度も何度も何度も来ているはずなのに?しかも前回の冬は同じように駅前から歩いて来ているはずなのになぜ??でもとにかくメモした住所界隈をうろうろしても、記憶にある施設(GSとか)がないのですよ。あれぇおかしいな?「西1南7」のエリアのはずなのに?

ちなみに味のやさんには旅行前に「ちょっと遅い時間になりますが19:00までには必ず伺います」と電話しておりました。マズイ、このままでは19:00までに到着できるかどうか?しかも繁華街を抜けた先の通り沿いには地元民歩行者の姿も皆無。まずいぞマズイゾ不味い!(最後のは誤変換)。

で、「明らかにそっちじゃない」方面にGSがありましたので恥ずかしながら場所を聞きに行くことに(笑)。若い店員さんが多い中、「知ってる?」「どこだろ?」と皆さんが確認作業に追われる中、Takemaも念のため財布の中に入れていたメモを取り出してもう一度確認することに。すると‥

それはまさにとんでもない間違いでありました。Takemaのメモには、札幌のひろ田さんとここ帯広の味のやさんとにそれぞれタクシーで向かうことを想定して交差点名をメモしておいたのですが、出発前にそのメモをチラ見した時に大失敗をしでかしていたわけです。それはつまり‥

そりゃーないはずの場所にあるわけもないことがないはずはないのであります!(思いっきり混乱)。



というわけで19:00ちょっと前に味のやさんに到着です。よかった暖簾が掛けられていてまだ営業中。

「こんにちはぁ」と言いながら店内へと入っていきますが、「はれ?どなたもおられないんですが」。そこで店内でもう一度「こんにちはぁ」。すると右側の控室から皆さん(3名)が出てこられていやいやまぁまぁ。実はわれわれが来るというので待って下さっていて、しかも「暗くなってから来る」ということで目印代わりに2階外壁の照明看板(普段は点けないらしい)の灯りを灯して下さっていたのだとか(左上画像の看板がそれです)。うわー申し訳ないっ!

ちなみに味のやさんの閉店時間ですが、実は「特に決まっていない」のだそうです。「お客さんがいれば何時まででもやる」というのがお店の不文律なのだそうですが、それは同時に「お客さんがいなければ早めに閉めてしまう」ことでもありまして、最近は20:00くらいまで開けていることが珍しいのだとか。いやー、そうと知っていればもう30分でも早く来たのに‥(この際道に迷ったことによるロスタイムは脇に置いといてね)と申し上げると‥

うわー申し訳ないっ!(陳謝)。まぁ、われわれのあとにもお客さんが入って来ていたようなので少しだけ安心しました。

で、ここまで迷いながら歩いてくるまでに、実はTakema、「これまでの味のやさん訪問では一度もしていなかった(出来なかった)、ある種の宿願を成就しよう」と心に決めていたわけであります。これまで数ある味のやさん訪問においてはほぼ全てそのチャンスそのものに恵まれず、2009冬の訪問時には唯一そのチャンスがありながらも実際のところは考えもつかなかった「宿願」。というわけでそれをオーダーします。

そう、味のやさんで1度も頼んだことのなかったもの、それはビールほかのアルコール飲料なのであります!考えてみればほぼ全ての訪問がバイクツーリングまたは秋のレンタカーによるものでしたから、ビール云々は考えたこともなかったわけです。しかし今回はもちろん徒歩での訪問、まさに威風堂々、ちゃーんちゃちゃちゃーちゃーちゃーん的に飲んでしまえるわけなのです!

しかし、このTakemaの宿願オーダーに対するお店の皆様の反応は思いがけないものでありました!

な、な、なぁーんと!味のやさんはアルコール飲料無提供の、「ここならツッパリヤンキーもOKさ」と教育委員会がお墨付きを出してもおかしくない「品行方正九十九里浜千里浜、なぎさのドライブウェイまっしぐらの優良店」だったのであります(笑)。

聞けば、味のやさんの先代のご主人がこの地にお店を出した頃、この近くにはいわゆる「赤線地帯」がありまして、その関係で「しっかり酔っぱらって来るお客さん」の扱いには手を焼くこともあったのだそうです。そこで「うちでますます酔ってしまうことのないよう」アルコールの無提供を決めたそうなのです。今はもうその面影も探す方が難しいこの界隈ではありますが(トップ画像の「銀河街」に僅かにその匂いを感じないでもないですが、人影もなかったしなぁ)、なるほど大変な時代もあったのですね。

というわけでTakemaの「宿願」は果たされずに終わりを告げ‥え、え、えええっ?奥さんが次のようにおっしゃるではありませんか!

「い、いや!そこまでしていただく必要は毛頭ございません!け、結構です!」。しかし奥さんはこの言葉の最後までを聞くまでもなくお店の奥に入っていってしまいました!あー、またお気遣いいただき過ぎちゃったTakemaであります‥。



というわけで、メニューと「のどごし生」缶の記念写真。本当に申しわけございませーんm(_ _)m。あ、壁面カレンダーはご覧の通り健在です。

料理が出来上がるまで、しばしいろいろなお話をさせていただきました。各料理のレシピは「時に工夫してみたくなるんだけれどやっぱり長年の味付けに戻る」とか、「スープの味付けとかは経験に基づくさじ加減ではなく、毎回きちんと計量して同じ味になるよう注意している」などなど。なるほど、その「変わらぬ味」を求めて皆さんお越しになるわけですね(この場合の「皆さん」とは旅行者ではなく地元常連の方々)。

さて、「これもどうぞ」的位置づけの前菜?をいただいているうちに、いよいよネギラーメンと豚丼が登場です!

どちらの画像も撮り方が下手でごめんなさい。でもまさに「いつもと同じ味」をタンノーいたしました。そうそう豚丼といえば、近年「帯広豚丼」がご当地グルメとして一定の知名度を得るに従い、北海道以外にも「帯広豚丼」の名を標榜する飲食店が出来つつあるそうですが、少なくともそのうちのいくつかの店は「似ても似つかぬ味」なのだそうで、味のやさんを訪れる道外からの常連客(観光 or ビジネス)諸氏はかのお店にて「これは帯広の豚丼と似ても似つかぬ味です!帯広で一度食べてみて下さい!」と苦情を発するのだとか。

しかしそんな店の味が突如として「本場の味」に近づくとは思われず、よってその店の商圏内に住む帯広未訪問の方々は「これが帯広の味なんだな」と誤解してしまうのではないか云々等々の半分真剣半分大笑い系のお話などを伺いました。

さて食事終了後もまだまだ会話は続いたのでありますが、ここでZさんが「そういえば‥」とあるものを出してきて下さいました。それは、



「味のやさんマッチ」と、出前用のメニュー表!

日本全国の味のやさんファンにはたまらない水前寺清子、いや違った垂涎の的とも言えるレアアイテムであります!(笑)。いや実はマッチは以前にもいただいていたのですが、この時代ゆえマッチの追加オーダーはしていないそうで「いまお店にあるこれが最後の1箱だと思うよ」とのことでした。有り難くいただき、「よし、このマッチをてっちゃんの墓参時に持参するぞ」と固く心に誓うTakemaでありました。その時まで湿気らせないよう注意しなきゃ。一方でメニュー表はコピーすればいくらでも増刷できますね。欲しい方にはさしあげます(笑)。

さて気がつけば20:00をとうに回っている時間でしたのでそろそろおいとましなければなりません。そんなわけでお勘定となったわけなのですが‥え、ええ?

いやさすがにそこまでは!というわけで丁重に固辞‥出来ないわれわれは何と「人様の温情に甘えまくり」なのでありましょう(苦笑)。



というわけで、瞬時のうちにふく井ホテル前までお送りいただいちゃいました。

それにしても、本当に訪問ごとに「お世話いただく度合いが増している」割に全然お返しが出来ていないことに胸が痛むわれわれ2人でありました。何かお返しを‥いや、でも「物」よりも、このサイトをご覧いただいた方が味のやさんを訪問して下さることが、われわれからの恩返しとしてはもっともふさわしいのかも知れません。そう思うことにさせてください(笑)。でも、こちらのお店をご紹介下さった「てっちゃんゆんさんのくまばいくサイト」に準じる紹介ということでここでは住所だけ。心ある方は是非ともご検索下さいませ。

「味のや(味乃や)食堂」 帯広市西一条南4丁目20

そうそう、今回は実はおみやげまでいただきました(笑)。こちら帯広では「おやき」と言うようですがいわゆる回転焼きというか大判焼きというかのアレですね。「お客様からいただいたものなんで恐縮ですが」とのお言葉ですが、もちろん両母共々おいしくいただきました(左上画像マウスオン)。重ね重ねありがとうございました。

さてそんなわけで十勝の夜もこれでオシマイ。翌日は釧路方面へと移動です。何だか大荒天の予報なんですが?
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