− その6 栄浜霊泉で思いもかけぬ格闘、せたなで海鮮ランチの後いざ奥尻へ −
続いてやってきたのは「栄浜霊泉」です。ここは以前通ったときになぜか見落としてしまったので、今回は何とか見学だけでも‥と思っていたのですが‥今回も目の前の国道を行き過ぎてしまいました(なぜかTakemaにとってはわかりにくかったのね)。実際のところは左上画像の覆道が目印になります。
源泉のある小さな小屋は、看板の文字こそ判別不能なほどに薄くなっていましたが、建物そのものはまだまだ大丈夫そうです。しかし、この小屋の前に車を止めた瞬間、Takemaの中に「ある種の決心というか覚悟」が巻き起こりました。それは‥
というものであり、一方でこの小屋周辺にはそんなTakemaをせせら笑うがごとき大自然が怒涛のごとく飛び回っていたのでありました。それはつまり‥
アカウシアブ。遠目から見るとまるでスズメバチのようにも見える黄と黒のコントラスト、吸血系アブの中でもおそらく最大級の大きさを誇ります。そのアカウシアブが、おそらくはこの源泉から発生している炭酸ガスか何かに思い切り反応しコーフンし一世一代の夏のお祭り状態となっているわけです。
アブの乱舞は小屋の中のみならず周囲半径5mもの全体に及びます。小さめで小回りのきく奴らとは違って、こっちが動いている限り吸血行為には至れない(皮膚に着地できないのか?)とは聞きますが、わたしは中に入って源泉の様子をゆっくりじっくりと眺めたいのでありますよ。そんなジレンマの中何度も果敢に小屋に近づこうとするTakemaなのですが‥
ご覧の通り何度も逃げ帰ってくる始末(笑)。車にも何匹も何匹も張り付いてきました。
しかし最低でも源泉に手をつけたい、できれば温度も測りたいしさらに可能であれば味見くらいはしたいのであります。そんなTakemaの湯欲が、いよいよTakema本体を小屋内部へと立ち入らせました。驚くべし欲望の力(笑)。しかーししかし、建物内部はこれまた恐ろしいことになっていたのであります!
うげげげーっ、何と源泉槽もアブの死骸だらけでは有馬温泉向陽閣!すでにこのアブラハムのハーレムむちむちプリンたまご責め状態を見た瞬間に「入浴の儀」は断念しておりましたが、こりゃー飲泉トライもちょっとなーというわけであっさり断念。以前「源泉樋から流れ来る源泉をなめたあと、よく見たらその樋の上流でカマドウマが死んでいた」というのはありましたが(というか、それに類することはよくありがちです)、これは先に見ちゃったもんなー(笑)。
さてそんなこんなで時計を見てみると、うーむそろそろ行かないとフェリーに乗る前に食べる予定のお昼ごはんを食いっぱぐれる可能性が出てきそうです。いやぁセイコマで買って船内で食べるというのならまだまだ余裕なのですが、せっかく海辺に来ているのですからね。そんなわけで、せたな(瀬棚)のすぐ手前にあるという食堂へ一直線!交通量はほとんどありませんがくるくるパンダさんの待ち伏せに遭わないよう、トンネル内のみ波動エンジンをパワーアップさせながら走行した結果、ナビの予想到着タイムよりも少し短縮することが出来ました。うん、この時間なら大丈夫だな。
そんなわけでやって来たのは「漁師の直売店 浜の母さん食事処」。このあと奥尻に渡れば3食とも海鮮系の食事になるであろうことはわかっていますが、奥尻であってもせたなであっても海沿いの新鮮海幸が味わえることに変わりはありません。だからこういう時は「とことん海鮮」でいっちゃうのが大吉です。というか、やっぱりわれわれは海鮮ごはんが好きなんです(笑)。
さーてどれにしようかと考えた末、おしんこどんはせたなの特産であるホタテの刺身定食(800円)、Takemaは海鮮丼の定食(1500円)を注文です。あれ、海鮮丼にウニもアワビも載ってない?と思うあなたは正解です。この道南の日本海側ではウニはもちろんのことですがアワビも特産なんですよ。なのになぜ?ちなみに「うにあわび丼」は2500円とちょっとお高めですが、いや積丹界隈ではこれがウニ丼単品の相場じゃないっすか?
実は「この日の夕食でウニもアワビも食べる予定あり」ということで(豪遊漫遊計画バリバリ伝説)、あえてこの時のせたなでは重複を避けたというわけなのです。いやぁでもホタテはまさにプーリプリでしたし(おしんこどん絶賛)、海鮮丼も十分合格点でした。ただ、ごはんとあわせた総量はさほど多くはないので、一般男性の場合はごはんを大盛りにしてもらった方がいいかも知れません(少食男子のTakemaが適量に感じたレベルなので)。
なお、店内の生け簀に入れられたホタテやウニも「よろこんでさばきます」とのことなので、たとえばオーダー時に「海鮮丼にホタテ1枚増量(\100-)とか、アワビ1つ丸々載せてね(\700-)」とかいう究極系の豪遊も不可能ではないのでは?(ただし未確認)。ただし混んでいるときは遠慮した方がいい気もします。
さてそんなわけでせたな港に到着したのは出港時間の約50分前。前日のうちに電話で車両航送の予約をしておいたので、「45分前までを目安に港にお越し下さい」という時間はドンガバチョ、いや故意に間違えましたがどんぴしゃりでした。
ただ港にはフェリーターミナルが先っちょにぽつんとあるだけで何とも殺風景そのもの、肝心のターミナルもこぢんまりとしているのはこの路線が季節運行(5-9月)であることと、その期間中でさえも1日1往復しかしないことを考えると仕方がないことではあるのですが、こりゃ早く到着しなくて正解だったぞ(笑)。
淋しげに佇むターミナル。船はそこそこ大きいんですけれどね(利尻礼文航路の船より大きい)。
で、ターミナルで乗船手続きをしたわけですが、実は夏期を中心とした奥尻島への旅には何とも嬉しい割引制度があるのです!(2012年度以降も継続されているかどうかは奥尻島観光協会等へお問い合わせ下さい)。それは‥
要は、四輪車を持ち込んで奥尻島入りする場合、復路の車両航送料金(およびドライバーの運賃)が無料になる!という何とも嬉しいキャンペーンなのであります。もちろんここには離島振興関係の公的補助金が絡んでいると思われますが、とかく車両航送料金が高い北海道の離島航路のことを考えれば、これを利用しない手はありません!ただし、いろいろと条件がありますので2011年の利用条件について観光協会サイトの記載を以下に転載します(赤字はTakemaのコメントです)。また一部の表現をわかりやすいように変更しています。
【割引内容および対象航路】
以下の経路で利用する場合、乗用車(6m未満)の奥尻島発の復路分航送運賃(運転手1名の搭乗を含む)が無料となります。
江差→奥尻→せたな(例えば5m未満の乗用車の場合、12,720円お得に!)
せたな→奥尻→江 差(例えば5m未満の乗用車の場合、18,040円お得に!)
また、上記に加え9月〜10月は江差→奥尻→江差、せたな→奥尻→せたなの同一航路の往復も対象となります!
つまりはお盆前後のハイシーズンは「単純往復が対象とならない」ということですね。これはちょっと残念(ルーティングが縛られますので)。
【対象期間】
平成23年6月1日〜10月31日までのご利用便
ただしせたな−奥尻航路は9月いっぱいまでの運航です。
【詳細】(重要!)
キャンペーンのご利用にあたっては、以下の条件全てを満たすことが必要となります。
1. 必ず観光目的であること
まぁこれはほぼ問題ないですよね。
2. 自動車を積んで「江差→奥尻→せたな」、「せたな→奥尻→江差」間の航路を利用すること。ただし9月〜10月は同じ航路の往復も対象となります。(せたな→奥尻→せたな)と(江差→奥尻→江差)
つまり二輪の場合はタンデムでも認められないことになります。くそー!(怒)。
3. 奥尻島の宿泊施設を2名様以上でご宿泊すること
これについては宿施設のみが対象となっており、賽の河原キャンプ場等は含まれません。というか2人で最大18000円以上安くなるのなら、そのメリットを捨ててあえてキャンプという「漢の道」を選ぶことはまず考えられないですよね(笑)。
4. ハートランドフェリーへ必ず電話で事前予約すること
つまりターミナルで乗船手続きと同時にエントリーすることはできないということです。ただ事前予約時に宿が決まっていなくても割引前提の予約そのものは出来ました。
5. 積載車両の全長が6m未満であること、そして予約時点で車両航送の予約が空いていること(またはフェリー会社の台数制限以内であること)
この項目については「たぶんそういうことなのだろうな」とTakemaが意訳しました(要確認です)。いずれにせよお盆前後を中心とした繁忙期にはフェリーはもちろんのこと島内の宿予約(早めの)が必須ですね。
窓口では往路のチケットとともに、割引申請用のお役所系用紙が渡されました。全長をmm単位であえて書かせるところが何ともナニですが、そこにはアンケートおよびご意見頂戴スペースもありましたので、「このキャンペーンにソロで渡る二輪ライダーも是非参加できるようにして欲しい」と力説系コメントを書いてきました。だってどうせ渡った先では宿に泊まることが条件だし、このキャンペーンが適用されれば大型バイクでも5100円は浮くことになりますしね。そんなわけでTakemaの文章力および政治力が評価されれば、2012年からはソロライダーの渡島も適用になるかと思います(大笑)。
おっと、そんな来年の画餅を語る前に今年の旅行記を進めなきゃ(大汗)。
そんなわけで、往路は正規料金を支払っての乗船です。で、この航路に就航している「アヴローラおくしり」号なのですが、四輪の場合はちょっと変わった乗せです。つまり、
というシステムなのです。こりゃー普段あまり車に乗らないサンデードライバーが慣れないレンタカーで来たりすると恐怖かもしれません(笑)。現に客室内で「何この船の甲板、延々とバックさせられて無茶怖かったわ」という声を耳にしました。
さてフェリーは定刻ピッタシに岸壁を離れました。ちなみにせたなの市街地すぐ近くには小高い丘がありまして(立象山公園)、そこには市街地や港を見下ろす展望台があるのですが(右上画像)、たぶんいるだろうなと思って右上画像をズームしてみたら‥やっぱりいましたね展望台から見物している人が(マウスオン)。
そんなわけでせたな港から奥尻港まで1時間35分の船旅スタートです。ちなみに奥尻港−江差港までは2時間20分かかり、距離が長い分料金も高いですから、復路が無料になるというこのキャンペーンでは間違いなく「せたな−奥尻−江差」ルートがお得です(上の記載を見ればわかりますが5000円以上お得!)。
フェリー内には熟年団体客の皆さんが宴会を開始していたり(ちょっと酒臭かったかも)、またその一方で東京からの高校生(何でもオーケストラ部が奥尻でコンサートをするために訪問したのだとか?)が同乗していたりで結構賑やかでした。でもまぁ船内満員熟年&高校生パワーで「てめぇらうっさいわ!」というほどでもなく、特に後部甲板席はかなりガラガラだったので問題はありません(笑)。
そんなわけで船はずんずんずずんと奥尻に向かいます(右上画像奥に見えているのが奥尻島。マウスオンしてもTakemaしか出てきませんが)。
やがて奥尻島がどんどん大きくなってきました(あたりまえか)。お天気はまぁまぁ、とりあえず雨の心配はなさそうで一安心。
そんなわけで奥尻港に間もなく到着です。船が方向転換を始めたころ、そういえばTavitoさんが「奥尻といえばあのマスコットが云々」とおっしゃっていたのですが、ターミナルのあたりをよーく見ると「あ、やっぱりイタ!」。
うむうむ、やはりこういうお出迎えは大切ですよね(笑)。出港時にはいろいろと賑やかな利尻礼文の場合も入港時には妙に静かだったことを思い出しました。このうにまる君も、あたりまえですが静かに左右に身体を動かしているだけで「ウニの叫び」「ウニダンス」等のパフォーマンスはありません(笑)。でも離島はこれでいいのです。というかこれ以上やろうとしたら訪問客のイメージが壊れます。やるとしたらやっぱり出港時ですね(あれ?何だか利尻礼文航路の賛美になってる?いや嫌いじゃないんですけれどね第三者として見ている限りは(笑))。
さーてでは上陸しますか!というわけで上陸です(何のヒネリもペーソスもないですがそれがTakema本来の資質なのですよ)。
そうそう、下船時には特に案内がなかったのでおしんこどんとは「ターミナルの近くで待っててね」という待ち合わせをしたのですが、どうも本州と北海道を結ぶ大型客船同様に「出るときゃ同乗者も一緒でいいんでしょ」とお考えの方々も多いようでした。念のため車両甲板の係員さんに聞いてみると「いやぁ規則ではダメなんですけれどねゴニョゴニョ」ということでした。このあたりは現実的に対応しているということでしょうか(笑)。ちなみに奥尻港のFT窓口で聞いてみたら「ダメです!」ときっぱり系でしたが、事務系と現場系との対応が違ったりするのはどこの職場でもあるでしょ(笑)。
あ、それに付随して「フェリー会社による規則の違い」というのも見逃せませんね。特にバイク乗りにとっては「新潟−小樽」便の「バイクの積載荷物はハイ全部下ろしてね」というのが一番有名でしょう。しかもその対象が括り付け荷物だけでトップやパニアケースはそのままでOKというのも何だかなー。わたしゃ新潟便は独身時代に1度しか乗ったことがありませんが、ことバイクで行く限り今後とも新潟便は極力避けることにしています(どうしても過積載なので)。
船から上陸した車両群はほぼ全てが南部の青苗地区方面へと走り去っていきました。が、ここでもわが道系のTakema車は「北に進路を取れ」なのです(さすがに「北北西」は山の中なので無理=古いなー)。
そんなわけでこの日の宿は、昨日のうちに電話予約しておいた「旅の宿 大須田」さんなのであります。夕ご飯が楽しみ?いや、でもその前にお出かけしましょ。
[戻る] | [次へ] |