祈東北復興!で東北を目指したつもりが、気がつけば北の大地も巻き込んでいつもの湯めぐりに(笑)。

− その9 奥尻島を時計回りにぐるり満喫編その2 −



いやぁ青く穏やかな海と青い空、いい島ですなー奥尻!

そんなわけで青苗からは進路を西海岸にとり北上していきます。少し先に奥尻空港がありそのあたりまでは人家も田畑もあるのですが、その先にはほとんど集落がありません。これはもしかして「もともと集落がなかった」というわけではなく「地震による津波で集落が消滅」ということなのかも。

右上画像は‥どう見ても人工物なんだけれど?と思って調べてみたら案の定。壊れた防雪用トンネルを防波堤として再利用したのだそうです。実は北海道南西沖地震で一番津波が高かったのはこちらの西海岸側で、公式には23.3mの津波が無縁島(左上画像に見えている島)付近で記録されています。実際には30mくらいあったという話も。

しかしこの日はそんな悪夢のような日がまるでうそのように穏やかそのものの海でありました。やはりわれわれは自然に打ち勝つなんぞ1000年早いのです。科学なんてものは自然の猛威の前には無力であることを、われわれは今回の地震で学ばねばなりません。

さらに北上していくと、神威脇(湯浜)地区を見下ろせる高台に「北追岬公園」がありました。ここにはキャンプ場もありますが、青苗か奥尻で買い出ししてこないと空腹地獄に陥る危険大でしょう。なお、下調べが甘くて今さらながら後悔しているのがこのエリアにある「奥尻ワイナリー」を訪問しなかったこと。6万本もの葡萄の木を植え付け、2009年に初出荷したというまさにこれからという地場資本会社。会社全体の企業理念が 「奥尻島の復興に寄与する」というのも素晴らしい。

拙サイトを見て「ふむふむ」と思った皆様、是非とも奥尻ワイナリーをご訪問下さいませ。なお前日までに予約すればワイナリー内の見学も可能なようです(ただし日曜定休)。ちなみに島内の売店でよく目にする「奥尻の水」ペットボトルも、このワイナリーの系列会社が製造しているようです。そんなわけで奥尻ワイナリーのURLはこちら



上画像モニュメントからは、神威脇の港が見下ろせます。綺麗な海だぁ‥。

さてそんなわけでやって来ましたよ神威脇温泉!こちらは現在奥尻島唯一の温泉で(近隣ホテルも同じ源泉を利用しているようですが)、しかも茶にごり湯かけ流しということでかなーり期待していたのであります!

温泉前の駐車場には車がなく、わざわざ脇に止めてある車は管理人さんのものだと判断。予想通りで貸し切り利用できました。浴室は1Fと2Fにそれぞれ男女別のお風呂があり、2Fは「展望浴場」と名付けられているようです。なお以前は2Fのみ循環&塩素投入をしていたそうですが、現在はどちらもかけ流しでの湯使いということで(加水あり)ありがたいことです。

管理人さんからは「ここの湯は下を熱めに、上をぬるめにしているので、最初は上の湯から入るといいですよ」と御指南をいただきました。なるほどなーと思いつつ浴室方面へと向かいましたが、「まずは1Fの浴室を見てみよう」とのぞいてみたのが運の尽きでした(笑)。



そんなわけでソッコーで脱ぎ始めたTakemaでありました(大笑)。おしんこどんもお付き合いで女湯へ入浴。そんなわけで管理人さんのアドバイスをまったく無視した入浴行動スタート!(苦笑)。

茶にごり湯がなみなみと湛えられており、投入量もなかなか。かなり熱めで45度ジャストくらいあったのでは?(女湯に入ったおしんこどんは「そんなことない、もっと熱かった!」ということでしたんで、おそらく男湯は先客さんが加水していたのかと思われます)。

源泉は64.3度、PH6.4のナトリウム・カルシウム-塩化物泉です(平成15年検査)。2本の源泉から合わせて毎分285リットルの湯が供給されています。ご覧の通り鉄分がかなりあるようですし、食塩泉系ということもありかなりガツン系の湯であることは間違いありません。動力利用の源泉ですが地下30mから汲み上げているということで、このあたりの湯脈はかなり浅いんですね。

さて続いては2Fの展望浴場に行ってみましょう。



ちなみに訪問時はありがたやの全館貸し切りモードでありました。



ご覧の通り展望はバッチリ!しかし「こちらからよく見える」ということは「港からも丸見え」であることも間違いありません。ま、場所柄変な人はそうそう来ないと思いますが(笑)。

しかし気になるのは湯の濁り具合でありまして、おわかりかと思いますがこちらの湯は1Fの湯に比べて明らかに濁り度が薄いです。ここの湯は2本の源泉の混合湯ということですし、「1Fの湯は熱いヨ」という管理人さんのお言葉から考えても、2Fのほうが加水量が多いのではないかと思われます。湯触りも何となく2Fのほうがあっさりしていたような‥とはいえすでに1Fの湯でたっぷり温まっていたこともあり、湯上がりの汗は半端なものではありませんでしたが(笑)。

湯上がりに管理人さんとしばしお話をさせていただきました。「確かあの地震の後源泉が出なくなったということでしたけれど、どうやって復旧させたのですか?」と伺ってみると(「神威脇の湯が止まった&出た」系の現地情報はずっと前から把握していました)、そのお答えはちょっと驚き系でありました。

ふーむそうなんですか。しかし港内の源泉湧出が勝手に終息してくれたというのは嬉しい話ですよね。そうでもなければ再度ボーリングをしなければいけなかったでしょうし、港内に湯脈が漏れ出たままであったとしたら、そのボーリング作業も「もっと深く」を求められたはずでしょうし‥。

そんなわけで、勢いに乗って神威脇温泉オリジナルのTシャツを購入した上で(笑)すっかり満足しながらこの湯をあとにしてさらに北上です。しかしさしたる距離も稼がぬまま、Takemaはいきなり道道脇の広場に車を止めたのでありました。それは‥



幌内温泉。地震以前は国民宿舎として営業していたそうですがかの地震で壊滅的な被害を受けそのまま廃業。そして2軒しかなかったという「幌内集落」もそのまま消滅し、このエリアはまさに「夏草や」の世界そのものになっていました。しかし‥気になるのは広場のすぐ先にあるヒューム管、そしてその脇にそびえ立っている‥



2本の柱は「白い女性」と「色の濃い男性」とに区切られており、男性の方が多少背も高いです。そしてたまたまこの角度からかも知れませんが女性が積極的に男性側に腕を伸ばしているように見えませんか?Takemaとしては何とも素晴らしい造形だと感じました。

さ、ロマン主義から現実主義へと話を転換&学術的調査の開始です(笑)。いやTakemaの場合所詮検温度ツアーしかないのでありますが(でも先日某サイトで見た温度計はいいなー、欲しくてたまりません)。

まずはオブジェの足元に手を浸けてみました。上部からはわずかに源泉が流れ&垂れ落ちていますがその量はほんのわずかなものです。湯温を計ってみましたが34度。たぶんこの湯温の湯だまりがあれば間違いなく浸かったことでしょうが、いかんせんこのスペースではいかんともしがたく手湯で満足するしかありません(いや念のため足湯もやりましたが=左上画像マウスオン)。

そんなわけで撤収かなぁと思っていたところ、この手に何だか「アチっ!」という感じの湯が垂れてきたのです。ん?というわけでオブジェ上部の学術調査開始です(温度だけですけどね)。で、計ってみたらこれがまたいやはや南友(古っ!)。



うわー何だか限りなくモッタイナイぞー!そんなわけで、源泉はちょっと手を入れればすぐに使える状態であることがわかりました。しかしこの周辺には人家もありませんし、建物を再建して営業を再開したとしても事業的にはペイしないであろうことは想像に難くありません。せめてシーズン中だけ無料足湯でも‥と願ってはみますが、現実的には難しい話でしょうね。

そんなわけで幌内温泉をあとにしたわけですが、島を一周する道道39号線はここから一気に内陸に向けて坂を上っていくことになります。それと同時に、それまで1.5車線程度だった道幅も完全2車線の快走路に変わり、何だか奥尻島らしからぬ?雰囲気に。復興事業の一環として整備されたのでしょうか?



調べてみたら、幌内から球浦までの区間は産業開発道路として平成13年に開通したのだそうです。

ほぼ登り切ったあたりで、島の最高峰である神威山(584m)に続く道が分岐します。ナントカは高いところがお好きなのではありますが、神威山の頂上には自衛隊の管理施設がある関係で一般人は立ち入り禁止です。「一般人は球島山(369m)までで我慢しなさい」と言われたような気がしたので(笑)、その通り、昨日も訪れた球島山を再度訪問することに。わたしゃ国の安全保障に必要な施設まで開放しろとは思いませんしね。



そんなわけで2度目の訪問@球島山、でありました。またしても誰もいませーん。

しばしのんびりして「さーてそろそろ下りましょうかね」という頃になって下から観光バスと普通車とが上がってきました。このあとこの頂上は人々で埋め尽くされること必定なのでさっさと下山することにしましたが、いやぁいいタイミングだったこと(普通車で上ってきた家族連れにとってみれば「最悪のタイミング」だったことでしょうが)。

途中、のんびりと草を食む奥尻牛などを眺めながらどんどんと山を下り、宮津集落まで戻ってきました。ここを右折して進めばほどなく奥尻港に到着なのですが、ここはなぜだか左折。実は一箇所、行き残していたところがあったものですから。



それはここ、宮津弁天宮なのであります。何でも大漁祈願のためこちらにお社を建立したらしい。

で、この2枚の画像を見て「なーんだ、ごく普通の神社なんだ」とお考えになったあなた、まだまだ甘い!Takemaが「わざわざ行こう」というからには有形無形何かしらのインパクトがあって当然です。で、こちらのお社のインパクトとは‥「平らに見えて全然平らじゃない」参道であります。道道のすぐ近くにあるお社ではありますが‥。



おまけにこの階段自体がかなーり急!左上画像にマウスオンすると微妙に別角度からの画像に変わりますので実際の傾斜角がおわかりになるかと‥。とはいえキツいお参りを済ませたのでわれわれにもいいことあるかな(現世利益待望主義)。

さてそんなわけでこの後は一気に奥尻港へ。あらかじめ記入しておいた航送料金の減免申請用紙やアンケートなどをお渡ししながら乗船手続き終了。おかげでこの奥尻−江差間のフェリーは‥


(ちなみに正規料金だとたぶん24640円ですからこの差はあまりにも大きいっ!)

さて出港までにはまだ時間があります。いや、まだ「お昼ご飯」を食べていないのですから今すぐ出港されても困るのです(笑)。というわけでターミナル近くのお店で「奥尻島で最後の海鮮」、いっちゃおうかな!
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