祈東北復興!で東北を目指したつもりが、気がつけば北の大地も巻き込んでいつもの湯めぐりに(笑)。

− その18 宮田温泉保養所で「ナスの収穫」(笑)、そして高原の湯はアワアワ −

新郷の温泉をあとにしたのはすでに14:30を回っていましたが、この時点でまだこの日の宿泊地は決まっていませんでした。そろそろ決めないとマズイゾというわけで、R4に出たところにある道の駅さんのへで休憩がてら何とかしようかと中休止です。

この日この時間は暑かったので、お腹はまだ空いていませんがおしんこどんのご託宣に従いソフトクリームを頼みました(2人で1つですが)。その名も「ジョミソフトクリーム」。何だジョミって?という疑問はさておき、とりあえず座ったテーブルには水盆というかガラス鉢が置かれておりました。

見れば各テーブルには同じようなガラス鉢が置かれているのですが、よーく見てみるとそこには!(左上画像マウスオン)。おー、メダカくん(正確な学名は知りませんがたぶんヒメダカ?)が泳いでいるじゃないですか。こらこらおしんこどん、ソフトのコーンを餌付けにしちゃダメ‥あ、食べた(笑)。それじゃ自分も‥おー食べる食べる♪でもね‥


(テーブルの水盆内で生きている以上エサはもらっているはずですのでね=反省)。

ちなみに右上画像に見えているのが「ジョミソフト」。ジョミとは何だろうということで聞いてみると、ジョミとは「ガマズミ」(スイカズラ科)の実のローカルネームで、この界隈の特産なのだそうです。かなり酸っぱい実なのだそうですが、ジャム状にしたペーストをソフトクリームにかけると「ウマーイ」!確かに結構イケました。道の駅さんのへに行ったら是非!

ところでここで、「正直言ってこの界隈で泊まれる湯と言えばここしか調べてないんだけど‥」という鉱泉宿に電話を入れてみると「バイクラリー云々、一応空いてはいますが‥」。ん?何だか煮え切らないお言葉。どういうことなんだろうということで「じゃ、ちょっと検討させていただきます」と申し上げていったん電話を切ったわけです。

でも何なのだろうあの煮え切らない宿の方の言葉は‥。しかし時は既に15:30になりなん(古典的表現ですね)としているタイミング、もはや選り好みはできない?おしんこどんの意見もありもう一度電話して「その辺の事情」を聞いてみると‥。

「いや、部屋そのものは空いているんです。ただ、バイク関係のイベントが

うっほー何とも謙虚なお言葉が!(激嬉)。もちろんすぐさま宿泊のお願いをしたことはいうまでもありません。ただ時間的に夕食の準備がどうだろうなと思っていたわけなんですが‥お返事は何とも嬉しいことに!


(もしかしたら「19:00まで」だったかも知れないので信用しないこと=国内編では記録を付けていないので情報の信憑性に疑問あり?)

よーしそれなら全て何もかも完璧OKです!というわけで今宵の宿を確保しました!さーてどこなんでしょ?(性格悪)。

ではでは「目的地」に向かっていざ特攻マクロスビエンチャンとまいりましょ(意味不明上等)。そんなわけでR4を南下開始、このままひたすら下れば東京上野のバイク街界隈まで行っちゃうんですがさすがにそれはしないぞ(笑)。そういえばその昔「バイク用品といえば上野へ行け!」という時代がありましたが、今はネットで何でも買えちゃいますよね。

でも、「目で見て買う」という購入機会は絶対大切です。それはカタカナ語でいう「ウィンドウショッピング」であり、「ネットでついついポチっちゃう」という指先作業は誰でもできると思うなかれ、「その方面に通じていない人間は現物を見ない限りなかなか手を出せない」のでありますよ。たとえばTakemaがネット通販で「ポチっとカニを買う」勇気が出ないように(何のこっちゃ)。

こんなことを書いてるから先に進まないような気がしてきたので旅を続けましょう。15kmくらい南下した一戸で国道を外れ県道で一戸中心街を走り出すと‥うはぁこの日は一戸のお祭りなのね、何だか皆さん着飾ってうろうろしてます。本当なら見学していきたいところですがそうもいかずそのまま通過、そうして目指した先にあったのは‥この期に及んで立ち寄り湯!



何だか雰囲気がいいとのことで立ち寄ってみたわけですが、うーんなるほど、すでに外観からしていい味が出ている気がします。この県道210号は観光とはほぼ無縁のエリアですから、ここはまさに「地域の共同湯」なんでしょうね。



入口手前にはシルバーカーの縦列駐車帯が(笑)。

ちょうど地元のおばあさんとほぼ同じタイミングで入館したのですが、先に料金を支払ったのはわれわれでした(400円/人)。すると、管理人さん(女性)が「今お渡しした領収レシート、もし不要でしたらこの方に差し上げては‥」とおっしゃるのです。

聞けば、レシート10枚だったかを集めると1回無料で入浴できるのだそうで、なるほど毎日のように利用する地元の方にとって「われわれの2枚」は貴重な戦力になるわけです。そんなわけでそちらのおばあさんに「あのぉ、もしよろしければ‥」とお渡ししました(おばあさんは管理人さんとわれわれのやり取りは聞いていなかったはずです)。おばあさんは「思いがけないプレゼント」にちょっとビックリしながらも、気持ちよく受け取ってくださりよかったヨカッタ。しかしこのあと思いがけない逆サプライズがあったんですわ(後述)。さてそんなわけでお風呂へと向かいましょう。



お湯自体は35.9度の源泉を加熱循環させているようです。でも塩素臭は一切感知せずでした。

源泉は炭酸水素塩・塩化物泉で、特に特徴の感じられる湯ではありませんでしたが、温まり系の湯で湯上がりには身体がホカホカというか汗が止まらないぞ攻撃に遭うこと必定です(笑)。でも何と言っても印象的なのがこの浴槽脇の壁ですね。なんですかこの歌舞伎舞台みたいな色合いのプラ壁はっ!(大笑)。なお左上画像マウスオンでいつもの湯足画像に変わります。

さてお風呂から上がるとまだおしんこどんは出てきていませんでしたのでしばし業務用ソファー(病院の待合室系)にて休憩。すると、管理人さんが出てきていわく‥

とおっしゃって、冷え冷えのお茶ペットボトル*2を差し出してくれるではありませんか!うっはぁおばあさん、それはいただきすぎですって!(といいながらゴクゴク飲んだことは言うまでもありません=あのね)。

しばらくしておしんこどんも上がってきたのでその旨を話すと「そりゃお礼を申し上げなくちゃ」。そうですその通りです。でもわたしはいまだ入浴中のおばあさんには手出しが出来ないのでありますよ(笑)。そんなわけでおしんこどんに「ご挨拶」に行ってもらった次第です。

さてここからは管理人さんとの会話に興じたわけですが、何でも「管理人業」に転じたのはまだ最近のことらしく、岩手県内の別の場所から引っ越してきてこの湯の運営にあたっておられるそうです。どのような関係でこちらに来られたのかはわかりませんが(ま、親族関連であることは想像に難くありませんが)、「とにかく朝から晩まで丸一日いなければならないので大変なんですよー」とのこと。

そりゃそうです。営業は9:00-21:00、そしてもちろんその前後には開閉店作業(ボイラーやポンプのいろいろ作業)もあるでしょうから、拘束時間はとてつもないことになること必定です。交代要員はおられないそうですし、しかも休みは月2日(5日と20日)とくればそりゃ大変だぁ。

何でも長年管理を一手に引き受けておられた方が高齢により引退なさったことで現管理人さんが引き継いだそうなのですが‥せめて交代制(管理人さん2人体制)にしないと負担が大きすぎるのではないでしょうかね?以上、部外者による勝手な意見でありました。



公的な施設らしく黒板もありました。ちなみに保健所の所長さんが「十年は長生きする湯」とほめたたえたようですね♪



休憩所(左上画像)は実際のところこの倍以上の広さ。しかし「みやだ」なのか「みやた」なのかは本家ゆえはっきりして欲しいです(笑)。

そんなわけでいただいたお茶ペットボトルも一気に飲み干し(汗が引かないんですよ)、おばあさんはまだ出てきませんでしたが(これは予想してました)そろそろ出発でしょうということで表に出てみると、地元の女性がお一人のんびりなさっておりました。

「こんにちはー」とお声をお掛けすると、「どこの家の関係の人?」という前提で質問をなさってきます。「いや、ここ宮田温泉に入りに来た外来者なんです」と申し上げると、「わざわざうちらの湯に入りに!わざわざ?」と驚きビックリのご様子でした。そうこう話しているうちに別のおばあさんがヤブの向こうから登場!(というかそこに「畑に続く作業道」があったようです)。

これまた「こんにちは」と声をお掛けすると、最初に話しかけた女性と云々。うっはーこのお2人の会話となると全然わからない!(苦笑)。しかし、おばあさんが背から降ろした荷物はスゴイ!




(おばあさんの手の大きさから一目瞭然だと思います)

で、「うはぁすごく長いですねこれ!」とその長さに驚嘆していると‥





そんなわけで「あまりにも立派な茄子」、いただいちゃいましたぁ!左上画像のおばあちゃん有難うっ!

そんなわけで結果駅には「お湯の良さ以上に人の良さ」をあまりにも実感してしまった宮田温泉だったわけです(でもお湯は循環とはいえ悪くないですよー。独特の温泉臭もありましたし)。まだNHKの「ふだん着の温泉」には取り上げられていないようですが、北上山地北部をちょっと調べればすぐわかる湯なのである種時間の問題かな(この界隈はかの番組における空白地帯なので)。

さてしかし、右上画像を撮影した段階ですでに17時ちょい前でありまして、今宵の宿までにはまだ距離がある‥というわけでここからは一気に車を走らせ‥ん?でも「どうにもわからない畑」があるんでa Little Stop!

いや、これが何の畑なのかは中1の頃から知っています。これは葉タバコの畑です(正確には「収穫が完全に終わったあとの葉タバコ畑」)。東北の山あいでは(特に太平洋側)よく見る風景ですよね。しかし「どうにもわからない」のは作付け種の問題ではありません。

道中多くのタバコ畑を目にしてきましたが、このように収穫後の苗(根っこ)を残しているところもあり、ここはやや高地なのでまだ幹が青かったんですが下の方では枯れっぱなし放置プレイという場所もあって、「葉タバコって多年草なのかどうなのか?」「なぜこの時点ですき込んでしまわないのか?」という疑問を持っていたわけです。で、作業中の農家のご夫婦に伺ってみると‥

さて、JT(日本たばこ産業)とは何とも因果な会社です。そもそも国営と見分けが付かなかった「日本専売公社」からの民営化により立ち上がった会社ですが、民営とはいえ「専売」の縛りは消されずいまだ国内葉タバコの全量買い取りを強制されており、民営化したがゆえにむざむざ国内需要の一定シェアを海外ブランドに「お手上げ譲渡」、当然タバコ販売だけでは立ちゆかないのが誰の目から見ても当然の中で飲料や食品、さらには薬品にも企業規模を拡大したのはいいけれど、冷凍食品は中国生産の冷凍餃子でケチがついたし、さらには本業のタバコもここ数年の大幅値上げで喫煙離れが進むのみならず主生産地の一つである福島県浜通りが原発事故でこのようなことになり、いわば「あれもこれも全部ケチを付けられている」のであります。

先日新聞で葉タバコ業界の決起集会記事を見ましたが、「政府よ何とかしてくれ」というよりは「自民党よ与党に復帰してくれ」という印象の強いものでした。そりゃ農村部に強い(それだけ予算配分実績があり、それまである種地方の疲弊を抑えてきた)自民党ですからね。

しかし現自民党が「単独で与党に復活」したとしても、もはやかつてのような地方に厚い予算配分など出来るはずがありません。それは「自民による政策行動がこの先どこかで破綻せざるを得ない」ことをもっとも自覚していたかの党であれば自明のことだったわけですし、いま民主党の施策について「財源の裏付けがない!」と突っ込む自民党諸氏も「自分たちなら財源も含め根本的に解決できる」などと思っている人は1人もいないでしょう。それだけ「ここ数十年の失政」の根は深いのです。成功神話にあぐらをかいた不始末は、自民党をはじめとした全政治家、そしてその施策のもとであぐらをかいてきた全国民(つまりわたしたち)が「尻ぬぐい」をしなければならないのです。

ただし「負債をなくす(マイナスを減らす)」尻ぬぐいではなく、その過程において新たな生産活動を産む「プラスに転じる」発想および行動こそがいま一番求められているところです。JTはこれまでさんざん政治や世評の大波により「存亡をかけた生き残り活動」をしてきたはずです。そして今も会社組織そのものは財務体質の改善を進めているとのこと。是非その「改善」が零細農家の切り捨て(=買い上げ価格の引き下げ)につながらないよう祈るばかりです(しかし援助金は現実に削減されているようですね)。長くなりましたがTakemaのふとした思いとしてついつい‥。



さてそんなわけで、われわれは本日の最終目的地を目指すのであります。日もかなり傾きました。

県道6号から県道30号に入って坂を上がると田代平高原です。そう、ここにある温泉(鉱泉)宿が数時間前に予約を入れた今宵の宿泊地、七時雨山荘なのであります。し、しかし何だかちょっと様子が不思議?



そう、実はここ七時雨高原では昨日と今日の2日間にかけてバイクトライアル競技が行われているというわけなのです。その詳細については次ページで紹介しますが、でもなぜか閑散?選手駐車場にはたくさん車が止まっているけれどそれに見合った数の人はいないし、そもそもバイク自体全然見かけないんですが?

あとで聞いた話だと、このトライアルはこの日の朝七時雨を出発して三陸沿いの普代で1泊し、明日の午後に再びここ七時雨に戻ってくるんだそうな。なるほどだからトランポの車が沢山あるのに人がいないというわけですね。明日のゴール時も見てみたかった気もしますが、残り日程も少なくなってきているのでそれはさすがに断念です。

そんなわけで七時雨山荘にチェックイン。「山荘」の名にふさわしくロッジ的な作りですが、内部は丁寧に手が入れられており(掃除も丁寧)、古めかしさはありません。廊下がキシキシと鶯張りモードになってしまっているのはご愛敬ということで(笑)。



木の風合いを強く意識した作りでいい感じです。部屋は広くはないですが何とベランダ付き、やったぞそこで煙草が吸える♪

さて夕食は併設の喫茶で食べるつもりなので時間的には余裕があります。となればやはり今日の汗を湯で流しに行かねばなりません。もっとも今身体に付いている汗は宮田温泉の湯上がりに出たものなんですが(笑)。この日泊まりのお客さんは少ないようなので、先客さんが出たのを見はからっての貸し切り湯とまいりましょう。では!



ん?でもネット情報では薄濁りということでしたがこの日は完全に透明ですね。ま、いいか。

実はここ七時雨の湯は9度の鉱泉を沸かしているのですが循環ではありません。何でも成分が濃くて循環しても配管がすぐに詰まってしまうので蒸気熱で加熱しているそうなのです。入浴客は湯温に応じて右側のパイプに設置されたバルブを捻れば加温湯が浴槽下部まで伸びたパイプ先から投入される仕組み。一方非加熱源泉は浴槽奥から常時(なぜか止まっている時もありましたが)少量投入されており、結果として「加熱かけ流し」の湯使いになっているというわけですね。これはなかなか、いやかなーりよい仕組みです!



浴室内にちゃんと説明書きがあります。右上画像は非加熱源泉の投入口です。確かに冷たかった(当然)。



この赤いバルブを捻ると‥浴槽内に怒涛の加熱湯が投入されるわけです。



加熱湯投入中は浴槽内でアワアワモードが楽しめます。あー、こりゃいいわ。



そんなわけで湯足画像で終了。ちなみに硫化水素臭は感知しなかったなぁ。

ではでは夕食へと向かいましょう。この日の泊まり客は4組で、イーハトーブ大会の開催中にしてはちとさびしい気もしますが、やはり観光客そのものが少ないんでしょうね。出場者の皆さんは別の場所にいるわけですから‥(ちなみにうち1組は大会運営関係の方々でした)。



結構渋くていい感じの店内。正規の夕食もここで供されていました。それじゃまずはビールで乾杯といきましょう♪



ペペロンチーノとハンバーグカレーを分け分けして食べました。ほどよく適量でヨカッタです。

さて、いまだに「三陸の海が出てこない」この旅行記ですが、さすがにこの翌日は太平洋を目にすることとなります。それと同時に目にしたのは「大津波に蹂躙されたあとのあまりにも酷い現実」でもありました。ふぅ‥。
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