− その7 笹川流れの海からの贈り物、藻塩工房見学+1湯 −



さて、このページではまず「大人の社会見学」とまいりましょ(笑)。

さて朝食後は日本海を北上します。そういえばこの区間(村上−鶴岡)を最後に走ったのはたぶんまだ自分が20歳台のころ(とはいえ29くらいの時だと思いますが)。何度も東北に来ていたとはいえ、このエリアには相当のご無沙汰なのであります。確かその時は(250ccのゼルビスに乗っていた)真夏の高瀬温泉入浴後、あまりに暑くて「よーしこうなったら!」と一心太助、いや違った一念発起して一番上に来ていたポロシャツ(無防備ですなー)を水道の水に浸した上で絞り上げ、「よーしこれで気化熱くんが期待できるから気持ち良く走れるぞー」と、「我ながらあったまイイ大作戦」に出たのでありました。

そんなわけでバイクにまたがり、走り出して約5秒後に「己の無知と無謀さ」に気づきました。気化熱がすごすぎてサームイサムイ!(大笑)。結局カッパを羽織って走る羽目となったのであります。あの頃は実に何というかバカだったのね(苦笑)。

そんなノスタルジックバカ場面を思い出しながら今日は車であの日と同じ道を走ります。お天気は‥完全に曇り時々小雨ですねちくしょー。道の駅というかJRの駅でもある「夕日会館」でちょっと休憩。

売店には地元産の塩なども売っていて、へー、このあたりでも作ってるんだと思いつつも買いはしませんでした(正解)。さて出発しようかと思ったところで、駅ホーム方面から「間もなく列車が通過云々」というのでしばし待っていると‥特急いなほ号が走り抜けていきました(右上画像マウスオン)。そんなわけでわれわれも出発しましょ。

と、しばし走っていくと、煙突から煙をモウモウと立ち上らせる施設があったので急遽停車。ここは何だ?と思ったら、ここ「笹川流れ」の海水を煮詰めて作る塩工房でありました。しっかり薪で煮詰めていく昔ながらの製法で、なるほどだから煙がもうもうと上がっていたのね(ちなみにこのお隣にも別の製塩工場があるようでしたが、あっちも相当の煙を(右上画像マウスオン))。ちなみに、以前はもっと町に近いところで作っていたのが、やはりこの煙が何かと問題になりこちらに移ってきたということでした。

責任者(社長さん?)とおぼしき方が丁寧に説明してくださいました。濾過した海水(温泉じゃないので循環はしてませんよ(苦笑))をとことん煮詰めていくわけですが、東北という土地柄自然乾燥に頼る塩田形式を採用せず「薪火による加温濃縮」という方法を採ることになったのだとか。ここ笹川流れエリアは近くに大きな町がなく、また海岸が砂浜ではなく岩礁帯ということもあって綺麗な海水を取水できるそうなのです。

海水をどんどん加熱していくと当然のことながら水分が飛んでいきます。しかしこの時期はまだ涼しいからいいですが、夏場は大変な作業だろうなと思います。

このくらいになってくると相当の塩分濃度になっているはずですが、それと同時に濾過過程で取りきれなかった不純物(アク)も濃縮されてきます。貝殻に含まれる石灰分などがそれにあたりますから濾しながら取り除いていきます。濾して残った不純物ですが(左上画像マウスオン)、「海にあったものなので海に帰すのか」とおしんこどんが聞いたところ、「いやぁ、海から一度上げたものだからこれは海には流せません。産業廃棄物として処理します」とのことでした。保健所の指示だそうです、なるほどねぇ。

こうして出来た超濃厚原液をワラに載せて結晶化させ(ちょっと違うかも知れませんがとにかく右上画像マウスオン)、とにかく真っ白い「やさしい塩」が完成というわけです。また、ホンダワラの「玉藻」と合わせた「玉藻塩」も作っており、その売りは「ホンダワラのヨウ素たっぷり含有」とのこと。このご時世、小さな子どもたちのいるご家庭には必須の塩ですね!(こんなことを書かねばならない現在(いま)を悲しく思いますが)。あ、ネットでも買えますよ。詳しくはこちら(笹川流れ塩工房)。ただし現地ではもう少し他種類の塩が売られていました。ちなみに製品名「塩の花」の塩は某日系鶴航空のファーストクラスで使用されていたそうです(現在どうなのかは未確認)。

さて、ふと見ると海側にはテラスがあってそこで休憩も出来るみたい。隣には同系列の喫茶店もありそちらから飲み物等を注文することも可能ですし、塩水釜で茹でたタマゴにこちらの塩をかけていただくこともできます。それじゃ何かいただきますかということでテラスに出てみると‥



何たって最初は「塩引き鮭のオブジェというかイミテーション模型?」と思ったくらいですから。しかし伺ってみるとこちらは春に獲れるサクラマス、希少&絶品美味なのだそうで、秋鮭に比べて何倍もの値段で取引されているのだそうです。ちなみにこの3尾が売り物なのかどうかは聞き逃しました(笑)。

そんなわけでサクラマスは記念写真の背景にするにとどめ、おしんこどんが持っているようにソフトクリームとコーヒーを注文しました。と、ソフトクリームが出されたときに「どうぞこちらの塩をかけて召し上がって下さいね」とのこと。言われるがままにテーブル上にあった塩をかけてペロリンちょとしてみると‥

考えてみればスイカに塩と同じ発想ですが、なぜか一般的にはスイカとお汁粉くらいにしかポピュラーではない「甘味に塩」の取り合わせ。おしんこどんいわく「これは(自分の好きな)ハーゲンダッツにかけてもきっと美味しいはず!」とコーフンモードです。あ、でもここのソフトクリーム自体がかなり美味しかったのでそれだけでもオススメです。Takemaも結構喜んで食べてましたからね(甘いお菓子などはそんなに好きじゃない)。
【後日談】

帰宅後しばらくして念願のハーゲンダッツアイスクリームを買ってきたおしんこどんですが、食べ終わったあと「嘆き節」を訴えてきました。いわく「塩をかけた最初は美味しかったんだけれど、調子に乗ってかけすぎたら途中から塩味が濃すぎるようになってアイスの味がわからなくなってもうた」。えーっとそういうの何て言うんでしたっけ、あ、そうだ「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」ですね。この言葉をおしんこどんに捧げます!(笑)。



そんなわけで最後に駐車場で記念写真。確かにキレイな海ですねー。晴れていればもっと輝いて見えたことでしょう。

さてお勉強のあとはせめて1湯くらいと考えて温泉へと向かいます。目指したのは「山北ゆり花温泉 交流の館 八幡」。こちらは1996年に廃校になった学校をそのまま温泉&交流センターにしてしまったということで、北海道のふるびら(古平)温泉と同じ発想ですね。ただしあちらは校舎が老朽化したということでお隣に新築したそうですが(2011/3月21日再オープン)。



こちらが「交流の館 八幡」。しっかりリニューアルされておりまだまだ当分現役OKです。

おしんこどんは「ちょっと休憩しとくわ」ということで車内で就寝。そう、入浴は結構体力を使うので体調がすぐれないときあまりはよろしくないのだそうです(Takemaは「それでもやりそう」な気もしますが)。というわけでTakemaのみいざ行かん!

エントランス付近は徹底リフォームがなされていて昔の面影はありません(もっとも「昔」を知っているわけじゃないんですが)。季節柄鯉のぼりも泳いでいて何だかいい感じです。そもそも学校ナントカ法だかの基準によって、学校施設の天井は一般家屋に比べて高いそうなのです。だから天井鯉のぼりがあっても圧迫感はありませんね。

浴室はぐっと奥なので廊下を歩いていきます。ペイントはなされていますがこの廊下界隈はいかにも学校風情ですね。ちなみに各教室は「交流用」に手が加えられておりました。そしていよいよ浴室手前までやってきました。スリッパを脱いでと。



魅惑的な割引価格を示す貼り紙を見ながらいざ脱衣場&浴室へ!

あちゃー、先客3名様が入浴中。これは「長い戦い」になるぞと覚悟しつつ浴室へ。しかしお三方ともすでに身体や頭洗いの真っ最中ということは「入浴中盤から後半の段階?」と理解し、出たり入ったりの「忍の入浴モード」となりました(笑)。お1人は5分ほどで上がっていきましたが、若者2人が予想外に湯船でまったりしたのにびっくり。15分くらいそのまま「忍」の一字、ようやくどなたもいなくなりました!(蒸れた)。

若干の塩味系の無色透明湯がかけ流されています(飲泉許可はないので自己判断で)。源泉は加水せずそのまま入れているというネット上の記載もありましたが(源泉は55度とか)、触った感じではもっとぬるい感じでしたので、源泉温度が下がったのか、または加水しているとは思われます。でもいずれにせよTakemaとしては問題なしです。

ちょっと面白かったのが排水エリアの造作でありまして、もちろん洗い場には排水溝があるわけなので、浴槽からの溢れ出しもそのままその排水溝に流れ込ませればいいはずなのですが‥(左上画像マウスオン)。

よく見ると、この誘導路の先には壁に穴が開けられており(見えにくいですが)直接建物外にお湯が排出出来るようになっています(ただしこの穴は明らかに後付けのように見えました)。でも左上画像マウスオンでわかるようにこれらの石はどう考えても「導水」の役目は果たしていません(ただ単に石が置いてあるだけなので洩れ洩れ)。この石を置いたのは従業員さん?それともお客さん?でも何らの役にも立っていないのに?うーむ謎です(苦笑)。

さてこのあとは湯殿山を目指します。いや別にこの車に誘導されたわけじゃないんですが(笑)。長大トレーラーを誘導するこの前方車両、しかし悲しいかな登坂車線の最終部分でトレーラーを抜き終えたもので、Takema車はこの誘導車とトレーラーの間に挟まってしまったわけです。とんだおじゃま様ということですわ。
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